プレイレポート
謎の洋館を舞台に描かれる濃厚なサスペンスラブストーリー。今までのオトメイト作品とは一味違う「黒蝶のサイケデリカ」のプレイレポートをお届け
アイディアファクトリーが2015年1月29日に発売を予定しているPS Vita向けソフト「黒蝶のサイケデリカ」は,キャラクターデザイン/原画に漫画家・イラストレーターの結賀さとる氏を起用し,謎の洋館を舞台に幻想的かつ怪奇的なサスペンスラブストーリーが展開される乙女ゲームだ。これまでのオトメイト作品とは一味違う作風に注目したい本作を一足先に遊んでみたので,そのプレイレポートをお届けしよう。「黒蝶のサイケデリカ」公式サイト
幻想怪奇な館で繰り広げられる謎に満ちたストーリー
「万華鏡ノ欠片ヲ探セ」
「館カラ出ル方法ハ一ツ」
「武器ハ手中ニ有リ」
「記憶ノ鍵ハ館ノ中」
「万華鏡ヲ完成サセロ」
そのメッセージをヒントに,強く念じることで手の中に拳銃を出現させられると気づいた彼女達は,その拳銃を武器に化け物が持つ「万華鏡ノ欠片」を集め始めるが……。
鉤翅(カギハ) CV:鳥海浩輔 おっとりしていて優しい性格。身体は大きいが,争いごとを好まない。調整役を買って出たり,人を気遣うことができる |
紋白(モンシロ) CV:松岡禎丞 キツネのお面をつけた謎の人物。化け物に襲われているところを助けてくれるが,敵か味方か,分からない |
ウサギ CV:長縄まりあ 館の主に仕える少女。突然現れては消える謎めいた存在 |
シリアスな本編と軽妙なサブシナリオのバランスが好印象
また,メインストーリーのほかにも物語をより深く楽しめるショートストーリーが用意されており,こちらは後述する“黒蝶狩り”というシューティング形式のミニゲームで得たポイントを使用して開放することができる。
ゲームを開始すると,まずは主人公の名前入力画面が現れる。「乙女チック4Gamer」の第14回でも紹介しているとおり,主人公「紅百合」は本名のみ名前変更できる。ちなみに初期設定のままだと,ほかのキャラクターが主人公の名前を呼ぶ時に音声付きで呼んでもらえる。最近の乙女ゲームではお馴染みになりつつある仕様ではあるが,プレイヤーにとって嬉しいポイントの1つだ。
名前の入力を終えると続けて主人公の音声ON/OFFを選択することに。乙女ゲームでは比較的珍しいことだが,本作はヒロインである主人公のセリフも音声付きで楽しむことができる。演じているのは中原麻衣さんだ。こちらの設定はプレイ中でも自由に切り替えが可能だ。
ゲームの流れとして,まずは主軸となるメインストーリーを進めていくことになる。メインストーリーは章ごとに区切られており,序章から結章まで9つの章で構成されている。本作ではキャラクターごとに好感度を上げていく必要がないため,出現する選択肢は少なめ。プレイヤーの役割があまり多くないのを物足りなく感じるかもしれないが,その分ストーリーが中断される回数も減っているので,じっくり集中して謎めいた物語の世界に入り込んでいける。
また,本作のストーリー進行において,メインストーリーの分岐に影響したり,キャラクターの記憶に関するヒントになっていたりと,重要な役割を担っているのがショートストーリーだ。終始シリアスな展開が続くメインストーリーに比べ,ほのぼのとした内容のものが多く,本編での緊張状態をホッと和らげてくれる。
攻撃のタイミングがミソのミニゲーム“黒蝶狩り”
メインストーリー中の化け物と戦うシーンで登場するのが,本作の特徴的なシステムの1つである“黒蝶狩り”だ。決められた時間内で画面に出現する蝶を倒していくシューティング形式のミニゲームで,ショートストーリーの開放に必要なポイントを獲得することができる。1つのショートストーリーの開放に100〜400ポイントほど必要だが,アクションゲームはそれほど得意ではない筆者でも慣れれば1回で2000ポイント以上をコンスタントに獲得できたので難度は高くないだろう。また,こういったミニゲームが苦手な人や,わずらわしく感じる人向けにショートカット機能も搭載されており,その場合も一定のポイントを獲得可能だ。
「MINI GAME」モードのキャラクター選択画面。好きなパートナーを選んで挑戦できる。キャラクターはゲームを進めると開放されていくが,あれ? 枠が5つあるってことは…… |
ちなみに,メインストーリー中でこの黒蝶狩りをプレイする機会は多くない。あくまでミニゲームという位置づけだ。ポイントが足りない場合やもっと遊びたい時などは,一旦スタート画面に戻り,黒蝶狩りだけをプレイできる「MINI GAME」モードを選択するといいだろう。
筆者は今回,サスペンスと言ってもそれほど本格的なものではないだろうと思ってプレイを始めたのだが,いい意味で予想を裏切られた。謎が解けていく爽快感と,えっ!? と驚く展開は思っていた以上に濃厚なサスペンスドラマだった。そして物語の真相とその先に待ち構える切ない結末には涙が止まらなかった。
結賀さとる氏が手がけたイラストはどれもが美しく幻想的で,プレイヤーを物語の世界にスッと引き込んでくれる。そのほか細かな演出やBGM,OP/ED曲など,すべての要素が絶妙にマッチして,プレイ後には1つのドラマを見終わったような印象を与えてくれる本作。主人公・紅百合だけでなく,プレイヤーにとってもかなり衝撃的な真実を,ぜひ自分の目と耳で確かめてみてほしい。
「黒蝶のサイケデリカ」公式サイト
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