レビュー
悪い人になって悪いことをするクライムアクションが今,熱い
Payday 2
“PAYDAY”とは英語で「給料日」という意味。人々の懐が暖かくなる日には,銀行にもお金が集まる。そして,そのお金を目当てにちょっと危ない人達も集まってくる……というのが,2011年10月にリリースされたFPS「Payday: The Heist」。覆面をかぶったプロの犯罪者達が,銀行強盗や囚人の解放といった危険なミッションを遂行するという,大人向けのクライムゲームだ。
発売前はそれほど話題にならなかった印象の作品だったが,結果として大きな成功を収め,デベロッパのOverkill Softwareの発表によれば,2012年11月までにPC版とPlayStation 3版を合わせて約70万本を売り上げたそうだ。
当然のように続編が計画され,2013年8月についにリリースされたのが「PAYDAY 2」(PC/PlayStation 3/Xbox 360)となるわけ。前作はSony Online Entertainmentがパブリッシングを担当したが,今回は505Gamesが発売元となり,新たにXbox 360版もリリースされている。内容は前作とほぼ同じで,悪い人になったプレイヤーが,仲間と一緒にさまざまな悪いことをするというものだ。
というわけで,ここでそんなPAYDAY 2のレビューをお届けしたい。ちなみに筆者は前作も割とプレイしているので,前作と比べてどうしたこうしたぐらいのことは言えると思う。でもって,今回プレイしたのはPC版だ。じゃ,いってみよう。
物語はあってないようなもの。とにかく金のために働くのだ
公式サイトやSteamの販売ページを見ると,なんだかめちゃくちゃカッコいい実写ムービーが多数アップされているので,さぞや込み入った話が展開するのだろうと思わせつつ,実際にゲームをプレイしてみると,例えば「主人公はなぜ犯罪に手を染めるのか」といった,クライムアクションではおなじみのストーリーはほんのちょっとしかない。
要するに,物語は上記の実写ムービー「Payday 2 Webisode」を見てねという,なかなか潔い構成になっているわけで,気になる人はさっそく見てほしいが,ムービーは全編英語なのでハードルはちょっと高めかもしれない。まあFPSなんだから,主人公は「あなた」で,なぜ銀行を襲うのかといえば「そこに金があるから」ぐらいでもいいかもしれないけど,ムービーをがんばって見れば,ゲームの背景がよりよく分かるはずだ。
「Payday 2」公式サイト
ゲームシステムには改善が見られ,
よりユーザーフレンドリーに
続編ということで,当然ながらいろいろな改善点が見られる。メニュー周りについては,前作は,ただ文字がズラ〜ッと並んでいるだけの簡素な作りだったのに対し,本作ではアイコン画像を多用するなど,見た目がガラリと変わった印象だ。無骨といえば聞こえはいいかもしれないが,前作のそっけない感じがあまり好きではなかった筆者としては,ありがたい変更といえる。
悪いことを始めるには,謎の犯罪ネットワーク「crime.net」にアクセスしてお仕事を斡旋してもらう必要がある。PAYDAY 2にはオンラインモードとオフラインモードが用意されているが,オンラインモードでcrime.netを見ると,衛星写真のような画面上に多数のミッションがポップアップする。ここでほかのプレイヤーの名前が表示されたミッションを選択すると,そのプレイヤーが建てたロビーに入り,とくに名前がないミッションを選んだ場合は,自分がミッションを立てることになる。
ミッションには必要な「日数」がそれぞれ設定されているが,具体的には「DAY1」と書かれたミッションは,1マップのみで終わり,「DAY3」と書かれている場合は3マップ連続で行うという感じだ。
ゲームが始まると,ターゲットとなる建物の周辺にスポーンする。ミッションにもよるが,まずはターゲット周辺の警備員や警官の配置を調べ,そののち,素顔を隠すためにマスクをかぶる。これが合図となって,ミッションがスタートするわけだ。緊張の一瞬。
なお,偵察行動中に露骨に怪しい行動をしたり,防弾チョッキが丸見えだったりすると,警備員が警戒するので注意が必要だ。
ここで完全なステルスを目指す場合は,監視カメラに見つからないように警備員や警察官を無力化。無線連絡が来た場合は,これに応答……。といった感じで少しずつ作業を行うことになる。
ちなみに,ステルスでミッションをクリアするのはかなり難度が高く,うまく終わらせるのは至難の業。また,監視カメラの位置や敵の配置,ターゲットの場所や一般人の居場所などはそのつどランダムなので,一度やったミッションだからといって,一切気が抜けないのだ。
もしステルスに失敗して警備員や警察官に発見されたり,一般人が外に逃げ出したりすると警察に通報されてしまう。こうなると武装警官とFBIが入り乱れる銃撃戦に発展し,プレイヤーを逮捕しようと国家権力が波状攻撃をかけてくるのだ。
難度の低いミッションの場合は気にするほどのレベルではないが,難度が上がるにつれて,防弾シールドを装備したSWATや,対爆スーツを着込んだヤツ(BULLDOZERと呼ばれる)が出現し,プレイヤーの行く手を阻む。こいつらは本当にやっかいな相手で,同時に複数出現されると何もできず逮捕されることもしばしばある。ホント,きっつい相手だ。
とはいえ,ミッションによっては,たとえ警備員や警察官に見つかっても文字どおりゴリ押しで突破することも可能。例えばミッション「UKRAINIAN JOB」と「NIGHT CLUB」の場合,C4爆弾を設置するスキルを身に付けていれば,速攻で金庫を爆破して目的のブツを盗み出すだけでオッケー……だったのだが,これは2013年8月24日以前のお話。現在はアップデートパッチが当たり,高確率で「エスケープミッション」が発生する仕様へ変わった。
エスケープミッションとは,現金などを持って逃げているとき,警察に囲まれた状況でスタートするというものだ。指定の場所まで逃げ切るか,一定時間,波状攻撃に耐えると,新たに逃走用の乗り物が到着し,それに乗り込むと完了,といった感じ。
参考までに,以前のバージョンの「UKRAINIAN JOB」と,最新バージョンの「NIGHT CLUB」のプレイシーンを撮影したので,ぜひ見てほしい。
さて,逮捕されず無事にミッションをクリアすると,プレイヤーに成功報酬が支払われる。つまり,これがあなたのPAYDAYというわけだ。報酬には,キャラクターのレベルアップのための値経験と,銃器やパーツの購入に使えるお金があり,また,銃のパーツやマスクがランダムで当たるくじ引きもここで行うことになる。もっともこのくじ引き,欲しいモノはなかなか出てこないので(くじとはそういうものだが),少なくとも個人的には,ミッションに何度も何度も挑戦するモチベーションとなっている。
とはいえ,くじの当たりだけを狙うなら,上記の「UKRAINIAN JOB」「NIGHT CLUB」を回せば効率がいい。旧バージョンの「UKRAINIAN JOB」は,ゲーム開始から終了までにかかる時間が最短で35秒〜50秒程度。「NIGHT CLUB」もかなり短いので,レベル上げも楽だし,くじにも挑める。というわけで,多くのプレイヤーがこの2つをグルグル回すことになってしまい,これじゃいかんとパッチが当てられたわけだ。それでもまだ,比較的短く終わるということから人気のミッションになっている。以上,ちょっとしたTipsでした。
改善点も多いが,まだ不満なところも
またミッションの中には,同じマップのバリエーションになっているものも多く,見た目があまり代わり映えせず,飽きやすい。ボリューム不足だと感じる人もいると思うが,これ関しては,リリースされるであろうDLCに期待しておきたい。前作にあったような,通りを移動しながら進むといった広めのマップも欲しいところだ。
PAYDAY 2は,友達とワイワイ遊ぶにはもってこいのタイトルだ。ただ,上記のようなボリューム不足感があり,さらにプレイを続ける動機となるくじ引きも,欲しいモノをコンプリートした時点でモチベーションがガクッと下がってしまうという問題を持っている。値段もやや高いという印象だ。
とはいえ,パーフェクトステルスを目指す方向で遊ぶなら,かなり計画的な行動を取らなければならず,完遂するにはガチなやり込みが要求される。仲間と一緒に覆面をかぶって銀行を襲うなど,現実ではあり得ないシチュエーションも大人心をそそるうえ,スタイリッシュな雰囲気もいい。「DLCに期待」というのも一本のゲームとしてはちょっとアレだけど,前作のヒットが語るように,ポテンシャルの高い作品であるのは間違いない。気になる人は,ぜひ試してみよう。
「Payday 2」公式サイト
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PAYDAYTM2 is a trademark of Starbreeze AB. All other trademarks are properties of their respecitive owners. Developed by OVERKILL a Starbreeze Studio and published by 505 Games. All rights reserved.
PAYDAYTM2 is a trademark of Starbreeze AB. All other trademarks are properties of their respecitive owners. Developed by OVERKILL a Starbreeze Studio and published by 505 Games. All rights reserved.
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