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[GDC 2014]Autodesk製ゲーム開発用ミドルウェア「Gameware」の最新動向
なお,セッションで登壇したのはAutodeskでプロダクトマネージャーを務めるAnkur Hohan氏だ。
HumanIK 2015
発表スライドで動いていたデモは,ぱっと見だと「靴の裏に貼り付けられた板ごと足を動かしている」ような感じなのだが,実際はその逆で,板の自由自在な動きにぴったり追従して足の裏が接地しているのがポイントとなる。
もちろんこれは足の裏に限った処理ではなく,手をついたり,指で触ったりしたときにも同じ精度で処理が行われる。キャラクターと地形,ほかのオブジェクトとのインタラクションが自在に取れるようになると,動作の幅も広がってきそうだ。
一方のLook at controlsは視線制御のことで,要するに「特定のオブジェクトに視線を向け続ける」ような処理を指している。フルボディIKシステムの上に乗っかっているものなので,たとえば「一点を見つめながら走っていて,対象を追い越した場合,肩越しに対象を見つめ続けて肩の動きや腰の回転に影響を与える」といった処理も自動的に行える。
HumanIKは人体に特化してキャラクターの動作をサポートしてきたミドルウェアである。キャラクターのモーションに定評のあるAssassin's Creedシリーズがずっと使い続けているくらい,優秀な製品でもあるのだが,Autodeskによれば,「でも人体だけなんでしょ?」と言われることも多かったのだという。それに対する回答となるCreature Solverがあれば,人体以外の関節構造を持ったオブジェクトに対してもフルボディIKを使う処理ができるようになる。
デモで示されたのは,クモやトカゲ,バッタなどのフルボディIKだ。ゲームでは,羽根や尻尾が生えていたり,手が4本あったりするようなクリーチャーも結構な頻度で出てくるので,動物でなくても重宝されるかもしれない。
Gameware Navigation 2015
これまでも「突発的に通路が使えなくなった場合に,自動で新しい経路を見つける」といった機能はついていたのだが,今回は障害物が常に動いているような状況にも対応できるようになった。
階層的パスファインディングは,非常に大きなシーンに対してもパスファインディングができるというもの。とてつもない大きさのマップでどのように処理されているのかは,実際にスライドで示された。
また,Smart Objectとは,動く通路やエレベータ,ドアなどの構造物があったときに,それらを利用して移動するようなNPCの動作を指定できるようになる。
階層的パスファインディングの例 |
Smart Objectの例 |
なお,Animation Driven Locomotionというのは,スプライン曲線を用いた滑らかな軌道による移動のこと。要は,NPCが通路を曲がるときに,突然旋回するのではなく,滑らかで自然な動きを指定できるようになったという意味である。
Scaleform 4.4
UI作成ミドルウェアのScaleform,その最新版となるScaleform 4.4では,Action Scriptが改良され,メモリ使用量の改善や性能の向上が実現された。メモリ使用量は5〜20%減り,性能は20〜40%近く伸びることもあるという。
昨今のコンシューマゲーム機が軒並みDirectX 11(相当)の機能をサポートしたことを受け,UIの表示でもDirectX 11ベースの表示が行えるようになるなど,高機能化も進んでいる。当然ではあるが,PlayStation 4やXbox Oneへの対応も行われた。
以上,駆け足でまとめてみたが,毎年アップデートされるGamewareは,今回も,ゲームの品質を一段上げてくれそうな印象である。実際に「採用しました」と高らかに謳うデベロッパは少なかったりするが,今回のトピックを記憶に留めておくと,新しいタイトルが出てきたときに「おっ」と思えるのではなかろうか。
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