プレイレポート
【山本一郎】「三國志13 with パワーアップキット」プレイレポート。40歳張勲,大地に立つ! “ハチミツ皇帝”袁術を天下人にする会
山本一郎?/?アルファブロガーにしてゲーマー。その正体は,コンテンツ業界で今日も暗躍(?)する投資家
山本一郎:茹で蛙たちの最後の晩餐 |
山本一郎です。日本全国1億2000万人の三国志ファン待望の「三國志13 with パワーアップキット」(PC / PS4 / PS3 / Xbox One。Nintendo Switch版は2017年3月30日発売。以下,三國志13WPK)がついに発売になったんですよ。いやー,正座して待ってた甲斐がありました。
君主でプレイするのと異なり,武将の一生や,登場人物との絆を縁に紡いで追体験できる「三國志13」のコンセプトをさらに強化して,歴史上のifや三国志ならではの世界観をより引き立てた,事実上のオープンワールドSRPGみたいな仕上がりになっているのが,今回のパワーアップキットの見どころです。長い。
三國志13WPKの売りは,ズバリ「やることたくさん」。大きな流れでは三国志の史実通りのイベントがあり,武将によっては文字通り波乱万丈。心情的に分かるイベントから人生計画が台無しになるレベルのがっかりイベントまでさまざま。この抗いようのない歴史に翻弄される武将の人生があますところなく体感できる,というのは序の口です。
「三國志13」バニラ(拡張パッケージなどを入れていない,まっさらな状態)で「とりあえず強くなろう」と著名武将の持つスキルを狙って絆を確保したり,経験値を稼ぐために内政や合戦に従事しまくってた日々が,より輝きます。もうね,キラキラと。その目玉は何と言っても「同志」であります。
同じ都市にいる絆のある武将や,さらにその先の武将も「同志」として一つ屋根の下で暮らすとアラ不思議,能力にめっちゃブーストかかるじゃないですか。男同士で一軒家で暮らすというBL方面のカップリング厨も大満足のウホウホ仕様ですが,そればかりではありません。著名女性武将との結婚だけでなく,さらに出産,育児と,なんか身につまされるネタが展開していくわけでありまして……つい「4歳からの小学校受験」みたいな我が身我が家と照らし合わせて,マウスを握る手に思わず力が入ってしまうわけであります。
ほかにも,武将の基本能力「統率」「武力」「知力」「政治」と,生き様として在野武将や商人にまで対応した6つの「威名」ルートが実績によって開放されると,お役立ちコマンドが打てるようになります。一軒家でも私兵が雇えて戦争でより有利になったり,都市の金を懐に入れて私腹を肥やしたり,それはもういろんな人生が送れるようになっているんですよ。
もちろん,好きな武器を買い揃えて眺めたり,店で酒買ってきて宴会したり,これはと思う武将と義兄弟を目指したり,尊敬できる君主を選んで天下を狙ったり……まあ,好き放題できるのが今回のパワーアップキットなのであります。
では,この三國志13WPKは本当に私たちの夢を実現してくれるのでしょうか。試してみたいわけです。三国志ファンなら誰もが通る夢,三国志きってのアイドル君主,我らが袁術が自ら皇帝となり興した「仲」王朝が天下を統一するというバラ色の世界を――。
私はね,正直紙一重だと思うんですよ。もしも,劉備が関羽や張飛と出会っていなかったら。董卓が呂布に斬られていなかったら。曹操が,馬騰が,孫堅が,三国志できらめく数々の武将に訪れた幸運も悲劇も,ほんのわずかな運命の砂粒一個で全く違う結論になっていたのではないか,と。
袁術に真の意味で優れた忠臣がいたならば,もしかすると後漢を凌ぐ大帝国を築き上げていたかもしれない。いや,いけたはずだ。ただ,いなかっただけだ。じゃあ,もしも袁術にそんな部下がいたならば……!!
よろしい,ではやってみましょう。今回チョイスするのは私が好きな張勲(通称「ハリー」)。ハリーが喝! パワーアップキットで新設されたシナリオ「小覇王勇躍」(195年)上級でスタートしてみます。
なお,このプレイはぶっつけ本番ほぼノーセーブだったんですが,それまで試しにプレイした6回の袁術は,いずれも順調に成長した曹操に踏み潰されるか,なぜか白馬の戦いのイベントが起きずに曹操倒して成長した袁紹に踏み潰されるか,孫呉統一して劉表と同盟した孫策が袁術以外攻めるところ無くなって踏み潰されるか,そんな感じでござんした。
そんなわけで,プレイボール!!
無能は悲しい。力が欲しい
なのに残された時間は少ない
オッス,オラ張勲! 張本 勲ではない。最近ゲーセンで復活した「三国志大戦」ではゴミ計略の1.5コスト攻城兵という残念武将になってしまってますが,今回の「三國志13」では中年40歳の凡将として袁術に仕えているただの軍人です。やばみしか感じない。統率73,武力69と軍人としては二流ですけど,袁術軍の中ではそれでも紀霊に次ぐ能力上位ですので欲張らずに頑張って参ります。
それ以上に悲惨なのは袁術軍の置かれている状況です。この「小覇王勇躍」シナリオでは,袁術がいかにクソかというイベントが一通り終わった後ですのでまだ救われていますが,さらに前のシナリオから袁術をうっかりやると,勝手に戦争吹っかけて負けるわ強制的に国替えされるわ同僚武将は斬られるわ孫策に勝手に独立されるわ孫策に戦争吹っかけられるわで,踏んだり蹴ったりです,袁術。ハチミツ皇帝かわいそう。今いる寿春は立地も人口も将来得られる都市技術もゴミですが,贅沢は言っていられません(重要)ので,我慢しましょう。
袁術軍の一番の弱点は,配下武将が軒並み能無しであるだけでなく,史実の袁術軍が滅ぶのが早かった分,それに釣られてみんな早死になことです。別に戦争があるわけでもないのに,餅をのどに詰まらせたのか,プレイ開始後10年もすると次々と死んでいきます。実は張勲も例外ではありません。どういうことなの。
「大戦略II」的に言えば,曹操軍がアメリカだとすると袁術軍はワルシャワ条約機構みたいな武将性能ですが,短い寿命のうちに袁術が勢力を拡大するしかありません。贅沢は言っていられません(強調)。
そして,袁術が直面する戦略上の課題は,寿春がイマイチな都市なのに北に呂布,徐州に劉備,いずれもイベントで無条件に曹操に食われて一大勢力が隣接してしまうこと。また,袁術から独立した孫策がとっても攻撃的! 彼が優秀な武人を配下に孫呉方面を統一にかかると,でっかい曹操とでっかい孫策に挟まれて袁術困っちゃう。
んで,しょうがない横に延びるかと思って空白地の汝南やその先の宛や新野へ侵攻すると,これまたイベントで劉備が突然汝南で独立しやがって,強制的に領土を召し上げられてしまいます。
したがって,袁術が採るべき戦略は電撃戦です。敵は曹操でも孫策でもない。イベントだ。無条件に呂布が水攻めで滅ぼされてしまって,そこが曹操の領土になる前に,私が,この張勲が呂布の領土を刈り取ってくれるわ……と言いたいところですけど,まあ寿春でこの武将の層では無理ですね。無理無理。だって相手は天下無双の呂布山呂布夫先生に張遼に高順に臧覇に陳宮に呂玲綺(呂姫)ですよ。勝てるわけないじゃないですか。
分かっていても何もできない張勲。無能は悲しい。力が欲しい。とはいえ何もしないわけにもいかないので,ゆるゆると訓練したり,同僚と仲良くなったりして力を養います。
しかし張勲。我が身は40歳未婚。彼女いない歴イコール年齢。結婚したい。広い実家で一人暮らし。寂しい。しかも,本人の素武力が69。うっかり巡察して賊に出会おうものなら,最弱の賊でも武力70とかなんですよ。苦戦待ったなし。官職に就けてもらっているのでほんのりパワーアップしても互角程度。たまに出てくる武力80や90の盗賊にはもちろん完敗。野良イベントでたまに一騎討ちが起きるんですが,そこでも負けると「名将名乗ってる割にたいしたことねえな」とか煽られます。つらい。袁術軍の中では比較的まともってだけで,世間の風は無能に冷たいんですよね。私もできることなら孫策独立のときについていきたかった。
この仕える君主的にも自分の人生的にも詰んだ張勲。本当に頑張っていけるのか。
ここからハチミツ皇帝・袁術の名を知らしめるぞ!
弱い? 勝ち目がない?
いやいや,同志を束ねてレッツ戦争!
イベントでは容赦なく人間の屑っぷりを満喫させてくれる我が君主・袁術ですが,評定をやると実に無難に「内政やるぞ」「とりあえず訓練しよう」みたいな穏便なものばかりが採用される,いたって普通の明るい職場です。イメージと違って意外と穏便なんすね袁術さん。
ところが,いきなりイベントで袁術が皇帝を名乗り始めてみんなドン引きするという素敵な事態が発生します。いいね,これ何度見ても最高だね。よくこんな奴に俺たちついていくよね。
やってられないけど,このイベントこそ袁術の袁術たる所以ですから,気にせず設立された「仲」の発展を目指して頑張ることにします。無能が身を立てる秘訣は,「置かれたところで咲きましょう」の原理です。間違っても「下野」を選んで孫策や曹操に再仕官してはいけません。
とはいえ,序盤は戦争を起こそうにも寿春一個では兵力も足りないので,我慢して巡察や訓練に明け暮れます。能力的に劣っている自覚のある張勲は,君主側近である軍事担当重役は諦め,枢要な都市の太守になることを目指して功績を重ねるよう努力します。五品官以上,功績1万以上でなれる太守なら,昇進時に得られる特権を使わずとも,自分の担当都市の兵隊を使って戦争を吹っかけられます。地道に働き功績を上げる張勲。
ちょうど五品官になれたころ,袁術が「お前ら,隣の空白都市・広陵とってこいよー」とご命令が。へーい。本作では空白と言えども都市や拠点の砦を制圧するのに時間がかかる仕様になってはいますが,抵抗されて兵数が減るわけでもないので,特に何も考えず攻め込んで広陵を確保します。そしたら袁術が「おう張勲,広陵の太守やっとけよ」「おかのした」とあっさり太守に。よっしゃ,立身出世の一段目の階段は登ったぞ! 嬉しい。
で,赴任してみると,冴えない配下武将がうろうろしています。そりゃそうですよね,袁術軍ですもの。重臣にしようにもろくなのがいませんが,いないよりいいかということで割り切って前に進むことにします。贅沢を言ってはいけません(戒め)。思うんですが,袁術軍はこの「贅沢は言わない」というのが裏テーマな気がするんですよね。能力であれ軍事力であれ,ないものはないんだからしょうがないだろ,というスーパー割り切りマインドがあって初めてプレイできるって感じです。
そんな残念な部下たちと交流していると……なんと,同僚の李豊が自らの養女・施香と張勲の結婚を持ちかけるというイベントが! うおおおおおお! 李豊ぉぉぉぉぉぉぉ!!! この張勲42歳,まだ童貞であることを知っての提案か! まあ……ちょっと養女の方がエスニカンな雰囲気なのが気になりますが,贅沢は言っていられません(迫真)。
いいんですか,お嬢さん,私で。こんな中年男を好いて結婚してくれるって,これは嬉しい。最高に嬉しい。これはね,すぐ結婚。もう決めたもんね。あと李豊もこれからはオーネット李豊と呼ぼう。同僚だけども義理の親父ですわ。いやー,良かった。春は遅かったけど,ここから我が家は大発展や!
ここで負けたら未来はない
男張勲,建業攻略に挑む
明るい家族計画を妄想しつつも,張勲は部下にどんどん巡察を命じ,自らも槍兵の訓練に精を出し,大都市・建業攻略のタイミングを計ります。この地を孫策に奪われると,呉,会稽など孫呉地方方面の各都市にアクセスできなくなるばかりか,袁術本拠地寿春も危なくなることになります。まさに最重要目標と言えるでしょう。
とはいえ,いきなり攻め込むと背後にいる曹操や劉備が兵の出払った寿春を狙う可能性が高くなります。二言目には大義だ慈愛だと,いいこと言ってる劉備ですが,結構平気で空き巣してくるので油断も隙もありません。本来ならば特権使って同盟でも結んで安全を確保したいところですが,私は知力41の張勲ですよ。相手を論破なんかできるわけないじゃないですか! と逆切れしつつ,情勢が有利になるのを待ちます。
ほどなくして,ちょうど曹操が呂布を攻め,それへの警戒で,劉備が近隣の拠点で関羽・張飛に陣を張らせたのを見た張勲の目が光ります。
「いまです,袁術さま! 建業を攻めましょう!!」
問題は,建業の劉繇の下にいる,マジ名将・太史慈です。凶悪な計略を使ってくるので,我が軍の兵士がトロトロととろけてしまうんですよね。ほんとやめてほしい。厄介な相手ですが,時宜を失すると袁術軍に未来はなくなります。待てば待つほど,袁術を取り巻く情勢は悪くなる以上,答えは一つ。進むしか,ないのです。皇帝袁術のご侵攻じゃーっ!
そして,戦争の建議を諮った本人なのに,軍の総指揮を紀霊にごっそり奪われる張勲。ですよねー。紀霊に比べれば所詮あっしは二流武将っすよねー。それでも張勲は抜群のマウス捌きと絶妙な挟撃で袁術軍の勝利に貢献します。士気管理と位置取りが命だよ兄貴。
三國志13WPKでは戦闘で采配モードを選ぶと陣立てや「戦術」を選べるのですが,その戦術を発動させられる場所が限定されているので,うまく使って有効なところで戦うのがなかなかむつかしいのであります。ハマるとでかいので,知恵を絞っていきたいところなんですが。
結局,どさくさに紛れて城内に突入して敵を全滅させた袁術軍の勝利! これで孫策の首根っこが少しは押さえられそうです。よかったよかった。
間髪を入れず,孫策が押さえる前に呉,会稽の両都市と,敵武将の確保にかかります。なんてたって,袁術が攻め込もうにも,武将数も質も孫策サイドの圧勝ですからね。むしろ戦力だけ考えたら攻め込まれるレベル。また,内政野郎が少ないので,王朗や配下の虞翻その他文官の皆さんは貴重です。
また,孫策退治のための重要なアタッカー,太史慈を逃すわけにはいきません。在野にいるのを即登用,さらには本人の好みそうな武器をあげたり,宴会に呼んだりして迎合に次ぐ迎合を図ります。何でしょう,この期待のドラフト1位ルーキーの歓心を買うために契約金引き上げたり物量攻勢するがごとき姿勢は。大人って汚い。本人が能無しだと自覚があるほど人間はここまで汚くなれるのかと思うと,本作は自分の気づきを促す最良のツールなんじゃないかとさえ感じます。
孫呉地方確保のためにゴリゴリと侵攻していると,ついに曹操が呂布を水攻めにして滅ぼしてしまいます。ああ,歴史が動く。動いてしまう。早く孫策と雌雄を決しなければ,史実通り袁紹を食った強大な曹操が南下してくるか,ギリギリで曹操を捌いた袁紹が曹操の優れた部下を再雇用して仲を脅かしてくることは間違いありません。時間との戦いです。
張勲が悶々として自宅に戻ると……なんかこう,エスニカンな妻・施香が出迎えてくれます。若干武器を構えていて,物騒な家内ですが……私は幸せです。ホッとする自宅。結婚っていいね,やっぱり。三国志の世界と言えど,家族や同志のいるお家って最高ですね。
私兵雇ったり訓練したり,ほんのり経験値の上がる鍛錬や,同志枠を増やせる拡張なども,お金があればできます。お金があれば。お金があればね。お金がね,ないんですよ。名将だけど。同志枠を一個増やすのに,だいたい金が1万かかります。今の日本でいえば1億円ぐらいでしょうか。これは天下りたいですね。私,天下の「仲」で活躍する大将軍・張勲ですよ。金が欲しいんですよね。金が。
このプレイで張勲は仲の軍事を支える「将軍」の威名を使ってますが,都市に入る金をごまかして私腹を肥やしたければ「官吏」を,己の才覚に自信ニキなら「商人」など,目的に合わせて変更できます。張勲は……いや,だめだ。金も欲しいがやはり天下国家のために礎をなる人物になろうと改めて決心し,「将軍」内のルートで機動力や戦略的展開に優れる「驍将」にクラスアップします。財産も,みんなが幸せに暮らしてこそ使って意味のあるものだからね。世の中が平和になったら,みんなよろしくね。ね。
さまざまな思いを胸に,最後の戦いへ
そして新たな家族との出会い
頑張ってる張勲。大都市建業の太守に配置転換となり,しこしこと巡察や訓練,内政にいそしんで孫策との戦いの日を待っていると,おや,呂布とこの遺臣の皆さんが仲方面に流れてくるではありませんか。おお,これは心強い。戦闘君主呂布が鍛え上げた武将たちは,曹操に登用されるのを良しとせず,在野武将として流れてきたようです。ありがてえありがてえ。どうです,うちで働きませんか。前職より給料上がりますよ。
中には,呂布の奥さんであるところの貂蝉や,娘さんである呂姫(呂玲綺)が。血はつながってないとは思うけど,母娘を親子どんぶりで雇用。むさくるしい張勲勢が,一気に華やかになりました。いやいや,浮気なんざ絶対しませんよ。あくまで人として,武将として,優れた人をですね,ああ,奥さん武器をしまってください。お願いだお願いだ。
ゲームの中でさえ不倫することなく清廉潔白品行方正にプレイする私ですが,義父として,同僚として,長くご一緒したオーネット李豊が……ヤバイ。袁術軍の宿将たちの命のろうそくが……! 仲の発展を確実なものにするためには,彼らの力がまだまだ必要だ。それに何より当面の相手,孫策を倒して勝利の美酒を長年ご一緒した同僚たちと分かち合いたかったのに。李豊よ,泉下で朗報を待っていてくれ。後で行くから。
李豊の死を受けて,前を向く張勲。やるしかない。幸いにして,建業以下,都市数は確保できている袁術軍,兵数で孫策を上回っています。武将の質は聞かないでくれ。それでも太史慈,呂姫と私で何とかなるだろう。特権は使い果たしていることもあり,指揮している建業の兵士と私兵だけでまずは孫策に挑む張勲勢。私兵を混ぜて戦いに臨むと,攻撃防御ともアップする素敵仕様を十全に活かし,張勲は孫策の本拠地,盧江を急襲します。
ただし……軍人としての能力がやや劣る,妻の施香だけは自宅においていきます。私に何かあったとき,家を守ってくれるのはお前しかいないのだ。すまない。すべては,仲のために,皇帝袁術の栄光のために。
張勲の電撃戦を受けて,孫策軍も呼応し前線に陣を張って抗戦します。相手ながら,見事な陣容です。願わくば,孫策も共に仲の一員として,乱れた漢から民を守る戦いに身を投じたかった。思い返せばあんたが玉璽を袁術にあげちゃったから,皇帝名乗ろうとか言い出したんだよ。何てことをしてくれたんだ。むしろあんたが皇帝名乗ってればみんな孫策配下になってハッピーだったのに,天はひどいイベントを起こすものです。
いろいろな思いは去来しますが,孫策も総力戦に出てきます。後背の都市からも援兵を送らせて,集結すべく行軍を始めました。感傷や反省に身をゆだねている暇はありません。敵の全軍が合流してしまうまでに開戦を急ぎます。勝つのです。どのような状況であろうと,少ない損害で戦果を上げ,勝利を目指して頑張るしかありません。
もっとも,孫策軍は能力的にこそ強いものの,プレイしてみると同志や私兵による能力アップ,ひとつの部隊に3人の絆武将をしっかりと配置する,各個撃破に徹して戦列を守り単独で突出しない,本陣を落としに来る敵別動隊に絶えず目を配る,という戦術の基本を守っていれば,それほどひどい戦いにはなりません。
孫策が計略を使ってきたらおとなしく下がり,半包囲をしながら敵の士気を削ったところに太史慈の計略をぶつけ,分散する孫策軍を一部隊ずつ丁寧に潰していきます。心配なのは,兵糧だけ。丁寧に戦争していると,200日の兵糧はあっという間に尽きてしまいます。このバランスがよくできてますね。
気づくと袁術の本隊が増援に駆け付け,さらには別動隊が空き巣のように孫策の後背都市を落としにかかっていました。なんだ,みんなやればできるじゃないか。あれだけ強そうに見えた孫策が,張勲の決死の攻勢の前に崩れ去って,わずか5か月の戦争で終結してしまいました。そして,程普や黄蓋など,孫策の超有能武将がごっそりと仲に降り,突然陣容が整う袁術軍。やったぞ。良かったね袁術。仲の未来に栄光あれ。都市と人事を再編して,仲は急速に近代化していきます。
曹操と袁紹の戦いが激しいうちに,早めの策で豊かな荊州に暮らす劉表を倒し,仲の威信と実力を盤石なものにしようと張勲は画策します。はっきりいって,能力だけで見れば,いまや張勲は袁術軍の中堅以下に成り下がっていました。お前は何をやっても駄目な奴だ。誰もお前を愛さない。そしてやってくる人事。
それは大都市・建業の太守を袁術のニュースター周瑜に譲り,お前は田舎の会稽の太守として畑でも耕してろという悲しいものでした。
孫策本人までもが袁術の部下となったいま,自分はもう役割を果たし,一線から身を引いて後背地の太守として第二の人生を送るべきか……それ以上に,後背地の,兵隊もそう多くない自分の都市に「仲」の主力を張れるであろう太史慈や呂姫を同志として置いておくべきなのか。単に私が無能なだけだ。ほかの綺羅星のような諸将に比べて派手な活躍などできない中年男だ。
私は私なりに考えて,袁術に,仲に尽くしてきた。勝利の美酒も味わった。だが,前線には若い力が満ちている。仲を支えていってくれるはずだ。主役は若く優れた彼らに譲り,近い将来起こるであろう劉表との戦い,さらには曹操の南下に備えるポジションで頑張るべきではないのか。張勲は苦悩を飲み込みつつ,会稽太守の就任を受諾します。勝った後の左遷。置かれた場所に咲く花は綺麗なのでしょうか。
そう思い悩む張勲のもとに,嬉しい一報が。
妻の施香が,男の子を生んだのです。おお,戦争に明け暮れていたこの私にも,ついに息子が……! 嬉しい。嬉しいよ。夫婦で誕生を祝いましょう。名前は何にしよう。何買ってやろう。私もちょっぴり貢献して,孫呉に平和が訪れたいま,思い切って何でもできる世間にしていこう。世の中とは,大河です。世代を紡ぎ,次の時代を拓く子供たちにより良い社会を継承していきたい。ああ,オーネット李豊にも抱かせてやりたかった,この子を。お前の孫だよ。
本作では,子供が4歳になると本拠で教育が施せるようになります。もちろん,能力は両親のあれこれを引き継ぐので,残念ながらこの子が名将に育つ可能性は……ですが,それはあくまで武将としてであって,いろんなものを吸収し,いろんな人と出会い,さまざまなものを学び,いろんな選択肢の中から自分の人生にふさわしいものを後悔なく選んで,まっすぐ進んでいってほしい。そして,父と同じく武将を目指すのであれば,能力は別として正しい道を進んでいってほしい。そう願って,息子には「張進」と名付けます。
「仲」の後背地の太守として,内政や巡察といった地域住民の安寧に従事していた張勲。劉表攻略のため「仲」が総力を挙げることが決まると,折悪く張勲は病に倒れます。仕方なく,新たな同志・李異を総大将にした会稽の軍勢が江夏へ向かったのを見届けると,袁術が皇帝として三国の一角を無事に治めている安心感からか,穏やかな表情で張勲は妻子に見守られ,旅立っていきました。享年53歳。
与えられた条件で,できることをすべてやった男として地元の尊敬を集めた張勲の葬儀には,別れを惜しむ人が沿道を埋め尽くしたと伝えられています。
そんなわけで,三國志13WPKは,三国志をモチーフにした戦争シミュレーションというよりは,三国志風オープンワールド活劇みたいな仕組みがより強化されました。高い能力を振り回して俺TUEEEEEしたい人も,重厚な三国志の世界で振り回され圧し潰されるプレイも可能なので,意外とイケてると思います! 思います!
最後に,張勲はよく頑張ってくれました。本当にありがとうございました,楽しかったよ。
■■山本一郎■■ 言わずと知れたアルファブロガーで,その鋭い観察眼と論理的な文章力には定評がある。が,身も蓋もない業界話にはもっと定評がある。ゲーマーとしても知られており,時間が無いと言いつつも,膨大に時間を浪費するシミュレーションゲームを愛して止まない。 大きな戦功も,裴元紹のようなロマンスもなかったけれど,主君と家族のため,与えられた場所でできる限りのことを尽くした張勲。決して派手ではないですが,1本芯の通った生き様でした。 |
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