「そうだ アニメ，見よう」第89回は幸村 誠氏原作の「ヴィンランド・サガ」。新天地を求めて旅立つヴァイキング達の壮大な叙事詩

　11世紀のヨーロッパを舞台に，ヴァイキング達の生き様を描いた，幸村 誠氏原作のコミック「ヴィンランド・サガ」（講談社刊/既刊22巻）。「月刊アフタヌーン」で連載中の本作は，史実に基づいた骨太なストーリーが話題を呼び，2009年に「文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞」，2012年には「第36回講談社漫画賞 一般部門」を受賞した作品だ。
　というわけで「そうだ アニメ，見よう」第89回のタイトルは，同作をアニメ化した「ヴィンランド・サガ」。制作はWIT STUDIO，シリーズ構成・脚本は瀬古浩司氏が担当。「いぬやしき」や「進撃の巨人」シリーズを手がけた籔田修平氏が監督を務めている。

「ヴィンランド・サガ」

　11世紀初頭。辺境の地アイスランドで暮らす少年トルフィン（CV：石上静香/上村祐翔）は，冒険に憧れ，船乗りのレイフ（CV：上田燿司）から聞かされる幻の大陸“ヴィンランド”に夢を馳せていた。
　そんなある日，トルフィンの村へ「ヨーム戦士団」のフローキ（CV：斧アツシ）が軍船に乗って現れた。トルフィンの父親トールズ（CV：松田健一郎）は，かつて“戦鬼（トロル）”の名で恐れられ，戦士団の大隊長を務めていたが，ある日突然，首領の娘ヘルガ（CV：高梁 碧）とともに姿を消していたのだった。
　フローキは，イングランドとの戦に参加せよ，という首領の命をトールズに伝える。村を人質にとられ，参戦せざるを得ない状況に追い込まれたトールズは，数名の若者と友人レイフとともに，本土との中継地点であるフェロー諸島を目指して旅立つが，その船にトルフィンが父親に黙って乗り込んでしまっていた。


　しかし，フェロー諸島で一行を待っていたのは，フローキにトールズの処刑を命じられたアシェラッド（CV：内田直哉）率いる傭兵団だった。圧倒的な力で彼らを退けたトールズだったが，トルフィンを人質にとられ，ついにその命を散らしてしまう。
　目の前で父を殺されたトルフィンは復讐のため，アシェラッドらに奪われた船に隠れ，敵討ちの機会をうかがうのだった。

可愛らしい少年トルフィンは，アシェラッドのもとで1人前の戦士として成長する

　本作のタイトルとなっている“ヴィンランド”とは，北アメリカ大陸にあったとされるヴァイキングの入植地のこと（ブドウの地という意味）。その当時のことをまとめた叙事詩「赤毛のエイリークのサガ」や「グリーンランド人のサガ」をベースに，11世紀にヨーロッパ中で猛威を振るっていた，デンマークなどを拠点とするヴァイキング達の勇猛な戦いぶりと，父親の死を通して“本当の戦士”とはなにかを追い求める主人公トルフィンの成長を描いたのが本作「ヴィンランド・サガ」なのだ。

戦場で初めて人を手にかけるトルフィン。父親の仇は討てるのだろうか

　父親の仇であるアシェラッドを付け狙うトルフィンは，やがてデンマーク王家のクヌート王子（CV：小野賢章）をめぐる戦いに巻き込まれていく。図らずも戦火の中に身を投じるトルフィンは，レイフが語っていた新天地“ヴィンランド”へたどり着けるのか。激動の時代に翻弄されるトルフィンの運命がどうなるかが，本作の見どころとなりそうだ。

勇猛すぎるヴァイキング達の熱い戦い

　ヴァイキング達は，死を恐れない勇猛さで当時のヨーロッパを席巻していた。これは「勇者は死後，英霊（エインヘルヤル）として，ヴァルハラへ誘われる」という信仰によるものだが，本作にはアシェラッドの部下一同をはじめ，それを体現している人物が数多く登場している。
　なかでもロンドン攻略で登場するトルケル（CV：大塚明夫）は，その規格外のパワーとタフネスぶりでトルフィンらを圧倒してくる。どうやらトルケルは，トールズを知っているようで，その息子であるトルフィンに含むところがありそうだ。


　一度はトルケルに惨敗したトルフィンだが，展開次第では再戦の機会が訪れることもありそう。戦場でたくましく鍛え上げられたトルフィンの実力がトルケルに通用するかどうか。2人の対決シーンが今から待ち遠しい。

アクションだけじゃない！雄大な大自然にも注目

　力こそ正義を信奉するヴァイキング達を描いている本作だが，本編を通して語られるのは暴力に対するアンチテーゼだ。原作者の幸村氏は「暴力が満ちた世界でこそ，“暴力が嫌い”ということが描ける」と本作のテーマ性を語っている。
　「進撃の巨人」をはじめ，数々の名作を生み出してきたWIT STUDIOによる圧倒的なアクションシーンはもちろん本作のポイントとなるのだが，テーマ性を汲み取った，しっとりとした人間ドラマや，巧みなCG処理で描かれる大海原や大自然にも注目してほしい。



　第12話が放送され，ウェールズでの戦いも苛烈さを増してきている。クヌート王子を奪還したアシェラッドの真意がどこにあるのか，今後の展開を占う鍵となりそうだ。
　なお，本作は2クール以降も放送が継続されることがアナウンスされており，第2クールオープニング・テーマの「Dark Crow」（MAN WITH A MISSION）と第2クールエンディング・テーマ「Drown」（milet）が公開されている。ヴァイキング達の骨太な“サガ”を今後もじっくりと楽しめそうだ。

　また，Blu-ray/DVD Box Vol.1の発売日が12月25日に決定し，それを記念した「“始まりの地”アイスランドへ ツアー」が抽選で当たるキャンペーンが実施されている。応募期間は10月21日まで。参加希望の人は「こちら」で詳細を確認しよう。

TVアニメ「ヴィンランド・サガ」公式サイト

TVアニメ「ヴィンランド・サガ」公式Twitter

放映データ
2019年7月〜

キャスト
トルフィン：石上静香/上村祐翔
トールズ：松田健一郎
アシェラッド：内田直哉
クヌート：小野賢章
トルケル：大塚明夫
ビョルン：安元洋貴
フローキ：斧アツシ
レイフ：上田燿司
ヘルガ：高梁 碧
ユルヴァ：生天目仁美
ラグナル：浦山 迅
ヴィリヴァルド：日野 聡
アスゲード：竹内良太
スヴェン王：菅生隆之
トルグリム：後藤ヒロキ
アトリ：高橋伸也
耳：古川 慎
アーレ：市来光弘
ハーフダン：下山吉光

スタッフ
原作：幸村 誠「ヴィンランド・サガ」（講談社『アフタヌーン』連載）
監督：籔田修平
シリーズ構成・脚本：瀬古浩司
脚本：猪原健太
キャラクターデザイン：阿比留隆彦
美術監督：竹田悠介
美術ボード：平林いずみ/大貫賢太郎
美術：Bamboo
撮影／特殊効果：MADBOX
色彩設計：橋本 賢
撮影監督：川下裕樹
編集：木村佳史子
3DCG監督：竹鼻まゆ
3DCGI：Chiptune
デジタルワーク：荒木宏文
音響監督：はたしょう二
音響制作：サウンドチーム・ドンファン
音楽：やまだ 豊
制作：WIT STUDIO
製作：ヴィンランド・サガ製作委員会

■Blu-ray＆DVD情報

「ヴィンランド・サガ」Blu-ray・DVD Box Vol.１
発売日：2019年12月25日（水）
品番：Blu-ray：VPXY-71761／DVD： VPBY-14870
収録話数：第1話〜第6話　*第1話は「特別拡大版」を収録
特典映像：「ヴィンランド・サガ」×「ポンコツクエスト」特別コラボアニメ収録
封入特典：スペシャルブックレット（Vol.1には1クール目OP絵コンテほかを収録）


■パッケージ情報
パッケージ仕様【各巻共通】
・キャラクターデザイン・阿比留隆彦 新規描き下ろしジャケット
・デジパック+三方背Box
封入特典【各巻共通】
・スペシャルブックレット

「ヴィンランド・サガ」Blu-ray・DVD Box Vol.２
発売日：2020年1月22日（水）
品番：Blu-ray：VPXY-71762／DVD： VPBY-14871
収録話数：第７話〜第12話
＊Vol.２以降の特典については、随時発表いたします。

「ヴィンランド・サガ」Blu-ray・DVD Box Vol.３
発売日：2020年2月19日（水）
品番：Blu-ray：VPXY-71763／DVD： VPBY-14872
収録話数：第13話〜第18話

「ヴィンランド・サガ」Blu-ray・DVD Box Vol.４
発売日：2020年3月25日（水）
品番：Blu-ray：VPXY-71764／DVD： VPBY-14873
収録話数：第19話〜第24話

各巻価格：Blu-ray：17,000円+税／DVD：15,000円+税

＜店舗共通全巻購入特典＞　
・原作・幸村誠氏 描き下ろしキャンバスアート（F3サイズ）
※対象店舗：バップ通販・アニメイト・Amazon(【Amazon.co.jp限定】商品のみ対象)・TSUTAYA・ソフマップ(BD/DVD取扱店及びドットコム)・とらのあな(一部店舗除く)・ゲーマーズ・楽天ブックス・HMV