インタビュー
Hey,チャーリー。スマホ版「スカルガールズ」を作ったってのは君かい?
今回のお相手は,開発および配信を手がけたアメリカのゲームスタジオ“Hidden Variable Studios”のディレクターである,チャーリー・プライス氏だ。氏にはスマホ版の開発の経緯や,シリーズを束ねてきたLab Zero Gamesとの関係などを答えてもらった。
なお,本稿はあくまでメールインタビューではあるが,「顔合わせをしてたらきっとこんな雰囲気になってただろう」(という想像)を再現しているので,みんなもスカルガールズをプレイするときはこれくらい楽しんで“遊んで”ほしい。
思ってたより格ゲーだった。
スマホ版「スカルガールズ」のプレイレビュー
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本当の意味で格闘ゲームと言えるのかい?
4Gamer:
遠い日本からHallo。君がスマホ版「スカルガールズ」のキーマンかい?
チャーリー・プライス氏(以下,チャーリー氏):
こんにちは! 僕はHidden Variable Studiosの共同創設者で,チャーリー・プライスだ。スマホ版「スカルガールズ」ではゲームディレクターを担当しているよ。
4Gamer:
よろしくチャーリー。まずは君がいるHidden Variable Studiosが,シリーズ作品を束ねてきたLab Zero Gamesから開発を引き受けた経緯を教えてほしい。
チャーリー氏:
お安い御用さ。僕はかつてピーター(Lab Zero Games CEOのPeter Bartholow氏)と同じゲームスタジオで働いていて,彼とはもう十年来の知り合いなんだ。そして数年前のGDC(Game Developers Conference)でパッと再会して,互いの近況を報告していたら,スマホ版スカルガールズの話になったんだよ。
4Gamer:
へー,そこでどんな話をしたんだい? おっと,言わなくても分かるよ。なんたってスマホ版はすでに存在しているからね!
チャーリー氏:
おいおい,言わせてくれよ! 彼はそのころ,すでにほかの会社と話を進めていたんだ。「Puzzle Fighter」のような普遍的なパズルゲームのシステムと,スカルガールズのアニメーションを組み合わせた,新しく斬新なモバイルゲームの制作についてね。
4Gamer:
そいつは一大事だ。それじゃあスマホ版が普通のパズルゲームになっちまう!
チャーリー氏:
だろう? そのときは僕も思わず「いいね,面白そうなゲームじゃないか!」と答えたんだ。でもそのあと僕は「スマホ版スカルガールズには,僕ら格ゲープレイヤーがもっと喜べる,大きな可能性があるんじゃないか?」と考え直したんだよ。
4Gamer:
いいね,実にいい流れだよ。
チャーリー氏:
だろう? 僕は当時,いや今もそうだが,世界中を見渡しても本当の意味で格闘ゲームと言えるモバイルゲームは数少ないと思っているし,その事実に驚いている。だからピーターと話していて,個性的な世界観で,多彩なキャラクターがいて,素晴らしいアニメーションを武器としている「スカルガールズ」なら,“本当の意味で格闘ゲームと言えるモバイルゲーム”として展開していけると確信したのさ。それも完璧な一例としてね。
4Gamer:
本当の意味で格闘ゲームと言えるモバイルゲームねぇ。ピーターはその口説き文句で落ちたってのかい?
チャーリー氏:
君のご想像にお任せするよ。
4Gamer:
Phew! さっきの仕返しかい!? まったく君ってやつは! それで,チャーリーはなんでそういうゲームにしたいと思ったんだ。その理由はなんなのさ。
チャーリー氏:
自慢じゃないけど,僕は子供のころからずっと友人達に「格闘ゲームファン」として知られていたんだ。僕自身,格ゲーの遊び仲間を作るためによく戦い方を教えていたよ。そのぶん,格ゲーのハードルの高さも身に染みて分かっていてね。
4Gamer:
よく分からないコンボが飛び交って,よく分からないうちに倒される。まるで俺から見たロサンゼルスのようじゃないか。
チャーリー氏:
コンボの複雑さやゲージの管理,そういうのはすべて格ゲープレイヤーにとっては楽しく,挑戦し甲斐のあることだと思う。いや,そう思いでもしなければ,覚えなきゃいけないことがありすぎて圧倒されちゃうんだ。そうしてすぐに挫折してしまう。そうなると結果的に,格ゲーの本当の良さを理解してもらうことは叶わなくなるだろう?
4Gamer:
罪なゲームジャンルだよ,まったく。
チャーリー氏:
さしずめ,僕らは罪人といったところかな。
4Gamer:
おっと,こいつは一本取られたな!
チャーリー氏:
話を戻そう。そのころ僕が友人達にしていた教え方は「いろいろなことを簡略化する」ことだったんだ。
4Gamer:
それってのはつまり,「ハウスはウッドでメイクしている」みたいな感じかい?
チャーリー氏:
君は優秀な先生になれそうだな! 僕の場合はね,細かい要素には目をつぶり,使うべきアクションの数を絞って,かぎられた技をどのタイミングで使うのかだけに集中させたんだ。それがはじめの一歩としてベストだと思ってね。
4Gamer:
それになんの意味があるんだい? BBQなのにコーンとポテトしか食べてないみたいじゃないか。
チャーリー氏:
多くの格闘ゲームの楽しさは「相手を翻弄しつつ,状況に対応するため,戦術的で機敏なアクションを自由かつ創造的に使いこなすこと」にあるんだ。その楽しみに近づけるため,彼ら初心者にはできることから努力させていく。すると成功体験が積み重なっていって,徐々にできることも広がっていく。その結果どうなる? 立派な格ゲープレイヤーの誕生さ。
4Gamer:
Holy Shit! 練習が楽しさにつながってやがる! 君は天才か!?
チャーリー氏:
僕のこのときの経験は,スマホ版スカルガールズを制作するうえで欠かせないものになっていた。遊び方の選択肢を増やして,器用さが求められる入力も簡素にして,ハードルを下げることに注力して――そうすれば格ゲーとは縁のなかった人でも楽しめる,熟練の格ゲープレイヤーにも満足してもらえる,深みをもったゲームになると考えたんだ。
4Gamer:
しかし,開発にはだいぶ時間がかかったんじゃないのか。
チャーリー氏:
スマホ版の話がまとまる以前からプロトタイプを作ってはいたんだけど,実際に制作がはじまったのは2015年の1月だったね。しかも当初の開発チームといえば,僕とリードエンジニアの2人だけだったよ。
4Gamer:
2人だって? 聞き間違いか? シリコンバレーの面白話は尋ねてないぜ。
チャーリー氏:
2人さ。2人だけでさまざまな要素を検証していたんだ。もちろん,数か月後に3〜4名ほど追加メンバーをアサインしたけどね。
4Gamer:
それでもピックアップトラック1台に収まる人数じゃないか。
チャーリー氏:
時間がかかったのは事実だ。アメリカでのローンチは2017年5月を目標としていたから,完成までに約2年半かかった。とはいえ,多くのモバイルゲームはアップデートを求められるから,コンシューマゲームのように「完成までどのくらいかかるか?」を想定するよりも,「どのタイミングでリリースしたいか?」を念頭に制作していたよ。遅延や延期に悩まされていたわけではないんだ。
4Gamer:
想定どおりなのはいいことだ。でも,日本ではさらに1年と2か月もおあずけをくらったんだ! 待ちきれなかったよ!
チャーリー氏:
それはすまなかった。しかし,これからはようやく日本のプレイヤーにも遊んでもらえるようになった。今後は新たなコンテンツも配信していくつもりだから,楽しみがどんどん膨らんでいくと思ってくれ。
「スカルガールズ」のままであると強調したいのさ
チャーリー氏:
今回日本で配信したスマホ版スカルガールズは,モバイル端末で体験する格闘ゲームのイメージを刷新するため,イチから作った“格闘RPG”なんだ。格闘ゲームの戦術的な楽しさをより多くの人達に伝えたいと思ったのと同時に,格ゲープレイヤーには外出先でも遊んでもらいたいと考えているんだよ。
4Gamer:
ありがたいよチャーリー。これからはボタンとレバーの付いた鉄の塊を持ってヤマノテセンに乗らなくても,外で格ゲーができちまうんだから!
チャーリー氏:
すまない,君のシックスパック作りを邪魔したかな?
4Gamer:
心配するな,もう夏向けのボディさ。それにしても,スマホ版はサブタイトルも付けずに「スカルガールズ」だけど,これじゃあ混同してしまうよ! タイムズ・スクエアの周辺だってもうちょっと親切なくらいだ。
チャーリー氏:
それに関しては,僕らも多くの時間を割いて議論してきた。そして最終的にこの形に落ち着いたんだ。例えば君は「オリジナルのタイトル名の一部を使ったモバイルゲーム」にどういう印象を持つかい?
4Gamer:
本編から派生した作品,簡易的なゲーム内容……いやいい,言いたいことは伝わったよ。言い方はさまざまだけど,悪く言えばパッとしないのは確かだ。
チャーリー氏:
そうだろ? そしてなにより,今そう思った君のように,そういうタイトル名は「同じようなゲーム体験はできないかも」と懐疑的に見られる傾向があるんだ。
4Gamer:
スマホ向けに最適化していると言えば聞こえはいいが,中身が良くなった,もしくは同等だった例となると,さっぱり聞かないからな!
チャーリー氏:
サブタイトルに関しても同様さ。下手したら「格闘ゲームじゃないのか」と思われてしまうくらいだ。だから,オリジナルの魅力をしっかりと引き継いでいる格闘ゲームである,そういうことを強調するために「スカルガールズ」のままでいくと決めたのさ。
4Gamer:
そんなクールな理由がねぇ。納得するほかないよ。実際の内容も「思ってたより格ゲーだった」しね。なんだよ,すべては君の掌の上ってわけかい!
チャーリー氏:
あまり褒めるなよ? 照れるじゃないか。
4Gamer:
Darn! ゴキゲンじゃないかこいつめ! それとストーリーに関しては完全オリジナルのようだね。このあたりも整理して聞かせてもらいたいもんだ。
チャーリー氏:
お答えするよ! スカルガールズの魅力のひとつはね,“驚くほど深いバックストーリー”にあるんだ。犯罪組織と警察が入り乱れる世界で,ラヴクラフト的な怪奇ファンタジーのクリーチャーが闊歩していて,SF風のど派手な展開もあってと――さまざまな驚きが詰まっているんだよ。
4Gamer:
よーく知ってるよ。もう長い付き合いさ。PS3からのね。
チャーリー氏:
それだよ。コンシューマ版で展開されてきたスカルガールズには,すでに確固たる世界観が備わっていただろ?
4Gamer:
ああ,最高の内容だったよ。それがどうかしたのかい。
チャーリー氏:
でも,まだ深堀りできる余地はあったんだ。
4Gamer:
……なんだって?
チャーリー氏:
メインキャラクターの原点や,詳しく明かされていなかった物語のことさ。
4Gamer:
なんてこった。君は失われたアークに挑もうってのか!
チャーリー氏:
そのとおり。だからスマホ版ではそれらのストーリーを中心に描いている。
4Gamer:
でも,ダディはそのことを知っているのかい? つまりスカルガールズの総本山である,Lab Zero Gamesのことさ。
チャーリー氏:
当然,知っているよ。そうじゃないのにやるなんて,おかしいだろう?
4Gamer:
まったく,こんなところで「スジをトオス」を教えてもらうことになるなんてな。君には驚きだよ!
チャーリー氏:
スマホ版ではオリジナルストーリーを作るにあたり,スカルガールズのビジュアル面や設定面を含む,すべての世界観を作ってきたアレックス(「スカルガールズ」クリエイティブディレクターのAlex Ahad氏)とやりとりしてきた。彼は「僕らが知りたいこと」「僕らと共有しておきたいこと」を余さず教えてくれたんだ。そのおかげで僕らはシリーズのすべての情報を理解したうえで,一貫したストーリーを作ることに尽力できている。
4Gamer:
そいつはアレックスに感謝しなきゃな。花束のひとつでも贈ってやったらどうだい。
チャーリー氏:
当の設定資料は今では「聖書くらいの厚み」になっているがね。
4Gamer:
A-ha,やりすぎだぜアレックス。
チャーリー氏:
それくらい“愛情”があるってことさ。
4Gamer:
違いない。それで,実際の制作進行はどうなっているんだ。
チャーリー氏:
これまでスマホ版で描いてきたストーリーやゲームシーンは,提供できるものか,内容はどうであるか,すべてアレックスと相談しながらやってきた。ゲームデザインに沿って脚本を作っていったあとは,さらに「セリフ」についてだ。彼が表現したいと思っていることを描ききるまで何度も原稿を交わしてきたよ。おまけに並行して,シーンに応じたイラストも制作していったんだ。
4Gamer:
聴いているだけ眩暈がしそうだ。ドーナツを買いに行く暇すらなさそうじゃないか。
チャーリー氏:
それくらいの意気込みでやるべきってことさ。しかも,イラストもスペシャルに仕上げてきた。ときにはヴァレンタインの所属していた特殊部隊「ラストホープ」(アンチ・スカルガール・ラボ)の面々であるパティー,イースター,ハローを描いた。ときにはピーコックやビッグバンドの改造前の姿のように,お馴染みのキャラクターの新たな一面を描いた。どれも刺激的でクリエイティブだったよ。
4Gamer:
おいおい,それじゃあ日本版ではやることがなくなってるんじゃないのか?
チャーリー氏:
安心してくれ。描きたいことは未だに尽きないよ。
4Gamer:
やれやれ,君の貪欲さにはかなわないな。そうだ,スマホ版の物語はシリーズの時系列に沿っているものなのか? 仲間外れは嫌だぜ。
チャーリー氏:
時系列には沿っているよ。今までシリーズで描かれてきた物語とは地続きの内容だ。しかし“正史”とは多少異なっていることは覚えておいてほしい。
4Gamer:
What? 穏やかじゃないな。どういう意味だ。
チャーリー氏:
例えば,スマホ版では「プレイヤーはヴァレンタインの助けを借りて,ブレイン・ドレインのラボから逃げ出してきた」という設定なんだ。そして我が身に迫りくる驚異に対抗し,街を防衛するべく,パラソールのブラックイーグレット隊に採用されるって寸法さ。
4Gamer:
なんだ,合点いったよ。物語が別物なんじゃなくて,スマホ版ならではの視点になってるわけだ。
チャーリー氏:
ああ,そうさ。スマホ版ではプレイヤーに「マリーがスカルガールとして覚醒するまでにつながる,ニューメリディアンで起きる事件の真っ只中にいる体験をしてもらう」のが最大の目的だからね。それに格闘ゲームの物語って,本質的には“視点の違うたくさんの話の集まり”なんだ。そう考えると,スマホ版で描く物語の視野も広がるってもんさ。
4Gamer:
なるほどね。だったらプレイヤーをたっぷり活躍させてやってくれよ? ジョン・マクレーンのようにさ。
チャーリー氏:
おいおい,そいつはタフガイすぎるぜ!
言うまでもないけど,準備しているよ
チャーリー氏:
ところで,君は実際にプレイしてみてどうだった?
4Gamer:
さっきも言ったし,レビューにも書いたけど,思ってもみなかったくらい「格闘ゲーム」だった。もちろん,いい意味でね。
チャーリー氏:
ありがとう! プレイヤーにそう言ってもらうことが目標だったんだ! ᕕ( ᐛ )ᕗ
4Gamer:
ただな,アクション性が豊富で嬉しい反面,初心者には操作が若干難しいんじゃないか? なんてね。心配しすぎかな。
チャーリー氏:
いいや,言いたいことは分かるよ。でもその前に伝えておきたいのは,格ゲープレイヤーが求めるゲーム性と,初心者が求めるバランスを両立させるには,常に挑戦が必要だと僕は思っている。簡略化しすぎてもよくない,かといって深みや多様性がありすぎてもダメだ。コストがかかるし,初心者も離れていってしまうからね。
4Gamer:
世界中のゲームクリエイターが頭を抱える難題だ。明後日の朝食を考えるよりも難しい。
チャーリー氏:
そのためスマホ版ではすべての技を1タップか2タップ,あるいはスワイプだけで繰り出せるようにしたんだ。明瞭で矛盾のないルールによって,プレイヤーは多様な選択肢の中から自分だけでコンボを生み出せるのさ。差し当たって必要な自由度と創造性はとくに気にしてきたよ。
4Gamer:
簡単だけど,簡単すぎない。そこを支えているのが自由度と創造性ってわけか。
チャーリー氏:
そのとおりだ。僕はそういった感覚を早期に養うことが,初心者が格闘ゲームを楽しんでプレイするようになるための近道だと思っている。そういう体験を経てきた人は,複雑そうな格闘ゲームに出会い,挑戦的な駆け引きに遭遇したとしても,それまでに培ってきた自力で乗り越えられると信じているんだ。
4Gamer:
素晴らしい考えを持っているんだな。君はスマホ版を遊んでもらうことはおろか,プレイヤーの発達段階と,そのあとにつながる格ゲー界のことまで想っているのだから。
チャーリー氏:
そう言ってもらえると嬉しいよ。それにもし「難しすぎる」と感じさせてしまったら,そこからはモバイルゲームの本領さ。僕らがメトリクスを見直し,アップデートのたびに改善していけば,それだけより良いゲームに近づける。
4Gamer:
Haha! 随分と策士じゃないか!
チャーリー氏:
よせよ,慧眼と言ってほしいね。
4Gamer:
それじゃあ……次の話題はデンジャラスだぞ? 触れ方を間違えれば君も火傷じゃ済まされない。モバイルゲームでは「バリエーションとマネタイズ」が付いてまわる話だ。そしてスマホ版スカルガールズにおいて,君はこのあたりの事情をどう考えているんだい。
チャーリー氏:
僕らのようにモバイルゲームを作る人間は,必ず考えなきゃいけないことだ。近年,基本プレイ無料で提供されている数々のゲームは,コレクション要素を増しながら,さらにゲーム内容を広げていくため,たくさんのアイデアを絞り,それらをマネタイズにつなげていかなくてはならない。そうしないとゲーム自体が続いていかないからね。
4Gamer:
そのとおりだチャーリー。今じゃエレメンタリースクールに通ってる小学生だって知っている。
チャーリー氏:
しかもだ。提供するコンテンツも絶えず,プレイヤーを奮い立たせるものでなければならない。あと,キャラクター達を好きになってもらうことも必須ときたもんだ!
4Gamer:
Don’t worry,そう落ち込むなよ。難解すぎて笑えないのはみんな同じさ。
チャーリー氏:
だけどね――そういう効果を狙うのならRPGを選ぶべきだし,RPGこそが真に輝く方法だと僕は思っている。
4Gamer:
なに? そいつは聞き捨てならないな。どういう意味なのさ。
チャーリー氏:
スマホ版ではプレイアブルキャラクターが使用できる技を収集要素にしているんだ。キャラクターを集めるのとは別軸のコレクション性を強化して,新しい楽しみに昇華している。しかも,キャラクター達はそれぞれ独自の必殺技を持っていて,レベルを上げればグレードアップできるようにしている。通常技と必殺技のたった2種類しかないのに組み合わせは無限大さ。これはRPGならではの考え方があってこそだ。実際,バリエーションにはかなり自信があるよ!
4Gamer:
ただ,それだけマネタイズも“モンスター”になってしまわないかい。
チャーリー氏:
むむ,そうだね。その難しさは常に感じているよ。スマホ版スカルガールズも持続性のあるマネタイズにしているのは否めない。でもそれと同時に,あまりお金を使えない,使いたくない人達のために,ゲーム内で提供しているものは時間やプレイヤースキル,あるいは運次第で報酬として手に入れられるようにしている。
4Gamer:
すべてをかい?
チャーリー氏:
すべてをさ。そこだけは譲らなかったよ。
4Gamer:
いい判断だと思うよ。「お金を使わなくても手に入る」と「お金を使わないと手に入らない」にはとんでもない落差がある。君の知ってる国立公園にある,あの大渓谷のようにね。あと,もうひとつ聞いてもいいかい?
チャーリー氏:
かまわないよ。ランチタイムまでまだ時間がある。
4Gamer:
対戦モードのことさ。プレイヤー同士のね。
チャーリー氏:
言うまでもないけど,準備しているよ。スマホ版はコンシューマ版とまったく同じソースコードを使用して制作しているから,リアルタイム通信については開発機を使い,キャラクターや技のテストをしているところなんだ。インターネットの接続環境が人それぞれであることを前提に,安定性を確保できるよう思索中だよ。
4Gamer:
そいつは頼もしい! 格ゲーにおける「ラグ」は君達にとってのナットウゴハンくらい嫌われているからね!
チャーリー氏:
君にしてみたらオートミールってところかな?
4Gamer:
そこまで嫌いじゃないさ。永久コンボくらい嫌いだけどね。
チャーリー氏:
甲乙つけづらくなってるじゃないか! まぁ,実装に関してはもう少し先になってしまうのは許してほしい。今はより大きな入力ウィンドウを用意したり,キューイングに関わるロジックを見直したりと,さまざまな工夫を施して実現の目途を探っている最中だから,もう少しだけ待ってくれると嬉しいよ。
4Gamer:
余談になるけど,君が共同創設に関わったというHidden Variable Studiosはどんな会社なんだい。
チャーリー氏:
アメリカのロサンゼルスにある,スタッフ10名ほどの小さなゲームスタジオさ。
4Gamer:
今は,ね。
チャーリー氏:
さぁ,どうだろう。ただ,僕らは常に新しくクレイジーなアイデアを企画し,探求し,その楽しさを世界中のプレイヤー達に届けていく,そういう環境を作り上げたいと思っている。そうやって突き進むことを決めた自分達にも,誇りを持っている。
4Gamer:
カッコいいじゃないか。応援するよ。しかし大丈夫かい? 新しさを求めるゲームスタジオは「DayもNightもない」ってな具合で,実際にそうなっているところも多いと聞くよ。
チャーリー氏:
ないよ。僕らはプレイヤーの方々に可能なかぎりベストなゲーム体験を届けることを約束するが,それと同じくらい自分達の体調管理にも気を配り,そのための休息をしっかりと確保している。Hidden Variable Studiosのスタッフ全員のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)は,ゲームのクオリティと同じくらい大切なことなんだ。
4Gamer:
これ以上は言いきれないから,これで最後にするよ。まったく,君はなんて素晴らしいやつなんだ!
チャーリー氏:
なにを言ってるんだ? 当たり前のことだろう?
4Gamer:
それが素晴らし……いいや,もう言わないよ。それじゃあLab Zero Gamesと仕事をしてみてどうだった。どんな印象を持ったのか聞かせてほしいんだ。
チャーリー氏:
どんな印象を持ったのかだって? Lab Zero Gamesこそ,素晴らしいパートナーだよ! 僕らがスマホ版スカルガールズを制作しているとき,むこうは別件の新作で忙しかったにも関わらず,こちらに時間を割いて僕らを支えてくれたんだ! それがあったから,スマホ版の制作はベストな状態で臨めたんだ!
4Gamer:
Oh,まいったね,君まで賛美を歌いはじめちまってる。まるでシスター・クラレンスを語るメアリー・ロバートのようだぜ。
チャーリー氏:
しかもだ,Lab Zero Gamesのすべてのスタッフ達は“スマホ版がオリジナルの水準に届くように”ってね,新規制作のオープニングムービーや,衝撃的なキャラクターアニメーションや,描き下ろしのストーリースチルまで提供してくれたんだ!
4Gamer:
Jesus! 信じられないほどのお人好し集団だな!
チャーリー氏:
そうさ。だからスマホ版を遊べば,彼らの情熱も一緒に受け取ってもらえるはずさ。
4Gamer:
そこまで言われたら,もうやるしかないじゃないか。じゃあ,次で最後の質問にしよう。そろそろパーティに行かなくちゃならないんでね。
チャーリー氏:
おいおい,羨ましい話じゃないか。もしかしてギンザかい? それともギオンかい?
4Gamer:
いいや,ヒダカヤさ。
チャーリー氏:
へー,そいつは知らないな。ぜひとも行ってみたいものだ。
4Gamer:
シヴィライゼーションくらいハマっても知らないぜ? それで最後ってのはな,「スカルガールズ2」のことなんだ。昨年うちの者がピーターに話を聞いたとき「スマホ版に続編のキャラを登場させたい」と言ってたらしいんだが,それがどうなったのかってね。
チャーリー氏:
いつか「スカルガールズ2」のリリースが実現したら,ぜひとも登場してもらいたいね。今言えるのは,それまでのスマホ版の成果次第ってことくらいさ。
紳士なコメントじゃないか,こいつ。むしろ「スカルガールズ2」をモバイルゲームとして作らせてもらったらどうだい。
チャーリー氏:
よしてくれ! 気が早すぎるよ! 僕らが望んでいるのも「スカルガールズ」シリーズの新キャラクターをモバイル向けとして初めてリリースする,そういう試みを担うことなんだから。
4Gamer:
悪い悪い,すまなかったよ。時期尚早だったな。
チャーリー氏:
ただ,スマホ版の人気が出れば出るほど,新キャラクターの追加も実現しやすくなるし,その先でもしかしたらスマホ版「スカルガールズ2」が実現するかもしれない。
4Gamer:
なんだよ! 結局のところ君も考えてるんじゃないか!
チャーリー氏:
知らなかったのかい? こっちは自由の国にいるんだ。
※注記:本文は最大限,マッチョなイメージでアメリカナイズしたものです。チャーリー氏はこんな感じではありませんでしたし,筆者も今まで生きてきてこんな会話したことありません。しかし,チャーリー氏も「パーフェクト!」と言いながら原稿にOKを出したので,もしかしたら実際はこんな感じかもしれません。事の真相はスマホ版「スカルガールズ」を遊んで確かめてみてください。
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