プレイレポート
本日発売,「グランドエイジ メディーバル」のプレイレポート。都市間で資源を交易し,中世ヨーロッパを支配しよう
交易に特化した経済シミュレーションにこだわってきたGaming Minds Studiosの最新作は,どのような内容なのか? さっそくプレイしてみたので,ここでその模様をお伝えしたい。
「グランドエイジ メディーバル」公式サイト
冒頭にも書いたように,本作の舞台となるのは11世紀の中世ヨーロッパ。東ローマ帝国の興亡,十字軍の遠征など,なかなか波乱に満ちた時代だ。扱われる地域は,地中海沿岸を中心に,東はトルコ,南はアフリカ北部と広く,その総面積は実に2000万平方kmに達するというから驚きだ。プレイヤーはある地域の領主となり,この広大な地域の支配を目指す。
ゲーム開始時,マップには都市がいくつか建設されているので,そのうち1つを選んで自分の都市としよう。すべて実在のモノなので,西洋中世史に思い入れのある人は割と悩むかもしれないが,ともあれ,この都市を基盤に交易や外交を行っていく。
生産によって,都市を発展させよう
同時に,働きに来た人と家族が周辺に住むことになり,人口が増加していく。
重要なポイントは,「1つの都市で生み出せる生産物は5種類まで」という制限があることだ。住民はさまざまな物を求めているが,つまり,いくら発展させても1つの都市ですべてをまかなうことは不可能。そこで,ほかの都市との「交易」を行い,物資を売ったり買ったりしていく必要が出てくるわけだ。
ここで気をつけたいのが,物資の価格だ。基本的に,在庫が多いほど販売価格は安くなり,逆に枯渇していれば高くなる。つまり,特定の物資が余っている都市でそれを安く購入し,その物資が不足している都市で高く売るのがセオリーになる。まあ,安く買って高く売る,は商売の基本ですね。
交易を上手に行えば,大きくお金を儲けられるばかりか,足りない物資を売った相手の都市でこちらの評判が上昇するので,いいことずくめである。
交易を自動化させることも可能で,どのような順番で都市を移動するかを指定することで,余った物資を買い,過剰な物資は売却するという,いい感じの交易を商人が自動的に行ってくれるのだ。
このように,生産施設を建設して人口を増やし,商人を使って物資を流通させることで,都市を発展させられるが,その発展の度合を測れるのが,その名も「繁栄度」で,この数値には常に注意したい。繁栄度が高ければ都市は活気づき,新たな労働者が多く訪れる。住民は幸せになり,税収も増える。逆に繁栄度が低いと,労働者はほかの都市に移住し,都市は衰退する。
この繁栄度は,物資の供給と密接に結びついており,より多くの物資が都市の市場にあふれていることが求められる。つまり,都市にすべての物資を行き渡らせることが,自国を発展させていくための大きな目標になるのだ。
ただし,物資を作りまくればいい,というワケでもない。物資が過剰に供給されれば価格は大きく下落し,生産価格を下回ると赤字になってしまう。こうならないためにも,生産施設を建設する場合,周辺地域で供給が不足している物資を確認して,それらを生産するようにしたい。
外交によって,領土を広げよう
都市が成長していくと,その程度に応じて「領土権」が増えていく。手持ちの都市を増やして領土権を拡大することが,権力への道なのだが,新しい都市はどのように入手すればいいのだろうか? いくつか方法はあるが,最も早くて応用が効くのが「新都市を建設する」ことだ。
新たな都市を建設するときに気をつけたいのが,その地域で入手できる物資だ。入手できる物資はマップの上にアイコンで表示されており,建設した都市では,周囲にある物資に対応した生産施設のみ建設できる。例えば,ブドウが実らない場所では,どうやってもワインを生産できないし,塩や魚は沿岸部の都市でのみ,生産可能になる。
都市を増やすもう1つの方法は,すでにある都市を手に入れることだ。初期状態では商人の通行さえできないが,その都市の領主と通過協定を結び,さらに交易協定を締結することで,商人を使った交易が可能になる。
ここで,その都市に足りない資源を供給すると,前述したように,こちらの都市の評判が上昇し,さらに,領主に貢ぎ物を届ければ,今度は領主の好感度が上がる。こうして,評判と好感度が一定以上になれば,その都市を買収できるようになるのだ。
このようにして都市をどんどん増やして領地を拡張するのが,本作の醍醐味になるが,内政や軍事をさらに楽しくする要素がある。それが「開発」だ。
プレイヤーにはランクが設定されており,領土権が一定以上になるとそれが上昇し,開発ポイントが得られる。このポイントを使ってさまざまな技術を習得し,国力を増強するのだ。
このほか,技術を取得することで,高速移動ができる道路の敷設が可能になったり,騎兵や斧兵などの軍事ユニットが生産できたりなど,さまざまな方向から自分の都市や地域の強化が可能になる。
この開発は,目に見えて効果が現れるものが多く,実に楽しい。種類も多く,どれから習得するか考えるのも嬉しい悩みと言えるだろう。
続いては軍事関係。本作は交易,外交シミュレーションを謳っているが,軍事ユニットもかなり充実しており,大軍を率いての戦いが楽しめる。戦争は外交の延長だ。
ただし,序盤はプレイヤーが意図しない限り,国家間の争いは,そうそう発生しない。また序盤に作れるのは傭兵や投石機兵など,弱めのユニットだけで,強力なユニットは技術をアンロックしなければならない。つまりゲームデザインとしては,序盤はじっくり都市を発展させ,ゆくゆくは軍事力を増強しましょう,という感じなのだ。
もっとも,序盤で軍隊の必要性がないわけでもない。自国の領土には,クマやヤマネコといった危険な動物がたまに出現し,街道を行き交う商人などを襲う。その駆除に必要になるため,最初に傭兵を2ユニットほど作成しておきたい。彼らは偵察にも役立つ。
最後に,ゲームモードについて紹介したい。本作には,舞台となる地域の範囲やスタート地点など,さまざまなルールを自由に設定して楽しめる「オープンゲーム」と,物語形式でゲームを楽しめる「キャンペーン」がある。
ここまでの紹介は「オープンゲーム」を前提にしているが,「キャンペーン」では,プレイヤーはソフィアの領主レオンとなり,皇帝暗殺の事件に巻き込まれつつも,領土を拡大していくという物語が描かれる。ゲームシステム的には,次々に提示される目標を達成していくというスタイルで,ゲームプレイを通じて操作やルールを学べる作りになっている。長めのチュートリアルと考えてもいいので,まずはキャンペーンでゲームの基本を学ぼう。
戦争よりも交易や内政が好きなら,きっとハマる
個人的に楽しいのが,都市を自由に建設できることだ。「シヴィライゼーション」シリーズでも,「エイジ オブ エンパイア」シリーズでもそうだが,開拓者を作成して,「このあたりにアレを生産する都市を建てるのがいいかな……。それともあっちの沿岸に建てたほうがいいかな?」などと考えるのが面白く,領土を少しずつ拡張していくときの充実感も高い。
商人を使って行う交易も非常に好きだ。基本的には「安く買って高く売る」だけであり,しかも,そのほとんどが自動化できてしまうのだが,あえて自分で商人を操り,物資が足りない都市にドバッと売って,その都市の経済が上向きになってくるのを見るのは,なんとも言えない満足感がある。ホント,効率は良くないのに,都市をグルグル移動して売買をくり返す単純作業がすごく楽しく,あっという間に時間が過ぎ去ってしまう感じだ。交易や内政が好きな筆者にとっては,このあたりがストライク過ぎた。
ただし,気になる部分もないわけではない。例えば「決定が×ボタン,キャンセルが○ボタン」という海外仕様の操作方法が採用されており,プレイし続けていれば慣れるはずだが,それでもたまに間違える。
また,ユーザーインタフェースも全体的にPC版そのまま,という感じで,直感的に操作しにくい部分がある。マウス向けのシミュレーションをコンシューマ機に移植するのは難しいことであり,それなりに考えられてはいるものの,もう少し工夫がほしい部分はある。
また,ちょっと老眼が進んだ筆者にとって,デフォルトの文字やアイコンは小さくて見づらいので,こちらはオプション画面で大きくしておきたいところだ。
「グランドエイジ メディーバル」公式サイト
戦闘要素はあるものの,交易と内政に大きく特化した本作は,戦いに明け暮れるシミュレーションはちょっとなあ,という人にオススメできるゲームだ。都市を少しずつ拡張したり,商人を操って資源の売買を楽しんだりするのが大好きな人はきっと満足できるはず。題材がやや地味かもしれないが,ぜひチャレンジしてほしい。
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グランドエイジ メディーバル
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