インタビュー
[TGS 2017]「ドン勝」とは一体なんなのか。「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」のディレクター&プロデューサーにインタビュー
DMM GAMESは,東京ゲームショウ2017の同社ブースに本作を出展しているが,その会場で,開発元であるBlueholeにインタビューする機会が設けられた。
応じてくれたのは,本作のクリエイティブディレクターであり,タイトルに冠された“PLAYERUNKNOWN”本人でもあるBrendan Greene氏と,開発スタート時から総括責任者/プロデューサーを務めるChang-han Kim氏だ。
「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」公式サイト
――本日はよろしくお願いします。今やPUBGは,1200万人を超えるプレイヤー数のタイトルに成長しましたが,これは予想していましたか。
いえ,全然。
Chang-han Kim氏(以下,Kim氏):
開発が始まったころに,Brendanと今後のビジョンについて話したことがありましたが,「新しいジャンルとして位置づけできればいいな」というぐらいでした。可能性のあるジャンルだと思ってはいましたが,ここまで大きくなったのは予想外でしたね。
――おそらく日本のプレイヤーの多くが気になっていることだと思うのですが,「ドン勝」とは,一体なんなのでしょう。
Kim氏:
もともと英語版の勝利メッセージが「WINNER WINNER CHICKEN DINNER!」だったので,これの日本語バージョンを作りたかったんです。そこで,日本語が分かるスタッフに聞いたところ,「カツ」が「勝つ」に似ていると教えてもらい,ある程度意図したダジャレとしてドン勝と表記しました。
――ということは,誤植とかではないんですね。プレイヤーとしてはドン勝で慣れてしまっているので,修正があったら嫌だなと思っていました。
Kim氏:
直すつもりはありませんよ。
――そのカツですが,日本では「カツ丼」を指しているという説と,発音から「トンカツ」を指しているという説があるのですが,どちらをイメージするのが正解なのでしょう。
ただカツという言葉を入れたかっただけなので,どちらが正解というのはありません。ご想像にお任せします。
――DMMとの提携の経緯を教えてください。
Kim氏:
PUBGはもともと,小さいチームでインディーズゲームのように開発していたタイトルで,内容的にもアジアで人気は出ないだろうと思っていました。嬉しいことに予想は外れ,日本でもなんとかしないといけないと思っていたところ,一番最初に声をかけてくれたのがDMMでした。
――Steamと両立して展開していくにあたって,DMMにはどういったことを期待していますか?
Kim氏:
DMMは日本市場に詳しいので,ユーザーコミュニティの活性化をお願いしたいです。
――Blueholeは韓国の会社ですが,韓国での反響はいかがでしょうか。
Kim氏:
韓国でも積極的なマーケティングはやっていなかったのですが,ネットカフェで2位か3位の人気になり,「オーバーウォッチ」と争えるほどになりました。ここまで成長するとは思っていませんでした。
――日本でも,これほど急速に人気が出たのは驚きました。
Greene氏:
PUBGは,映画「バトル・ロワイアル」に大きく影響を受けているので,日本でこんなに人気が出たのはすごく嬉しいですね。
――各国のプレイヤーにプレイスタイルの違いがあれば教えてください。
Greene氏:
アジアというか,主に中国のプレイヤーは,激戦区に降下して戦いたがる傾向があります。一方でアメリカは,戦術的に隠れたりする人が多い。ただアメリカのプレイヤーの中には「すぐ戦いたいから,アジアサーバーで遊ぶ」という人もいます。
Kim氏:
日本人のゲーム映像の配信を見ていると,すごく静かに集中してプレイしている印象です。ちなみに,PUBGのコミュニティリーグを初めて開催したのは,日本のしょぼすけさんだったりします。
Greene氏:
日本語は分かりませんが,配信はいつも興味深く見ています。
――日本人のプレイヤー数は現在,どのぐらいですか。
Kim氏:
正確な数字ではないですが,おそらく30万人ぐらいです。
――以前よりクライアントが軽くなって,グラフィックスもキレイになりましたが,開発はどのぐらいまで進んでるいるのでしょう。
全然終わっていません。アーティストが次から次へと修正しているところです。今後も,いろいろな機能やテクノロジーを導入して,もっと良いものにしていくつもりです。
Kim氏:
買い切りのゲームですが,オンラインゲームに近いサービスをしていきたいと思っています。正式サービス開始以降も改善を続けていくので,楽しみにしてください。また,Xbox One版のリリースも目標の1つで,スペック的にはPCより低くなりますが,快適にプレイできるものにしたいと思っています。
――今後のアップデートで,砂漠マップの追加が予定されていますが,砂漠では隠れるところが少なそうですね。どういったマップになるのでしょう。
Greene氏:
新しい地形のシステムを導入する予定です。確かに現在のマップより障害物が少ないかもしれませんが,高低差を利用して攻撃を回避することができるでしょう。
――現在のマップの荒廃した雰囲気には,どういう意図があるのですか。
Greene氏:
もともと考えていた設定は,昔は島に人がいたけど,何らかの理由で逃げてしまったというものでした。誰もいなくなったので,映画「バトル・ロワイアル」のように,バトルロイヤル専用の場所として使われているという感じです。
――今後,どのようなマップが追加される予定でしょうか。
Greene氏:
これはまだアイデアの段階なんですが,ヨーロッパのアドリア海(地中海の海域の1つ)のような場所はどうかと考えています。
――登場する銃にも,ロシアのマイナーなものが実装されていますし,現在のマップからはロシアが舞台というイメージを受けていたのですが。そういうわけではないんですね。
Greene氏:
ほかの国の銃も追加するつもりです。なんでロシアのマイナー銃が登場するのかというと,好きだからです(笑)。
――チーターを定期的にBANしていますが,チーターの増減はどうなっていますか。
Greene氏:
ほぼ毎日,1000人ぐらいBANしています。どうすれば競技性を保ちつつチーターからゲームを守れるか,その方法にいつも頭を悩ませています。
――アジアサーバーのピーク時間は,認証サーバーのトラブルが発生しますが,対策予定はありますか。
今は予想以上にアジア地域のプレイヤーが増えて,サーバーの増強が追いついていない状態です。現在,休日出勤でがんばって対応しているので,もうすぐ解決できると思いますが,リージョンを分けることも検討しています。
――FPSモードが追加されましたが,TPSモードとのプレイヤー比率はどのぐらいでしょう。
Kim氏:
正確な数字は分からないですが,FPSモードも合わせて遊んでいる人は4割ぐらいでしょうか。国によっても違っていて,アジアよりも欧米のほうがFPSモードを好む傾向にあります。
Greene氏:
FPSモードの人気は予想以上で,びっくりしています。
――PUBGを読むとき,「ピーユービージー」派と「パブジー」派がいるんですが,開発チームはどちらで読んでいるんですか
Greene氏:
パブジーです。
Kim氏:
韓国ではピーユービージー派が多かったんですが,欧米でパブジーと呼ばれてからはそちらになりました。どちらでも,お好みで呼んでください(笑)。
――本日はありがとうございました。
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