［gamescom］発売が迫る「The Sims 4」。より賢くなったシム達が予測不能の物語を紡ぐ，gamescom 2014のインプレッションをレポート

　日本では2014年9月4日発売なので，「おお，もうすぐじゃんか」という感じのシミュレーションゲーム「The Sims 4」（PC / Mac）が，gamescom 2014に出展されていた。


　シムと呼ばれるキャラクターを操作し，彼らの繰り広げるささやかな出来事を楽しむという「The Sims」シリーズ。人であふれる会場を巡れば，大音響の中，あちらではゾンビが撃ち殺され（もともと死んでいるが），こちらでは戦闘ヘリコプターがミサイルを放ち，そしてまたあちらではカーチェイスが繰り広げれている。そんな中にあって，一発の銃弾も撃たれることなく，寿命以外で死ぬこともなく，身の回り30メートルぐらいの出来事ばかりが描かれる「The Sims」シリーズは，よく考えると相当の異色作だ。それが，大人気シリーズになっているのだから，ゲームというエンターテイメントは懐が深い。


　これまでにもお伝えしてきたように，シリーズ最新作となる「The Sims 4」の特徴は，まず，AIが進化して，シムがより人間的になったこと，次に，彼らの織り成す物語がますます予測不能になったこと，そしてシムや建物のカスタマイズがより直感的で簡単になったことが挙げられる。さらに付け加えると，「ギャラリー」機能を使うことで，ほかのプレイヤーがアップロードしたシムや建物などを，ゲームを中断することなくダウンロードできることも嬉しい部分だ。

　gamescom 2014のショーフロアでは，すでに公開されている「The Sims 4 Create A Sim Demo」が展示されていたが，ビジネスエリアのElectronic Artsブースでは，時間無制限で（ほぼ）製品版がプレイできた。
　ゲームの説明をしてくれたのは，EAのシニアマーケティングアーティストという，ちょっと珍しい感じの役職を務めるJonathan Richardson氏だ。北米では9月2日の発売が予定されているということもあり，開発状況を聞くと，ほぼ終了し，現在は細かい調整が行われている段階とのこと。遅延はないかと聞いたところ，「ない」との返事だったが，Richardson氏が人差し指と中指で幸運のおまじないをしているのを筆者は見逃さなかった。ゲーム開発とは，最後まで気の抜けない仕事であるようだ。


　ゲームには，ネバダの砂漠地帯をイメージしたという「Oasis Spring」と，アメリカ南部をモチーフにした「Willow Creek」という2つのマップが用意されている。それぞれのマップは，文教地区や住宅地区などに分かれており，それぞれの地区内はシームレスに歩き回れるが，地区をまたぐ場合はロードが発生するという感じだ。つまり，完全なオープンワールドというわけではないが，一件の家の中でだいたいのことが完結していた「The Sims 2」以来，シムの世界は広がり続けている。

　シムのカスタマイズについてもかなりのことができるようになっており，掲載したムービーにもあるように，普段の歩き方まで決められるところがポイント。元気がよくポジティブな性格のシムなのに，普段はとぼとぼ歩くというようなこともできるわけだ。


　顔のカスタマイズが強化されているが，Richardson氏によれば，ショーフロアではカップルがお互いの顔に似せてシムを作るというような場面も見られたという。ドイツのリア充どもめ！


　続いて，家の製作およびカスタマイズを見せてもらった。これまでのように，土盛りをして，壁を並べて，窓を付け，家具を配置し……なんとなくおかしいので，最初からやり直し，みたいなことはなく，本作では家具付きの部屋を複製したり，購入したりして，ボンボンボンという感じで部屋を組み合わせて家を作れるようになった。どんなサイズの部屋でも家の中に自由に配置でき，壁や廊下は自動的に調整される。実際にやってみたが，操作は非常に簡単で直感的になっている。
　もちろん，ギャラリーからいろいろな家をダウンロードすることも可能だ。


　筆者は以前，シムの家の改築中に資金が尽き，仕方なく屋根の設置をあきらめた経験があるが，それはともかく，屋根の形も，フラットなものからとんがり屋根まで好き放題だし，壁の好きなところにいろいろなものが飾れるし，小物はテーブルの上に多数並べることができるため生活感のある部屋が作れるしで，これだけでもずいぶん長く遊べてしまいそうだ。

　照明も，照度や色などを自由に変更できるが，こうしたことを実現するため，グラフィックスエンジンは一から作り直されているという。「The Sims 3」もなかなかハイレベルなグラフィックスだったが，今回はさらにアップグレードされたという印象だ。もちろん，最高のグラフィックスを堪能しようと思えば，それなりのスペックを持ったPCが必要になるだろう。


　というわけで，いよいよゲームの開始というわけだが，ここからはもう，筋書きのない人々の暮らしを眺めていくことになる。家族，または一人が，それぞれの人生の希望を持って，新たな家での生活を始める。近所の人々と仲良くなったり，遊びに出かけたり，食べたり眠ったりトイレに行ったりするところを，ちょっと上からの視点で眺めるのは，シリーズ従来作と同じ。利口になったとはいえ，たまにとんちんかんなところも昔と変わらない。
　試みに，適当な相手と喧嘩をしてみたが，家族同士の場合は一時的に関係が悪化しても，じきに元に戻っていく。だって家族だもの。しかし，行きずりの他人と喧嘩したばあい，悪感情はずっど維持される。へえ，こういうところまで作られているんだ，と，ちょっと感心した。

　従来作の雰囲気はそのままに，数々の部分がパワーアップされ，遊びやすくなった「The Sims 4」。面倒なところが取り除かれ，よりシムの暮らしにフォーカスできるので，タイトル名は聞いたことがあるが，シリーズ作品をプレイした経験はないという人は，この機会に始めてみるのもいいかもしれない。ハマる人は，きっと，とことんハマってしまうはずだ。

「The Sims 4」公式サイト

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