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印刷2016/07/07 16:50

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F.E.A.R.夏新作はバトルガールプロデュースRPG「エースキラージーン」。「剣の街の異邦人TRPG」もお披露目された「ドラゴンブックTRPG祭 夏フェス」レポート

 2016年7月3日,東京・飯田橋にあるKADOKAWA富士見ビルにて,富士見ドラゴンブック主催のイベント「ドラゴンブックTRPG祭 夏フェス」が開催された。

当日参加できたセッションは,3時間で遊べる「ショートセッション」と,1時間でゲームの触りの部分を体験できる「一時間体験会」の2種類が用意されていた
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 今年の3月に開催された「ドラゴンブック 春の大TRPG祭」に続き,同社のさまざまなテーブルトークRPGセッションに参加できる,いわゆる公式コンベンションタイプのこのイベント。「アリアンロッドRPG 2E改訂版」「ソード・ワールド2.0」といった,さまざまなタイトルでセッションが行われたほか,今夏の新作タイトルが発表される「新作発表会」も開催された。
 本稿では,その「新作発表会」から,F.E.A.R.の新作2タイトル「バトルガールプロデュースRPG エースキラージーン」「剣の街の異邦人TRPG」について紹介していこう。

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新作発表会では「NEXT」をテーマに,2つの新作について発表が行われた。なお既存タイトルについても,上級ルールブックや新サプリメントなどが準備中とのことだ
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「富士見書房公式 TRPG ONLINE」公式サイト



女の子をプロデュースして戦うTRPG「エースキラージーン」


カバーイラストはカスカベアキラ氏が担当。エースキラー達は剣や重火器などさまざまな武器で人類の天敵に挑んでいく(※画像は制作中のもので,製品に収録されるものとは異なります)
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 まず,この発表会が初お披露目となった「バトルガールプロデュースRPG エースキラージーン」(以下,エースキラージーン)から詳細をお伝えしていこう。

 「プレイヤーが戦わないTRPG」というキャッチコピーが目を惹く本作は,人間の天敵と呼べる存在「エース」と,それに唯一対抗できる存在である「エースキラー」の戦いを描く,現代もののテーブルトークRPGだ。プレイヤーはエースに対抗する組織「JOKER」に所属する“プロデューサー”となり,担当するエースキラーとユニットを組んで,エースの撃退を目指す。

 プロデューサーという単語からなんとなく想像が付くように,エースキラーは武器やロボットのような兵器ではなく,人格を持った1人のキャラクターである。多くの場合,エースキラーは少女であり,プレイヤーとの信頼関係を表す「キズナ」によって,その能力が開花するという仕組みだ。

 ゲームデザインを担当したのは,「天羅万象」「トーキョーN◎VA」などでもメインスタッフを務めた遠藤卓司氏。氏によれば,本作のシステムは「プレイヤーから戦闘能力を切り離し,キャラクター化したらおもしろいんじゃないか」というアイデアから生まれたという。発売は8月20日で,価格は1944円(税込)が予定されている。

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■シリアルキラーから女の子を守れ――「エースキラージーン」先行プレイレポート


 発表会では大まかな概要が語られたのみのエースキラージーンだったが,それに先んじてメディア向けの体験会が行われたので,本作のプレイフィールについてもう少し詳しく紹介してみよう。

 遠藤氏がGMを務めた体験会のセッションでは,「若い娘の死」に芸術性を感じる,歪んだ価値観を持った映像ディレクターのシリアルキラーがエースとして登場。その活動を阻むことがシナリオの目的となっていた。参加プレイヤーは3名で,ゲームマスター(以下,GM)はデザイナーである遠藤氏自らの担当だ。

遠藤氏によれば,超人的な力を持つエースに対抗できるエースキラー達は7:3の割合で女性が多い。現時点では美少女ばかりだが,「ゆくゆくは男の子のエースキラーも出したい」とのことだった。可能性としてはヤンデレや男の娘のエースキラーも?
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 今回はお試しプレイということで,作成済みのプレロールドキャラクターを使用した。筆者が担当するのは,作戦指揮に長けたコマンダーの青年となった。プロデュースするエースキラーは「相沢みさお」という,グレネードランチャーを得物とする女子高生だ。なお,エースキラーはルールブックに記載のキャラクターから選ぶのが基本だが,その気であればフルスクラッチで作成することも可能とのことだった。

1人のプレイヤーが,プレイヤーキャラクター(以下,PC)とエースキラーの2人分のシートを管理する本作。ただし,エースキラーは半ばNPCであるため,行動の決定権こそプレイヤーに委ねられるが,ロールプレイなどはGMが担当してくれる
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 F.E.A.R.作品らしくゲームはシーン制で進行し,序盤の情報収集パートでは,PCがさまざまな技能を駆使して物語を進めていく(判定はD100のパーセントダイス)。反対にクライマックスでのエースとの対決では,戦闘能力を持つエースキラーが活躍する流れだ。

 情報収集パートでは,エースキラーと行動を共にすることで,信頼の証である「キズナポイント」が溜まり,これが一定量を超えるとキズナレベルが上昇。「戦力」が向上したり,エース戦で使える特殊能力(みさおの場合,「スタンショット」「ライオットショット」「ナパームショット」など)が増えたりする。キズナポイントは,この特殊能力を使用するときにも消費されるので,序盤ではできるだけエースキラーとのキズナを深めておきたいところ。
 なおポイントの上昇量は1D10でランダムに決定されるのだが,GMをうならせるようなロールプレイを行うと,追加ボーナスが得られる場合もある。敏腕プロデューサーを目指すなら,常にパーフェクトコミュニケーションを狙いたいところだ。

今回用いられたアンチオペレーションシートがこちら。最短距離は「K」を経由して「A」まで一直線に進む順路だが,「G」のザコを潰してGフラグを立てておかないと,ボス戦での敵の増援が増えてしまう。かといって,すべてのイベントをこなそうとすると,時間経過を示すTフラグが溜まっていくジレンマになっている
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 さて,対エース組織・JOKERの指令に応じる形でプレイヤー達は事件の真相に近づいていき,犯人がエースであることを突き止めたことで,いよいよエースとの戦闘とあいなった。
 エースとの対決となるクライマックスフェイズでは,「アンチエースオペレーションシート」を使用してゲームが進行する。これは,ボスであるエースへのアプローチの仕方を図式化したもので,「E」と書かれているエントランスから,「A」と書かれているエースとの直接対決まで,どのルートを辿るかを,プレイヤーが自由に選べる仕組みになっている。なお,各ポイントではイベントが発生し,「G」はいわゆるザコ戦,「K」がキズナポイント上昇イベント,「R」が脱出路を確保するイベント(撤退時にバックアタックを受けない)という具合だ。

 今回は仲間の一人であるエースキラー・常磐 巴の友人が,エースの新たな犠牲者になりかけていたため,2か所ある「G」を潰したあと,「K」でキズナを強化して,エースと対決するという作戦になった。これ以上時間をかけ過ぎると,巴の友人を助けるのが間に合わないだろうという判断だ。

 ザコ戦は敵と味方の合計「戦力」を比較する簡易バトルで行われるため,サクサクと進行する。ちなみにPCの戦力は0なので,ここはエースキラーの戦力のみを足し合わせればいい。
 一方,ボス戦であるエースとの対決は,5×5マスのセルで区切られたマップを使い,行動順や敵味方の位置関係まで考慮した本格的なバトルになる。武器には射程や攻撃範囲,連射の可否などの性能差があるので,位置取りが重要になるのは言うまでもない。

敵味方の配置が示されたマップシート。緑のコマが筆者(小さいほうはエースキラー)で,赤とオレンジが仲間で,青が敵を示している。みさおちゃんのグレネードランチャーの射程は2〜5なので,ここからならどちらの敵も攻撃できる
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 なおダメージには軽傷/重傷/致命傷の3種類があり,それぞれにキャパシティが設けられている。例えばみさおの場合,軽傷が8,重傷が5,致命傷が4という上限になっていて,この場合,致命傷が4を超えると戦闘不能となる。しかし軽傷や重傷も,蓄積してキャパシティを超えると上に繰り上がるので油断は禁物だ。
 またダメージのほかに疲労というパラメータもあり,こちらはPCが特殊能力(「戦術指揮」など判定へのボーナスなどが主)を使用したり,エースキラーに無理をさせると蓄積する。疲労がキャパシティを超えると,今度は軽傷としてカウントされるので,これも油断はできない。
 いずれにせよ戦闘は長引くと不利になっていくので,全力攻撃で手早く決着をつけたいところ。情報収集パートで溜めたキズナポイントを使い,特殊攻撃で一気に勝負を決めてしまおう。

負傷ゲージやキズナポイントを管理するレコードシート(左写真)。情報収集パートでは,おもにキズナレベルを上昇させるのに使うだけだが,エースとの対決では負傷やキズナポイントの増減などで頻繁にお世話になる
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 今回のプレイでは,エースの強力な全体攻撃がファンブルに終わったことや,序盤にエースキラーの攻撃がきれいに決まったこともあり,ほぼ完勝に近い形でエースを撃退できた。とはいえ,あと1ターン続いていれば戦闘不能になるエースキラーが出てもおかしくなかったので,バトルはなかなかの緊張感だ。
 ちなみに,PCがエースに直接攻撃しようとしたり,あるいはエースから攻撃された場合は,判定の目標値が半減するハンデが課せられる(バトル開始時の意思力判定に失敗した場合は1/4)。つまりエースとまともに渡り合えるのは,文字どおりエースキラーのみというわけだ。

発表会でスライドに映し出された遠藤氏のコメントがこちら。キズナを獲得するためのロールプレイにより,「GMとプレイヤーとのコミュニケーション」が促進されるというのが本作のデザインコンセプトなっている
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「アリアンロッドRPG 2E」をベースに,ハクスラ要素を強化した「剣の街の異邦人TRPG」


 本格ファンタジーの世界観で根強い人気を誇る,エクスペリエンスのダンジョンRPG「剣の街の異邦人」シリーズ。同作を原作としたテーブルトークRPGが,今回紹介されたもう一つの新作「剣の街の異邦人TRPG」だ。

最新作「新釈・剣の街の異邦人 〜黒の宮殿〜」(PS Vita)が7月21日に発売される同シリーズ。TRPG版はその前日となる7月20日の発売予定で,価格は1944円(税込)だ
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 原作ファンだという大畑 顕氏がデザイナーを務めた本作は,F.E.A.R.の看板タイトル「アリアンロッドRPG 2E」(以下,アリアンロッド)のシステムをベースにしつつ,原作の要素を盛り込んだものになるという。原作に準拠したキャラクターメイキングや各種スキルが取り入られるほか,強力な装備品を集めてキャラクターを成長させていく,ハック&スラッシュの要素などが強化されている。

ルールブック付属のリプレイには,原作のプロデューサー・千頭 元氏や,声優の高木友梨香さんも参加。またアリアンロッドとのデータ互換も可能とのこと
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「エクスペリエンス創設10周年記念イベント」で発表されたアリアンロッドコラボの続報として,「新釈・剣の街の異邦人 〜黒の宮殿〜」内でアリアンロッドのキャラクターグラフィックスが使用できることが明らかに。そのインパクト大きな絵面には,会場からどよめきの声が上がっていた
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「死と消滅」を生命点で再現――大畑 顕氏ミニインタビュー


 発表会後,テーブルトークRPG版のゲームデザインを担当した大畑 顕氏に話を聞けたので,ミニインタビューをお届けする。

4Gamer:
 大畑さんは,「剣の街の異邦人」シリーズの大ファンとのこと。となれば,今回のコラボは願ったり叶ったりだったんじゃないでしょうか。

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大畑 顕氏(以下,大畑氏):
 ええ,もともと10年くらい前からエクスペリエンスさんのファンでして,新作は毎回買っているくらいのファンでした。今回のコラボはエクスペリエンスさんからのオファーだったんですが,「ゲーム全部持ってます」って言ったら「じゃあ担当はお前だ!」って,すぐに決まったくらいです(笑)。

4Gamer:
 テーブルトークRPG化するにあたり,苦労した点は?

大畑氏:
 苦労したというより,楽しかった点ばかりでしたね。元々ファンだったこともあって,原作の楽しい部分がどこなのか分かっていたので。とくに自分が好きなハック&スラッシュ要素や,「死と消滅」の表現をリスペクトして,TRPGのルールに落とし込んでいく作業はとくに工夫のし甲斐がありました。

4Gamer:
 アリアンロッドがシステムのベースとのことですが,違いはどんなところにあるのでしょうか。

大畑氏:
 一番の違いは,「生命点」の概念ですね。生命点がある限りは体力が0になっても蘇生できますが,生命点まで0になったら完全に消滅してしまうという。また生命点は,アリアンロッドの「フェイト」のようにダイス目の操作――振り直しやダイスボーナスとしても使えるので,目の前のダイス目に命をかけるかどうかで悩むことになるでしょう。

4Gamer:
 ということは,アリアンロッドよりもちょっとハードな世界観なんですね。

大畑氏:
 そうですね。原作の雰囲気を再現しようとした結果,そういう「命をかけて危機を乗り越える」ジレンマが楽しいゲームになりました。

4Gamer:
 スキルやクラスは原作準拠ですか?

大畑氏:
 基本的に「剣の街の異邦人」のものですが,一部にはアリアンロッドを参考にしたものもあります。

4Gamer:
 アリアンロッドとのデータ共有が可能とのことですが。

大畑氏:
 「剣の街の異邦人」のクラスを,そのままアリアンロッドRPGに移植するのは難しいですが,その逆は可能です。少しコンバートする作業が必要ですけど。

4Gamer:
 分かりました。最後に発売を楽しみにしているファンに向けて,メッセージをいただけますか。

大畑氏:
 原作の楽しさを,テーブルトークRPG版でも再現するようデザインしたつもりです。原作ファンの方は,ぜひこの機会にテーブルトークRPGの世界にも触れてもらえたら嬉しいですね。とくにキャラメイクが楽しいので,ぜひ!

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

「エースキラージーン」のデザイナー遠藤氏(右)と,「剣の街の異邦人TRPG」のデザイナー大畑氏(左)。F.E.A.R.が贈る夏の新作2タイトルに期待しよう
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ドラゴンブックTRPG祭は,今秋も実施が予定されている。さらなる新作発表が予定されているそうなので,こちらもお楽しみに
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