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[E3 2014]ソニーのVR対応型HMD「Morpheus」,その新作デモ2作品をレポート。路面スレスレを滑走し,恐竜と間近に触れ合える迫力の超体験だ
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印刷2014/06/13 19:04

プレイレポート

[E3 2014]ソニーのVR対応型HMD「Morpheus」,その新作デモ2作品をレポート。路面スレスレを滑走し,恐竜と間近に触れ合える迫力の超体験だ

Project Morpheus
画像集#005のサムネイル/[E3 2014]ソニーのVR対応型HMD「Morpheus」,その新作デモ2作品をレポート。路面スレスレを滑走し,恐竜と間近に触れ合える迫力の超体験だ
 GDC 2014でソニーが電撃発表したバーチャルリアリティ対応型ヘッドマウントディスプレイ,「Project Morpheus」(開発コードネーム,以下 Morpheus)。E3 2014に合わせて行われたプレスカンファレンスでは,Morpheus用の新作デモとして,SCE Worldwide Studios LONDON STUDIOによる「Street Luge」と,英Supermassive Gamesによる「Jurassic Encounter」の2つが出展されることが明らかにされていた。
 会期初日と2日めは,「動作不良」として,後者が出展されていなかったのだが,最終日には問題も解決し,両方とも体験できるようになったので,今回は,その模様をレポートしてみたい。

Morpheusに追加された2つの新作デモ「Street Luge」(左)と「Jurassic Encounter」(右)
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「路面ギリギリの迫力ある高速滑走」を,

本当に“リュージュ”の姿勢でプレイできるStreet Luge


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 Street Luge(ストリートリュージュ)は,「冬期のスポーツ競技として知られるリュージュを下りの車道で行う」というエクストリームスポーツが題材のデモだ。法律的にもグレーゾーン,というか,日本では危険すぎて確実にアウトなスポーツだが,バーチャルリアリティ(以下,VR)であれば誰にも迷惑をかけないということで,Morpheusで体験できるようになったわけだ。

 プレイ方法は,これまでのMorpheus用デモの中でもかなりシンプルな操作系となっていた。被験者がやるべきことは,ヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD)であるMorpheusを頭部に被り,頭の側が盛り上がったクッションの上に仰向けになって寝そべるだけ。
 映像がスタートしてからは,曲がりくねる車道からはみ出ないよう,公道を走る自動車にぶつからないよう,体を左右に回転させるように傾けてボードを操作することになる。

プレイ中の筆者。冬場,コタツから出られない出不精な人にもプレイできるスポーツゲームとして人気を博すかも
画像集#003のサムネイル/[E3 2014]ソニーのVR対応型HMD「Morpheus」,その新作デモ2作品をレポート。路面スレスレを滑走し,恐竜と間近に触れ合える迫力の超体験だ

 デモがスタートすると。「ゴー」という車輪の滑走ノイズが聞こえ,通り過ぎていく一般車両のエンジンノイズ,排気ノイズが前から後ろ,後ろから前へと通り過ぎていく。これはバーチャルサラウンドシステムに対応しているMorpheusならではのサウンド効果といったところか。


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 担当者の説明によると,Morpheus上に埋め込まれた4点のLEDの動きを追うことで,被験者の体全体の姿勢を検出し,被験者が乗っていると(仮定されている)車輪付きボードの操縦に反映しているとのこと。
 さらに,Morpheus自体に内蔵されたジャイロスコープと加速度センサーで被験者の頭部の向きを検出し,その方向の視界操作に反映させているようだ。うまくやるとボードを操縦しつつ,好きな方向の景色も見られるわけである。

 実際,走行中に頭部を動かすと,そちらの方向の景色が見えて,VR型HMD特有の没入感が得られる。今回のStreet Lugeは,以前体験した海底探索デモ「The Deep」(関連記事)とは違い,日差しの強い屋外シーンなので,頭部を動かして見回すとさまざまな方向の景色が見えて楽しい。視界正面ではスリリングな公道滑走をしているのだが,ロケーションは山の中ということもあって,自然に満ちあふれた景観を堪能できるのだ。

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 遠くには霞がかった山肌が,近景にはもの凄い速さで迫っては消えていく木々の数々が見えていて,木々の間や稜線の切れ目からは日差しも覗く。鳥が飛んだり,鳴き声も聞こえたりと,自然豊かな雰囲気に包まれた感じもうまく再現できている。

 デモそのものはスリリングなスピード狂体験がテーマになってはいるのだが,そのことを忘れて周囲を見回すと,ちょっとした癒やし系の景観が広がっているのが分かる,といったところか。

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 本作は,あくまでMorpheusのデモなのだが,ゲーム性も盛り込まれており,ゴールへの到達時間が計測され,タイムアタックを競えるようになっていた。コースの途中で障害物に当たると減速してしまうので,できるだけ障害物に当たらないように滑り落ちることが求められるようだ。ちなみに,道路上を走っている一般車に正面衝突しても死ぬことはないのだが,これまた減速してしまう。

ゴールに着いたところ。クリアタイムが表示されている
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 ブレーキ操作はないので,速度が乗れば乗るほど素早い姿勢の切り返しが求められて,結構忙しくなる。ムービーを見ると,時速150マイル(241km/h!)近くまで速度が上がっているので,状況を察してみてほしい。
 迫り来る自動車をどうしても避けられないときに,左右両輪の中央に入り込んですり抜けることができれば,衝突せず速度も落ちない。ただ,ビジュアル的には相当恐ろしい体験となる。
 筆者だけでなく,多くの体験者が自動車と接触するたびに「ギャー」「ウォー」などと声を上げていた。これは,東京ゲームショウで公開したら相当にウケそうなデモだ。

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ジュラシックパーク(?)を一人称で体験できる「Jurassic Encounter」


「Jurassic Encounter」を体験中の筆者
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 もう一つのJurassic Encounterは,一言でいうと,「もしも映画『ジュラシックパーク』が実現して,一般公開にまで到達していたら」といった内容のデモだ。
 映画のジュラシックパークシリーズは,テーマパーク向けに恐竜を最新遺伝子操作技術で復活させたはいいが,開園前に恐竜が逃げ出して大パニックになるという内容だったが,本作では無事に開園している恐竜テーマパークが描かれていた。

 被験者は,この恐竜テーマパークの来園者で,「檻の外から草食恐竜に餌をあげる」アトラクションに参加しているという設定だ。
 Morpheusを頭部に装着すると,さらにスタッフからスティック状のPlayStation Move(以下,PS Move)コントローラを受け取ることになる。PS Moveは実は,恐竜にあげるエサとなる木の枝という設定だ。

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 XboxのKinectでは何も持たなくてよいフリーハンドの利便性が強調されているが,こうした「何かを持つ」という行為そのものをバーチャルに楽しむ向きには,むしろこのPS Moveのスタイルが適しているように思われる。
 はたから見れば,変なモノを被ったオッサンが,笑顔で光る棒を持って上下に振っているだけに見えるかもしれないが,体験している筆者からすれば,葉っぱの付いた枝を振って恐竜に「エサあるよ」アピールをしているのである。

 しばらくすると,誰もが知っている人気の草食恐竜のトリケラトプスの親子がやってきた。こちらがPS Move……もとい葉っぱ付き小枝を振り回すと,物欲しげに近づいてきて,ちゃんとパクついてくれる。さらに,大型草食恐竜のブロントサウルスもやってきて,そいつらも手持ちの小枝にパクついてくる。その巨大な体がリアルなスケール感で眼前に広がってきて,まさに「エピック!」「ダイナミック!」である。

 自分の頭を左右に向けると,広大な自然の景観が広がっており,水が勢いよく落ちている美しい滝の景観も楽しめる。風に揺れる木々の枝の音や,ザーっという滝の音が実に癒やし系で,モグモグと口を動かす草食恐竜も可愛らしい。

 タイトルに「Encounter」とあるので,デモはここで終わるはずもなく,ジュラシックパークでもお馴染みの賢い肉食恐竜ラプターがやってくるのである。
 まぁ,ジュラシックパークを見たことのある人ならば「ようこそ,おいでなさいまし」といったところだが,せっかくなつき始めていた草食恐竜はてんやわんや。「草食恐竜と肉食恐竜は分けて飼育しておいてくださいよ」とソニー担当者に文句の一つも言いたくなったが,そこはそれ,お約束の演出は続くのである。

ティラノサウルス登場前のため,心なしか嬉しそうである
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 「ラプターのものはオレのモノ。オレのモノもオレのモノ」
 恐竜界のジャイアン,ティラノサウルスのお通りである。
 ラプターはせっかくの獲物を横取りされて不満げだが,抵抗虚しく,首根っこを噛み砕かれてピクピク状態。
 被験者である筆者は,馬鹿の一つ覚えで木の枝を虚しく振るしかないわけだが,その甲斐あってか,ティラノはラプターを吐き出して,こちらの木の枝に興味を示し始める。ティラノさん,ダイエット中で,草食に転身か? ……と思いきや,木の枝ごと筆者自身も食べられてデモは終了した。
 被験者は,実は物語の主人公ではなく,パニック映画で必ずいる「自己中心的な行動を取って情けないリアクションをしつつ間抜けに死んでいく脇役」というオチだった。

 こちらも,Morpheusの仮想現実体験のデモとしては分かりやすく,よくできている。インタラクション要素は枝を振るだけだが,欲を出してシューティング要素などを盛り込まなかったところも潔いと感じた。バーチャル世界に没入していることだけを純粋に楽しめるデモというわけだ。
 ゲームが苦手な人にもオススメできるデモなので,東京ゲームショウ2014でも絶対に展示してほしいところである。

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 Morpheusは,まだプロトタイプということで,発売時期も価格も未定だ。ただ,コンテンツは,このように次々と新作ができつつあるので,ソニー側の本気度が衰えていないことだけは伝わってくる。

 今回のE3ではソニーのファーストパーティ所属のゲーム開発者達に出会うたびに,雑談的質問で「Morpheusへの対応意思」について聞いてみたのだが,その多くが「部分的にでも採用したい」と答えていた。
 この「部分的に」というのは,「ゲーム全編をMorpheusに対応させるのは結構骨が折れる」ということの裏返しでもある。「ゲームのMorpheus対応」は,「3D立体視への対応」以上に,ゲームの根幹部分に手を入れる必要が出てきてしまうため,開発工数が増えてしまう……というのを懸念しているようだ。
 では「部分的」対応というのはどういうものかといえば,一番分かりやすいのは「リプレイモードをMorpheusで楽しめるようにする」といった対応の仕方だ。
 例えばレーシングゲームならば,トッププレイヤーの運転席から,かつて自分が運転していた車種の挙動を観察したり,あえてリプレイ時に助手席に座って,トッププレイヤーの運転操作を眺めたりするのも楽しいだろう。
 スポーツゲームなどのリプレイモードならば,各選手に乗り移って,フィールド上の前後左右の景観を楽しむだけでも楽しそうだ。格闘ゲームのリプレイモードも,プレイヤー視点で楽しめたら,かなり“痛”楽しそうである。

 今回,話を聞いた中ではPS4向けレーシングゲーム「Driveclub」のスタッフ達が,Morpheusへの対応に強い意欲を示していたことは記しておきたい。
 東京ゲームショウ2014では,Morpheusの日本初公開も予想されるため。今回以上のデモを揃えて来場者を驚かせてくれることに期待したい。

Project Morpheusプレスリリース

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    PlayStation VR本体

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