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[GDC 2014]元LucasArtsのBill Tiller氏とスイスのIF Gamesが手がけるiPad向けポイント&クリック方式のアドベンチャー「The Perils of Man」デモレポート
IF Gamesと言われても,4Gamer読者にはあまりなじみがないかもしれない。それもそのはずで,同社はスイスでCG制作やモーションキャプチャを手がけるアニメーションスタジオの一部門で,これまでにゲーム開発の経験はまったくなかったと,制作チームのリーダーを務めるNathan Ornick(ネイサン・オルニック)氏は話してくれた。
今回,初めてアドベンチャーゲームの制作に乗り出したということで,ヨーロッパでは知名度の高いティラー氏の助言を得て,脚本やアートワークの面で手を加えながら開発を進めているという。
ティラー氏については,ご存じの読者も多いだろう。LucasArts Entertainment在籍時には,名作アドベンチャー「The Dig」(1995年)や「Full Throttle」(1995年)のアートワークを担当し,その後も「The Curse of Monkey Island」(1997年)や「Indiana Jones and the Infernal Machine」(1999年)といった,同社の後期作品に携わってきたベテランである。日本では2009年にリリースされた「ヴァンパイア ストーリー」も手がけている。
「The Perils of Man」は,主人公である16歳の少女アナが,突然姿を消した父の行方を探して旅をするというストーリーで,傍若無人に振る舞う子供のようなアナが,自分の行動に責任を持ち,困難に立ち向かえるようになるまでの成長が描かれるとのこと。
ゲーム中では,科学者だった父が残した「リスク・アトラス・ゴーグル」と呼ばれる危険物を探知できるデバイスや,鳥型ロボットの「トーマス」が登場するようだ。そして,タイムトラベルを可能にする装置を探し出してからは,さまざまな時代や場所を冒険することになる。
掲載しているスクリーンショットを見れば,ティラー氏特有の荒削りながらも伸びやかなタッチが健在であることは,お分かりいただけるだろう。グラフィックス面では,霧や煙の表現効果などからアニメーションスタジオらしい確かな技術力も見て取れる。
とくに興味深かったのは,「Doll House Effect」と呼ばれる画面切り替えの演出。シーンが替わるときのローディングが,まるで部屋から部屋へと,壁や天井をカメラが突き抜けているかのように,スムーズなカメラワークを実現している。
ゲームデザインでは,アナの移動に合わせて調べられるポイントが表示されるため,タブレット端末でも快適に遊べるようになっている。また,手に入れたアイテムを組み合わせて利用するといった,オーソドックスなアドベンチャーゲームの要素も見られた。
App Storeで「Chapter 1」が無料配信されたばかりの本作だが,現時点では日本語ローカライズの予定はないとのこと。ちなみに公式サイトの「FAQ」によると,そう遠くないうちにiPhoneへの対応も行われるようだ。
近年では珍しくなってきたポイント&クリック方式のアドベンチャーだが,タブレット端末向けということでどのように仕上がっているのか,気になるファンも少なくないはず。英語のハンデが気にならないなら,さっそくダウンロードしてみてはいかがだろうか。
「The Perils of Man」公式サイト
「The Perils of Man」ダウンロードページ(App Store)
- 関連タイトル:
The Perils of Man: Chapter 1
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