イベント
[GDC 2015]もっと厚かましくあるべきだったかもしれない。「Sid Meier’s Civilization: Beyond Earth」を開発したデザイナーが語る反省点とは
Beyond Earthは,従来の歴史好きなファン層には十分にアピールできなかったとはいえ,現代から直線的に続いていく(かもしれない)未来に,SFの観点から光を当てた作品であることは,4Gamerでもたびたびお伝えしてきたとおりだ。
まだ若く経験も浅いながらリードデザイナーに抜擢され,開発過程では常にその中核にいたミラー氏とマクダナー氏。企画の早い段階でアート部門のメンバーにさまざまなコンセプトアートを制作してもらったものの,その後の練り込みや変更によって,それらのアートワークの3分の2が無駄になってしまったらしい。
そんなこともあって,古参メンバーの多いFiraxis Games内で気兼ねしてしまい,チームをうまくまとめ切れなかったというミラー氏は「もっと厚かましくしていれば良かったかもしれない」と振り返っていた。
マクダナー氏も「歴史のテーマから離れたことで,まったく新しいものを作り出す機会もあったが,少し保守的になり過ぎていたかもしれない」と反省しつつ,「『Civilization V』らしさとSFらしさの中間を選んだことで,プレイヤーには小じんまりとしたソフトに見られてしまうことになった」と続ける。すべてのCivファンにアピールしようとしたばかりに,結果的に中途半端なものになってしまったというわけだ。
ミラー氏とマクダナー氏の2人が,その端的な例として挙げたのが,「外交」と「遺産」の2つだ。外交システムは,ほぼCivilization Vのものを継承しているが,登場するリーダーが従来のような存在感のある歴史上の偉人とは異なり,完全に架空の人物だったため,プレイヤーが感情移入できなかったと解説する。「本当は,それぞれのリーダーを引き立てるような,彼らのバックグラウンドをしっかりと書き上げていたのに,最終的にほとんどカットしてしまったのは間違いだった」とはミラー氏の弁である。
また,マクダナー氏は「Beyond Earthの遺産も,リーダーと同じく歴史に根差していないものだった。また,ゲームバランスが崩れてしまうことを心配し過ぎて,建設したことによる好影響をしっかりと強調できていなかった」と述懐。こうした点を中心に,近日中にリリースされるパッチで大きな修正を行うことを発表している。
Civilization Vは,発売から5年めとなる現在も多くのプレイヤーを引き付ける,2K Gamesのドル箱タイトルの1つである。これまでに複数の大型拡張パックがリリースされ,「Steam Workshop」でも数多くのMODが配布されているなど,そのコンテンツ力はBeyond Earthが霞んでしまうほどだ。
Beyond Earthは出足で迷走したことが響いているものの,Firaxis Gamesとしてはライブチームの継続的なサポートにより,徐々に長寿作品へと仕立て上げていくことを計画しているようである。ミラー氏とマクダナー氏が約束するとおり,今後も頻繁なアップデートや拡張パックのリリースが行われることに期待したい。
- 関連タイトル:
Sid Meier’s Civilization: Beyond Earth
- 関連タイトル:
Sid Meier’s Civilization: Beyond Earth
- この記事のURL: