［GDC 2024］「Unreal Engine 5.4」でより美しく効率的なゲーム開発を。Epic Gamesが独自イベントで多数の新要素を紹介

　米国時間2024年3月20日，Epic Gamesは，GDC 2024会場近くで独自イベント「State of Unreal」を開催した。基調講演で同社は，ゲームエンジン「Unreal Engine 5.4」（以下，UE 5.4）の新機能を紹介したほか，Fortniteのコンテンツ開発ツール「Unreal Editor for Fortnite」の新機能や新たなコラボレーションなども発表している。


　基調講演では，UE 5.4の新機能が詳細に解説された。
　とくに注目を集めたのは，UE 5.4の特徴である「モーション マッチング」だ。これは，キャラクターが動くモーションを作る作業を効率化する仕組みである。あるモーションから，ほかのモーションへつながる動きを，用意したモーションデータベースから自動で割り当てて，スムーズな動きを実現するとのこと。

モーション マッチングの例。前方に走っている動き（上）から，右へ横移動する動き（下）へシームレスにモーションをつなげる

　単純な動きだけでなく，パルクールのような立体的で非常に複雑なモーションの連続も，自動で生成できるという。謳い文句どおりに機能すれば，モーション制作作業の効率化に役立ちそうだ。


　UE 5.4に関して注目の発表となったのは，Skydance New Mediaが手がける新作アクションアドベンチャー「Marvel 1943: Rise of Hydra」だ（関連記事）。


　本作は，第二次世界大戦時を舞台に，スーパーヒーローの「キャプテンアメリカ」と「ブラックパンサー」たちが，悪の組織「ヒドラ」と戦う物語が展開される。イベント中に披露されたトレイラーでは，緊迫感あふれるバトルシーンと，UE 5.4による美しいグラフィックスが披露された。


　本作は2025年の発売を予定しており，UE 5.4の最新機能を存分に活用したタイトルとなりそうだ。

　Epic Gamesが提供するUnreal Editor for Fortnite（以下，UEFN）に関する新機能も発表となった。UEFNは，バトルロイヤルゲーム「Fortnite」内のコンテンツ制作ツールだが，今回のアップデートでさらに強力になる。
　Epic Gamesは，バーチャルキャラクター生成システム「MetaHuman」と，それを扱う制作ツール「MetaHuman Creator」「MetaHuman Animator」をリリースしているが，これらのUEFN対応版である「MetaHuman to UEFN」が登場したのだ。
　これを用いることで，クリエイターはFortnite内に，本物の人間のようにリアルなNPCを簡単に作成して，自由に動かせるようになる。これにより，Fortnite内で展開する独自ゲームのストーリーやイベントがより豊かになり，没入感の高いゲームを実現できるだろう。

新しいUEFNのデモ。Fortniteの漫画的なキャラクターが，リアルに描かれた宇宙船の中を探索していくと……，MetaHumanで作られたフォトリアルな乗組員に出会う，というもの

　そのほかにもUEFN関連では，Fortnite内でプレイできるレースゲーム「Rocket Racing」（関連記事）のアセットやテンプレートを利用して，独自のレースゲームを構築できるようになったことが発表された。また，「LEGO Fortnite」やマルチプレイヤーアクション「Fall Guys」のアセットも，UEFNで提供されることになり，レゴブロックやFall Guyのキャラクターである「ビーンズ」たちを，UEFNで作るコンテンツ内で扱えるようになるそうだ。

レゴのキャラクターやアイテムで，Fortnite内で建築したり，戦ったりできるように

　さらにEpic Gamesは，UEFNとUEFN用プログラミング言語「Verse」を使って再開発したFortniteのファーストシーズンを，2025年末までにリリースする予定を明らかにした。Fortniteのメタバース化に拍車がかかりそうである。
　また，Epic Games独自のアプリストアである「Epic Games Store」（EGS）を，2024年後半にはiOSおよびAndroidといったスマートフォンやタブレット端末向けの環境で利用可能にする計画も明らかにされた。

　また，Unreal Engineを用いた複数のゲーム開発事例も紹介されている。
「Dune: Awakening」は，SF小説「Dune」と，それをもとにした映画「デューン 砂の惑星」の世界を舞台にしたオープンワールドサバイバルMMOで，没入感のある砂漠の世界や，リアルな砂の動きといった開発プロセスが語られた。


　また，Zyngaの子会社Natural Motionが開発するスター・ウォーズシリーズの新作「Star Wars: Hunters」は，クロスプラットフォーム対応のオンラインシューターで，基調講演では，そのキャラクター制作やマルチプレイヤーによるゲームプレイなどを，映像と共に紹介している。
　そのほかにも，Chrono Studioが手がけるMMORPG「CHRONO ODYSSEY」の戦闘や，時間を操作するシステムなどについても紹介された。

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