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タクティカルアクション「Shadow Tactics」のボードゲーム版をプレイ。個性的な忍者達が織りなすステルスゲームとしての面白さは健在だ
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印刷2019/02/15 12:00

プレイレポート

タクティカルアクション「Shadow Tactics」のボードゲーム版をプレイ。個性的な忍者達が織りなすステルスゲームとしての面白さは健在だ

画像集 No.017のサムネイル画像 / タクティカルアクション「Shadow Tactics」のボードゲーム版をプレイ。個性的な忍者達が織りなすステルスゲームとしての面白さは健在だ
 2016年にドイツのMimimi Productionsがリリースした「Shadow Tactics: Blades of the Shogun」は,徳川幕府に仕える忍者となり,日本各地で任務をこなすアクション性の高いリアルタイムストラテジーとして,PCやコンシューマ機で好評を博した作品だ。

 日本が舞台であることや,テキスト・音声が日本語に対応していたこともあり,プレイしたことのある4Gamer読者もきっと多いことだろう。かくいう筆者も2017年に,おすすめストラテジーゲームの1本として取り上げている
 開発したのは,これまた以前に紹介した「Saltlands」と同じAntler Gamesだ。今回は,そんな本作のデモ版を入手できたので,簡単に紹介してみたい。

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忍者チームと大名一味が戦う非対称型ゲーム


 ステルスゲームが原作という点では,昨年のSPIEL'18でも取り上げたボードゲーム版「アサシン クリード」(関連記事)と通ずるものもあるが,本作は非対称型の対戦システムを採用しており,複数の忍者プレイヤーと彼らが忍び込む先の大名プレイヤー1名が競うものになっている。
 1ゲームは複数のミッションからなり,それぞれ異なるマップ上で,忍者チームと大名が目標の達成,あるいはその妨害を目指すわけだ。なお,今回届いたデモ版では1ゲーム5種類のミッションが用意されていたが,Kickstarterのプロダクトページを見ると,2ゲーム10種類とされている。獲得した予算次第では,さらなる追加にも期待できるかもしれない。

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 原作のゲームでは,複数の忍者の行動を予約しつつタイミングを見計らって実行し,連携を取っていくという仕組みが,ミッション攻略の鍵になっていた。ボードゲーム版でも「行動の予約による連携」という要素は,各ラウンドの進行の中にしっかりと盛り込まれている。

 各ラウンドには,アクションカードを使って戦略の準備を進めるアクションフェーズが2回と,移動カードを使って標的に近づいたり,敵から逃げたりする移動フェーズがある。
 アクションフェーズではまず,忍者チームが計5枚のアクションカードを伏せた状態で順番に並べる「行動プログラミング」を行う。次に大名プレイヤーが手札の命令カードを使って,手下の行動を実行する。そして最後に,忍者側のアクションカードをオープンにして,行動を処理するという流れになっている。
 忍者達はさまざまなアクションが可能で,「ある忍者が酒瓶を兵士に投げつけて気を逸らし,その隙に別の忍者が仕留める」という原作ゲームでも可能だった連係も,ちゃんと再現できるのが面白い。

罠を仕掛ける,死体を隠すなど,Shadow Tacticsではおなじみのアクション
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大名側の命令カードでは,兵士の移動や警戒態勢への移行,あるいは新しい兵士ユニットの配置が可能だ
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 忍者側が大名の兵士を攻撃・妨害できるのに対し,移動と警戒で守勢に回る大名プレイヤーは一見不利だが,連携のための行動プログラミングを行うプレイヤー達の相談を観察することはルール上認められているし,アクションカードの上に置かれたキャラクタートークンも,誰がどんなアクションをしてくるかの判断材料になる。
 忍者チームのアクションの多くは,兵士が1つのタイルに多数集まっていたり,警戒態勢に入っていたりすると失敗に終わるため,手持ちの命令カードと相談しつつ手下の兵士を適切に動かしたいところだ。

兵士の種類によって,強さや移動速度が異なる
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 こうした両陣営の読み合いは,アクションフェーズに続いて行われる移動フェーズでも続き,「忍者チームの計画→大名プレイヤーの実行→忍者チームの実行」という流れで両陣営の行動が処理される。ただし,アクションフェーズと異なり,忍者チームの移動は10枚のカードを使って行われるため,大名プレイヤーをより翻弄できるだろう。

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 だが,ボードゲーム版で大名プレイヤーが操る兵士達は,反復運動ばかりする原作ゲームとは違い,不規則に移動してくるため,忍者チームは油断禁物だ。しかも,行動プログラミングの時と異なり,忍者側の行動を処理する時は,忍者チームは相談できないルールになっている。
 原作ゲームのシチュエーションにも,キャラクターが「事前に想定していた状況とは違うぞ」とうろたえる展開がしばしば見られたが,ボードゲーム版においても,大名プレイヤーの思わぬ行動に,各プレイヤーが単独で立ち向かわなければならない状況が出てくる。

 とはいえ,ステルスゲームである本作において,忍者チームが「見つからなければ勝ち」だというところは最大の利点である。各兵士の視界は扇状なので,背後にいれば絶対に見つからないし,攻撃が成功する確率も高まる。
 また,茂みタイルの中に入れば,相手が警戒態勢にない限り,こちらを向いていても気付かれない。移動フェーズでは,忍者ならではの機敏さを活かし,兵士を置き去りにすることも可能だ。

左側の兵士は内側を向いているため,反対側の忍者を探知できる。一方外を向いている右側の兵士は,茂みに警戒する態勢だ
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だが,このように兵士が忍者キャラクターの方を向いていても,警戒態勢にない限り発見されることはない
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いわゆる「3すくみ」の状態。こうなると兵士への攻撃は難しい。迂回を試みよう
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参考までに,こちらはPC版の画面
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 兵士に発見されると騒音レベルが上昇し,大名プレイヤーがより多くの命令カードを次ターンにドローできるようになる。それだけではなく,ミッション攻略までに許されるラウンド数も減少してしまうなど,デメリットも多い。攻撃を受けてHPを喪失することで,その後のアクションや移動にペナルティを受けるリスクもある。
 原作ゲームも,主人公が発見されると大量の兵士が集まってきて,突破が事実上不可能になったり,数回攻撃を受けただけでやられてしまったりと,シビアなバランスが特徴だったが,ボードゲーム版にもその遺伝子は受け継がれている。

各キャラクターは,3回を攻撃を受けると完全に行動不能に陥る
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 このように,Shadow Tactics: The Board Gameは,原作のステルスゲームの特徴を忠実に再現しつつ,多人数でプレイする時の楽しさを考えたシステムが盛り込まれている。なお,デモ版では確認できなかったが,Kickstarterページによると,ソロプレイにも対応しているとのこと。
 このため,原作ファンはもちろんのこと,コアなボードゲームファンにとっても注目に値する作品といえるだろう。コンポーネントの言語依存度がそこまで高くないのも,日本人プレイヤーにとっては嬉しい。

各ミッションで一定の条件を満たすことで,追加のアクションカードを入手して次のミッションに利用できる
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 余談だが,本作に対するAntler Gamesの意気込みの高さは,以前にSPIEL'18で同社のブースを訪れ,デザイナーであるGergely Kruppa氏に話を聞いた時にも感じられた。Kruppa氏によれば,主人公である忍者達のスキル,それを利用し敵を罠にかけ撃破するというShadow Tacticsの特徴は,ボードゲーム化するうえでも非常に面白い要素であるとのことだ。

 さらに,すべてのキャラクターを均等に活躍させずともクリアできた原作の問題点を踏まえて,忍者チームから見た場合の協力型ゲームとしてのバランス改良も,本来のデベロッパであるMimimi Productionsとも協議しながら行ったのだという。また,残念ながらデモ版には間に合わなかったが,キャラクターのミニチュア作成やカードビジュアルの充実も,製品版リリースには間に合わせるとのことだった。

Gergely Kruppa氏
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SPIEL'18の際には,スタッフのコスプレにも気合が入っていた
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 Kickstarterプロジェクトは,すでに目標金額に到達しているが,ストレッチゴールも複数設けられているため,気になる人はチェックしてみよう。

「Shadow Tactics A Board Game」Kickstertarプロジェクトページ

  • 関連タイトル:

    Shadow Tactics: Blades of the Shogun

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