インタビュー
まずは「サモンズボード」「ディバインゲート」で台湾に参入するガンホーの森下一喜氏へのインタビューと,ガンホー×Gamaniaの合弁会社設立発表会のレポートを掲載
本稿では,この合弁会社により,「サモンズボード」(iOS/Android)や「ディバインゲート」(iOS/Android)などが台湾でパブリッシングされることが明らかにされた発表会の模様を,イベント終了後に行われたガンホーの森下一喜氏とGamania IHの劉 柏園氏への合同インタビューと併せてレポートする。
また,発表会終了後に森下氏への単独インタビューを実施。今回の発表に関連した話や,ガンホーの海外戦略に関して興味深い話を聞くことができた。森下氏のインタビューは2ページめに掲載しているが,合同インタビューで聞いた話を前提に質問している部分もあるので,できれば合同インタビューに目を通したあと読み進めてほしい。
参考URL:
台湾大手ゲームパブリッシング企業とのジョイントベンチャー設立に関するお知らせ(※PDF)
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ガンホーが台湾Gamaniaとゲームパブリッシング事業に関するJV「Gungho Gamania(仮)」を設立
最初に,Gamania IHの劉氏が来場者に向けてスピーチを行った。今回発表するのは,ガンホーとともにジョイントベンチャーを立ち上げることで,第1弾のタイトルとして台湾版「サモンズボード」のパブリッシングを行うと宣言。
続いて,ガンホーの森下一喜氏が登壇し挨拶。「アルバート(※劉氏のこと)とは10年以上の付き合いで,ここでは言えないようなプライベートな付き合いもたくさんしてきました(笑)。そんな信頼のおけるアルバートと会社を立ち上げることができて嬉しいです」とコメントした。
Gamania International Holdings董事長の劉 柏園(Albert Liu)氏。ちなみに台湾では,ビジネスシーンなどでイングリッシュネームを使っている人が非常に多い |
ガンホー・オンライン・エンターテイメント 代表取締役社長CEO 森下一喜氏 |
森下氏は,今のガンホーはモバイルゲームパブリッシャのイメージが強いが,実はPC向けオンラインゲーム,家庭用ゲーム機,アーケード機向けタイトルなど総合的なゲーム事業を展開していると説明した。
続けて森下氏は,台湾向けローカライズの第1弾として「サモンズボード」を,それに続いて「ディバインゲート」を配信することを明らかにした。なお台湾版「サモンズボード」の配信時期は,2015年末頃になるそうだ。
「ディバインゲート」は反射スピードにフォーカスしたタイトルで,日本国内ではキャラクターの人気が高く,2016年1月からTVアニメも始まると紹介 |
「サモンズボード」は,アクションゲームとして作られたパズドラに対し,戦略性に特化した4×4マスのシミュレーションゲームだと紹介された |
最後に,「GungHo Gamania(仮)」のロゴが発表され発表会は終了。その後行われたメディア合同インタビューの模様を以下に掲載する。
■森下氏と劉氏が知り合ったきっかけ
劉氏:
10年以上前,ガンホーの創業時に「ラグナロクオンライン」を通じて知り合い,一緒にお酒を飲みながらふざけているうちに仲良くなりました。
ちなみにジョイントベンチャーは,1〜2年前にプライベートの付き合いの中で出た話から始まって,今回実現した形になります。
■第1弾がサモンズボードである理由
森下氏:
「パズドラ」に続くタイトルといえば,現状ですと「サモンズボード」か「ディバインゲート」になります。正直なところ,どっちでも良かったというのが本音ですが,同時に進めるのはなかなか難しいです。
どちらを先に進めるかアルバートに聞いてみたら,「サモンズボード」のほうがいいと言われたので,第1弾は「サモンズボード」に決定しました。
劉氏:
「サモンズボード」は,台湾のゲーム情報メディア「バハムート」で,期待されているタイトルのランキングTOP10に入っているんです。宣伝をしていないのにこれだけ期待されている,というのが選んだ大きな理由ですね。
■配信されるバージョンはどうなるのか
森下氏:
日本語版とほぼ同じものになる予定ですが,運営プランの関係で,コンテンツを少しずつ開放することになるかもしれません。
また,デバッグは言語ごとに行っているので,同時というのは物理的に難しい部分もあります。そういった差は,Gamaniaさんとの協業で埋めていきたいです。
■台湾版「パズドラ」の予定はあるのか
劉氏:
「パズドラ」に関しては,台湾のプレイヤーが期待しているのであれば,森下さんと話し合いたいですね。
森下氏:
日本語のままのパズドラが好きという人も多いので,ちょっと悩ましいところではありますが,台湾版が配信できるように進めてはいます。
開発には期限を設けないのがガンホーの特徴なので,内部で納得できたときが,リリースのタイミングかなと思っています。こんなわがままなゲーム開発会社なので,アルバートに迷惑をかけないようにしたいですね。
■2016年におけるタイトルのリリース予定
劉氏:
森下さんも言っていたように,ガンホーさんは開発に期限を設けていないため,来年どうなるかはまだ分からないです。市場で成功できるタイトルは少ないので,たくさんのタイトルを出すよりも,より多くのユーザーに信頼を得られるようなタイトルに絞って展開していきたいです。
■台湾向けローカライズ版が出たら,現在台湾で配信されている「パズドラ」や「ケリ姫スイーツ」の日本語版はブロックされてしまうのか
森下氏:
それはないので,安心して今のものを楽しんでください。「パズドラ」も「ケリ姫スイーツ」も,現地向けの最適化を図っていきたいと考えています。
■日本語版のコラボイベントは台湾版でも楽しめるのか
森下氏:
TVアニメや漫画とのコラボは,版権元に許諾をもらえれば,台湾でも提供できます。世界的にも有名な「バットマン」や「ハローキティ」などのコラボも,相性はいいと思います。
■台湾における「パズドラ」類似タイトルにはどう対応するのか
森下氏:
気持ちがいいものではないですが,訴訟とかとはまた別の問題だと思います。真似られるということは,多くの人に受け入れられている証明にもなっていますし。
今回はお祝いの場なので,その話はいったん置いておきましょう(笑)。
劉氏:
定義が難しいです。ゲームの権利は自らを守るためのものであって,他者を攻撃するためのものではありません。ただ,オリジナルの権利を持っている企業がしっかりとプレイヤーを満足させられていれば,模倣作に負けることはないと思っています。
■GungHo Gamania(仮)では,他社のタイトルを取り扱う予定はあるのか
森下氏:
実はガンホーでは,今後国内外のタイトルをパブリッシングしていく計画があります。ですので台湾のジョイントベンチャーでも,良いタイトルが見つかればパブリッシングしていきたいと考えています。
■ガンホーの海外展開について
森下氏:
日本,アメリカ,韓国に子会社があるので,それらで網羅できる範囲については,今後も続けていきます。
台湾に関しては,これまで自分達で独自のサーバーを用意してサービスしていましたが,運営面で難しい部分が数多くありました。ガンホーのタイトルは運営面を大事にしていて,良いゲームと良い運営がセットでないといけないと考えているので,台湾ではGamaniaさんと協力することにしました。
まずは台湾で満足のいくサービスを提供し,うまくいけばその後,次第にエリアを拡大していきたいです。
■今後,Gamania IHが別会社と協業することはあるのか
劉氏:
今後やらないとは言い切れないですが,森下さんのような人はなかなか見つからないので,おそらくそれはないと思います。質問からは少し逸れますが,ガンホーさん経由でGamaniaのタイトルを日本で配信するようなことはあるかもしれません。
森下氏:
プレイヤーに喜んでもらえれば,ほかと協業するのもアリだと思うので,ほかとやらないでくれとは言いません。ただ,ほかとやるとなれば一発入れますが(笑)。
■「Gungho Gamania(仮)」ではスマホゲームのみ取り扱うのか
森下氏:
現在,PlayStation 4向けのゲームを開発しているので,Gamaniaさんが良ければ,そちらも取り扱えたらいいなと思っています。
劉氏:
今のところスマホゲームのみを予定していますが,皆さんが期待しているタイトルであればやっていきたいですね。
森下一喜氏の単独インタビューに続く(2ページめ)
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