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AMD,新型APU「Beema」「Mulins」ベースの組み込み機器向けSoC「G-Series」を発表
どちらも,第3世代の低消費電力向けAPU「Beema」(ビーマ,開発コードネーム)および「Mullins」(ムリン,同,関連記事)をベースとしているのが特徴だ。なお,本稿執筆時点では,製品の投入時期は公表されていない。
本稿では発表に先立って行われた記者説明会の内容を元に,新製品の概要をお伝えしたい。
GPU搭載のSteppe EagleとGPUナシのCrowned Eagleを用意
G-Series SOCで最初に登場した製品は,2013年4月に発表されたもので,低消費電力APU「Kabini」をベースにし,CPUコアに「Jaguar」を2〜4基,GPUコアにはRadeon HD 8000世代を採用していた。
それに対して,今回のSteppe EagleとCrowned Eagleは,CPUコアにJaguarの改良版である「Puma+」を2〜4基を採用したほか,Steppe EagleはGPUコアに「Graphics Core Next」(以下,GCN)アーキテクチャ世代を採用する製品となっている。Crowned EagleはGPUを搭載しないモデルだ。
ラインナップと主なスペックは表のとおり。GPUが現行のRadeonのような「R〜」表記に変わっている点に注目してほしい。なお,TDPやCPUコア定格クロック/最大クロック,GPUコア定格クロック/最大クロックはいずれも,「Configurable TDP」によりデバイスメーカー側で変更可能である。
記者説明会で説明を担当した組み込み製品部門ディレクターのKamal Khouri(カマル・クーリ)氏によると,Steppe EagleおよびCrowned Eagleは「G-Series SoCの新たなSKU※として提供される新製品」だという。つまり2013年に登場したG-Series SoCを置き換えるのではなく,新たな市場を狙う製品であるとAMDは位置付けているわけだ。
※Stock Keeping Unitの略で「スキュー」と読む。本来の意味は商品管理の単位だが,商品の種別,あるいは商品群といった意味で使われることが多い。
さて,そんなSteppe EagleとCrowned Eagleだが,Khouri氏はその特徴として,いくつかの要素を上げている。
その1つがPuma+コアの採用だ。「CPU主体の処理では,既存のG-Series SoCに対して最大60%の性能向上を実現した」とのことで,「消費電力あたりの性能は,最大96%も向上している」と,高性能ぶりをKhouri氏はアピールしていた。
また,既存のG-Series SoCと完全なピン互換であることも,特徴の1つであるという。これにより,「G-Series SoCを採用しているデバイスメーカーは,今の設計をそのまま新製品に流用できる」のが利点だとKhouri氏は主張している。
シンクライアントやキオスク端末,ネットワーク機器での採用を狙う
Steppe Eagleが狙う主な用途は,シンクライアントやキオスク端末,機器制御用のコントローラといったものが挙げられている。一方,GPUを持たないCrowned Eagleは「データセンターのバックプレーンに応用されることを期待している」(Khouri氏)という。つまり,CPUパフォーマンスを活かしたネットワーク機器を狙っているわけだ。
また,Steppe EagleとCrowned Eagleは,ARMが開発したセキュリティ技術「TrustZone」に対応しており,TrustZoneの処理を行う専用のARM製CPUコア「Cortex-A5」も内蔵している。「TrustZoneベースの高度なセキュリティ機能が提供できるので,G-Series SoCはネットワーク製品に適していますよ」というのがAMDの主張であるわけだが,期待どおりに採用が進むかどうかは未知数だ。
Crowned Eagleはデータセンターのネットワークを制御するバックプレーンや,TrustZoneによるセキュリティ機能を売りとして,データセンター向けセキュリティ製品への応用を狙っている |
いずれにしても,Steppe EagleやCrowned Eagleを採用した製品を,ゲーマーが目にしたり,購入したりするようなことはまずなさそうなのは,少し残念なところだ。しかし,同じアーキテクチャをベースとしたSoCがこのタイミングで発表されたということは,BeemaやMullinsを搭載する製品が登場するのも,そう遠くはないということだろう。早くこれらを採用した製品を手にしてみたいものだ。
AMD Embedded G-Series SOC 製品情報
- 関連タイトル:
Beema,Mullins(開発コードネーム)
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