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NVIDIA,Pascal世代以降の「RT Core非搭載GPU」でDirectX Raytracingをサポートへ
DXRベースのリアルタイムレイトレーシングはこれまで,「RT Core」を統合するGeForce RTX 20シリーズでのみ利用可能だったが,今後登場する新しいドライバソフトウェアにより,「GeForce GTX 1060 6GB」以上のGeForce GTX 10シリーズとTITAN X&Vシリーズ,そしてGeForce GTX 16シリーズの計10製品でもDXRを利用可能になるという。
簡単に振り返っておくと,DXRはリアルタイムレイトレーシングに対応するAPIセットだ。DirectX 12の新要素としてWindows 10 October 2018 Updateで有効になったDXRは,これまで,リアルタイムレイトレーシングに対応する専用ハードウェアがなければ動作しないとされていた。それだけに,今回のNVIDIAの発表には非常に大きなインパクトがある。NVIDIAの方針転換を示すものとも言えるかもしれない。
ただし,RT Coreを持たないGPUで,GeForce RTX 20シリーズと同等の処理までは行えないという。それが先のスライドにあった注意書きで,RT Coreを持たないGPUでは投射できるレイ(ray,線)の数が少なく(Low Ray Count),また基本的なレイトレーシングのエフェクトにしか対応できない(Basic RT Effects)とのことだ。
複雑かつ複数のレイトレーシングエフェクトをサポートできるRT Core搭載GPUとは明確な違いがあるとされていることは押さえておいたほうがいいだろう。
また,性能面でも違いがあるとNVIDIAは強調している。実例として挙がったタイトルの1つ「Metro Exodus」では,DXRを有効にすると「GeForce GTX 1080 Ti」(以下,GTX 1080 Ti)で18fpsのフレームレートしか得られないとのことである。
これに対し,「GeForce RTX 2080」(以下,RTX 2080)搭載PCでMetro ExodusのDXRを有効にすると61fpsが得られるそうである。
またNVIDIAは「Shadow of the Tomb Raider」や「Battlefield V」を例として出し,GTX 1080 TiとRTX 2080との間でDXR性能がどれほど異なるかを示している。
要するに,これらのスライドを通じてNVIDIAは「既存のGPUでDXRに対応するといっても,機能的に制限されるうえに性能も出ませんよ。だからGeForce RTX 20シリーズを買いましょう」的なメッセージを伝えようとしているわけだ。実際,RT Core非搭載のGPUでDXRがどこまで実用的かというと,現時点では何とも言えないというのが正直なところである。
リアルタイムレイトレーシングに対応する特別なハードウェアを持たないGPUでDXRのサポートが始まったことはDXRの普及を後押しするという理解で問題ないだろう。今後の展開に期待したい。
- 関連タイトル:
GeForce GTX 10
- 関連タイトル:
TITAN
- 関連タイトル:
GeForce RTX 20,GeForce GTX 16
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