プレイレポート
原点回帰を目指した「ニード・フォー・スピード」をプレイ。レースバトル以外にも,たくさんのカスタマイズ要素が魅力
原点回帰。新生「ニード・フォー・スピード」が登場
エレクトロニック・アーツから発売中の「ニード・フォー・スピード」(PC/PlayStation 4/Xbox One。PC版は2016年春発売予定)は,1994年にリリースされた「The Need for Speed」から,20年以上の歴史を誇るご長寿レースゲームシリーズの最新作だ。
「ニード・フォー・スピード」公式サイト
前作「ニード・フォー・スピード ライバルズ」から2年ぶりとなる今回は,これまでのシリーズの世界観やストーリー性,カスタマイズ性など,さまざまな要素を再構築したうえで,原点回帰が図られているとのこと。最近流行のリブートタイトルとして,シリーズ第1弾と同名のタイトルになっている。
開発は前作に引き続き,同シリーズを制作するために設立されたスウェーデンのGhost Gamesが担当しており,ゲームエンジンも前作に引き続き「Frostbite 3」が採用されている。
コンシューマ機版は発売されてしばらく時間が経っているが,11月26日には大型アップデートが配信され,AIカーの挙動などが改善された。というわけで,アップデートを導入したうえでの,新生「ニード・フォー・スピード」ともいうべきシリーズ最新作が,どんなゲームに仕上がっているのか見てみたい。今回,記事のためにプレイしたのはPlayStation 4版だ。
5つのプレイスタイルで名声を手に入れて
ストリートレース界のカリスマ達と戦おう
ゲームの主人公は,1人のストリートレーサーだ。いつものようにレースを楽しんでいた彼は,ある日,レーサーグループのリーダーであるトラビスに出会い,彼らと一緒に戦っていくことになる。彼らの世界では,お金よりもREP(名声)が重要であり,REPを獲得すると“REPレベル”が上がり,これによってゲームの世界が広がっていく……。ストーリーの流れは,こんな感じだ。
さまざまな走りをすることでREPが稼げるが,走りには以下の5つのカテゴリがあり,これらに沿った走り方をすることで,よりREPがもらいやすくなる。
- アウトロー:街を暴走するなど,法を恐れぬ走りを追求する
- スタイル:華麗なドリフトやドーナツターンなど,イカした走りを追求する
- ビルド:車のチューンナップやカスタマイズなどの改造の達人を目指す
- スピード:とにかく誰よりも速く走ることを追求する
- クルー:仲間と一緒に連結ドリフトなどで走ることを楽しむ
あてもなく街を流しているときでも,上記の走り方をすることでREPを獲得できるので,常にこれらを意識した走りを目指したい。
ゲームには,アウトローのトラビス,スタイルのマヌ(エマニュエル),ビルドのエイミー,スピードのスパイク,クルーのロビンと,それぞれの走りを極めた連中が揃っており,彼らと共にミッションをこなすことでもREPが獲得できる。もっとも,最初はあまり意識しなくても大丈夫だ。
また,諸星伸一氏(アウトロー),ケン・ブロック氏(スタイル),中井 啓氏(ビルド),マグナス・ウォーカー氏(スピード),シカゴのドリフト集団リスキーデビル(クルー)と,世界的に有名な実在のカリスマ達が登場して,物語に絡んでくる。ランボルギーニカスタマイズのパイオニアである諸星氏,そしてポルシェチューナーとして世界的に有名な中井氏と,2人も日本人が登場しているところが嬉しい。
遊び要素が満載の「ベンチュラ・ベイ」で
レースやアクティビティを楽しもう
ただ,車一台がやっと通れるような路地や,障害物を弾き飛ばしながらショートカットできるルートなど,走りのためにうまくデザインされており,そんな巨大な箱庭を思い切りぶっ飛ばすのは楽しい。
時間帯としては,ストリートレーサーのゴールデンタイムである夜間のみが再現されているが,薄暮になったり,遠くの空が明るくなったりすることがある。天候の変化としては雨があり,結構,雨模様のときが多い。霧や雪などもあれば良かったと思うが,西海岸の街にさすがに雪は降らないか。
ベンチュラ・ベイのあちこちには,ストーリーに関係したレースに挑戦できる「ミッション」と,タイムトライアルなどが楽しめる「イベント」が存在しており,ミッションやイベントを行うには開始ポイントに出向く必要がある。開始ポイントまでナビゲーションに従って走れば,REPも稼げたりするのでオススメだが,ワープもできるので,面倒くさがり屋の人はそれを使えばいい。
ミッションには,スパイクとのバトルに勝つ,マヌとのドリフトイベントに勝つ,エイミーとガレージで会うなどがあり,レースやバトルなどをクリアすると,新たなミッションが登場するという仕組みだ。ストーリーを進めるか進めないかはプレイヤーの自由なので,ミッションそっちのけでイベントを遊びまくっても全然構わない。
そのイベントには,決められた周回コースでレースをする「サーキットバトル」や,スタートからゴールまで決められたコースでレースをする「スプリントバトル」,制限時間内にドリフトやジャンプで目標スコアを達成する「ジムカーナ」など,8種類が用意されている。
最初に挑めるのは,ライバルの速さや難度の低い「イージー」のイベントだけだが,ミッションをクリアしたり,REPレベルが上がったりすると,「ミディアム」や「ハード」といった高難度のものが登場してくる。イベントは何度でも挑戦できるので,繰り返し挑戦してゲーム内クレジットを稼ぎ,新たな車の購入や,手持ちの車のカスタマイズをしたい。
ミッションやイベントのほかにも,「デイリーチャレンジ」として,「チェイス中,10の道路封鎖を突破する」「チェイス中に15台の車とニアミスする」などといったものが用意されている。毎日,3つのチャレンジが出現し,1つクリアするとクレジットとREPが入手でき,3つすべてクリアすると,カスタマイズパーツなどがアンロックされるという仕組みだ。
このほか,指定の場所に行って,写真を撮る「景色スポット」や,ドーナツターンを行う「ドーナツスポット」といった簡単なアクティビティも用意されており,ベンチュラ・ベイには遊びの要素がたっぷり詰まっているのだ。
市内にはパトカーも走っており,たとえレース中でも,パトカーと遭遇すれば彼らは血眼になって追いかけてくる。逮捕されれば罰金を支払わなければならないので,うまく逃げたいところだが,パトカーとの遭遇率は非常に低く,しかも楽勝でぶっちぎれてしまうので,気にしなくてもいいかもしれない。
筆者は逮捕されたことがこれまでに一度しかなく,もう少し気合いを入れてかかってきてくれてもいいんだけどな,と思う。ちなみに,サウスポートには警察本部があるので,パトカーの実力を知りたいときには,そのあたりをウロウロしてみよう。
好きな車を手に入れて
自由にチューンナップ&カスタマイズ
ゲームには,BMW,メルセデス,フェラーリ,ポルシェ,ランボルギーニなどの海外有名メーカーのほか,ホンダ,日産,トヨタなどの国産メーカーの車,合わせて51車種が収録されている。収録車種だけ見れば,レースゲームとしては少ないほうだが,今後,ダウンロードコンテンツで追加されていくことがアナウンスされている。
ちなみに,11月26日に配信されたアップデートでは,ケン・ブロック氏のHoonicornと諸星氏のLamborghini Diablo SV(ネオン付き)が追加になっており,この調子で,今後の追加車種に期待したいところ。
外観のカスタマイズについては,ボンネットやヘッドライト,バンパーなど,実在するメーカーのパーツから好きなものを選んで,取り付けることが可能になっている。オーバーフェンダーが取り付けられる車も用意されており,ド派手な“族車スタイル”にすることもできる。このあたり,筆者にとってはたまらない。
また,用意された図形(シェイプ)を重ね合わせ,車にオリジナルのラップを施すこともできる。デカールなども数多く用意されているので,それらをボディに貼り付けて,オリジナルのカラーリングを施すのもいいだろう。素晴らしいラップを作成する職人もいるが,作成したものをほかのプレイヤーに見せびらかす仕組みがないのが残念なところだ。
ハンドリングスタイルは,「ドリフト」から「グリップ」まで,スライドバーを動かすだけという簡単仕様で,スライドバーの位置に応じて,さまざまなパラメータが自動調整されるため,初心者でもお手軽だ。パラメータには,タイヤの空気圧やステアリングのレスポンス,ブレーキドリフトやドリフト安定性補助など,数多くあり,これらを個別に調整することもできるので,こだわりまくりたい上級者も安心してほしい。サスペンションについては,車高,トレッド幅,キャンバー角を細かく調整可能だ。
パーツをとっかえひっかえするたびにスペックの数値が変化するので,作業はしやすい。とはいえ,単純に数値が高ければいいわけではなく,組み込んだパーツとハンドリングスタイル,サスペンションチューニングで,どこまで自分好みのセッティングに落とし込めるかがポイントになる。
言うまでもないと思うが,最初から使えるカスタマイズパーツは全体の一部のみで,必要なREPレベルに達したり,エイミーのミッションをクリアしたり,デイリーミッションを達成したりすることで新たなパーツがアンロックされていく仕掛けだ。また,ミッションはオートマのみでマニュアルが用意されていないが,コーナーでシフトダウンしてギアを合わせて走る,といったゲームではないので,個人的には気にならなかった。
箱庭で熱いストリートレースを楽しもう!
マルチプレイの充実にも期待
挙動はアーケード寄りで,ステアリングコントローラは使えず,ゲームパッドでプレイすることが前提に調整されているため,レースゲームのビギナーでもコントロールしやすいだろう。とはいえ,ハンドリングスタイルでドリフトに振れば,即座にリアが流れ出すし,グリップに振ればブレーキングで速度を合わせて曲げるグリップ走行にもできる。何度も走り込み,車種ごとに自分好みのハンドリングスタイルに仕上げられると,ゲームはさらに面白くなってくる。
気になったのは,オンラインプレイ必須なのに,オンライン要素があまり多くないところだ。複数のプレイヤーでレースやドライブを楽しめたり,プレイヤー同士が連携を取れるチャットのようなものもあったりするとなお良かったと思う。ちなみに,オンラインプレイ必須につき,どんな場合でもゲーム中にポーズをかけることはできない。
原点回帰したかどうかはともかく,アーケードライクなレースゲームとして,初心者から上級者まで幅広く熱いレースバトルが楽しめる作品に仕上がっている。自分のペースでゲームを進めていけるのも良いところで,ストリートでド派手なレースを繰り広げてもよし,車をカスタマイズし,オリジナルデザインを作成してもよしと,お楽しみもいっぱいなので,レースゲームファンはぜひ,チャレンジしてほしい。
「ニード・フォー・スピード」公式サイト
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(C)2015 Electronic Arts Inc.
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