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印刷2017/02/18 12:14

プレイレポート

「フォーオナー」のプレイレポート。英雄が集う戦場を舞台に,腕だけがモノをいう白熱の剣戟バトルを制するのだ

 2017年2月16日,ユービーアイソフトから新作アクション「フォーオナー」PC/PlayStation 4/Xbox One。原題,「For Honor」)がリリースされた。ナイトとヴァイキング,そして侍という3つの勢力が争い続ける世界を舞台に,プレイヤーは優れた能力を持つ屈強なヒーローとなって,戦場で敵をなぎ倒しつつ,自軍を勝利に導くのだ。

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「フォーオナー」公式サイト


 本作を開発したのは,ユービーアイソフトのモントリオールスタジオで,2015年のE3で電撃的に発表されたときから話題となり,発売直前の2月9日〜12日に行われたオープンβテストでは,全世界で累計600万人が参加するなど,大きな注目を集めていた(関連記事)。4Gamerではこれまで,本作のαテストβテストの模様を紹介しているが,今回は発売された製品版を元に,改めてそのプレイインプレッションをお届けしたい。
 ちなみに,プレイしたのはPlayStation 4版で,文中の操作ボタンの説明などはそれに準じている。スクリーンショットも本体標準の機能を利用して撮影したものだ。また,本作のメインともいえるオンラインマルチプレイを楽しむには,PlayStation 4版ではPS Plus,Xbox One版ではゴールドメンバーシップへの加入が必要になる。

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「アート・オブ・バトル」は,たった2本のスティックで熱い駆け引きが楽しめる斬新なシステム


 世界観やマルチプレイの話に入る前に,まずは,本作の基本操作であると同時に,プレイのキモとなる「アート・オブ・バトル」システムについて紹介したい。
 プレイヤーキャラクターとなった各勢力のヒーローは,コントローラの[L2]ボタンを押すことで敵をロックオンし,同時に「構え」状態に入る。ここで右スティックを「上」「右」「左」に倒すことによって,構えの方向を変えることができる。キャラクターは構えた方向に攻撃を繰り出すほか,(一部のヒーローを除いて)その方向からの攻撃を自動でガードするので,構えとは攻防一体の存在だ。
 プレイヤーが構えを「どのタイミング」「どちらの方向に」変えるかが,戦いにおいて非常に重要な駆け引き要素になる。敵の構えも基本的に常時表示されるので,なおさら「いつガードを解いて攻撃の構えに移るのか」の読み合いが熱い。なお,ガードは万全ではなく,残りの2方向が無防備になるし,ガード崩しも簡単に発動できる。

「構え」の方向が同じ敵には,ガード不可能な技を繰り出すか,あるいはガード崩しを当てないと,まともなダメージを与えられない。もちろん,それは敵も同じであり,攻めと守りで構えをどう変えていくかが戦いのポイントになる
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 本作は接近戦がテーマであり,飛び道具は非常に少ない。基本的には,手持ちの刀や槍が届く範囲しか攻撃できないと考えていいだろう。左スティックで距離や間合いを調節しつつ,右スティックで構えの方向を敵と読み合うのは,シンプルな操作でありながら奥が深く,一瞬も気を抜けないのだ。当然ながら,構えを変えずに闇雲に攻撃しても,対戦相手はおろかNPCにすら通用しないことが多く,むしろスタミナを失ってヘロヘロになってしまうはずだ。
 操作は簡単でも,数的優位でもない限り条件はフェアであり,プレイヤー同士の「真剣勝負」が常に繰り広げられる。

自分の構えは上を向いているが,敵の構えは(自分から見て)左向きであり,かつカーソルが赤いので攻撃が目前に迫っている。直ちに構えを左にすればガードできる可能性があるが,逆にフェイントということもあり得る。うーん,悩む
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 登場するキャラクターは長剣を持ったものから,短剣や槍,斧を持ったものなど,タイプはさまざまだ。それぞれに移動速度やリーチが違うのはもちろん,対戦中に活躍すると得られる「名声」を集めると利用可能になる特殊スキル「戦技」も,それぞれに固有のものが割り当てられていて,戦場での立ち回りも異なる。新たなキャラクターは,ゲーム内ポイントの「スティール」でアンロックでき,カスタマイズできるほか,一部は性別の変更も可能だ。

新たなヒーローをアンロックしたり,装飾を使うには,「スティール」と呼ばれるポイントや,ゲーム内で特定の条件を満たす必要がある。スティールは「デイリーオーダー」と呼ばれる,日ごとに変わるミッションで多めに入手できたりするので,必要なら,それらを優先して達成しよう
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 装着できる装備品は,戦闘終了後に手に入ったりするが,それ以外の,見た目を変える装飾品も多く,また上記の戦技も付け替えできるので,思ったよりもキャラクターをいじれるという印象だ。気に入ったキャラクターがいるなら,積極的に使用し続けて,お気に入りの見た目と性能に仕上げてやろう。

プレイを続けると,見た目のカスタマイズオプションが増えるだけでなく,戦技も変更できるようになる。いろいろなキャラクターを試すのもいいが,1人を集中してプレイすれば,それだけカスタマイズの幅が広がる
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女騎士「アポリヨン」を中心に,長きにわたる戦いの秘密を探る「ストーリーモード」


 本作の「ストーリーモード」は,ソロか最大2人のCo-opプレイが可能で,ゲーム世界がどのようにして血みどろの戦争を長年続けることになったのかを探る物語が繰り広げられる。ストーリーは3章で構成されており,1章がナイト,2章がヴァイキング,そして3章が侍を主役にし,20年前から現在まで,過去をたどっていくという流れだ。敵として倒した勢力が次の章で主役になる展開が多く,憎らしかった敵の内情が分かるのが面白い。

物語のキーを握る女騎士「アポリヨン」。彼女の行く先々で戦乱が起こり,世が乱れるが,どうやらそれを狙っているらしい
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 マップはマルチプレイで見覚えがあるところも多いが,演出がうまく,違和感などはもちろんない。むしろド派手な大戦争的シチュエーションが多く,難度も割と歯ごたえがあるため,コントローラを握る手にも思わず力が入る。シングルだからといって,楽勝だと思ったら大間違いなのだ。
 もっとも,ストーリーモード自体はチュートリアルを兼ねており,全キャラ共通の基本操作以外に,キャラごとの特性や技を自然と使わなければならない場面も用意されている。
 ちなみに本作には,プレイの方法が学べる「訓練」というモードもあるが,あくまで基本操作の確認で,いささか味気ないので,早くマルチプレイに飛び込みたい気持ちは分かるが,個人的には,まずストーリーモードを始めたほうがいいと思う。

ストーリーモードのマップにある「注目ポイント」は,単にリザルトに反映されるだけでなく,より世界観を深く楽しむためのオブジェクトでもある。せっかくなので,いろいろ探してみよう
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 脇目も振らず目標だけ達成していくと,結構テンポよくクリアできるボリュームになっているが,マップには「注目ポイント」「破壊ポイント」という隠し要素的なものも多数設置されており,それらをすべて見つけるのはかなり大変だ。マップが相当広いステージもあるが,敵を倒すついでに探し回ってみてもいいだろう。というか,筆者はついそうしてしまう。

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タイマンバトルの「デュエル」から陣取り合戦の「ドミニオン」。いろいろなモードで白熱のマルチプレイ


 本作のメインとなるマルチプレイには,1人対1人のシンプルな決闘を楽しむ「デュエル」,2人対2人のチーム戦をおこなう「ブロウル」,最大4人対4人の計8人で陣取り合戦をおこなう「ドミニオン」,そして同じく4人対4人で戦う「デスマッチ」があり,さらにデスマッチには,「スカーミッシュ」「エリミネーション」が用意されている。また,対戦相手を人間とAIから選ぶこともでき,AIを相手に選んだ場合は,最大4人での協力プレイになる。
 対人戦でも参加人数が足りないチームには一時的にAIが割り振られるため,AIが操作することを表す[BOT]という文字をマルチプレイで見かけるだろう。

ドミニオンでは,拠点を占領して1000ポイントを確保すると相手は崩壊状態になり,リスポーンが不可能になる。双方とも1000ポイントを超えることもよくあり,この状態では,両チームともリスポーンが不可能のヒヤヒヤした戦いになる
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 マルチプレイの一番人気は,やはりドミニオンで,これはマップの中に用意された2つの拠点と1つの前線を占領して,計1000ポイントの獲得を目指す。1000ポイントを超えると敵は崩壊してリスポーンできなくなるので,残りを全滅させたら勝ちというルールだ。マップは全体的にコンパクトで,かつ拠点占領時に100ポイントが得られる仕組みであるため,実力が拮抗していれば,ダイナミックなシーソーゲームになる。膠着状態はほとんどなく,展開は非常にスピーディーなのも,人気の理由だろう。

味方を強化する戦技を使い,全体の戦局を優位にするのも1つの戦い方だ
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 ドミニオンは「拠点の外へ逃げる敵を追いかけていたら,いつの間にか逆転されていた」ということもしょっちゅうあり,戦闘のテクニックだけでなく,戦場全体の動向の確認やチームでの連携が重要になる。逆にいえば,戦闘を避けて拠点を占領して回ってもいいわけで,立ち回りの自由度は高い。とくにアサシン系のキャラクターは足が速く,そういう用途に向いている。
 数的な劣勢に立つと戦いに勝つのが非常に難しくなるので,味方がピンチに陥った場合,そこへ向かうのも重要だ。

ストーリーモードなどでも見かける「兵士」は,基本的に戦場の「にぎやかし」程度の力しかないが,倒せば名声が得られる。早く戦技を使いたいときは積極的に狙うのも手だ
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ポイントとリスポーンはあるが,占領すべき拠点がないのがスカーミッシュの特徴。逆に戦闘以外ではポイントは動かないので,腕が立つほど有利になる
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 チームデスマッチは,デュエルやブロウルに近いシンプルな斬り合いが楽しめるルールだ。そうはいっても,スカーミッシュとエリミネーションはプレイフィールがだいぶ異なる。
 スカーミッシュは「陣取りをなくしたドミニオン」といった趣で,敵を倒すと加算されるポイントを1000溜めることで相手チームがリスポーン不可になり,その後,敵のヒーローを一掃すれば勝利する。確保すべきゾーンがないため,マップの各所で戦いが起きるが,戦闘ですべての得点が決まるため,逆転の手段は乏しい。味方との連携が,より重要だ。ザコ兵の「兵士」も配置されているが,ドミニオン以上に空気といった雰囲気だ。

 リスポーンがなく兵士もいないエリミネーションは,デュエルやブロウルの拡張版といった印象だ。最初こそ,お互いに正面を向き合った状態のタイマン勝負で始まるものの,すぐに向きを変えて味方と合流してもいいし,そのまま敵と戦ってもいい。所属するチームのプレイヤーが最後まで生き残れば勝利になるが,ポイントではなく生死がそのまま勝敗に直結するため,場合によっては,あっという間に決着がついてしまうこともある。

数的に優位になればエリミネーションの勝率はぐっと上がるが,当然,敵も黙ってそうさせてくれるわけではない
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 デスマッチでは特殊スキルの「戦技」が使用可能で,基本的に行うのは戦闘のみだが,参加人数が多いだけに,デュエルやブロウルより不確定要素が大きい。
 少人数の勝負では,筆者のようにあまり戦いが得意でないプレイヤーは負けが込んでしまいがちだが,デスマッチでは,それなりに活躍の余地が増える印象がある。陣取りにちょっと飽きたかも,といったときにプレイするといいだろう。


FPSのような「戦場感」と格闘ゲーム的な「読み合い」が融合した新たなゲーム。さあ,戦場に飛び込もう


 本作で採用されたアート・オブ・バトルは,ゲームコントローラとして一般的な2本のアナログスティックを使うことにより,チャンバラバトルを巧みに実現したシステムだ。見た目は映画さながらでカッコいいが,それだけなく,プレイヤー同士の「攻撃の読み合い」につながる仕組みであり,実に練り込まれているように感じる。格闘ゲームを思わせるシビアさもあり,操作に慣れるまではあっという間にやられてしまうことも多いが,思った場所に攻撃や防御ができるようになれば一気に面白くなってくる。そのあたりも,格闘ゲームに似ている。

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 練習を積んでストイックに戦うのもいいが,敵の攻撃を集中して受けることで発動する「反撃モード」で一発逆転を狙ったり,キャラクターによっては飛び道具で敵を攪乱したりと,モードによって戦術の幅が広く楽しい。とどめアクション「エクセキューション」は,決まれば気持ちよく敵のリスポーンを遅らせることもできるが,モーションの間は無防備になるなどリスクも相応にあったりするので,悩みどころだ。
 ヒーロー同士の斬り合いがメインだが,怒号や弓矢が飛び交い,建物が焼けるステージはまさに戦場そのもので,美しいグラフィックスと相まって,この雰囲気だけでも気分がぐっと盛り上がる。相手が兵士だけなら,無双っぽいこともできる。

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 各モードの印象としては,とくに全体の戦局が重要な陣取り合戦と,対人戦の熱い読み合いが合体したドミニオンのデキは非常に良く,筆者もついヒートアップして勝っても負けても再戦してしまう。マッチングによっては一方的な戦いになってしまうこともあるが,僅差で勝利を掴んだり,劣勢から逆転を決めたときの嬉しさは言葉で表せないほどだ。戦士バンザイ。
 もちろん,腕に自信がある人は,純粋な剣術勝負となるデュエルやブロウルが楽しいだろう。

本作には「ファクションウォー」と呼ばれる各勢力による支配地域の奪い合いが実装されており,マルチプレイの総合的な結果によって,領土に変化が生じる。1人のプレイヤーが与えられる影響は微々たるものだが,それが積み重なってマップと戦闘後の報酬(リワード)が変化していくのは面白い
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 「プレイヤーの腕前が勝敗に直結する剣術バトル」と「戦場ならではの混沌と不確実性」が融合し,新たなプレイフィールを生み出したフォーオナー。「俺は世界を相手に現代の宮本武蔵を目指すぜ」という人や,ちょっとシビアなゲームをやってみたい人など,多くの人にぜひ楽しんでもらいたい作品だ。

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