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「Xbox Spring Showcase 2016」が開催。フィル・スペンサー氏が統合的なゲーム環境を実現する「Universal Windows Platform」戦略をアピール
会場では,2016年前半にリリースが予定されているXbox OneやWindows 10向けタイトルが発表になっており,その内訳は以下のとおり。Xbox OneやWindows 10向けのエクスクルーシブタイトルのほか,“ID@Xbox”発のインディーズゲームも含まれている。注目タイトルについては別途,個々の記事でお伝えする予定だ。
- Forza Motorsport 6: Apex[Windows 10] シリーズでは初めてPC向けにリリースされるFree-to-Play型レースシミュレーター
- Quantum Break[Windows 10/Xbox One] Remedy Entertainmentが手がける完全新作アクションアドベンチャー
- The Division[PC/Xbox One] 追加DLCはXbox Oneへの先行配信を予定
- Dark Souls III[PC/Xbox One] 北米ではXbox One ストアで購入すると,「Dark Souls」のダウンロードコードがもらえる
- Below[Xbox One] Capybara Gamesが開発中のローグライクアドベンチャー
- Pit People[PC/Xbox One] The Behemothが開発を手がけるターン制ストラテジー
- Gears of War: Ultimate Edition[Windows 10/Xbox One] DirectX 12をサポートし,4K解像度に対応したリメイク作品
- Killer Instinct: Season 3[Xbox One] 「Halo」シリーズの“アービター”をはじめ,総勢8人の新キャラクターが登場
- Ori and the Blind Forest: Definitive Edition[Windows 10/Xbox One] 2015年3月にリリースされた2Dアクションに,ストーリーやエリアなど新コンテンツが追加
- Minecraft: Windows 10 Edition[Windows 10] Oculus VRの「Rift」によるプレイアブルデモが公開
Windows 10専用「Forza Motorsport 6: Apex」が今春リリース。シリーズ初のPC向けタイトルはFree-to-Play型に
「Quantum Break」のプレイアブルデモがメディア向けに公開。実写とゲームの映像が交錯しながら壮大なストーリーが展開する
「DARK SOULS III」,“素性”の紹介と思われる新たなスクリーンショットが「Xbox Spring Showcase 2016」で公開
「Rift」のローンチタイトルとして開発が進められる「Minecraft: Windows 10 Edition」のプレイアブルデモが「Xbox Spring Showcase 2016」で初公開
ハードコアなローグライクアクション「Below」のプレイアブルデモが公開。食料と水分を補給しながら洞窟を進め
The Behemothの新作ターン制ストラテジー「Pit People」が公開。独特のキャラクターがヘックスマップで奮闘
フィル・スペンサー氏が語る
「Universal Windows Platform」の強み
スペンサー氏と言えば,元々は「Halo」シリーズや「Gears of War」シリーズなどをMicrosoft側からサポートするプロデューサーとして頭角を現した人物で,2014年3月からXbox部門のトップに就任している。ちなみに現在の肩書は「Head of Xbox」である。
以下に,Windows 10を基軸にしたXboxやPCプラットフォームのさらなる進化を訴えたスペンサー氏のスピーチをまとめてみたので,じっくりと読み進めてほしい。
私がXbox部門を統括して以来,徐々に我々のやりたいことを実現してきました。まず,2015年1月には(Microsoftのお膝元である)ワシントン州レドモンドで開催したイベントにて「HoloLens」を初披露しました。また,Xbox Liveの機能をWindows 10上で展開することや,ファーストパーティスタジオはすべてWindows向けのタイトルを提供することを発表しています(関連記事)。XboxとWindows 10,双方をゲームプラットフォームとして強化することが,大きな成功につながると意識したのです。
同年3月のGDC 2015では,ID@XboxのサポートプログラムをWindows向けにも提供すること,XboxとWindowsのクロスプレイ機能などをアナウンスしました。その後,6月のE3 2015では強力なタイトルラインナップをお披露目すると共に,Xbox Oneの後方互換機能を発表(関連記事1,関連記事2)。また,8月のgamescom 2015にて,XboxとWindowsの両プラットフォームを統合するという新戦略を打ち出しました。
我々が常に意識しているのは「ゲーマーのため,ゲームのため」(Better for Gamers, Better for Games)というものです。2016年はこれまでの発表が1つになり,それが実行されていく1年であると理解してください。毎朝,Xboxのエコシステムをゲーマーのため,より良いものにするにはどうすべきか。ゲームを開発するデベロッパの利便性を高めるには,何をすればいいのかを考えています。
我々はユーザーからのフィードバックを受けていますが,その中でもよく寄せられるものの1つが「エクスクルーシブタイトルやコンテンツがプラットフォームによって異なるため,どのプラットフォームで遊べばいいのか?」。エクスクルーシブタイトルやコンテンツはプラットフォームの特徴を際立たせるのに必要なものですが,こうしたユーザーへの回答が「Universal Windows Platform」(以下,UWP)です(関連記事)。
UWPとは,Windows 10上に構築されたアプリケーション実行環境のことです。この環境向けに開発されたアプリケーションであれば,Windows 10ベースのすべてのデバイスで動作させることが可能になります。これが,ゲームデベロッパにとって利便性の高いものであることはお分かりでしょう。さらにゲーマーにとっても,非常に有意義であることは疑う余地がありません。
従来のコンシューマ機向けゲームは,特定のプラットフォームに紐付けられる形になっていました。皆さんの中には押し入れに古いゲーム機を片付けて,「機会があったら,懐かしのゲームを遊ぼう」とノスタルジックに考えていたものの,面倒でずっと埃を被ったままになっている人がいるかもしれません。新しいゲーム機が登場するたびに過去のゲーム体験は記憶の片隅に追いやられ,古いゲーム機を手放さずに持っている人にしか追体験できないものだったわけです。
ハードウェアという側面から見ても,スマートフォンやPCが継続的に進化するプラットフォームであるのに対し,コンシューマ機は何年も前にデザインされたものが進化することなく使い続けられます。これまでのコンシューマ機は,リリース時点でテクノロジーをロックしてしまっていたのです。
しかし,UWP向けに開発されたアプリケーションならば,新しいプラットフォームにも対応でき,古いゲームであっても好きなときにプレイできるようになります。今後,Xboxプラットフォームでは,PCゲームのようにドット絵時代の古いゲームも4K解像度に対応した最新ゲームも,同じエコシステムの中で楽しむことが可能になっていくのです。
Microsoftは,これまでもたびたびUWPのコンセプトをアピールしてきた。今回のスペンサー氏のスピーチは,それをあらためて強調すると共に,2016年は本格的に実を結ぶ1年になるとしている。Microsoftが掲げるUWPへの動きは,加速し始めていると認識している様子だ。
事実,1月にリリースされたPC版「Rise of the Tomb Raider」では,Windows ストアから得られるデータやフィードバックの使い方を学んでいるという。「こうした情報を開発チームと共有することで,互いに協力してより良いゲーム体験をゲーマーに提供できるようになる」とスペンサー氏は語っている。
かねてより「MicrosoftはXboxプラットフォームに注力し,PCゲーマーをおざなりにしている」という声が頻繁に上がっていた。その点,XboxとWindows 10の開発環境を統合して,プラットフォーム自体を進化させていくというMicrosoftの戦略は,確かにゲーマーにとってもデベロッパにとっても有意義なものになるはずだ。来るGDC 2016やE3 2016では,年末に向けた新たなプランがアナウンスされることだろう。今後も同社の動向から目が離せない。
MicrosoftのWindows 10 製品情報ページ
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