インタビュー
[E3 2015]「Call of Duty: Black Ops III」のマルチプレイには隠された設定が? Treyarchのダン・バンティング氏にインタビュー
バンティング氏は,Treyarch創設以来の相棒であるDavid Vonderhaar(デイヴィッド・ヴォンダハール)氏とともに,二人三脚で「Black Ops」シリーズほか,同社の「Call of Duty」6作品を手掛けてきた人物である。
「コール・オブ・デューティ」過去作品との整合性
4Gamer:
それではよろしくお願いします。「Call of Duty」シリーズの開発が,Treyarch,Infinity Ward,Sledgehammer Gamesの3社持ち回りのような体制になって以降,Treyarchがシリーズ作品をリリースするのは初めてですね。
Dan Bunting氏(以下,Bunting氏):
はい。そのために,3年という時間を使ってゲームを練ることができたのは非常にポジティブなことだったと思います。今回,こうしてシリーズでは初めてE3のショーフロアでマルチプレイモードのプレイアブルデモを展示できたのも,そうした十分な時間があったからこそなのです。
4Gamer:
3社の間で,開発のノウハウや技術の共有のようなことはしているのですか。
Bunting:
積極的で組織的とは言えないかもしれませんが,ときおり開発初期段階の技術サンプルを見たり,ゲームの内容を共有したりということはやっています。でも,それぞれのクリエイティビティを侵さないという暗黙の了解がありますので,とくにお互いが主張し合うとか何かを要求するということはありませんね。
4Gamer:
とくに「Black Ops III」と,Sledgehammer Gamesの「Call of Duty: Advanced Warfare」は,ともに現在から数十年後の未来を舞台にした作品で,ある意味パラレルワールドのような状態になっています。マルチプレイモードでも,ジェットパックとスラストという似て非なるものが登場しますよね。人によっては少々紛らわしく感じるかもしれませんが,これらを統一しようとは思いませんでしたか?
Bunting:
「Call of Duty」というブランドの特性,例えばスピード感のある展開や装備のバラエティといった共通点がありますから,そこを変えずに,毎年違った楽しみや遊び方を提供したいと思っています。ジェットパックとスラストも,前とは違う楽しみが味わえるという点ではいいのではないでしょうか。
4Gamer:
ただ,シリーズ新作が出るたびにゲーム性を学び直なけれならないというのは,前作をプレイしている人ほど不満に思うのではないでしょうか。
Bunting:
そこは「新しいことに挑戦する」というポジティブな形でとらえていただきたいです。リスクと感じるかもしれませんが,その先で「失敗したけど面白かった」「もうちょっと練習すればクールなアクションができる」というやり応えが感じられるようにしていますし。
4Gamer:
なるほど,そういうものですか。
Bunting:
その気になれば「Black Ops II」のようなプレイスタイルを貫くこともできるようにしていますが,新しい挑戦をしたいという皆さんには,その報酬,つまり面白さを提供しようというコンセプトなのです。
4Gamer:
今「Black Ops II」のお話が出ましたが,「Advanced Warfare」のプレイスタイルを「Black Ops III」に持ち込むようなこともできるのでしょうか。
Bunting:
「Advanced Warfare」がリリースされたときからプレイし,開発中の「Black Ops III」と比較するなどしてみましたが,あの作品をプレイしてから「Black Ops III」を楽しんでもらった場合,上級者,初心者に関わらず,非常に早く順応してもらえることを確認しました。「Advanced Warfare」は,「Black Ops III」より少し速い展開していたこともあってか,より馴れやすいのだと思います。
4Gamer:
なるほど。面白い話です。逆にいうと「Black Ops III」ではスピードを少し落としているわけですね。たしかに実際にプレイした感想としても,操作の爽快感というか滑らかさというか,移動するのにほとんど何の障害も感じなくなりました。
Bunting:
すでにご存じでしょうが,我々がTraversalと表現している,本作での移動には,デザイン過程で非常に気を使いました。空中でも方向転換できるようにしたり,初代「Black Ops」以来のダイビングを廃止する代わりに,銃器を発砲したまま飛び込めるスライディングを採用したりといったことが,そうした滑らかを感じる大きな要素になっているのだと思います。
本作を本作たらしめる,“スペシャリスト”という存在
4Gamer:
「Black Ops III」では,「スペシャリスト」という新しいコンセプトが追加されました。
Bunting:
はい。しかし,「Create-a-Class」を廃止したわけではありませんし,スペシャリストとクラスの双方が,お互いを補助し合えるようにしています。
4Gamer:
ただ,たとえばOutriderは複合弓を得意とするスペシャリストであるはずなのに,設定次第でアサルトライフルやショットガンを手に突っ込んでいける,というのは無理がありませんか?
Bunting:
当然ながら,それぞれのスペシャリストは,異なるアビリティや特性を持ち,そこから望まれる役割があります。しかし,プレイヤーの自由な発想によって,我々開発者が思いもしなかった利用の仕方も生まれてくると思っています。
4Gamer:
スペシャリストは,コールサインだけでなく本名や生い立ちなども用意されていたりと,とことん設定が作り込まれている印象ですね。
Bunting:
スペシャリストだけじゃないんですよ。ゲームのストーリーには直接登場することのない国家間の政治関係など,企画書にはさまざまなことが書かれています。スペシャリストに至っては,それぞれが別のゲームの主人公になれるくらい,バックストーリーを作り込んでいますが,それも3年という開発期間をいただけたからです。
4Gamer:
スペシャリストたちは,キャンペーンモードにも登場するのですか?
Bunting:
いや,世界を共有していますが,スペシャリストがそのままキャンペーンに登場することはありません。あくまでも,彼らはマルチプレイモードのキャラクターたちなのです。
4Gamer:
実際にプレイして気づいたのですが,マルチプレイのマッチ開始時点で,なにか「バトル・シミュレーション」とかいうようなアナウンスメントが聞こえました。あれは一体何ですか?
Bunting:
ああ,良く気付かれましたね。本作において,マルチプレイモードがどのような設定を与えられているのかとか,2065年の世界での実戦や戦闘訓練のあり方がどういうものになっているのかなどについては,現時点では明かしていません。脳や脊髄に直接介入できる特殊装置で改良されたスーパーソルジャーといった設定は発表どおりですし,ほかのスペシャリストと戦う必要性といったあたりから,いろいろと想像してみてください。
4Gamer:
なるほど,分かったような気がします。確かにProphetが持っている瞬間移動のようなアビリティ「Glitch」などは,どんなに科学が発達しても現実世界では無理そうですからね。ところであれは,Reaperのアビリティとはどのように違うのですか?
Bunting:
Glitchはもともと4月の本作発表時にReaperのアビリティとして紹介していました。この2か月の間にProphetの設定にマッチしたものだと判断し,変更したのです。Reaperは,代わりに「Psychokinesis」という異なるアビリティを与えています。
4Gamer:
では最後になりますが,今後新しいマルチプレイヤーモードを発表する予定はありますか?
Bunting:
それはもう,保証しますよ。これまでにない,ぶっ飛んだ形のもの,e-Sportsにぴったりのもの,スペクテイタ―(観衆)としても満喫できるものなど,まだまだいろいろと発表を続けていく予定です。ぜひ,楽しみにしてください。
「Call of Duty: Black Ops III」公式サイト
- 関連タイトル:
Call of Duty: Black Ops III
- 関連タイトル:
コール オブ デューティ ブラックオプスIII
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コール オブ デューティ ブラックオプスIII
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(C)2015 Activision Publishing, Inc. ACTIVISION, CALL OF DUTY, CALL OF DUTY BLACK OPS, and stylized roman numeral III are trademarks of Activision Publishing, Inc. Published and distributed by Sony Computer Entertainment Inc. in association with Activision.
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