「デビル メイ クライ 4 SE」発売記念トークショーが開催。声優の森川智之さんと石川界人さんが収録エピソードを明かしたイベントの模様をレポート

　カプコンは2015年6月13日，同社が6月18日に発売を予定している「デビル メイ クライ 4　スペシャルエディション」（PlayStation 4 / Xbox One^※　以下，DMC4 SE）の発売記念トークショーを，都内のGibson Brands Showroom TOKYOにて開催した。このイベントには，本作のプロデューサーを務める小林裕幸氏とディレクターの伊津野英昭氏，そしてダンテ役の日本語ボイスを担当した森川智之さん，同じくネロ役の石川界人さんが出演。ゲームの内容やボイス収録時のエピソードなど，さまざまなテーマでトークを繰り広げた。

※PC版は6月24日発売予定。

「デビル メイ クライ 4　スペシャルエディション」公式サイト

　トークショーの冒頭，声優陣が発売を5日後に控えたそれぞれの心境を披露した。森川さんは，2007年に放映されたTVアニメ「Devil May Cry」でダンテを演じた当時から，ゲーム版にも日本語ボイスを収録したらどうかという話を小林氏と交わしていたという。今回，それが8年越しで実現したこともあり，森川さんは「本当に楽しみです」と話していた。
　一方，石川さんは，同じセリフでもパターンを変えて収録したことを明かし，「ゲームではどのパターンが使用されたのか，発売を心待ちにしています」と述べた。

左から，伊津野英昭氏，石川界人さん，森川智之さん，小林裕幸氏

　改めて説明しておくと，「デビル メイ クライ」シリーズにおけるキャラクターボイスは基本的に英語だが，DMC4 SEでは日本語ボイスを収録している。つまり，各キャラクターの口元の動きは英語ボイスに合わせてあるため，日本語ボイスを追加するにあたっては，単に翻訳すればいいというものではなく，口の動きにセリフの尺を合わせるように調整しなければならない。

　伊津野氏は，小林氏から「日本語ボイスを収録しよう」と提案された当初，「別にいらないんじゃないか」と考えていたそうだ。しかし，収録時にスタッフが「このシーンには，こんな意味があったんですね」と感想を漏らしたことで，日本語になって意図が伝わるようになったと知り，考えを改めたという。また，小林氏も「日本語になることで，キャラクターの間合いや息遣いが伝わるようになった」と話していた。


　演技に関して，伊津野氏が声優陣に出したオーダーは「ダンテは男が皆，あこがれる人物」「ネロは10〜20代が憧れるような人物」とのこと。
　アニメ版から8年振りにダンテを演じた森川さんは，その第一声をどうするかで「非常に緊張した」という。というのも，アニメ版のダンテはまだ若い設定だったが，DMC4 SEでは年齢が上がっているから。森川さんは「アニメが終わった後の時間を埋めて，皆さんに『ダンテだ』と思わせなければならないということで，プレッシャーがあった」と苦労を明かしていた。
　一方，石川さんは，初めてネロを演じただけでなく，今回のような日本語吹き替えの仕事も初めてだったとのこと。ダンテとネロの関係やシリーズにおけるネロの位置付け，そして声優という職業について，いろいろと考えるところがあったと語っていた。


　また，DMC4 SEでは，洋画などの日本語版制作を手がけている東北新社の協力を得て，日本語用の台本を新たに用意したという。その台本について森川さんは「（物理的に）重い。10年に一度あるかないかというくらいの分厚さ」「それだけ思いが詰まったものと受け止め，こちらも気合いを入れて臨まないと跳ね返されてしまうと感じた」と感想を述べた。
　石川さんも「ゲームのボイスは，断片的に収録するケースが多いので，こうしてストーリーがまとまっている台本は珍しい」と述べ，アドリブの部分では実際の映像を見ながら試行錯誤していったエピソードを披露した。

会場に展示されていた，森川さんと石川さん用の台本。その厚みがお分かりだろうか

　そうした収録において，森川さんが最も印象に残っているシーンは，ダンテとネロが最初に対面するシーンとのこと。ダンテが見せる大人の余裕が「やはり格好いい」。
　石川さんは，ネロが叫ぶシーン全般がお気に入りで，とくに「この手はお前を殺すためにあった」というセリフでは，「今までため込んできた“中二心”をすべてぶつけました」と思い入れの強さを明かした。

　ちなみに小林氏は，石川さん演じるネロが「キリエー！」と叫ぶシーンがお気に入りだという。このシーンでは，英語音声に近づけるように何度も収録し直したそうで，伊津野氏も「自分で書いたシナリオなのに，あのシーンを見ると涙ぐんでしまう」と語っていた。

会場には，7.1chサラウンド環境でDMC4 SEを試遊できるコーナーや，収録楽曲をハイレゾ音源で試聴できるコーナーが設けられていた

　会場では，DMC4 SEの最新情報も公開された。その目玉となるのは，プレイアブルキャラクターそれぞれに用意されるEXカラー。なかでも，黒を基調としたダンテは，衣装だけでなく髪も黒くなっており，かなりイメージが異なっている。これらのEXカラーは，ゲーム内で入手可能となっている。
　ちなみに，トリッシュの赤い眼鏡は，伊津野氏の「女教師みたいなイメージ」というリクエストを汲んだ結果とのこと。また，石川さんは，レディのEXカラーが自身の好みのタイプにかなり近いと話していた。
　

左から，ダンテ，ネロのEXカラー

左から，レディ，バージル，トリッシュのEXカラー

　そのほか，ダウンロードコンテンツの販売や，スマートフォンアプリ「ゾンビカフェ」とのコラボレーションなども紹介されている。詳しくは「こちら」の記事を参照してほしい。


　エンディングでは，森川さんと石川さんが改めて発売が近づくDMC4 SEへの期待を語った。そして伊津野氏が「僕自身が遊びたいゲームに仕上がりました。英語のセリフがどのような日本語になっているのか，ぜひ確認してください」と述べてイベントを締めくくった。

「デビル メイ クライ 4　スペシャルエディション」公式サイト