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Kaby Lake-S対応のIntel 200シリーズチップセット搭載マザーボードが各社から一斉に発表。販売は1月6日から
CPUであるKaby Lake自体が,Skylakeのマイナーチェンジ版であるため,新チップセットであるIntel 200シリーズにも,目新しい特徴は見当たらないのが正直なところ。Intelの高速ストレージ技術「Intel Optane Technology」(以下,Optane)をベースとするストレージデバイスに対応するのが新しい特徴ということになっているが,Optane対応ストレージデバイスの発売は2017年3月以降という話で,登場当初は容量も少ない(※最小で16GB,最大でも180GB)ということで,目玉の機能というほどの要素でもない。
そんな事情があってか,メーカー側は,CPUとチップセット以外の付加要素でマザーボード製品の差別化を試みており,ある意味ではメーカーごとに重視するポイントが分かれた,興味深いラインナップになっている。
メーカー名のアルファベット順に,各社の新製品をまとめて紹介したい。
ASRock:Mini-ITX仕様の製品をいち早くラインナップ
ASRockはゲーマー向けマザーボードとして,Intel 200シリーズの最上位チップセットであるIntel Z270(以下,Z270)搭載モデルを3製品,下位モデルにあたるIntel H270(以下,H270)搭載モデルを2製品の,計5製品をラインナップしてきた。ATX仕様だけでなく,Micro-ATX仕様やMini-ITX仕様の製品も用意している。
発表された製品のラインナップは表1のとおり。以下,フォーマットは共通なので最初に紹介しておくと,表では製品名とフォームファクタ,搭載チップセット,PCI Express(以下,PCIe)スロットの構成,M.2スロットの数,USB 3.1 Gen.2ポートの構成,メーカーもしくは販売代理店想定売価をまとめている。
というわけでASRock製品の話に戻ると,発売日は,Fatal
製品名 | フォーム |
チップセット | PCIe |
M.2 |
USB 3.1 (Gen.2) |
想定売価(税込) |
---|---|---|---|---|---|---|
Fatal |
ATX | Z270 | PCIe x16×4 PCIe x1×1 |
3 | Type-A×1 Type-C×1 |
未定 |
Fatal |
ATX | Z270 | PCIe x16×3 PCIe x1×3 |
2 | Type-A×1 Type-C×1 |
2万8944円 |
Fatal |
Mini-ITX | Z270 | PCIe x16×1 | 1 | Type-C×1 (Th |
未定 |
Fatal |
ATX | H270 | PCIe x16×2 PCIe x1×4 |
2 | ― | 未定 |
Fatal |
Micro-ATX | H270 | PCIe x16×2 PCIe x1×2 |
2 | ― | 1万7496円 |
ASRockは,前世代にあたるIntel Z170搭載のゲーマー向けマザーボードで,Rivet Networks製の1000BASE-T LANコントローラ「Killer E2400」を採用する点を特徴に挙げていた。しかし今回のZ270およびH270搭載マザーボードでは,最上位モデルである「Fatal
ASRockによれば,Rivet Networks製やRealtek Semiconductor(以下,Realtek)製よりも,Intel製のほうが高い性能を発揮するので変更したのだという。
Z270
つまり,Z270
従来,ASRockのIntel 100シリーズ搭載マザーボードでは,オンボードサウンド機能として同社独自の「Purity Sound 3」を採用していた。それに対して今回の新製品では,Creative Technology(以下,Creative)のOEM向けサウンド拡張ソフトウェアスイート「Sound Blaster Cinema 3」を採用しているのだ(※Fatal
Sound Blaster Cinema 3は,「SBX Pro Studio」ベースのバーチャルサラウンド機能「Surround」や,ダイナミックレンジ感の引き上げを狙う機能「Crystalyzer」,低域補正機能「Bass」などを利用できる。「Cinema」とあるので不安になるかもしれないが,ちゃんとゲームモードもあるので,定評あるCreativeのサラウンドサウンド技術をゲームで使える機能という理解で差し支えない。
ASUS:ゲーマー向けマザーはROG MAXIMUSとROG STRIXの2シリーズに
同社はこれまで,ゲーマー向け製品ブランドである「Republic Of Gamers」の略表記として,「R.O.G.」を使っていた。だが,製品名レベルでは製品名にピリオドのない「ROG」を多用しており,ここにズレが生じていたわけだが,今回のIntel 200シリーズ搭載モデル発表をもって,今後はピリオドなしのROGを正式な略称にするとのことだ。細かいことだが,ファンなら押さえておきたい。
もう1つ,ROGブランドのゲーマー向けマザーボードを「ROG MAXIMUS」と「ROG STRIX」の2シリーズ展開にすることも,ASUSは発表している。ROG MAXIMUSは,「オーバークロッカーとゲーマー向けに特化したプレミアムシリーズ」。そして,以前は製品名だったROG STRIXは,価格対性能比重視のゲーマー向けシリーズとして,これまでPRO GAMINGシリーズがカバーしていた市場を担当する。事実上,PRO GAMINGのリネーム(もしくはリブランド)という理解でいいだろう。
というわけで製品の話だが,ROGブランドのIntel 200シリーズ搭載マザーボードとしては,ROG MAXIMUSからATX仕様が3製品,ROG STRIXからは,ATX仕様が2製品とMicro-ATX仕様が1製品の計6製品がラインナップされている(表2)。いずれの製品も2016年1月6日発売の予定だ。
製品名 | フォーム |
チップセット | PCIe |
M.2 |
USB 3.1 (Gen.2) |
想定売価(税込) |
---|---|---|---|---|---|---|
ROG |
ATX | Z270 | PCIe x16×3 PCIe x1×3 |
2 | Type-A×2 Type-C×1 |
5万5000円 |
ROG |
ATX | Z270 | PCIe x16×3 PCIe x1×3 |
2 | Type-A×2 Type-C×1 |
4万8500円 |
ROG |
ATX | Z270 | PCIe x16×3 PCIe x1×3 |
2 | Type-A×2 Type-C×1 |
3万8500円 |
ROG |
ATX | Z270 | PCIe x16×3 PCIe x1×4 |
2 | Type-A×1 Type-C×1 |
2万7000円 |
ROG |
Micro-ATX | Z270 | PCIe x16×2 PCIe x1×2 |
2 | Type-A×2 Type-C×1 |
3万円 |
ROG |
ATX | H270 | PCIe x16×2 PCIe x1×4 |
2 | Type-A×1 Type-C×1 |
2万500円 |
ASUSは新製品共通の特徴として,2基のM.2スロットによるRAID 0構成をサポートしている点を挙げている。とくにZ270搭載マザーボードは,両スロットともにPCIe 3.0 x4に対応するので,高速なデータ転送が可能であるという。
また,マザーボード上に搭載したカラーLEDイルミネーションを,カラーLEDを備えるASUS製のグラフィックスカードやキーボード,マウス,そして他社のカラーLED搭載製品と同期して光らせられる「Aura Sync」機能も,特徴の1つに挙げている。対応するPCケースは,BitFenixやIN WIN,NZXTなどから,対応するLED付きメモリモジュールはGeILからリリースされる予定。これらAura Sync対応製品には,Aura Syncのロゴマークが付いているので,そこが見分けるポイントとのことだ。
そのほかにも,Realtek製の新型HD Audio CODEC「ALC S1220A」を採用して,オンボードサウンド機能が「ROG SupremeFX」に刷新となったり,空冷ファンの自動検出や超静音動作が可能なファンコントロール機能「Fan Xpert 4」が追加になったりといったところも注目のポイントということになるだろう。
一方,ASUSらしいこだわりと言うか,ドライな割り切りが目立つ点も新製品のポイントだ。たとえば,今回製品を発表した4社のうち,GIGABYTEとMSIは,マザーボード上にSSD用のU.2コネクターを複数装備した製品を用意しているのだが,ASUSは,対応製品がほとんどなくユーザーニーズもないとして,採用を見送っている。
また有線LAN機能も,ゲーマー向けマザーボードで採用事例の多いRivet Networks製のKillerシリーズではなく,従来製品同様に実績重視でIntel製LANコントローラを使うといったあたりも,ASUSらしいところか。
GIGABYTE:LEDイルミネーションが派手さを増す
さらに,AORUSブランドの製品よりも安価な価格帯を狙うゲーマー向け製品ブランドとして,「GIGABYTE Gaming」を立ち上げ,そこでもマザーボードを展開していくのだそうだ(※Gigabyte Gamingと書かれている資料もあり,表記にブレが生じている)。
正直に言って,台湾メーカーにおけるブランドの扱いや製品の棲み分けはコロコロ変わるので,半年後のCOMPUTEX TAIPEI 2017あたりでは,話が変わっている可能性も否定できない。とりあえず本稿執筆時点では,AORUSとGIGABYTE Gamingの2ブランドでマザーボードを展開するということで,話を進めていく。
そんなGIGABYTEは,ゲーマー向けマザーボード新製品として,AORUSからATX仕様を3製品,GIGABYTE GamingからはATX仕様を1製品と,Micro-ATX仕様を1製品という計5製品を日本市場で展開する。採用チップセットは,すべてZ270で,ラインナップとメーカー想定売価は表3のとおり。発売予定日は,メーカー想定売価が記載されているものは1月6日,それ以外は未定である。
製品名 | フォーム |
チップセット | PCIe |
M.2 |
USB 3.1 (Gen.2) |
想定売価(税込) |
---|---|---|---|---|---|---|
AORUS | ||||||
GA-Z270X |
ATX | Z270 | PCIe x16×4 PCIe x1×2 |
2 | Type-A×1 Type-C×1 (Th |
未定 |
GA-Z270X |
ATX | Z270 | PCIe x16×3 PCIe x1×3 |
2 | Type-A× Type-C×1 (Th |
3万6094円 |
GA-Z270X |
ATX | Z270 | PCIe x16×3 PCIe x1×3 |
2 | Type-A×2 Type-C×1 |
2万7497円 |
GIGABYTE Gaming | ||||||
GA-Z270X |
ATX | Z270 | PCIe x16×3 PCIe x1×3 |
1 | Type-A×1 Type-C×1 |
2万3544円 |
GA-Z270MX |
Micro-ATX | Z270 | PCIe x16×3 PCIe x1×1 |
1 | Type-A×1 Type-C×1 |
未定 |
GIGABYTEのマザーボード新製品に共通した特徴の1つに,「RGB Fusion」と称するカラーLEDイルミネーション機能がある。上掲の写真は,すべて暗めの部屋で撮影したものだが,どれを見てもカラーLEDが煌々と光り輝いているのが分かるだろう。
AORUSの上位モデルであるGA-Z270X
また,これは旧G1 Gaming時代からの伝統だが,AORUSブランドのマザーボードでは,バックパネルのサウンド回路用に2つ,フロントパネル用に1つのOPAMP(オペアンプ)を搭載し,ユーザーによる交換をサポートしている。
そのほかにも,AORUSシリーズはKillerシリーズのLANコントローラ「Killer E2500」を採用することや,ASRockやASUSが採用を見送ったU.2ポートを全製品が備えること,5製品中4製品がThunderbolt 3に対応することなどが見どころと言えようか。
MSI:ゲーマー向けマザーボード12製品を一斉に発表
ラインナップは,ハイエンド市場向けの「Enthusiast Gaming」シリーズから4製品,メインストリーム市場向けの「Performance Gaming」から6製品,そしてエントリー市場向けの「Arsenal Gaming」から2製品となっている。他社のラインナップにはない,Intel 200シリーズの下位チップセット「Intel B250」を採用する製品を含むのがポイントだ。
製品ラインナップは表4のとおり。発売日はいずれも1月6日の予定だが,原稿執筆時点だと価格はいずれも未定である。
製品名 | フォーム |
チップセット | PCIe |
M.2 |
USB 3.1 (Gen.2) |
想定売価(税込) |
---|---|---|---|---|---|---|
Enthusiast Gamingシリーズ | ||||||
Z270 |
ATX | Z270 | PCIe x16×4 PCIe x1×2 |
3 | Type-A×1 Type-C×1 |
未定 |
Z270 |
ATX | Z270 | PCIe x16×3 PCIe x1×3 |
3 | Type-A×1 Type-C×1 |
未定 |
Z270 |
ATX | Z270 | PCIe x16×2 PCIe x1×3 |
2 | Type-A×1 Type-C×1 |
未定 |
H270 |
ATX | H270 | PCIe x16×2 PCIe x1×4 |
2 | Type-A×1 Type-C×1 |
未定 |
Performance Gamingシリーズ | ||||||
Z270 |
ATX | Z270 | PCIe x16×3 PCIe x1×3 |
2 | Type-A×1 Type-C×1 |
未定 |
Z270I |
Mini-ITX | Z270 | PCIe x16×1 | 1 | Type-A×1 Type-C×1 |
未定 |
Z270 |
ATX | Z270 | PCIe x16×3 PCIe x1×3 |
2 | Type-A×1 Type-C×1 |
未定 |
H270I |
Mini-ITX | H270 | PCIe x16×1 | 1 | ― | 未定 |
B250M |
Micro-ATX | B250 | PCIe x16×1 PCIe x2×3 |
1 | ― | 未定 |
B250I |
Mini-ITX | B250 | PCIe x16×1 | 1 | ― | 未定 |
Arsenal Gamingシリーズ | ||||||
H270M |
Micro-ATX | H270 | PCIe x16×2 PCIe x1×2 |
1 | ― | 未定 |
H270M |
Micro-ATX | H270 | PCIe x16×1 PCIe x1×2 |
1 | ― | 未定 |
製品数が多いため,全機種に共通する特徴といえるものはないが,あえて挙げてみると,ほとんどの製品でPCIe x16スロットに金属製の保護カバーを装備している点だろうか。他社のIntel 200シリーズ搭載マザーボードでも,同様の金属製保護カバーを採用するものはあるが,ラインナップのほぼすべてで採用しているのはMSIだけだ。
また,ヒートシンクの大きく重量が重いメモリモジュールを取り付けても,メモリスロットがたわんだりしないように,「DDR4 Steel Armor」と呼ばれる保護カバーを取り付けたメモリスロットを採用する製品が多いのもポイントだ。大重量のグラフィックスカードや大きなヒートシンク付きのメモリモジュールを使っている人には,嬉しい仕様かもしれない。
その一方で,LEDイルミネーションを1ボタンで消灯する機能も備えるなど,光り物を重視しないユーザーに対する配慮もあったりするのがちょっと面白い。
USB 3.1ポートに,ASMedia Technology(以下,ASMedia)製のUSBホストコントローラ「ASM2142」を採用している点も,今回のMSI製マザーボードでUSB 3.1に対応する製品に共通した特徴だ。このASM2142は,2016年後半のMSI製品から採用が始まったもので,PCIe x2接続でチップセットと接続される。そのため,PCIe x1接続のIntel製ホストコントローラやASMediaの旧型ホストコントローラを使うマザーボードよりも,理論上の転送帯域幅が広くなり,高速なデータ転送が可能になると,MSIは主張している。
そのほかにも,Enthusiast Gamingシリーズの製品は,金属製カバーで補強したU.2ポートを備えていたり(※H270
なお,Enthusiast GamingシリーズとZ270
実際にどの程度の効果があるのかは何とも言えないが,VR HMDのユーザーには,ちょっと気になる存在かもしれない。
ASRock 日本語公式Webサイト
ASUSTeK Computer 日本語公式Webサイト
GIGA-BYTE TECHNOLOGY 日本語公式Webサイト
MSI 日本語公式Webサイト
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