2016年10月25日にZOTAC International(以下,ZOTAC)は,バックパックのように背負える,VR(Virtual Reality,仮想現実)ヘッドマウントディスプレイ対応PC「VR GO Backpack」を発表したが(
関連記事),同社主催のイベントではそのほかにも「10周年記念」の特別版となる新製品,
- 10 Year Anniversary Edition MAGNUS EN1080(以下,MAGNUS EN1080)
- ZOTAC GeForce GTX 1080 ArcticStorm Thermaltake 10 Year Anniversary Edition(以下,GTX 1080 ArcticStorm)
- 10 Year Anniversary Edition SONIX SSD(以下,SONIX SSD)
を発表した。本稿ではこれらについて簡単にまとめてみたい。
MAGNUS EN1080
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GTX 1080 ArcticStorm
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SONIX SSD
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MAGNUS EN1080
MAGNUS EN1080は,203(W)
×
225(D)
×
128(H)mmという,小さめのMini-ITXキューブPC的なサイズの筐体に,「
GeForce GTX 1080」(以下,GTX 1080)と「Core i7-6700」(4C8T,定格3.4GHz,最大4.0GHz,共有L3キャッシュ容量8MB)を搭載し,両者を液冷するという仕様の製品だ。PC製品ではなく,ユーザーが後からメモリモジュールとストレージデバイス,OSを導入することでPCとして利用できるようになる,いわゆるベアボーンキットである。
本体正面と左右側面には「SPECTRA Lighting」という名のLEDイルミネーションを搭載。とくに向かって左側面では10周年記念のマークが光る。SPECTRA LightingはWindows上のソフトウェアで色や光り方をカスタマイズ可能だ
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ZOTACによると,ユーザーがアクセスできるのはDDR4メモリスロット2基と,PCI Express x4もしくはSerial ATA 6Gbps接続のM.2 SSDスロット1基,そして2.5インチストレージトレイ1基のみで,液冷ユニットやGPU,CPUにアクセスできない構造とのこと。実際,発表会場に,内部構造が分かるような形での展示はなかった。
筐体は本体底面の四辺にあるスリットから給気する仕様。背面のインタフェースは1000BASE-T LAN×2,DisplayPort 1.3×2,HDMI 2.0(Type A)×2,USB 3.0×4,IEEE 802.11ac用アンテナ×1と豪華だ(※VR GO Backpackと似ている,とも言う)。高い消費電力に対応すべく,DC入力を2系統持つ点に注目
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対応OSは64/32bit版Windows 10およびWindows 8.1。世界市場では11月中旬,北米市場におけるメーカー想定売価
2399ドル(税別)で発売予定という。さすがに万人向けとは言いがたいが,「GTX 1080搭載の小型デスクトップPC」の中でも群を抜いて小さな製品の1つなのは間違いないので,そういうのに惹かれる人の注目は集めそうだ。
イベント終了後の10周年記念パーティーには,MAGNUS EN1080をかたどったケーキが登場。背面インタフェースまで入っている気合の入りようだった
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ZOTACのCEOであるTony Wong(トニー・ウォン)氏(右から4番め),NVIDIAのGeForceセールス担当副社長John Milner(ジョン・ミルナー)氏(Wong氏の左),ZOTACでアジア太平洋地域のセールスを統括するJames Liu(ジェームス・リウ)氏(右から2人め)ほか,ZOTACの偉い人達によるケーキカットの様子
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GTX 1080 ArcticStorm
Thermaltake Technology(以下,Thermaltake)による「テイラーメイドの」(ZOTAC)液冷専用クーラーを搭載するGTX 1080カードとして,価格未定ながら世界市場で11月にも発売予定となっているのが,GTX 1080 ArcticStormだ。
Thermaltake製の液冷システムに組み込んだ,GTX 1080 ArcticStormのデモ。液冷専用クーラーにはMAGNUS EN1080と同じSPECTRA Lighting対応のLEDイルミネーションを採用しており,ソフトウェアから色や光り方を調整可能だ
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総フェーズ数16という多段電源構成を採用する本製品ではもちろん,高い動作クロックの実現がテーマになっているわけだが,そのGPU動作クロック設定はベース1667MHz,ブースト1797MHz。2GHz超級の動作クロックで安定するよう最適化を行っているという。一方で,より安全な,ベース1632MHz,ブースト1771MHzという設定のVBIOSも搭載しており,基板上のスイッチから,標準のVBIOSとの間で切り換えられるようにもなっている。
なお,いずれの動作モードを選択した場合も,メモリクロックはリファレンスどおりの10GHz相当である。
発表会でこれといった説明はなかったが,カード背面には「POWERBOOST」と書かれたカバー(?)があった。オーバークロック設定時に安定して電力を供給するための機構だと思われる
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補助電源コネクタは8ピン×2
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外部出力インタフェースはDisplayPort 1.4×3,HDMI 2.0b(Type A)×1,Dual-Link DVI-D×1。基板で写真左端に見えるスイッチがVBIOS切り替え用だ |
液冷クーラーは1スロット仕様。カード長は300mmで,さすがに大きい。なお,本製品の製品ボックスにはZOTACデザインのSLI HB Bridgeが付属するという |
SONIX SSD
通常モデルと比べて読み出し速度が10%(※正確には約8%)速いというのが,10周年記念モデルのアピールポイント
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10周年記念モデルのSONIX SSDは,通常モデル「SONIX PCIE 480GB SSD」の特別版という位置づけのPCI Express Gen.3 x4接続型製品となる。通常モデルだと,公称の逐次読み出し性能が2600MB/s,逐次書き込み性能が1300MB/sのところ,10周年記念モデルは順に2800MB/s,1500MB/sになっているのが最大の特徴だ。
また,LEDイルミネーションで光るというのも,従来モデルにはない新要素だという。
カードは表側だけでなく裏側もほぼ全体が覆われており,どんな基板デザインなのかは分からない。なお,カード長は公称182mmとのこと
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カードはLow Profile対応。もちろん通常サイズのブラケットも付属する
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搭載するNAND型フラッシュメモリは東芝製MLCで,コントローラは未公開。容量512MBのDDR3メモリをキャッシュとして搭載する。公称消費電力は読み出し時に5.57W,書き出し時に7.27W,アイドル時に0.5Wとのことだ。
総書き込みバイト量=Total Byte Written(TBW)は698TBと,かなり大きい。MTBF(平均故障間隔)も200間万時間と長めになっている。
こちらも価格は未定ながら,世界市場では11月上旬に発売予定。3年保証付きだ。
ゲームトーナメント「ZOTAC 10 Year Anniversary World CUP」も開催
ZOTACは,製品発表と並行して,招待制の「
Counter-Strike: Global Offensive」2-dayトーナメント「ZOTAC 10 Year Anniversary World CUP」も開催していた。
その勝者は北米地区代表であるSplyceで,日本から参戦した4dN eTROVEは3位決定戦で欧州代表Kinguinを前に敗退という結果だったが,時間を見つけてトーナメントの写真も撮ってみたので,以下,写真集的にお届けしてみたい。