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[NDC18]「Durango: Wild Lands」の開発者が夢見ていたゲームとは。WHAT!STUDIOのクリエイターによる講演をレポート
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印刷2018/04/25 16:41

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[NDC18]「Durango: Wild Lands」の開発者が夢見ていたゲームとは。WHAT!STUDIOのクリエイターによる講演をレポート

 韓国で開催中のゲーム開発者向けイベント「Nexon Developers Conference 18」の初日となった2018年4月24日,「『Durango: Wild Lands』ゲームデザインレビュー」と題されたセッションが行われた。登壇したのは,WHAT!STUDIOのヤン・スンミョン氏だ。

 「Durango: Wild Lands」(以下,Durango。iOS / Android)は,2018年1月に韓国で正式サービスが開始された“オープンワールド型MMORPG”を謳うスマートフォン向けアプリである。4Gamer読者には,サンドボックス型MMOゲームと表現したほうが分かりやすいかもしれない。なお,日本国内では2018年内にサービス開始が予定されている(関連記事)。

 今回の講演で語られたのは,開発当初から現在の姿に至るまでのDurangoの過程だ。ヤン氏は,ゲームというものは開発者の夢からスタートするものだと語る。その夢は興行や売上が目的なこともあれば,名誉や自己表現,信念ともなりえる。しかし開発者は夢の実現に向けていく中で,コストや技術であったり,受け入れたくない変化を受け入れざるを得なかったりといった,現実という壁にぶつかる。そして場合によっては開発を中止しなければならず,夢を叶えることは妥協の連続であり,苦痛を強いられることだと続けた。

 ヤン氏によると,とあるインタビューの席で,記者から「Durangoはあなたが夢見ていたゲームですか」といった内容の質問を受けたことがあったという。氏は,これがDurangoの開発初期に持っていた夢とは何だったのかを振り返るきっかけになったと語る。

 Durangoの初期コンセプトは,パーマネントなMMOワールド。区切りのない世界を実現させることだった。ハウジングゾーンやインスタンスダンジョンもない未開の大陸で,各々のプレイヤーが開拓と建設を進めていくという,つまりプレイヤー達によってマップが形成されるようなゲームを夢見ていたそうだ。

 当時のテストでは,全プレイヤーが巨大な大陸でゲームプレイを開始したが,人口密度の問題が浮上した。人口密度が高まれば開拓の余地がなく,かといって大陸を広げすぎるとMMO体験を損なってしまう。

プロトタイプの大陸マップ。約100名のネクソンスタッフが実際にテストプレイしたという
野生の地:Durango

 そこで次に考案されたのは「複数の大陸」案だ。これは,人口密度の上昇に応じて新しい未開の大陸が生まれるシステムである。しかし,新規プレイヤーの多くは古い大陸にやってこない。加えてDurangoは遭難から始まるゲームであるため,新規プレイヤーが古い大陸に訪れることが可能だとコンセプトが破綻してしまう。なぜなら古い大陸は開拓が進んでおり,サバイバルどころか快適に過ごせるからである。

 この大陸問題は,「安定な島」(移住地となる島)と「不安定な島」(探索地となる島)に分けて生成するという妥協案がとられた。前者では,プレイヤーの私有地として開拓や建設が行え,破壊などによる消失はない形式となった。一方の後者では,価値ある探索地となるが,定期的に生成と消失が繰り返される性質を持たせた。

 しかし,プレイヤー達の集落が安定した頃に,私有地の地理的な優位性が問題として浮き彫りになった。Durangoでは川の近くを私有地とすることが好まれる傾向にあり,そういった良い土地がほぼ埋まってしまうと,新規プレイヤーが私有地を持たなくなったのだ。また,ゲーム開始直後で右も左も分からない新規プレイヤーが,とんでもない土地を私有地にしてしまう問題も発生した。
 これらを解決するために,チュートリアルに相当する島が追加され,そこでゲームの基礎知識や私有地について把握し,移住を促す形に設計し直されたという。

 私有地争奪戦の実現もDurango開発陣の夢だった。お互いの私有地をかけて奪い合うPvPコンテンツは刺激的であったが,同時に私有地が奪われる経験はカジュアルプレイヤーの離脱を促進してしまう問題もあり,実現には至らなかった。これはPvPをメインに楽しめる「無法島」を追加することで解決を図った。

 Durangoの開発過程では,環境変化のシミュレーションという面白いテストも行われた。土地をタイル単位で管理し,それぞれに肥沃度を設定したのち,種子を撒き散らす植物と,植物を食べる草食動物,そして草食動物を食べる肉食動物が配置され,その経過が観察された。

野生の地:Durango

 このシミュレーションで確認できたのは,プレイヤーの介入に基づいてリソースの分布が変化することだったという。例えば,プレイヤーが資材として木々を根こそぎ回収してしまうと,その付近に生息する草食動物は絶滅の道をたどる。土地の面積によっては異常な繁殖も起こり,バランスを持たせるには全体的なマップスケールを拡大するほかなくなった。
 そのため環境デザイン時は,特定の資源がゲーム進行上で必要となる場合,絶滅や枯渇することにはならず,豊富な資源は強力な恐竜が守っている難関も用意される形式となった。加えて資源が容易に手に入るスポットも導入し,複雑な自然環境の実現は諦めることにした。開発陣の夢とは異なるが,変化する環境の一定の実現には至った。

 また,Durangoにおけるキャラクターの成長は,一般的なゲームとは別の経験を持たせたかったという。ヤン氏は,決められたルートどおりにストーリを追い,一定のクエストを解決していくようなゲームデザインは嫌だったと振り返る。Durangoのコンセプトどおり,現代人が遭遇したリアルな体験を提供することが狙いだったという。

 そこでストーリーやクエストではなく,刺激を提示する案がとられた。どのような環境でも生きるために行動するという人の本性を利用し,生存と協力を目指させるゲームデザインが構築されていった。食料や水,体温の維持,病気といったステータスをゲージとして表示することも考えられたが,スマホの画面に適したUIは難しく,可能な限りシンプルな形に詰められた。

 職人が丸太でまな板を作り,料理人がそれを使って調理するように,生存と協力を楽しむため資源を最大限に活用できる仕組みも設計された。人間は自分に必要なものを手に入れるより,他人が自分に必要なことをしてくれることに,やりがいを感じる。
 この仕組みは検証されたものの,ソロプレイヤーには問題となった。1人で遊ぶプレイヤーに他人との協力を促す動機を与えられるだろうか。テストのたびにこの弱点が強調されていった。市場システムを通じたゆるい協力要素も,この弱点の解決には至らなかったという。

 そもそもソロプレイヤーのほとんどは,新規ゲーム参入者である。彼らは市場システムの利用方法どころか,ゲームの進行が詰まるとすぐに離脱する。そこでゲームを始めたばかりの人には「オン・ボーディング」(on-boarding)が必要とされた。
 Durangoにおけるオン・ボーディングには,短期・長期のガイドが用意された。前者では,ゲームシステムを理解させるトレーニング,および特定の行動に反応して出てきて誘導し,後者では,主にキャラクターの成長に関わるように設計された。
 新規プレイヤーに向けたこのオン・ボーディングは慎重を重ねて実装に至った。Durangoがクエストを繰り返させるゲームだと認識させないために,一直線的なガイドではなく,必要に応じて表示される反応型であることを徹底したという。

 結論から言うと,この実装は失敗に終わった。ソロプレイヤーがモチベーションを保てなくなったのである。そこでDurango開発陣は,やむなく一直線的なガイドを導入することに決めた。多少のストーリー要素を含ませて導入されたこの一直線的なガイドは,予想に反して好評だったそうだ。今までモチベーションを失っていたプレイヤーが,一直線的なガイドの導入後は寸暇を惜しんでプレイを進めたという。

 一件落着かと思いきや,今度はガイドの達成後に次の目標が見えないことに困惑するプレイヤーが現れ始めた。そこで,彼らのモチベーションを維持させるために,自動生成のクエストシステムが実装されることになる。ヤン氏によると,この時期に優秀なシナリオライターが開発に加わり,新たなクエストシステムも良い結果を迎えられたという。

 ヤン氏によると,Durangoの初期コンセプトに「No NPC,No Quest」も掲げられていたが,最終的に成功へと落ち着いたのは「Yes NPC,Yes Quest」だったと現在の状況を話す。そして「No NPC,No Quest」のコンセプトが維持されていた開発期間は決して無駄でもなく,そのおかげでNPCやクエストの重要性を再確認できたと語っていた。

野生の地:Durango

 講演では,Durango開発初期の頃,ディレクターのイ・ウンソク氏が「3段階の成長モデルを作ろう!」と言い出したときのエピソードも披露された。ヤン氏は正直なところ「この人は何を言っているんだろう」という気持ちだったそうだが,ディレクターが言い出してしまったことなので,とりあえずは一度着手してみたそうだ。
 Durangoにおけるキャラクターの成長モデルは,大きく分けて二通り存在する。一つは,高い自由度を提供する代わりに複雑なスキルツリーをもとにキャラを成長させていくモデル。もう一つは,自由度を制限するが,シンプルなレベルアップ方式のモデルだ。

野生の地:Durango

 イ氏が提示した3段階の成長モデルとは,これらの妥協案に相当する。ヤン氏がこの意図に気づくのは,しばらく経ってからのことだったらしいが,高い自由度を維持しつつ,それほどプレイヤーに学習を求めないモデルとなっていた。
 Durangoにおけるキャラの成長モデルは,戦闘と生活にそれぞれスキルツリーがある形となったが,どうしてもコンテンツの増加に応じて複雑さを増していった。この問題は系列ごとにスキルツリーを分離して一定の解決を果たしたとのこと。

 最終的には,大規模なテストを控えた段階で,レベル制も導入された。すべての行動に対して全スキルツリーに経験値が付与される形式だ。ある程度予想はされたと思うが,結果的には戦闘でレベルアップして生活スキルを習得するプレイヤーが出てきてしまった。Mob狩りだけで立派な鍛冶屋になるといったケースである。現在のDurangoの成長モデルは,そういった紆余曲折を経て完成されたものだという。

 このほかにも,Durangoのバトルシステムに関する開発エピソードも紹介した。もともと戦闘面に関して大きな理想はなかったが,当時Durangoの開発に加わったスタッフ達が「マビノギ英雄伝」のクリエイター達であったため,バトルシステムに求める理想が引き上げられたという。グローバルサーバーでのサービスが前提に考えられていたDurangoでバトルシステムに注力することは,多大な苦労があるとのこと。バトルシステムの改善は現在も進められており,今後も多くの課題と対峙していくそうだ。

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 ヤン氏は最後に,冒頭で話した「夢を叶えることは妥協の連続であり,苦痛を強いられること」という言葉を引用し,Durangoの開発プロセスは,ゲームの文法を再認識する過程でもあったと述べた。夢を諦めなければならないときは,再検討する過程が必要であるとし,夢を諦めたことに後悔が残らない形にすることが大切で,代わりに何を得たのかを知るべきだと語り,講演を締めくくった。

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