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「あんぷらぐど☆げーまーず」第7回:ダイスひと振りで戦車が吹き飛ぶカードゲーム「タンクハンター第2版 イェーガー」
戦車や戦闘機といった軍用兵器は,いつの時代も男の子にとってのあこがれの対象だ。筆者もそんなミリタリー男子の一人だったりするわけで,「艦隊これくしょん -艦これ-」「World of Tanks」「ガールズ&パンツァー」といった,近年のミリタリー色の濃いアニメ&ゲームの隆盛は,個人的にとても嬉しく,楽しませてもらっている。4Gamer読者の中にも,そういった人はきっと多いことだろう。
今回紹介したいのは,そんなミリタリー男子――中でも戦車派のあなたにオススメしたい「タンクハンター第2版 イェーガー」だ。そもそもの「タンクハンター」とは,1989年にホビージャパンから発売されたカードゲームのこと。名作と知られつつも,絶版により長らく入手不可能だった同作が,アークライトによって現代風にリメイクされ,「タンクハンター 第2版」として発売されたのが2014年12月。そして2015年4月に発売されたのが,その拡張セット「イェーガー」というわけだ。拡張セットとなっているが,実は単体でもプレイ可能な本作の魅力を,じっくりと解説していこう。
「タンクハンター第2版 イェーガー」紹介ページ
敵ユニットを発見し,撃破せよ!
本作の基本ルールは,至ってシンプルだ。
ゲームは,各プレイヤーがまず配られたカードの中から1枚を選んで自分の手札とし,残りを隣のプレイヤーにわたす「ドラフト」を繰り返し,自分の部隊を編成するところから始まる。このとき配られるカードには,ユニットカードとイベントカードの2種類があるのだが,ここで重要になるのは部隊の戦力となるユニットカードのほうだ。イベントカードについては後述するが,まずはユニットカードを中心に選んでいくといい。
そうして6枚の手札が揃ったら,ユニットカードを目の前に伏せた状態で並べていく。並べ方は自分の好きな順番で構わないが,ユニットの配置には「前線」と「後方」の二つがあるので,それが他のプレイヤーから分かるよう2列にしておく。戦闘に参加できるのは基本的に「前線」のユニットのみなので,迷ったら前線に置いておけばいいだろう。これで戦闘の準備は整った。
プレイヤーの目的は,自分が持つユニットで,ほかのプレイヤーのユニットを撃破して戦果を挙げていくことだ。自分の手番のたび,「偵察」「攻撃」「待機」のいずれか1つの行動を取って,ほかのプレイヤーの戦車の撃破を狙っていく。
まず重要になるのは,ほかのプレイヤーの伏せられたユニットカードを表向きにする「偵察」だ。伏せられた状態のユニットは,攻撃対象として選ぶことすらできないので,これを「偵察」によって攻撃できるようにする。実際の処理は,まずは自軍から「偵察」に用いるユニットを選んで,ダイスを1個を振るだけ。ユニットごとの偵察能力(双眼鏡のアイコンの数値)以下を出せば成功となり,出目の数だけ敵軍の伏せカードを表向きに変えられる。偵察能力はユニットごとにばらつきがあるので,この能力の高いユニットで偵察を行うのがベストだ。
そうして攻撃する対象が決まったら,次は実際に「攻撃」を行う。これもやり方はシンプルで,攻撃側ユニットの「攻撃力」から,防御側ユニットの「防御力」を引いた値を目標に,こちらもダイスを1個振るだけ。目標値以下の目を出せば,攻撃は見事成功となり,相手の戦車を撃破できる。ただし失敗すれば,反撃を受けることになる。
最後の「待機」はイベントカードを1枚引き,手札に加えるという行動で,最大で3枚までストックが可能。イベントカードは,カードごとに指定されたタイミングで使用可能な特殊効果が書かれていて,使い方によっては戦況を大きく変える力がある。
各プレイヤーは,これらの行動を繰り返しながらほかのプレイヤーの戦車を狙い,その戦果を競っていく。途中ですべてのユニットを失ってしまうとそれ以降はゲームに参加できなくなるが,獲得した戦果が大きければ勝利の目は残されている。生き残ることでなく,どれだけ戦車を撃破したが勝利のカギを握っているわけだ。
刻々と変化する戦場と,それによって生まれる逆転劇
このように,基本ルールは至ってシンプルな本作だが,実際の戦闘はそう一筋縄ではいかない。戦闘はダイスの一振りで決まってしまい,ユニットの性能差によってはどんな出目でも勝ててしまう(あるいはどうあがいても勝てない)状況もあるのだが,では高性能なユニットを持っていれば常勝かといえば,そうとも言い切れないのだ。
まず重要なのが,ユニットの種類だ。
ユニットにはAFV(戦闘車両)とGUN(野砲),そしてINF(歩兵)の3種類があり,戦闘はその組み合わせによって処理が異なる。例えばAFV対AFVなら,普通に攻撃を仕掛けた側が先制で攻撃するが,AFV対GUNの場合は,かならずGUN側が先制となる。加えてAFV側は榴弾攻撃となるのに対し,GUN側は徹甲弾で攻撃できる(攻撃力は,基本的に徹甲弾>榴弾だ)。つまり,GUN側の方が圧倒的に有利なのだ。
一方で,AFV対INFの場合はAFVが有利だ。INFに対するAFVは,榴弾での攻撃のほかに,蹂躙攻撃(つまり踏みつぶし攻撃)を選択でき,どちらか数値の大きいほうを選べる。一方でINF側は肉薄攻撃しか選択肢がない。肉薄攻撃は相手の防御力を無視する攻撃だが,そもそも1か2が出なければ成功しないので望みは薄い。……ロマンはあるが。
次に想定されるアクシデントが,攻撃時に特定のダイス目(カードに書かれた補給値=カード右下の黄色の数字以上)を出したときに発生してしまう「補給切れ」だ。この状態に陥ると,そのユニットは「補給切れ」が解消されるまで,何もできなくなってしまう。バリバリ攻撃していた部隊の主力が突如,補給切れになって大ピンチに……なんてことも起こりうるわけで,攻撃すればするほど発生確率が高くなるあたり,なるほどうまくできたシステムといえるだろう。
各種イベントカードによる戦況の変化も,本作の駆け引きをより一層複雑なものにしている。「増援到着」によるユニットの補充や,「急降下爆撃機の要請」による支援攻撃,「増加装甲」によるユニット強化など,さまざまなシチュエーションがイベントカードによって生み出され,ときに戦況を一変させる。
圧倒的な戦力を誇っていたプレイヤーが,絨毯爆撃で見るも無残な姿になってしまうこともあって,ゲームが終了するまではまさになにが起こるか分からない。ちょっとした運が生死を分けるという意味では,まさに本物の戦場さながらの緊張感が味わえるタイトルとなっている。
こう書いてしまうと,非常に大味なゲームに思えるかもしれないが,本作品はユニットごとのパラメータや特殊能力,攻撃の処理順などのルールが細かく決まっていて,戦略性は非常に高いといっていい。さらには追加ルールの「突撃」や「回避」まで含めれば,かなり緻密なプレイフィールが楽しめる。
一方で,ルールが難しいと感じる向きには,登場するユニットをAFVのみにするなど,ルールを簡略化するオプションも用意されている。プレイ時間は適用するルールの数や参加人数にもよるが,概ね1ゲーム30分ほどなので,カジュアルなパーティゲームとしても十分に通用するタイトルといえるだろう。
今秋発売の拡張セット第2弾「コマンダー」で,さらに奥深さを増す戦車道
ここまで本作のメカニクスについて紹介してきたが,本作の魅力はこれだけではない。“遊べる戦車図鑑”という本作キャッチコピーが示すように,実在の戦車をうまくパラメータ化し,味のあるカードイラストと共にパッケージした本作は,戦車好きのミリタリーファンにはたまらない魅力があるのだ。イラストを手がけるのは,「血の通った戦車」を描くこと知られるM.WOLVERINE氏で,ファンにとってはコレクターアイテムとしても価値のある1作に仕上がっている。
冒頭で紹介したとおり,本作は基本セットの「タンクハンター 第2版」と拡張セットの「タンクハンター 第2版 イェーガー」が発売済みで,2つのセットを混ぜてプレイすることも可能。さらには,拡張セット第2弾「タンクハンター第2版 コマンダー」の制作も予告されており,こちらは2015年秋の発売予定とのこと。さらなる追加ユニットに加え,コマンダーカードの追加によるルールの拡張も予定されており,どんなゲーム展開が待ち受けているのか,今から楽しみだ。
幅広いオプションルールによる,プレイヤーを選ばないプレイフィールがウリの「タンクハンター 第2版」。ガチのミリタリーファンからカジュアルな“戦車道”ファンまで,幅広いプレイヤーに遊んでみてほしい一作だ。
「タンクハンター第2版 イェーガー」紹介ページ
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タンクハンター 第2版
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