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[NDC18]「Durango: Wild Lands」の開発キーマン達が語る,韓国での反響とグローバルサービスに向けた展望とは
2018年内に日本を含むグローバルサービスが予定されているDurangoだが,韓国では2018年1月に一足早く正式サービスを開始している(関連記事)。その後の反響や,グローバルサービスに向けた展望などを聞かせてもらえたので,その模様をお届けしよう。
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──現在,韓国版を遊んでいるプレイヤーからは,どういった要望が出ているのでしょうか。
イ・ウンソク氏(以下,イ氏):
Durangoのアイテムや建築物には耐久度が設定されていますが,このシステムがゲームを難しくしているという意見をいただきました。それを受けて大幅に緩和する修正を行っています。
また,Durangoには,モバイルゲームで一般的な機能であるオートシステムが用意されていません。しかし,生産系コンテンツに精力的なプレイヤーから「不便だ」と声をいただいたので,大量生産を可能とするオートシステムを搭載しています。
──あえてオートシステムを搭載しなかった理由についてお聞かせください。
イ氏:
皆さんもご存じのとおり,PC向けのゲームでオートシステムを搭載しているタイトルはあまり多くありません。我々としても絶対に従わなければならない,ゲームの文法ではないと考えていました。実際にテスト段階では,ゆったりとプレイする人はオートシステムの有無を気にしておらず,重要度の高いシステムではなかったんです。
──Durangoは,普段ゲームを遊ばない人にもリーチできているとうかがっています。そこにはどういった要因があると分析していますか。
イ氏:
MMORPGといえば,メインとなるのは狩り(戦闘)だったりするわけです。そして生産職と呼ばれるものが補助の要素として用意されています。そのためMMORPGのプレイヤーは,まず“戦士”として一人前になるのが基本ですが,Durangoにおいてはその限りではありません。たとえば「ハンター」という狩りが得意な職業も,あくまでひとつの職業に過ぎないのです。生産系の職業で安全な街から一歩も出なくても,最高レベルに到達できます。
ヤン・スンミョン氏(以下,ヤン氏):
MMORPGでは,タンクやディーラー,ヒーラーといった形で役割が分担されますが,Durangoでは採集系,生産系,そして戦闘系という具合に,もう一歩広い解釈で役割を分担することで,うまく遊べるようになっています。大工の父が家を建設し,コックの母が料理を作り,子が外で素材を集めてくるというように,家族でゲームを楽しむ人も多くおり,普段ゲームを遊ばない人でも始めやすいのではないかと思います。
イ氏:
MMORPGと言えば,中世ファンタジーを題材にしたものが多いですが,Durangoは現代人が恐竜の時代にワープするという,ユニークなコンセプトをとっています。その点もこれまでゲームを遊んでいなかった人へのリーチにつながったのでしょう。
──Durangoでの人気コンテンツについてお聞かせください。
イ氏:
やはり探検ですね。Durangoの探検地となる島は,出現と消失を繰り返し,その形状・構造はランダム生成です。攻略情報のない未知の島を自らの足で探検し,資源のスイートスポットを見つけて,自分だけがその場所を知っているといった楽しさや喜びが生まれるので,人気の要因になっていると思います。
ヤン氏:
Durangoでは,インスタンス形式ではないオープンワールドの大陸上に私有地を持てます。そこに庭付きの家を建てたり,家の中を迷路にしたりと,それぞれのプレイヤーが思い描くままに楽しめるんです。
イ氏:
自分の家や農場を装飾する要素は,モバイルゲームのジャンルとしても普及していますが,それらはインスタンスワールドに家や農場を作って友達を招待したり,反対に訪問したりするソーシャル機能に留まっています。
Durangoは,ひとつの巨大なワールドのどこにでも自分だけの土地を作り上げられ,ほかのプレイヤーの介入によって,自身の土地周辺が変化していく様子を見られます。大工の友達が建てた家に一緒に住んだり,互いの家をくっつけて共同生活を送ったりでき,昔の“おままごと”のような遊びが可能なのも,既存のジャンルとの差別化になっています。
さらに,アイテムの製作における自由度が高いのも,Durangoの特徴です。Durangoの世界に存在するさまざまな属性のアイテムを組み合わせることで,本当にいろいろなアイテムを作り出せます。代表的な例は料理ですが,皆さんが想像するものはほぼ作れます。誰がどういった料理を作るのか競い合う楽しみもありますよ。
韓国版では,ポピュラーな料理として“刺し身蒸し蒸し”があります。これは刺し身を2回蒸して作る料理なんですが,こんな調理方法は現実ではありえないですよね(笑)。しかしゲーム内ではこの料理の効果が高いため,プレイヤー達に愛されています。
ゲーム内には刺し身のレシピだけあり,2回蒸すという手法はプレイヤーが考案したんです。Durangoでは,そんな風にクリエイティブな遊び方もできるんです。
──刺し身蒸し蒸し以外にもプレイヤーが考案したアイテムはあるんでしょうか。
イ氏:
プレイヤーは苦労して手に入れた肉や小麦でハンバーガーを作り,それを水で煮込んで食べています。そのほうが効果が高いからです。
以前,とある部族(ギルド)に所属しているプレイヤーが,「うちの料理人は狂っています」という書き込みを残したこともありました。詳しく読んでみると,その料理人は,ケーキなども含むすべての食材をスープとして煮込んで,同じ部族の仲間に提供しているようでした。スープを作るためには「鍋」が欠かせませんが,鍋を作るには「赤土」が必要となります。Durangoでは,素材の属性さえ一致していれば代わりの素材でも製作できるんですが,どうやらそれが動物のフンだったそうです。
ヤン氏:
料理以外に,ハウジングの自由度も高いです。先ほど迷路みたいな家を作った人がいたと紹介しましたが,具体的にお話ししましょう。我々は家における部屋の区分を自由に設定できるようにしていますが,当のプレイヤーは各区分にドアを設置し,見事な迷路を作り上げていました。ゴール地点には,自身が描いた絵を飾っているなど,本当にユニークなシステムの使い方でしたね。
──ゲームスタート時,さまざまな職業のキャラクターから自分の分身を決めることになりますが,現実で選んでいる職業のキャラクターを選ぶ人は多かったんでしょうか。
イ氏:
キャラクターの性別を決めるとき,必ずしも自身の性別と一致するとは限らないように,現実の職業と合わせる人は少ないです。韓国のプレイヤーには効率を重視する側面があるので,狩りに有利そうに見える「軍人」を選ぶ人が多かったですね。
──Duraungoの日本語版がサービスされるにあたって,カルチャライズは行われるのでしょうか。
イ氏:
Durangoは全世界で単一のサーバーでサービスすることを目標にしています。そのため特定の地域に限定した要素を導入するといったことはありません。
ただし,サービス当初から全世界で単一のサーバーだと,隣に住むプレイヤーの言葉が分からないといったケースが想定できます。そのため,まずはアジアサーバーを用意する予定です。アジアサーバー内にも段階を置き,たとえば日本語版でのゲームプレイ開始直後は,日本人のみの島でスタートするといったことを考えています。そして徐々にサーバーを統合していき,いずれ単一サーバーにするつもりです。
我々の目指すカルチャライズとは,モバイルゲームに刀や忍者服といった日本文化が反映されることもあると思いますが,それが世界共通として導入されることです。
なお,ローカルIPとのコラボーレーションも進めています。韓国ではバーガーキングとコラボし,ゲーム内にバーガーキングのハンバーガーが登場しました。近日中にサービスを予定しているインドネシアでは,現地のお菓子とのコラボを考えています。
──修正やバランシング以外の面で,Durangoを長く遊んでもらうためにはどういったことを考えていますか。
イ氏:
我々が,ゲームを長く遊んでもらうために必要だと考えているのは,Durangoがずっと変わり続けるゲームであることです。Durangoのレベルキャップは60ですが,たとえばその上限を無理に引き上げるのではなく,水平的に広げていきたいという方向性です。
ヤン氏:
Durangoはサンドボックス型のMMORPGなので,ストーリーコンテンツのアップデートはそこまで考えていなかったんですが,登場するNPCの性格や,彼らが活躍する物語が非常に好評を得ています。水平的な広がりという意味では,アップデートの重要性が高まっています。直近ではβテストを終えた「部族戦争」が正式実装されましたが,こちらも今後どんどん改良していく予定です。
──部族戦争とは,どういったコンテンツなんでしょうか。
ヤン氏:
最高レベルに達した人が出入りできる「無人島」で勃発する部族同士の戦争を指します。この島では,別の部族のプレイヤーと敵対関係になっておりPvPが可能です。無人島には豊富なリソースを獲得できる拠点があるので,それを奪い合う,守るために要塞化するなど,異なる部族同士の熾烈な争いが楽しめます。
──最後になりますが,Durangoを楽しみに待つ日本のファンへコメントをお願いします。
イ氏:
日本ではDurangoのPRをほとんど展開していないため,配信を待っているという人は少ないかもしれません。そんな状況でも楽しみに待ってくださっている方には,前もってお礼を申し上げたいです。
Durangoを開発するとき,世界のどこにもないゲームにして,皆さんに提供したいと願っていました。開発陣には「マビノギ」や「マビノギ英雄伝」を一緒に作ってきたメンバーも在籍しており,βテスト時に,テスターから「ベッドに転がってマビノギのように楽しめる作品だ」というコメントが寄せられたこともありました。日本でマビノギを楽しんでいただいた人なら,きっとDurangoも期待に応えられる作品だと思います。
ヤン氏:
我々はDurangoを世界に通じるゲームにしたくて開発しました。そこにはもちろん日本も含まれており,大切に考えています。楽しみにお待ちいただければと思います。
──本日はありがとうございました。
「野生の地:Durango」公式サイト
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