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[GDC 2015]The Creative Assemblyが「Alien: Isolation」で目指したモノとは。クリエイティブディレクターがそのこだわりを語る
「Building Fear in Alien: Isolation」(エイリアン アイソレーションにおける恐怖の作り方)と題された本講演を担当したのは,デベロッパであるThe Creative Assemblyのクリエイティブディレクター,Alistair Hope(アリステア ホープ)氏だ。
人気作のレクチャーということで超満員だった会場では,本作がどのようにして作られたのか,その開発秘話が語られた。
イギリスに本拠を置くThe Creative Assemblyは,日本ではTotal Warシリーズを手がけたことで知られているデベロッパだ。
彼らは昔からストラテジーゲームを作りたいという夢を持っていたが,1987年に設立されてからしばらくの間は,「Shadow of the Beast」のようなアクションゲームや,スポーツを題材にしたゲームなどを制作していたとのこと。5作累計で1100万本を売り上げ,DLCは1800万本を販売したというTotal Warシリーズをヒットさせ,その夢を見事叶えたわけだ。
実は,The Creative Assemblyでは,ストラテジー以外にもエイリアンをテーマにした「これまでにない」ゲームを作りたいという希望も持っていて,それが実を結んだのが,海外では2014年10月に発売されたAlien: Isolationなのである。ちなみに,本作のモチーフとなったのはリドリー・スコット監督の映画「エイリアン」で,ゲーム内ではエレン・リプリーが消息を絶った15年後が描かれている。
会場では,SEGA傘下にある彼らが,開発費調達のために制作したデモ映像が上映された。
その内容は,映画「エイリアン」の舞台となったノストロモ号のような宇宙船内を一人称視点で移動するというもので,グラフィックス表現のテクニカルデモという意味合いもあったのだとか。
ムービーの雰囲気はかなり不気味で,会場では軽い悲鳴を上げる人もいたほど。まさに「つかみはオッケー」という映像だった。実際にデモを行ったときも評価は上々で,続きが見たいという声が上がったそうだ。
Hope氏によれば,このデモを制作した段階で,「できるのはサバイバルだけで,敵を殺すことはできない」「プレイヤーはエイリアンより弱く,何の備えもない」「古臭い昔っぽさのあるSF」「圧力鍋のような閉鎖空間である」「出てくるエイリアンは1匹だけである」といったコンセプトがすでに決まっていたそうだ。
その後,Alien: Isolationの制作に向けての第一歩を踏み出せた彼らは,最初にアート,サウンド,アニメーションなど,ゲームの世界観を構築することに取りかかった。
というのも,原作となる映画は116分間の映像作品だが,その中にゲーム制作に必要な要素すべてが詰まっているわけではないので,いろいろな場所などを作らなければならないからである。
幸いなことに,映画会社のTwentieth Century Fox Filmには「エイリアン」に関する豊富な資料があったため,今回はそれらを利用できたとのこと。
デザインに関しては,映画が作られた1979年以降のスタイルを参照しないという制約を付けたうえで,プロダクションデザイナーのロン・コッブ氏が作ったセットや,メビウス氏(ジャン・ジロー)がデザインした宇宙服など,原作と同じ雰囲気を持たせることを目指したという。
21世紀に,1979年当時の言わば“古臭い未来観”を持って原作映画の15年後の世界を作るというのだから,その苦労は察して余りあるほどだろう。
また,サウンドも重要だったとHope氏は語り,モーショントラッカー(動体探知機)の発信音など細部までこだわったため,とにかく時間がかかったとのこと。
本作の主役ともいえるエイリアンは,あまりにも有名なモンスターであるため,ゲームの中で再構築するにあたり,もっとも慎重を期したとHope氏は語る。
原作映画におけるエイリアンは強力な殺戮者であり,いつどこから現れるか分からない,恐怖を象徴する存在だった。
そこでAlien: Isolationでは,エイリアンの行動をスクリプトではなくAIで制御することで,ある程度行動の見込みは立っても予測まではできない,ミステリアスな存在としてのエイリアンを再現したのである。
また本作でのサバイバルで必要なのは,武器やガジェットといったテクノロジーではなく,プレイヤー自身の直感とテクニックだ。プレイヤーは,その場所に留まるか移動するかという二者択一を常に迫られるが,どちらを選んでも根拠となるのは自分の直感でしかない。自分の行動の土台となるものが不確かであることが,不安や恐怖を呼び起こすというわけだ。
Hope氏はここで,ゲームを3人称視点にするか1人称視点にするかが大きな問題だったと述べ,「3人称視点のAlien: Isolation」という,これまで関係者しか見たことがないという映像を上映。ムービーでは,主人公のアマンダがデスクの背後に隠れたり,通風孔に隠れてエイリアンをやり過ごしたりして脱出を図る,というシーンが展開された。
しかし,3人称視点になると,「プレイヤーが行動する」のではなく「プレイヤーがキャラクターを行動させる」形になる。3人称視点では,プレイヤーとは別にキャラクターがいることで没入感が薄れてしまったり,キャラクターを動かすことに熱中して周囲の環境との「つながり」が直接的でなくなってしまったりするため,それらを勘案したうえで,結果的に1人称視点を採用したそうだ。
Hope氏は最後に,常に高いビジョンを掲げ,それに向かって全員で協力することが重要で,自分が今やっていることを信じるべきだとまとめ,講演を締めくくった。
Hope氏をはじめとしたThe Creative Assemblyのスタッフがこだわり抜き,苦労を乗り越えて完成させた「Alien: Isolation」は,彼らの思惑通りというべきか,その難度の高さや恐怖が評価され,さまざまなアワードで多数の賞を受賞した。
冒頭にも書いたように,本作は日本向にローカライズされ,PlayStation 4とXbox Oneでリリースされる予定だ(関連記事)。興味を持った人は,2015年夏の発売を楽しみに待っていてほしい。
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Alien: Isolation, Alien, Aliens, Alien 3 TM & (C) 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved. Twentieth Century Fox, Alien, Aliens, Alien 3 and their associated logos are registered trademarks or trademarks of Twentieth Century Fox Film Corporation. Alien: Isolation game software, excluding Twentieth Century Fox elements (C) SEGA. Developed by The Creative Assembly Limited.
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