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「ミラーズエッジ カタリスト」レビュー。ビルの谷間を全速力で駆け抜け,目の前の障害物をどう乗り越えるか。この快感はミラーズエッジでしか味わえない
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印刷2016/06/21 00:00

レビュー

この快感はミラーズエッジでしか味わえない

ミラーズエッジ カタリスト

Text by UHAUHA

 近未来を舞台に,人間離れしたアクロバティックなアクションでビルからビルへと飛び移りながら,大都市を走り回るアクションゲーム「ミラーズエッジ」。その最新作となる「ミラーズエッジ カタリスト」PC / PlayStation 4 / Xbox One)が,エレクトロニック・アーツから2016年6月9日に発売された。
 4Gamerでは発売前のプレイレポートCBTレポートを掲載しているが,今回は製品版のレビューをお届けしたい。なお,筆者がプレイしたのはPS4版である。

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 ちなみに,2015年8月に掲載したシニアプロデューサーのインタビューにて,「ミラーズエッジ カタリスト」がいわゆる続編やリブート作品ではなく,前作の良い部分を煮詰めて,新しい部分を取り入れたリバース(生まれ変わり)作品であることが伝えられている。前作をプレイした人には,どのあたりが生まれ変わったのか,非常に気になるところだろう。

アジアンテイストを残している主人公フェイス・コナーズ。なんとなく綺麗になったと思うのは,筆者だけだろうか
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ストーリーが進むにつれて,フェイスの生い立ちが明らかになっていく。なお,前作のストーリーと直接的なつながりはない
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「ミラーズエッジ カタリスト」公式サイト



大都市を支配する政治勢力とフェイス達の新たな戦い


 本作のストーリーは,冷酷な複合企業が支配する大都市「ガラス」を舞台に,腕利きのランナーであるフェイスが意に反して複合企業との戦いに巻き込まれるというものだ。
 ガラスではさまざまな複合企業が政治勢力と化して都市を支配しており,秩序と治安を守るために「クルーガーセック」という護衛部隊に警備を一任している。また,住民はマイクロチップを内蔵した腕輪型セキュリティ装置「グリッドリンク」によって監視されているが,これを嫌ってグリッドリンクを外す住民も存在し,彼らは「オフグリッド」と呼ばれている。

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 オフグリッドはクルーガーセックの追跡対象であり,捕まれば収容所に送られてしまうが,その多くは「ランナー」と呼ばれるグループに属している。このランナーとは,クルーガーセックの目が届かない高層ビルの屋上や隠れ家などで暮らす連中のことだ。高い身体能力を活かしてビルの屋上を走り抜け,ビルからビルへと飛び移りながら,監視対象であるアイテムや秘密情報を手渡しで運ぶことで報酬を得ている。

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 主人公のフェイスもランナーの一人だが,自分の力を過信したせいでクルーガーセックに捕まり,2年間収容されていた施設から釈放されるところからゲームはスタートする。そこでイカロスという青年に出会い,再びランナーでの活動を行うことになるフェイスは,仲間達とともに都市を支配する複合企業に立ち向かっていくという流れだ。

侵入した建物で暗視ゴーグルを装着した謎の男に遭遇。彼が盗み出そうとしていたものを偶然に手に入れてしまったことから,都市を支配する巨大な組織に追われることになる。メインストーリーの随所には,ムービーシーンが挟まれている
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敵の配置を監視し,どう対応するかをイメージしてから乗り込む。ワイヤーロープを使って空中から侵入するシーンも多い
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警報のセンサーを避けながら登っていく。どう移動すればいいのかパズル的な要素もいっぱいだ
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オープンワールドで再現された未来都市でミッションに挑戦


 ハイテク都市の白を基調とした超高層ビル群を見れば,前作をプレイしている人ならば,一瞬で「ミラーズエッジの世界に戻ってきた」と感じるだろう。ただし,都市全体が巨大なオープンワールドとなっており,自由にビルの屋上を走り回れるのが,前作と大きく違うところだ。

 ガラスは大きく3つのエリアに分かれており,高層ビルが建ち並ぶ「アンカー」,都市の中央に位置する「ダウンタウン」,将来有望なセレブ達が住まう高級住宅地「ビュー」がある。これらを移動しながら雰囲気の異なる街並みを眺めるのも,未来都市を散歩しているようで楽しい。各エリアの建物はデザインが特徴的なものになっているうえ,アンカーは水色,ダウンタウンは黄色,ビューは紫色といったように,それぞれのイメージカラーが配色がされている。これにより,いま自分がどのエリアにいるのかが直感的に分かるというわけだ。

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 目的地までの移動ルートは無限にあると言ってよく,ミラーズエッジでしか味わえないアクロバティックなアクションがさらに楽しくなっている。もちろん,ビルの中や地下にも入れるので,移動範囲は複雑かつ膨大。どこに行くにも,マップを表示して「ウェイポイント(目的地)」を設定するのがオススメだ。
 というのも,ウェイポイントを設定すれば,進むべきルートを「ランナーズビジョン」という赤いラインでナビゲートしてくれるので,筆者のような方向音痴でも目的地に辿り着ける。頻繁に追っ手から逃げるシーンも登場するが,ランナーズビジョンがあれば,「慌ててジャンプしたら道がなくて落っこちた」なんて状況になりにくい。

 ただし,ランナーズビジョンは比較的有効なルートを示しているだけで,必ずしも最短ルートではない。実は,もっと早く辿り着けるルートが存在したりするので注意が必要だ。

ランナーズビジョンを使うと,赤いモヤモヤしたラインが表示されて進路をナビゲートしてくれるので迷うことはない
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 本作では,メインストーリーもサブミッションもすべてミッション形式で進んでいく。サブミッションには,さまざまな課題に挑戦できる「サイドミッション」をはじめ,目的地までの走破タイムを競う「ダッシュ」,制限時間内に依頼主からのお使いをこなす「グリッドノート」,敵の追跡を引きつける「デバージョンミッション」,依頼品を運ぶ「デリバリーミッション」,敵が守っているアンテナ塔を奪取する「セキュリティ拠点」,ビルの看板をハッキングする「ビルボードハック」,そしてソーシャルプレイ(マルチプレイ)モードという豊富なバリエーションが用意されている。

メインミッションやサブミッションの開始ポイントは,マップ上にアイコンが表示されている。このアイコンは,ストーリーが進むにつれて徐々に増えていく
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サブミッションは制限時間付きの使いっ走りが多いが,スキルを上げるための経験値稼ぎだと思って挑戦しよう。ただ,制限時間がシビアで泣きそうになることも……
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 また,各エリアのあちこちには,グリッドリークや監視記録,ドキュメント,秘密のバッグ,電子部品といった収集系アイテムが配置されており,それらを回収していくというやりこみ要素もある。ストーリーをクリアしたあとも遊べる要素が満載だ。

 前作以上にパルクールアクションを多用して移動できるマップ構成になっており,立ち止まらずに派手なアクションでビルの屋上を駆け抜けるのは,とにかく爽快で何よりカッコいい。

都市の至るところに配置されている収集系を探すのも楽しみの一つだ。黄色で目立つグリッドリークは見つけやすいはず
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これぞ,ミラーズエッジ! パルクールアクションでビルの間を駆け抜ける


 ミラーズエッジの醍醐味と言えば,壁や障害物などを生かして,走る,跳ぶ,登るなどの動作を複合的に実践するパルクールアクションだ。飛び越えられるものは一気に飛び越え,掴まれそうなところがあれば,それを利用して障害を乗り越えていく。助走からのジャンプで高さが足りなければ,壁を駆け上がるウォールラン(壁走り)でさらに上へと到達できる。

前作と同様,ビルとビルとの間に張ってあるロープを伝って渡ることも。左右にバランスを取りながら綱渡りに挑め
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 普通は大怪我するであろう高さから飛び降りても,受け身を取ればフェイスはまったくダメージを受けないので,スピードを緩めることなくビルの狭間を駆け抜けていく爽快感は格別だ。もちろん,連続ウォールランなどの新たなパルクールアクションも登場している。
 目新しいガジェットとしては,「MAGロープ」が使えるようになった。使える場所は限られているが,射出したワイヤーロープをフックに引っかけて,ターザンのように離れた場所に飛び移ったり,通常では届かない場所に登ったり,ジャマな障害物を排除したりと,前作にはないアクションが新鮮だ。パルクールとMAGロープを連続して使うシーンもあり,見事に決まると惚れ惚れするほどカッコいいのだ。

使える場所は限られているが,新ガジェットのMAGロープはスパイダーマンのようなアクションが可能だ
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 しかも操作は至って簡単で,基本アクションは[左スティック]と[L1][L2]ボタンの組み合わせだけで,状況に応じて自動で変化する。ボタンを押すタイミングもそれほどシビアではなく,シンプル操作でシビれるアクションを楽しめるところが魅力だ。
 また,走り続けることで「フォーカスフィールド」が発生し,敵の攻撃によるダメージを防げるので,とにかく立ち止まらないことに専念できる。

序盤は操作のチュートリアルがあり,必要なアクションを教えてくれる。苦手なアクションは確実に成功するように練習しておこう
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 戦闘シーンに関しては,銃を使った攻撃は一切できなくなり,格闘技のみとなった。個人的には「ランナーが銃を撃ちまくれるのはおかしい」と感じていたので,諸手を挙げて歓迎したいところだ。戦闘でも流れるようなパルクールアクションを使いながら,格闘技を繰り出して戦うことになる。

 フェイスの相手となるのは,クルーガーセックの警備兵達で,警棒や銃で武装しているうえ,接近戦が得意だったり,防御が固かったりとそれぞれに特徴がある。
 格闘技は,□ボタンで通常攻撃(パンチ),△ボタンで強攻撃(キック)が使えるが,スティック操作を組み合わせることで,さまざまな攻撃を繰り出せる。本作では,複数の敵を相手にすることが多いが,右フックをお見舞いした警備兵が左によろけて,もう1人にぶつかりバランスを崩す。そこへ追い打ちをかける,といった流れるような攻撃も可能になった。

戦闘シーンでは,スティックとボタンの組み合わせ次第で右フックや左ハイキックといった技を繰り出せる
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 さらに,[R2]ボタンを併用すると前後左右に素早くステップを踏めるので,敵の攻撃を回避したり,素早く背後や側面に回り込んだりできる。また,スライディングからのキック,ウォールランからのキック(トラバース攻撃)などのジャンプを織り交ぜた攻撃も積極的に狙っていきたいところだ。欲を言えば,ミラーズエッジならではの一人称視点を生かした,もっとド派手なアクションがあってもよかったけど。

 前述のメインミッションやサブミッションをクリアして経験値を獲得すると,スキルを習得してフェイスの能力を強化できる。スキルには「移動/戦闘/装備」の3カテゴリがあり,メインストーリーを進めると習得可能なスキルがアンロックされていく仕組みになっている。
 着地寸前に転がって受け身を取る「スキルロール」,空中で足を上げて障害物を回避する「コイル」,素早く反転してジャンプする「クイックターン」といった序盤から必要に迫られるスキルは早めに取得しておきたいところだ。そのほかにも,さまざまなスキルが用意されているので,頭を悩ませながらフェイスを育てていこう。

ミッションをクリアして得た経験値でスキルを獲得できる。どれから獲得していくのか,非常に悩ましい問題だ
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ソーシャルプレイモードで世界中のランナーと競い合う


 前項で少しだけ触れたソーシャルプレイ(マルチプレイ)モードには,「タイムトライアル」と「ビートL.E.」が用意されている。
 タイムトライアルはプレイヤーが自由にマップ上にルートを作成し,スタートからゴールまでの記録をアップロードすると,それにほかのプレイヤーが挑戦できるようになるというものだ。ルート制作者のエコー(ゴースト)が登場するので,1対1で競争している感覚になるだろう。適当にルートを作るだけでも楽しいが,自分で作らなくても世界中のプレイヤーの挑戦状を見て回るのもありだろう。

タイムトライアルでは,世界中のランナーが作ったコースでクリアタイムを競う。ライバルのエコーを追いかけよう
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タイムトライアルのコースを自分で作成することも可能。チェックポイントを設定していくだけなので手軽にできる
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 もう1つのビートL.E.は,簡単に言えば「宝探しゲーム」だ。プレイヤーがマップに設置したマークを,ほかのプレイヤーに探してもらうことになる。「何をどうしたら,そこに行けるの?」と思わせるような場所にマークを設置して,困惑させたいところ。地味ながら意外と楽しめるのでオススメだ。

ビートL.E.は,エリアのどこかに配置されているマークを探す。もし自分が分かりにくい場所を発見したら,世界中のランナーに挑戦状を叩きつけるチャンスだ
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 さて,前作にも見事なまでにハマった筆者だが,ようやく帰ってきた新作は紛れもなくミラーズエッジだった。もちろん,原稿の締め切りを忘れてプレイしてしまった。とにかく移動から戦闘までの展開がスピーディで,プレイしていて非常に気持ちいい。気になるところと言えば,ロード時間が若干長く,リトライ時にテンポが微妙に損なわれている点くらいか。

 ビルの谷間を全速力で走りながら,目の前に現れる障害物をどう乗り越えるか。瞬時に判断し,そしてまた走り続ける楽しさと爽快感は,パルクールアクションが増えたことで一段と高まっている。そうそう,プレイ後はムダに高いところに飛び乗ろうとしたり,無性に壁を蹴りたくなったりするが,フェイスは特別な訓練を受けたランナーなので真似をしないほうがいいと思う。

ミラーズエッジといったらコレ。足のすくむ高さの場所で,人間業とは思えないパルクールアクションで駆け抜ける。数え切れないほど落下する恐怖を味わうことになる。高所恐怖症の筆者は,お尻のあたりがムズムズしながらもプレイした
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