インタビュー
目標は「スマホ向けMMORPGといえばリネレボ」という状況を生み出すこと。「リネージュ2 レボリューション」日本版のキーマンにインタビュー
2016年12月にスタートした韓国での正式サービスでは記録的な大成功を収め,半年が経った今でもセールスランキングの上位をキープ。その後ローンチされた11の国/地域でも大きな注目を浴びているビッグタイトルである。
日本版リネレボでは,現在事前登録受付が行われている真っ最中だが,すでに67万人を突破している登録者数が示しているように,大きな期待を持って正式サービスを待ち望まれている。今回4Gamerでは,そんな同作のカルチャライズ作業を指揮する同作の日本運営プロデューサー 青木直也氏と,広報チーム チーム長の浅野洋将氏にインタビューする機会を得た。ある意味“大成功”が約束されている超大型タイトルの日本展開に関わる両名は,リネレボにどのような手応えを感じ,どのような展開を検討しているのか。本作に期待している人はぜひ目を通してほしい。
「リネージュ2 レボリューション」公式サイト
記録的な成功を収めた大型MMORPGがついに上陸
日本での反響は?
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。「リネージュ2 レボリューション」(以下,リネレボ)に関しては4Gamerでも多数の記事を掲載していますが,まずは同作の特徴や魅力について,あらためて教えてください。
4Gamerの読者なら皆さんご存じでしょうが,リネレボは,PC向けMMORPG「リネージュII」のIPを使ったスマートフォン向けMMORPGです。
従来のスマホ向けオンラインRPGでは,4人から5人くらいのプレイヤーが一緒に遊べるくらいの規模感がまだまだ一般的ですけれど,リネレボの攻城戦というコンテンツでは,最大50人からなる4血盟,つまり最大200人規模のリアルタイムマルチプレイが楽しめます。これが本作最大の特徴といえるでしょう。
4Gamer:
最大200人でのリアルタイムバトルとなると,確かにスマホ向けのオンラインRPGでは一般的でない規模感ですね。
青木氏:
加えて,スマホ向けMMORPGでもトップクラスのグラフィックス品質も大きな魅力です。本作ではゲームエンジンとしてUnreal Engine 4を採用しており,PC版リネージュIIに勝るとも劣らない高品質なビジュアルで,大規模な対人戦闘をリアルタイムで楽しめます。
4Gamer:
Unreal Engine 4を採用したスマホ向けゲームは,現時点ではそれほど多くないですし,IPの強さやキャラクターデザインの秀逸さ,大規模なマルチプレイ要素も相まって,開発が発表された当時から注目を浴びていました。
一部の国や地域では先行して正式サービスが行われていますが,それを裏付けるかのような実績が,日本にも伝わってきています。
浅野洋将氏(以下,浅野氏):
はい。韓国では2016年12月14日に正式サービスがスタートしたのですが,初日の売上が79億ウォン(約7億円),初月の売上は2060億ウォン(約200億円)と,韓国だけでなく世界的に見ても記録的なセールスを達成しています。ちなみにDAU(Daily Active Users)としては215万人,平均同時接続者数としては74万人を記録しました(関連記事)。
4Gamer:
私もこのニュースを目にした当時,桁を間違えているのかなと一瞬目を疑いました。
ローンチから6か月が経過していますが,いまだにセールスランキング上位をキープしているのですから,本当に驚きですよね……。
このように韓国では圧倒的な人気を誇っているリネレボですが,先日(2017年6月14日),アジア11地域/国での正式サービスも開始されまして,いずれも好調な滑り出しとなりました(関連記事)。
4Gamer:
そういった中,中国および日本での正式サービスが間近に迫っているというのが現在のステータスですね。
浅野氏:
おっしゃるとおりです。
4Gamer:
すでに日本でも多くの耳目を集めているリネレボですが,反響をどのように受け止めていますか?
浅野氏:
7月5日の時点で,事前登録者数が67万人を突破したのですが,それ以降も順調に推移しています。正式サービス時のキャラクターネームを先行登録できるキャンペーンも好評で,これまで2回ほど登録者数の上限開放をしているものの,すぐに定員に達してしまうので,我々としては嬉しい悲鳴といったところです。
4Gamer:
ニコニコ超会議でのオフラインイベントも,相当盛り上がっていましたね。
浅野氏:
ニコニコ超会議では2日間で計4回,30対30の大規模対戦が楽しめる要塞戦をお披露目したのですが,おかげさまで大きな反響を得られました。そこで確認できたユーザーさんの熱は,我々にとっても大きな自信となっています。
4Gamer:
4Gamerでも取材させてもらいましたが,本当に盛り上がりましたねぇ。私はPC版リネージュシリーズの経験者なので,ちょっとムキになって29Killを獲得したんですが,私と同キル数の方が普通にいて驚かされました。
浅野氏:
シリーズの経験者にも楽しんでいただけたようで安心しています。それにしても初見で29Killは結構すごいですね(笑)。
これまでは,どちらかというとプロモーションの規模を絞っていたこともあり,リネージュシリーズを知っている人,経験者が積極的に事前登録をしてくれている印象を受けます。ニコニコ超会議の会場にも,そういった方々が駆けつけてくれたのかもしれませんね。
PC版のボリューム感とスマホならではの手軽さを両立
4Gamer:
続いて,日本展開のキーマンが個人的に「面白い」「これはイケる」と感じている要素についてお聞かせください。MMORPGというジャンルはとにかくコンテンツが豊富なので答えづらいところもあると思うのですが,ぶっちゃけ,リネレボのどこが「スゴい」と感じていますか?
本来であればPCで遊ぶのが普通のMMORPGを,スマートフォンで遊べてしまうという時点で興奮しますね。個人的にも注目していたタイトルだったので,海外版がリリースされた際にいち早くプレイしたのですが,あのリネージュIIがスマホで再現されているのを確認できた瞬間,鳥肌が立つくらいの衝撃を受けました。
私もかつてはPC向けのMMORPGをプレイしていたんですけど,さすがに社会人になると,家に帰ってからPCを起動して,クライアントを立ち上げてさあ遊ぶぞと思ったところでアップデートが入って……みたいな一連の流れが,正直なところツラいところもありますよね。それがリネレボであれば,家で寝っ転がりながらでも遊べますし,外出中でも攻城戦が楽しめてしまうんですよ。「このクオリティなら絶対にイケる!」と確信しています。
浅野氏:
僕はPC向けMMORPGにそれほど明るくはないんですが,それでもやはり,リネレボのボリューム感とグラフィックスには驚かされましたね。この驚きは,リネージュシリーズの経験者でも,未経験者でも,リネレボを実際にプレイすればすぐに理解できるレベルだと思います。
4Gamer:
Unreal Engine 4を採用したスマホ向けの大作が続々とリリースされてきていますが,リネレボは圧倒的に重厚なゲームプレイ,大規模な対人戦闘が楽しめるというところが大きなウリと言えそうですね。
となると,カジュアルなスマホゲーマーでも楽しめるゲームバランスになっているのか,気にしている人も多いと思いますが,こちらについてはいかがでしょうか。
青木氏:
確かに攻城戦や要塞戦は,隅から隅まで楽しむためにはそれなりの準備が必要なコンテンツであり,その過程も含めて大きな魅力となっています。ですが本作には,プレイヤーでパーティを組んでボスを倒すダンジョン型コンテンツや,1対1の対人戦コンテンツも用意されていますので,キャラクターの成長に応じて,幅広いプレイヤー層に楽しんでもらえるのではないかと考えています。
4Gamer:
加えて,推奨スペックやデータ通信量についても気になっている人がいると思いますが,どうでしょうか。
青木氏:
まだ完璧な検証はできていないのですが,海外でのサービス状況や,開発環境での印象から判断するに,データ通信量に関する心配は不要だろうと考えています。
また,高品質なグラフィックスがウリのタイトルですが,オプション設定で画質を細かく調整できるので,Androidのバージョンでいうと4.4以降,iOSのバージョンでいうと9.0以降の端末であればプレイが可能です。
4Gamer:
あら,思ったよりも動作環境の幅が広いですね。対人コンテンツのあるゲームでは,グラフィックス周りを軽めに設定したほうが何かと都合のいいこともあるので,設定項目が豊富なのはうれしいところです。
青木氏:
個人的には,ぜひ一度はタブレットでのプレイを経験してもらいたいですね。高品質なグラフィックスと大規模なマルチプレイをウリとする作品なので,大きな画面で遊ぶと本当に楽しいですよ。
浅野氏:
アカウント登録をすることで,家では大画面のタブレットで,外では持ち運びやすいスマホでプレイする……というスタイルも可能ですので,可能な人は,正式サービス後にぜひ試してみてください。
「スマホ向けMMORPGといえばリネレボ」
という状況を生み出すことが最大の目標
4Gamer:
時間をかけて鍛えに鍛えたプレイヤーキャラクターで,レイドやGvGといったエンドコンテンツに挑戦するのがPC向けMMORPGの醍醐味ともいえますが,そこまで到達するのがとにかく大変ですよね。リネレボはスマホ向けに最適化されているということで,さまざまな面でプレイアビリティの向上が図られていると思うんですが,そのあたりについてはいかがでしょう。
青木氏:
PC向けMMORPGと同等の重厚なプレイ体験を味わえる本作ですが,スマホ向けアプリならではの手軽さももちろん備わっています。たとえばリネレボでは,クエストの受注からモンスターの討伐,そしてクエストの完了までの流れを,オートプレイでサクッと楽しめます。
4Gamer:
レベリングや金策のための“狩り”で,ストレスを感じることはなさそうですね。
浅野氏:
経験値が多めにもらえるダンジョンや,各種強化素材を入手できるダンジョンなど,スマホゲームでおなじみの「曜日ダンジョン」的なコンテンツもありますので,すき間時間を利用したプレイでも,ゲームを効率よく進められると思います。
4Gamer:
なるほど,キャラクターの育成環境はずいぶん優しくなっていますね。PC向けのMMORPGでは,レベル上げ目的でダンジョンに行くために,パーティメンバー集めや移動だけでも1時間以上かかったものですが……。
青木氏:
リネレボではマッチング機能も充実していますし,テレポート機能も搭載されていますから,そういったところでストレスを感じることはほぼないと思いますよ。
4Gamer:
海外版を見る限り,マネタイズ要素として武器/防具ガチャが存在するのは確認できたのですが,ほかにはどのような有料サービスが用意されているんでしょうか。
青木氏:
武器や防具のガチャが目立つと思うのですが,そのほかにもさまざまな強化/育成サポートアイテムを用意しています。一定時間おきに無料で回せるガチャもありますし,ゲームのさまざまな場面で有料ポイントを入手できますので,無料の範囲で楽しむことも十分可能です。
浅野氏:
基本的には,時間短縮要素ですね。クエストの報酬やモンスターからのドロップで武具を入手できますが,ガチャを含むショップの商品を利用すれば,ある目的を達成するまでのプレイ時間を短縮できる,というイメージです。
今後はユーザーの動向を見ながら,ニーズによってはアバター要素などの追加も検討できればと考えています。
4Gamer:
そういえば,リネージュシリーズでキャラの強化といえば,武具の能力を向上させるエンチャントシステムが有名ですが……。
青木氏:
はい,リネレボにも盛り込まれています。ただし本作では,同じ武具でも複数のグレードに分かれていますし,武具そのものに強化レベルの概念があります。それに加えて,武器・防具強化スクロールによる強化が可能なんです。
4Gamer:
オーバーエンチャントによる特殊エフェクトの付与や,強化失敗によるペナルティについてはいかがでしょうか。
青木氏:
エンチャントの最大値はグレードによって変化します。一定値以上の強化に成功すると武器に特殊なエフェクトが付与されるのはPC版と同様ですが,もし強化に失敗しても,強化段階がダウンすることがある程度で,武器そのものが消えることはないのでご安心ください。
今お話したとおり,武器は消えませんが強化値は失敗し続けると数値が下がってしまいます。運が悪いと強化値が最低までダウンしてしまうのですが,これでは高い強化値にたどり着くのは大変ですよね。そこで,より多くの方に装備強化に挑戦していただきたいと考え,日本サービス時にはカルチャライズの一環として,強化段階が一定以上まで成功すると,その後強化に失敗しても強化段階がダウンしなくなるシステムの導入を検討しています。
4Gamer:
有料で入手した武具が跡形もなく消えてしまうのも問題でしょうし,そのあたりはさすがにマイルドに調整されているんですね。
もう一つ,リネージュシリーズの尖った特徴の一つであるPK(Player Kill)は,リネレボではどうなっているんでしょうか。
青木氏:
PKはPK可能エリアのみ可能で,どこでもできるわけではありません。PKは可能だけど,PKカウントが上昇しないエリアというものも存在します。「攻撃しない」「反撃のみ」といった具合に方針を設定することもできるので,プレイスタイルや好みに応じて使い分けていただけます。
4Gamer:
リネージュシリーズでは,PKをして赤ネーム状態(カオティックプレイヤー)のときに他のプレイヤーに倒されると,持っているアイテムをドロップする仕様がありましたが,これももちろん調整されていますよね。
青木氏:
はい。有料アイテムが落ちてしまうと大変ですので……。ちなみにPK行為を続けて赤ネーム状態になると,能力値が大幅にダウンするというデメリットがありますので,過度なPKは出来ないようになっています。
4Gamer:
なるほど。刺激的な要素な残しつつも,荒れそうな仕様に関しては角を落としている形ですね。能力値が大きくダウンするのであれば,赤ネームキャラが大暴れして手が付けられない……みたいな状況も発生しにくそうです。
4Gamer:
ここまで話を聞いてみて,時流に即した調整がなされているなと素直に感じたのですが,そのほか,日本展開をするにあたっての懸念点みたいなものはありますか?
浅野氏:
おっしゃるとおり,ゲームのバランシングについてはうまく調整できていると思うんですが,MMORPGというジャンルそのものに備わっている“障壁”みたいなものは感じています。
本格的でボリューミーな作品であるものの,だからこそ手を出しにくいという層も少なからず存在しますので,そのイメージをどうカジュアルに寄せていくか,日々頭を悩ませています。
4Gamer:
オンライン要素のあるスマホ向けRPGは増えてきましたが,その多くは非同期型の緩いソーシャル要素がウリですし,これだけ本格的なタイトルとなると,確かに“重い”と感じるライトゲーマーもいそうです。
はい。MMORPGと聞くだけで「難しそう」と感じる人は少なくないですよね。それでも我々は,リネレボの重厚なゲーム体験と,エキサイティングな大規模対人戦の魅力を積極的にアピールしていき,「今遊んでいるリネレボはMMORPGというジャンルらしい」と,カジュアル層に気付いてもらえたら嬉しいなと考えています。
4Gamer:
そういったチャレンジの一環として,オフラインイベント「YouTuber対抗! 30vs.30超巨大マルチバトルリーグ」の開催が発表されました。
浅野氏:
このイベントは,本作の魅力の一つである要塞戦を,リーグ戦形式で行うというものです。3人一組の人気YouTuberが4チームに分かれ,それぞれが27名の一般参加者を募って激突するという内容で,勝利した2チームは,別途開催予定の決勝戦で雌雄を決します。
イベントの特設サイトでは,参加者登録および優勝チームの予想受付が行われており,決勝戦の模様は生番組としても配信予定です。「リネレボを先行でプレイしてみたい!」という方は是非この機会にご参加ください。また「リネレボに興味はあるけど難しそう」というユーザーは,どんな形でもいいので楽しんでもらえたらなと思います。
4Gamer:
このインタビューをチェックしているようなコアゲーマーであれば,何も言われなくともとりあえずリネレボを試してみるでしょうし,こういった施策でカジュアル層にアピールするのも興味深いですね。
……ふと気になったんですけど,リネレボの競合タイトルとしてベンチマークしているゲームは,どのあたりになりますか?
浅野氏:
実は,ベンチマークしている競合タイトルはありません。普通は競合タイトルを設定して対策を取ったりするものなんですが,リネレボはすでに海外でもかなりの好成績を記録していますし,日本展開でも小さくまとまりたくないという想いもあり,あえて競合タイトルを設定していないんです。
我々の最終的な目標は「スマホ向けMMORPGといえばリネレボ」と言われるような,スマホ向けMMORPGとイコールで想起されるようなポジションを得ることなんです……って,自分で言っていて心配になってきましたが(笑)。
4Gamer:
いやいや,海外での成績を見る限り,それだけのポテンシャルを秘めているタイトルであることは,間違いないと思います。お二方のプレッシャーを想像するだけで胃のあたりが重くなります……。
青木氏:
成功させる気満々です。本作が面白いゲームであることは世界中で証明されていますし,達成できない目標ではないはずです。
4Gamer:
個人的にもリネージュシリーズのコアプレイヤーでしたし,日本版リネレボにも大いに期待させていただきます。
それでは最後に,本作の正式サービスを待ち望んでいるファンに向けて,メッセージをお願いします。
浅野氏:
リネレボの正式サービスがスタートしたら,多くの方が楽しめる,これまでに味わったことのない最高のゲーム体験をお届けすることをお約束します。こういうことを発言するにはそれなりの覚悟が必要になりますが,我々はリネレボが,それを可能にするゲームであるという確信を抱いています。
スマホ向けMMORPGを本作で大衆化し,誰でも気軽に楽しんでいるという状況を生み出すためにカルチャライズを進めていますので,ローンチされたあかつきには,リネージュシリーズファンもそうでない人も,ぜひ一度遊んでほしいなと思います。
青木氏:
事前登録受付の開始からずいぶんと時間が経ってしまい申し訳ないのですが,準備期間に見合うだけのクオリティで正式サービスを迎えるつもりです。海外版そのままの状態でリリースするのではなく,日本に適した形のカルチャライズを進めていますので,海外版の情報だけで判断するのではなく,日本版リネレボをぜひ実際にプレイしてもらえたら嬉しいです。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「リネージュ2 レボリューション」公式サイト
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