レビュー
PS3「テラリア」のレビューを掲載。“小さなことからコツコツと”が面白すぎて止まらない
先行して発売されたPC版が話題を呼び,すでに200万本のセールスを記録している……のだが,正直筆者は,PS3版が発売されるまでその存在すら知らなかった。そんな筆者が,どのようにテラリアにハマっていったかを,ゲーム解説と合わせながら紹介していきたい。
さてこのテラリア。おじさんゲーマー(44歳)である筆者はまず,16ビット機時代のゲームを彷彿とさせるドット絵グラフィックスに好感を覚えた。スーパーファミコンやメガドライブなどの横スクロールタイプアクションと見まごうばかり(実際アクション要素もあるが)の雰囲気には,とっつきやすそうな予感さえした。
しかし,キャラクターを作成してゲームの世界に立ってみると,その期待は儚くも散ったのだった。自動生成される広大なワールドへとひとたび放り出されたら,自分でアクションを起こさないといけない。「目的地に向かえ」「敵を倒せ」といった親切な案内など表示されないのだ。オープンワールド系のゲームにはよくあることだが,手取り足取り至れり尽くせりな日本のゲームに慣れていると面食らう。実際,途方に暮れた。
そこで筆者は一旦プレイを中断し,チュートリアルモードへ。ここでゲームの基本を学んだ。なんでもこのチュートリアルモードや,ゲーム中に使える全体マップの表示機能はPS3版で追加されたものらしい。これらがなければ,本作の面白さの本質に辿り着く前に投げ出していたかもしれない。
リアルタイムに時間が経過する広大なワールドが舞台。ジャンプや攻撃といったアクション+多彩なアイテムを駆使して探索をしていく |
基本的な遊びを説明してくれるチュートリアル。PS3版のみの新要素で,ほかにも新モンスターや新アイテムなどが登場する |
掘って進んで作って,また掘って
マップに放り出されたプレイヤーがするべきことは,大雑把に分けて3つ。敵と戦うこと,素材を集めること,素材を使ってモノを作ることだ。初期装備である剣でスライムを倒し,斧で木を切り倒し,ツルハシで土や地面を掘っていると,もれなくブロック状の“素材”が手に入る。それらを元に,新たな装備やアイテムを作ることが,次のステップとなる。
一番手っ取り早く入手できるのが「もくざい」。斧を使って生えている木を切り倒せば手に入る |
実際のプレイで多くの時間を占める掘削作業。ツルハシが岩や鉱物を掘るリズミカルな音が小気味良い |
アイテム加工は,メニューから作りたいアイテムを選択するだけでいい。ただし,より便利なアイテムを作るためには,加工のための道具が必要となる。
鉄のショートソードの作り方を例に挙げると,まず鉄鉱石を採掘→かまどを使って鉄のインゴットを作成→かなとこを使って鉄のショートソードを作成,といった具合だ。
このように,集めた素材同士をどんどん加工していくことで,プレイヤーキャラは強さを増していく。素材がある程度集まってきて,加工の法則がなんとなく見えてくると,ゲームがいよいよ面白くなってくるのだ。
入手した素材やアイテムがズラリ並ぶ。なお,メニューを開いても時間は経過しており,敵も活動しているので,加工は安全な場所で行いたい |
武器には剣だけでなく,弓や銃,火炎放射器(!)といったものまである。運次第で出来不出来が発生するのも楽しい |
地表近くでは大した素材は取れないが,地下深くへと進むほどレアなものが増え,さらにはスペシャルなアイテムが入った宝箱も出現する。そうしたアイテムを入手することでプレイヤーは強くなり,さらに遠く・深くの場所を探検することが可能になるのだ。しかもアイテムは数百種類にも及ぶというのだから,また驚く。
という感じで,「探検→収集→アイテム加工→さらなる探検」をコツコツと続けることが,本作の基本であり,最大の醍醐味ということになるだろう。飽くなき冒険スピリットを持ったプレイヤーほど,本作の魅力にハマれるはずだ。
地下深くにはレアな素材やアイテムが待ち構えている。強敵に負けない装備を揃えて探検へ挑もう |
ゲームを進めていくたびに世界は広がり続ける。いわば「好奇心」がこのゲームの本質といえるだろう |
プレイヤーはワリとよく死ぬのです
探索と加工がゲームの軸をなすテラリアだが,同時にフィールド上で襲い掛かってくるマモノ(敵)を倒すことも重要だ。しかし,初期状態のプレイヤーキャラは,かなりの貧弱ボーイ。スライムならまだしも,日暮れとともにやってくるゾンビから袋叩きにあって死んでしまうのはよくあること。
さらにいうなら,水中で息が続かなくなれば溺れ死ぬし,高所から地面に落下しても死ぬ。装備を整えて「これならバッチリ!」と先に進んだ直後,思わぬ展開でコロッと死んでしまうケースなんて,何度遭遇したか数えきれないくらいだ。
新エリアに入ると,新たに出現する強敵の攻撃でピンチに。ドラゴンクエストで橋を渡った直後のアレだ |
高所からの落下ダメージでお亡くなりに。落下死はゲームの中の探検家の宿命のようだ |
だが,死んだとしてもめげる必要はない。難度が「やさしい」や「ふつう」の場合は,持っていたコインやアイテムをその場に落としてしまうのの,プレイヤーは即座に復活。急いで死んだ場所へと向かえば,落としたコインやアイテムを再入手することもできるのだ。「むずかしい」の場合は残念ながらキャラクターロストとなってしまうが……。
ペナルティが軽いので,死ぬこと前提で無茶をして,経験を積んだほうがお得ということになる。そうして得た経験はプレイヤーに蓄積されていくので,ある種“死に覚えゲー”とも言えるかもしれない。
なお,所有している素材やアイテムは,キャラクターに紐付いているので,ほかの世界に装備を持ち込むことができる。つまり,ゲームをクリアしなくとも,「強くてニューゲーム」が選べるというわけだ。
さらに,ワールドはいくつでも作成できるので,「ちょっと素材が足りないな」なんてときは,新しいワールドに探しに行っても構わない。自由にもほどがあるだろうと思うかもしれないが,それもまたテラリアらしさと言えるだろう。
キャラクターやワールドはいくらでも作れる。ワールドのサイズは3つから選択可能だ |
NPCやフレンド頼みのプレイもあり
さて,人間にとって衣食住は欠かせない要素だが,それは本作でも同じ。とくに「家」はテラリアの世界で欠かせないものとなっている。石ブロックや木の壁など,特定の素材の配置して作る家は,マモノの侵入を防いだり,アイテム加工の作業場として活用したりと,プレイヤーの冒険拠点となる場所だ。
さらに,特定の条件を満たすことで,空き家にはNPCが住み着いていく。NPCはプレイヤーにアドバイスをくれたり,コインと交換でアイテムを売ってくれたりと,非常にありがたい存在……なのだが,筆者が最初に作ったワールドでは,家を無計画にあちこちへ作ってしまったので,個別にNPCに会いに行くのもひと苦労となってしまった。
ゲーム序盤のひ弱な状態で野宿するのは自殺行為。とっととブロックを配置して,安心できる我が家をクリエイトすべし |
日暮れとともに出現する凶悪なマモノの攻撃も,家の中にいれば安全。中にはドアを開けて入ってくるマモノも……!? |
空き家を見つけて住み着くNPC。特定のアイテムを入手するごとに人数は増えていく |
NPCはコインと交換に貴重な(個別に異なる種類の)アイテムを売ってくれる |
本作はマルチプレイにも対応していて,ホストとなったプレイヤーのワールドに参加することができる。ひとりでコツコツするだけではなく,大勢でコツコツできるわけだ。
しばらくの間,1人で地道に進めていた筆者だが,フレンドがかなりプレイしていると聞いて,即座にマルチプレイを申し込んでみた。そして,友人のワールドにインしたら,あらビックリ! 家は巨大なマンションのようで,しかも見たこともない仕掛けで埋め尽くされている。なにより友人のキャラクターは,ドリルを装備しているわ二段ジャンプするわで,あまりの“別ゲー”ぶりに大興奮したのであった。
フレンドの家はマンション状だし2段ジャンプはするし。俺の知ってるテラリアと違う! |
ツルハシなんてもう古い,時代はドリルだとばかりに自慢ホリホリされてるの図。悔しいです…… |
フレンドによれば「マルチでガンガン進めたほうがエエ」とのこと。複数人で進めることで探索効率はアップするし,強力な敵にも立ち向かえるという。実際筆者も,地下深くに出現するボスとの戦いを手助けしてもらったのだが,その結果,本作をもっとやり込みたいという思いが強くなった。同じゲームを遊んでいる以上,プレイさえ続けていれば,いつかは同じことができるようになるはずだからだ。
そういった意味では,初心者ほど積極的にオンラインでのプレイをおすすめしたい。他人のワールドは見るだけで攻略の参考になるし,プレイのモチベーションが高まること間違いなしだからだ。
なお,相手のワールドから素材やアイテムを持ち出すことは可能だが,あくまで素材は有限。ガッツイて友人関係を損なわないよう気をつけてほしい。
テラリア道はコツコツすることと見つけたり
パッと見ダサいとか(失礼),操作にクセがあるとか,アイテム整理が面倒とか,本作には,やや気になる点があるのも事実。だけども一番困ったのは,ゲームのやめ時がわからなくなるというコトだ。
「もうちょっと先のマップが見たいんだけど」「もうちょっとで素材が揃うんだけど」と,いたる場面で“もうちょっと”な気持ちにさせられ,プレイ時間はかさむばかり。ついでにいうと,もうちょっとが過ぎて死んでしまい,コインやアイテムを無駄にして「ムキーッ!」となったりもする。そんなことを繰り返していたばかりに,この原稿も本来の締め切りより大幅に遅れる始末だ(ホントごめんなさい)。
コツコツした分だけ遊びが広がる魅力を秘めているので,多くのプレイヤーに遊んでほしい。自由度が高い分,人の数だけ遊び方が存在するのだ。そのあたりは,実況プレイヤーたちが本作を遊ぶ様子のムービーを公式サイトで見たり,チュートリアルがプレイできる体験版を触ったりすれば分かるはずだ。
つまり何が言いたいかというと,筆者はちょっと鉱石掘りに戻るので,あとは各自で探索してくださいということです!
このレビュー脱稿後もひたすら探検は続いております。画像のブラッドムーンの夜では,いつも以上に凶悪となったマモノたちがゾロゾロ出現。タスケテ! |
いろいろ潜ったことで装備が充実。フックで壁に掴まれるようになったり,二段ジャンプができるようになったり。でもまだまだ未知の領域だらけなんです! |
「テラリア」公式サイト
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Published by 505 Games (and Spike Chunsoft for Japan region).
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