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謎の洋館を舞台に描かれる濃厚なサスペンスラブストーリー。今までのオトメイト作品とは一味違う「黒蝶のサイケデリカ」のプレイレポートをお届け

 アイディアファクトリーが2015年1月29日に発売を予定しているPS Vita向けソフト「黒蝶のサイケデリカ」は,キャラクターデザイン/原画に漫画家・イラストレーターの結賀さとる氏を起用し,謎の洋館を舞台に幻想的かつ怪奇的なサスペンスラブストーリーが展開される乙女ゲームだ。これまでのオトメイト作品とは一味違う作風に注目したい本作を一足先に遊んでみたので,そのプレイレポートをお届けしよう。

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「黒蝶のサイケデリカ」公式サイト



幻想怪奇な館で繰り広げられる謎に満ちたストーリー


化け物が徘徊する謎の洋館で目覚める主人公。時計は狂い,時の流れを感じさせるのは,夜の訪れを知らせる雨音だけ
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 見知らぬ洋館で目を覚ました主人公。自分の名前も,何故ここにいるのかも分からないまま館を彷徨っていると,謎の化け物に襲われてしまう。必死に逃げていると,同じように記憶を失っているという4人の青年達と遭遇する。そして協力して出口を探してみたものの,館から脱出することは不可能だった。

館で出会う4人の青年達。彼らも全員記憶を無くしているらしい。ピアスの青年(鴉翅)は襲い掛かってくる化け物をドッキリ企画だと疑ってかかる。ドッキリなわけないでしょ!
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【主人公】紅百合(ベニユリ)
CV:中原麻衣
困っている人を放っておけず,世話焼きな性格。我慢強くお人好しで,人当たりも悪くないが,相手との関係が進むほど一線を引いてしまう
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 襲い来る化け物達から逃れ,身を隠せる部屋を見つけた5人は,仮の名前,紅百合(ベニユリ),緋影(ヒカゲ),山都(ヤマト),鴉翅(カラスバ),鉤翅(カギハ)を名乗ることを決め,とりあえず現在の状況確認をすることに。手がかりになりそうなものは,それぞれ唯一の持ち物であった携帯電話に送られた差出人不明のメッセージ。

「万華鏡ノ欠片ヲ探セ」
「館カラ出ル方法ハ一ツ」
「武器ハ手中ニ有リ」
「記憶ノ鍵ハ館ノ中」
「万華鏡ヲ完成サセロ」

 そのメッセージをヒントに,強く念じることで手の中に拳銃を出現させられると気づいた彼女達は,その拳銃を武器に化け物が持つ「万華鏡ノ欠片」を集め始めるが……。

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緋影(ヒカゲ)
CV:石川界人
相手が気分を害しても気にしない嫌味な性格。率直な物言いをするが本人に悪気はない。状況整理の役を買って出ることが多い
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山都(ヤマト)
CV:細谷佳正
乱暴な口調で喧嘩っ早い性格。ぶっきらぼうなため,傍からはイライラしていたり不機嫌そうに見える
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鴉翅(カラスバ)
CV:柿原徹也
飄々としていて掴みどころがない性格。周りが混乱するような冗談を平気で言う。本音を隠しその場のノリで人と接することが多い

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鉤翅(カギハ)
CV:鳥海浩輔
おっとりしていて優しい性格。身体は大きいが,争いごとを好まない。調整役を買って出たり,人を気遣うことができる
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紋白(モンシロ)
CV:松岡禎丞
キツネのお面をつけた謎の人物。化け物に襲われているところを助けてくれるが,敵か味方か,分からない
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ウサギ
CV:長縄まりあ
館の主に仕える少女。突然現れては消える謎めいた存在

強く念じることで出現する不思議な拳銃や,敵か味方か分からないキツネ面の人物,突然現れてはヒントを与えてくれる少女など,謎だらけの館から脱出することはできるのか……
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シリアスな本編と軽妙なサブシナリオのバランスが好印象


進行状況をいつでも確認できるフローチャートはとても便利。プレイしたいシーンに簡単に移動できる
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 本作は,キャラクター達との会話や,主人公のモノローグで物語が進行するノベルタイプのアドベンチャーゲームだ。好きなキャラクターを初めに選択する,という乙女ゲームでおなじみのシステムとは異なり,物語中の選択肢によって主軸となるメインストーリーから各キャラクターのエンディングへと分岐する形を取るのが大きな特徴となる。進行状況や分岐ポイントはフローチャートから確認でき,そこから各シナリオへの移動もできる。
 また,メインストーリーのほかにも物語をより深く楽しめるショートストーリーが用意されており,こちらは後述する“黒蝶狩り”というシューティング形式のミニゲームで得たポイントを使用して開放することができる。

 ゲームを開始すると,まずは主人公の名前入力画面が現れる。「乙女チック4Gamer」の第14回でも紹介しているとおり,主人公「紅百合」は本名のみ名前変更できる。ちなみに初期設定のままだと,ほかのキャラクターが主人公の名前を呼ぶ時に音声付きで呼んでもらえる。最近の乙女ゲームではお馴染みになりつつある仕様ではあるが,プレイヤーにとって嬉しいポイントの1つだ。
 名前の入力を終えると続けて主人公の音声ON/OFFを選択することに。乙女ゲームでは比較的珍しいことだが,本作はヒロインである主人公のセリフも音声付きで楽しむことができる。演じているのは中原麻衣さんだ。こちらの設定はプレイ中でも自由に切り替えが可能だ。

バックログやクイックセーブ/ロード,自動再生など,ADVの定番機能ももちろん完備
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 ゲームの流れとして,まずは主軸となるメインストーリーを進めていくことになる。メインストーリーは章ごとに区切られており,序章から結章まで9つの章で構成されている。本作ではキャラクターごとに好感度を上げていく必要がないため,出現する選択肢は少なめ。プレイヤーの役割があまり多くないのを物足りなく感じるかもしれないが,その分ストーリーが中断される回数も減っているので,じっくり集中して謎めいた物語の世界に入り込んでいける。
 また,本作のストーリー進行において,メインストーリーの分岐に影響したり,キャラクターの記憶に関するヒントになっていたりと,重要な役割を担っているのがショートストーリーだ。終始シリアスな展開が続くメインストーリーに比べ,ほのぼのとした内容のものが多く,本編での緊張状態をホッと和らげてくれる。

みんなでカレーを作るエピソード。几帳面なためスパイスの調合担当になった緋影や,涙をからかわれてムキになる山都など,キャラクターをより深く知ることができるのもショートストーリーの魅力だ
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攻撃のタイミングがミソのミニゲーム“黒蝶狩り”


 メインストーリー中の化け物と戦うシーンで登場するのが,本作の特徴的なシステムの1つである“黒蝶狩り”だ。決められた時間内で画面に出現する蝶を倒していくシューティング形式のミニゲームで,ショートストーリーの開放に必要なポイントを獲得することができる。1つのショートストーリーの開放に100〜400ポイントほど必要だが,アクションゲームはそれほど得意ではない筆者でも慣れれば1回で2000ポイント以上をコンスタントに獲得できたので難度は高くないだろう。また,こういったミニゲームが苦手な人や,わずらわしく感じる人向けにショートカット機能も搭載されており,その場合も一定のポイントを獲得可能だ。

蝶は画面奥に出現し,ゆらゆらと飛びながら徐々に画面前方へ迫ってくる。どうやら羽の色によって獲得ポイントが違うようだ。どの蝶が高得点なんだろう?
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「MINI GAME」モードのキャラクター選択画面。好きなパートナーを選んで挑戦できる。キャラクターはゲームを進めると開放されていくが,あれ? 枠が5つあるってことは……
 プレイ方法は,タッチ操作,あるいは左右のアナログスティックを使って画面上のスコープを動かし飛び交う蝶をロックオン。ロックオンできたら,画面右下の「Shoot!」ボタンをタッチするかボタン操作で攻撃する。一度に複数の蝶をロックオンすることができ,単体よりもまとめて倒したほうが得られるポイントは多いが,蝶は一定のタイミングで消滅してしまうので注意しよう。
 ちなみに,メインストーリー中でこの黒蝶狩りをプレイする機会は多くない。あくまでミニゲームという位置づけだ。ポイントが足りない場合やもっと遊びたい時などは,一旦スタート画面に戻り,黒蝶狩りだけをプレイできる「MINI GAME」モードを選択するといいだろう。

黒蝶狩りのリザルト画面。スコアによってパートナーの表情が変化する。Sランクだったのでいい笑顔をいただきました
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 筆者は今回,サスペンスと言ってもそれほど本格的なものではないだろうと思ってプレイを始めたのだが,いい意味で予想を裏切られた。謎が解けていく爽快感と,えっ!? と驚く展開は思っていた以上に濃厚なサスペンスドラマだった。そして物語の真相とその先に待ち構える切ない結末には涙が止まらなかった。

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 恋人関係になるまでの過程,あるいは恋人同士の日常を楽しむといった内容ではないので,自分が恋愛をしているという感覚は薄めだが,各キャラクターのエンディングはもちろん,シリアスなストーリー中に織り込まれるふとした場面に胸がキュンキュンする機会は多く,ラブストーリーとしても充分満足のいく作品だ。
 結賀さとる氏が手がけたイラストはどれもが美しく幻想的で,プレイヤーを物語の世界にスッと引き込んでくれる。そのほか細かな演出やBGM,OP/ED曲など,すべての要素が絶妙にマッチして,プレイ後には1つのドラマを見終わったような印象を与えてくれる本作。主人公・紅百合だけでなく,プレイヤーにとってもかなり衝撃的な真実を,ぜひ自分の目と耳で確かめてみてほしい。

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