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[COMPUTEX]CPUダイは全部使える? PCIeレーン数はいくつ? 第2世代「Ryzen Threadripper」の秘密をAMDに聞いてみた
そこで本稿では,グループインタビューの中から,新世代CPUやGPUに関する話題を抜粋してレポートしたい。
第2世代Threadripperは4基のCPUダイすべてが有効になる
重要な質問の1つめは,第2世代Threadripperのパッケージ上にある4基のCPUダイについてである。
2017年8月に登場した第1世代のThreadripperは,CPUパッケージ上に4基のCPUダイ(※14nm製造プロセスのZenコア)が実装されていた。しかし,実際に稼動しているのは,そのうち2基だけで,残りの2基は無効化されていたのだ。
1基のCPUダイは8コア16スレッド対応なので,これが2基稼動する第1世代Threadripperは,トータルで16コア32スレッドとなる理屈だ。
一方,第2世代Threadripperが搭載するCPUコアは,12nm製造プロセスのZen+コアであり,CPUダイ1基あたりのコア/スレッド数は,Zenコアと変わらない。つまり,32コア64スレッドを実現した第2世代Threadripperでは,4基のCPUダイがすべて有効化されている,と見るのが自然だろう。
あるいは,4基のダイから3基だけを有効化した24コア48スレッドの下位モデルなんてものが登場してきてもおかしくない。まずはそれらについて聞いてみた。
James Prior氏(以下,Prior氏):
第2世代ThreadripperのCPUパッケージ上にある4基のCPUダイは,すべて稼動しているよ。
4基のうち3基を有効化するというアイデアは……おそらくは可能(Probably Possible)だ(笑)。ただ,そうしたコンフィギュレーションの製品について言及する時期ではない。第2世代Threadripperは,32コア64スレッドとして登場する。
――第2世代Threadripperの動作クロックは,どの程度になるのだろうか。製造プロセスが同世代で,CPUコア数が増えている以上,第1世代Threadripperよりも低くなると考えるのが自然だ。第1世代Threadripperで180WだったTDPが,第2世代でどうなるのかも気になる。
Prior氏:
現時点では,具体的な動作クロックを公表できない。第1世代Threadripperよりもコア数が増えている分だけ,低くはなる。しかし,動作クロックがファンをガッカリさせることはないと思う。自信のあるクロックだ。
実動CPUコア数が増加しているので,必然的にTDP上がっている。具体的には250Wだ。第2世代Threadripperに,専用CPUクーラーは付属しないが,AMDが推奨する空冷式CPUクーラーは存在する。CPUクーラーはかなり巨大なボディで,重さが約2kgもあるんだ。開発はCooler Masterが担当した。
Prior氏:
LEDでThreadripperのロゴが光るかっこいいもので,皆にお勧めしたいんだ。でも,ThreadripperクラスのCPUを利用する人は,たいていの場合,お気に入りの水冷キットを持っているだろうね。
――今回のプレスカンファレンスでは,第2世代Threadripperが,第1世代と同じ「AMD X399」チップセット搭載マザーボードに対応すると明言されたが,新しく「X499」といったチップセットは登場しないのか。
Prior氏:
X399チップセットが直近でモデルチェンジする予定はない。ユーザーは安心して,既存のAMD X399チップセットマザーボードを選択して欲しい。ちなみに現行Threadripperは継続販売される見込みだ。
――Zenアーキテクチャでは,CPUコア数に応じて利用可能なPCI Expressのレーン数を増やせるはず。第1世代Threadripperで64レーンだったPCI Expressが,実動CPUコア数が倍になった第2世代Threadripperでは,最大128レーンとなったりするのだろうか。
Prior氏:
チップセットの変更はないので,PCI Expressの総レーン数に変更はない。64レーンのままだ。
――Threadripperシリーズは,ワークステーション分野にも訴求していくとのことだったが,第2世代ThreadripperはECCメモリに対応しているか。
Prior氏:
第1世代ThreadripperからECCメモリには対応している。当然第2世代も同様だ。
――価格はどのくらいになる見込みなのか。
Prior氏:
発売時期は2018年下半期で,今は価格を公表できない。第1世代Threadripperは併売されるので,価格はこれよりも高価になるだろう。競合(※Intel)の出方を見て,第1世代Threadripperと第2世代Threadripperを含めた価格の調整を行っていく可能性は否定できない。
PlayStation 4がFreeSyncに対応する可能性は?
先に言ってしまうと,プレスカンファレンスで公表された以上の情報はまったくなし。ただ,確認の意味も込めたいくつかの質問には回答していただいたので,簡単にまとめてみよう。
――Vega 7nmは,Radeon Instinctブランドで,ハイパフオーマンスコンピューティング(HPC)向けや機械学習向けのGPUとして登場する。なぜグラフィックス向けのRadeonとしてではないのか。そもそも,Radeon InstinctはGPGPU専用GPUなのか。グラフィックスパイプラインはあるのだろうか。
Sasa Marinkovic氏(以下,Marinkovic氏):
Radeon Instinctとして提供される理由は,HPCや機械学習分野からのニーズが高いからだ。
Radeon InstinctはGPUだ。ラスタライザも搭載しているし,3Dグラフィックスレンダリングもできるし,ディスプレイ出力もできる。ただ,これを普通のRadeonとして提供するかどうかについては,今,話すことはできない。
――MicrosoftのXbox One SとXbox One Xは,ファームウェアアップデートで(※ディスプレイ同期技術の)FreeSyncに対応した。ほぼ同世代のAPUは,ソニーのPlayStation 4シリーズにも採用されている。いずれPlayStation 4も,FreeSyncに対応するのか。
Marinkovic氏:
とてもいい質問だが,私の口からはお答えできない。ソニーに聞いてみてほしい(笑)。
という具合で,大した話はなかったのだが,来週はロサンゼルスでE3 2018が開催されるので,もしPlayStation 4とFreeSyncに関して何かが発表されるとしたら,このタイミングだろうか。
AMD公式Webサイト
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