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印刷2019/11/18 19:47

イベント

eスポーツをVR配信すれば,会場にいるかのように楽しめる。「DISSIDIA FINAL FANTASY NT VRライブストリーミングバトルイベント」レポート

 アルファコードは2019年11月17日,東京都のe-sports SQUARE AKIHABARAにおいて,「DISSIDIA FINAL FANTASY NT VRライブストリーミングバトルイベント」を開催した。本大会は,PS4版「DISSIDIA FINAL FANTASY NT」を用いた,スクウェア・エニックス公認のワンデイトーナメントだ。

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 大会の主催はVR/MR/ARコンテンツを手がけるアルファコード。試合の配信には会場の中央に設置された11K画質で撮影できる360度カメラが用いられ,VR HMDを使えば会場にいるかのような臨場感で試合観戦を楽しめた。また,配信画面にはプレイヤー3人のゲーム画面がオーバーラップされており,視聴者の好みで見る画面を選択できた(ピックアップされるチームはラウンドごとに変わる)。

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360度カメラを取り囲むように選手と実況席が配置されている
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11Kで撮影できる360度カメラ

 こういった形式での配信は,画面分割による同時配信よりも,一画面が小さくならないだけ見やすいという印象を受けた。それに,自分が練習しているキャラクターを使っている画面に注目してもいいし,複数の画面を試合状況に応じて切り替えてもいい。アーカイブ化された動画なら自由に巻き戻しや一時停止ができるので,試合展開が変わったところで複数の画面を見比べるのもアリだ。

 また,試合をしている選手たちの様子も自由に方向を変えつつ見ることができるため,eスポーツ中継で使われるフェイスカム(選手の表情を捉えるカメラ)よりも臨場感を感じられた。さらに「DISSIDIA FINAL FANTASY NT」公式プレイヤーであるランズベリー・アーサーさんと芦澤佳純さんが実況解説を行っているので,ゲームセンターで対戦のギャラリーになっているような感覚と,中継ならではの実況解説が合わさっているという感がある。配信映像はYouTubeで見ることができるので,まずは試してみてほしい。


中継では,VR空間にキャラクターを配するという試みも行われた
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3つのゲーム画面が周囲に配置され,視聴者は好きなものに注目できる。ゲーム画面を拡大することも可能だ
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公式プレイヤーである芦澤佳純さん(写真左)とランズベリー・アーサーさん(写真右)による実況と解説も行われた。どこを見るかは視聴者の自由なので,この2人に注目するというのもアリ
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会場ではスマートフォン用VRゴーグルも配布された
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HMDによるVR体験も行われていた。参加者からは臨場感に対する驚きの声が上がる

 今回の大会を観て,eスポーツの大会中継にインタラクティブ性を取り入れる試みが同時発生的にスタートしており,それぞれに方向性が異なっているのが興味深いと感じられた。
 例えば「オーバーウォッチ」PC / PS4 / Xbox One / Switch)の大会「Overwatch League」や,「Counter-Strike: Global Offensive」の大会「FACEIT London Major」の中継では,有料パスを購入することで試合を好きな選手の視点で見たり,マップやスコアボードを表示させることができる。方向性としては,試合のデータを重視した中継といえるだろう。

 その一方,今回は会場の雰囲気を伝えることを重視したという印象だ。好きな選手の画面に注目できる(ピックアップされていれば)うえ,360度カメラと選手たちの距離が近いため,臨場感は抜群。見回せば現地の来場者が試合に注目している様子も分かり,eスポーツ会場の雰囲気や,観戦する楽しさも伝わってくる。

 この日の大会は1人から参加可能な当日エントリー式だったため,参戦のハードルが低く,参加者の抽選が行われるほどの盛況だった。使用キャラクターはラウンド毎に変えられるルールのため,相手に応じて編成を変えるケースも見られた。

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 準決勝戦まで勝ち上がったのは「Teamモーグリ」「Teamケアルガ」「Teamエアリス」「Teamオーディン」の4組だ。準決勝第一試合は「Teamモーグリ」対「Teamケアルガ」。互いに1勝したタイスコアから突入した最終ラウンドは,「Teamケアルガ」が試合を優勢に進めて勝利をつかんだ。

「Teamモーグリ」(左写真)と「Teamケアルガ」(右写真)
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 「Teamエアリス」対「Teamオーディン」の準決勝第二試合は,こちらもタイスコアからの最終ラウンド突入という流れに。最終ラウンドは膠着状態が続いたが,辛くも「Teamエアリス」が決勝にコマを進めた。

「Teamエアリス」(左写真)と「Teamオーディン」(右写真)
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 決勝戦は「Teamケアルガ」(「クラウド」「アルティミシア」「ライトニング」)と「Teamエアリス」(「セシル」「ジェクト」「ティナ」)の対決。1ラウンド目はお互いに譲らぬ接戦からタイムアップとなり,判定で「Teamケアルガ」が先取。2ラウンド目は「Teamエアリス」は前ラウンドのままの編成,そして「Teamケアルガ」がクラウドをティーダに切り替え,「ティーダ」「アルティミシア」「ライトニング」の布陣でスタート。「Teamケアルガ」は早い段階からバハムートを召喚するなど,押しに押しまくる。「Teamエアリス」も危地に陥った仲間をフォローするなど粘りを見せるが,「Teamケアルガ」の勢いが勝り,パーティライフを失うことなく優勝の座に輝いた

「Teamケアルガ」(左写真)と「Teamエアリス」(右写真)
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1ラウンド目は判定で「Teamケアルガ」の勝利に
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2ラウンド目は「Teamケアルガ」が押し切って見事優勝
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優勝した「Teamケアルガ」(左写真)と,賞品として贈られた盾(右写真)
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 イベント終了後,今回の大会を企画したAKATUNA氏にお話を伺うことができたので,その様子をお伝えして本稿の締めくくりとしよう。プロゲーマーのAKATUNA氏は,「絆体感TV 機動戦士ガンダム 第07板倉小隊」や「星と翼のパラドクス フルドライブちゃんねる」などの公式放送でも活躍しているので,名前を知っている人もいるだろう。


4Gamer
 今回の大会で360度カメラやVRを導入したきっかけを教えてください。

AKATUNA氏
 多人数プレイのゲームを中継する際は,スイッチャーが状況に応じて画面を切り替えるんですが,見所を上手くピックアップするのも難しいのではないかと思ったことがきっかけです。VR空間上に複数の画面を配置する方式であれば,視聴者さんが好きな画面を選べます。また,配信を見返し,クライマックスで攻防の焦点になっている画面を見たり,好きな選手に注目することも可能になります。これは自分自身がeスポーツ中継を見ている視聴者だからこそ出てきたアイデアですね。

プロゲーマーであり,アルファコードのeスポーツプロジェクト責任者を務めるAKATUNA氏
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4Gamer
 画面内カメラや,見所をピックアップするスタッフを増やすというアプローチを採っているeスポーツ中継もありますが,これと比較して今回の方式にはどういったメリットがあるのでしょうか。

AKATUNA氏
 VRのカメラは1台で済むので,初期投資さえ済ませれば後は運用するだけになります。また,会場の様子も分かりますし,VR空間内のゲーム画面を拡大することもできます。eスポーツ中継に必要な諸要素を平均的に網羅できているんじゃないでしょうか。この方式なら選手さんたちが試合の中でどのように声を掛け合っているかも伝えられますし。

4Gamer
 なるほど。選手が声かけをしている様子が分かるというのは興味深いですね。今回は3つの画面が配置されていましたが,全員分の6画面を出すことも可能なのでしょうか。

AKATUNA氏
 可能です。今回は初の試みなので,まずは3つの画面に抑えました。6画面がずらりと並んでいても,視聴者さんが迷われるかも知れませんので。

4Gamer
 今後,もっと人数が多いゲームでVR配信を行うことも考えていたりしますか。

AKATUNA氏
 はい。特にFPSは自分自身がよくプレイしているので,こうした配信をしてみたいですね。海外選手の試合なんかは出場されている全員分の画面をしっかり見たいですし。ただ,PC用,家庭用を問わず,いろいろななハード,いろいろなジャンルのゲームに使える方式です。もし大会運営者からご相談いただければ,どんな演出が向いているのか,ご提案いたします。

4Gamer
 ありがとうございました。

「DISSIDIA FINAL FANTASY NT」公式サイト

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