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Microsoft,VR・AR技術「Windows Mixed Reality」対応のモーションコントローラを発表。Windows 10の次期大型アップデートも明らかに
Windows Mixed Reality motion controllers(以下,Windows MR motion controllers)は,Acer製のWindows MR対応ヘッドマウントディスプレイ(以下,
外部センサー不要のモーションコントローラが登場
まずはWindows MR motion controllersから見ていこう。Microsoftが公開した動画を見ると,おおまかなイメージがつかめると思うので,まずはこちらを参照してほしい。
Windows MR motion controllersは,Oculus VRのモーションコントローラである「Touch」に,長めのグリップを付けたような外観のコントローラだ。右手用と左手用の2個がセットになっていて,片手に1つずつ握って操作する。
各コントローラは,「Thumbstick」と呼ばれるアナログスティックと小型の円形タッチパッド,トリガーボタン,スティックを握った指で操作する[Grab]ボタンなど,多数の入力系を備えている。
Oculus VRのTouchはUSB接続型のカメラを,HTCのVR対応HMD「Vive」に付属するワンド型コントローラの場合は赤外線レーザーを使う付属のセンサーユニット「Base station」で,それぞれコントローラの位置や動きを検出している。
それに対してWindows MR motion controllersは,コントローラに内蔵する6軸加速度センサーと,Windows MR対応HMDの前面にあるステレオカメラによる,コントローラ上のマーカー読み取りにより,位置と動きの検出を可能にしているという。
実際の精度や解像度,入力に要する遅延時間などは分からないし,コントローラを握った腕がカメラの視野外に出たときに,加速度センサーだけでどの程度の追跡が可能なのかも分からない。ただ,この仕組みなら,外部にカメラやセンサーを設置する手間とコストがかからないのはもちろんのこと,カメラやセンサーの位置に制約されることなく,広い範囲を動き回るVRやMR対応アプリケーションを作ることもできそうだ。アイデアとしては面白い。
今回の発表に合わせて,北米のMicrosoft直販サイトでは,AcerおよびHP製のWindows MR対応HMDの予約受け付けを開始した。Acer製品は299ドル,HP製品は329ドル(いずれも税別)で,いずれも開発者向けとのことだ。北米以外の地域での販売については,今のところ明らかになっていない。
2017年後半の大型アップデートは,新しいアプリに向けた機能追加が中心
続いては,2017年後半に配信を予定しているというWindows 10 Fall Creators Update(以下,Fall Creators Update)について見ていこう。
2017年4月に配信が始まったWindows 10の大型アップデート「Creators Update」(関連記事)は,Game Modeやゲーム実況機能の導入など,ゲーマーにとって直接恩恵のある機能が盛り込まれたことが,大きなポイントであった。それに対してFall Creators Updateは,アプリケーション開発者に向けた機能の追加やWindowsストアの改良といった要素が中心で,ゲーム用途の新機能といったものは今のところ見当たらない。
大きな要素として挙げられているのは,アプリケーションのデザインに,新しいスタイル「Microsoft Fluent Design System」(以下,Fluent Design)を導入するという点だ。
Microsoftが公開したイメージビデオだと,今ひとつ漠然としていて分かりにくいのだが,要はスマートフォン向けアプリにおける「フラットデザイン」のように,現代的な見た目と操作感を持ったアプリケーションを作るためのスタイルを提供しますよ,ということのようである。
もう1つの大きなポイントが,「Microsoft Graph」というAPI(以下,Graph API。同名の作図ツールとは無関係)を使ったアプリケーションの登場だ。
Graph APIは,Microsoftのクラウドサービスを利用して,異なるアプリケーションやデバイス間でデータを連携してやり取りできるというAPIである。Windowsだけでなく,iOSやAndroidのアプリケーションともデータをやり取りできるのが大きな特徴で,たとえばWindows 10上で何かのデータをクリップボードに入れると,そのデータをiOSやAndroidのアプリケーション側にペーストするといったことが可能になるそうだ。
また,「Timeline」という新しい機能では,任意の日時を指定して,その時点での作業を再開したり,編集中のデータを当該時点のバージョンにまで戻して,あらためて編集を行ったりできるようになるという。
当然ながら,アプリケーション側の対応が必要にはなるが,ビジネス用途だけでなく,コンテンツ制作にも役立ちそうな機能に思える。
Graph APIを使ったプリインストールアプリケーションとしては,「Windows Story Remix」が登場するという。これは,写真やビデオ,3DモデルをMicrosoftのクラウドサービスで解析して,それらを組み合わせたストーリー(※ビデオクリップのようなもの)を作成できるというものだ。
そのほかにもFall Creators Updateでは,WindowsストアでAppleのコンテンツ管理ソフト「iTunes」が配信されるようになったり,クラウドストレージ機能「OneDrive」で,任意のファイルやフォルダをクラウド側だけに置くかローカルPC上にも保存するかを指定できるようになったりもするという。
ゲーム用途には関係なさそうな要素ばかりではあるものの,Fall Creators Updateは,Windows 10の使い勝手をさらに向上してくれる大型アップデートになりそうだ。
Microsoft公式blogの関連ポスト(英語)
Build 2017 公式Webサイト
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