レビュー
ASTRO Gamingの国内第1弾はPS4ゲーマーのマストバイなのか
ASTRO A40 TR Gaming Headset+MixAmp Pro TR
2018年9月20日をもって国内市場への参入を果たしたASTRO Gaming(アストロゲーミング,以下 ASTRO)。その第1弾製品であるサウンドデバイス「ASTRO MixAmp Pro TR」(以下,MixAmp Pro TR)とヘッドセット「ASTRO A40 TR Headset」(以下,A40 TR)。2製品のセットである「ASTRO A40 TR Gaming Headset+MixAmp Pro TR」については発売のタイミングでファーストインプレッションをお届け済みだが,ようやくすべてのテストを終えることができたので,ここに完全版のレビューをお届けしたいと思う。
なお,「完全版」とは述べたが,ファーストインプレッションで語った内容,具体的には外観や接続周り,主にPlayStation 4(以下,PS4)を用いて実施したA40 TRのヘッドフォン出力評価部分は繰り返さない。「そもそもどんな機能やインタフェースを持つ,どんな方向を向いたサウンドデバイスでありヘッドセットなのか」という話はファーストインプレッションを確認してもらえれば幸いだ。
●ASTRO MixAmp Pro TRの主なスペック
- 基本仕様:USBおよび光デジタル接続対応
- インタフェース:4極3.5mmヘッドセット接続
×1,AUX入出力 ×1,デジタルデイジーチェーン ×2(※入力1,出力1),光デジタル角形入力 ×1,ストリーム出力 ×1,USB Micro-B ×1 - 出力周波数特性:20Hz〜24kHz
- 全高調波歪み率(THD):0.1%未満
- 対応プラットフォーム:PC,Mac,PlayStation 4,Nintendo Switch(※「Astro Command Centerに対応するのはPCとMacのみ)
- 主な付属品:光デジタルケーブル(※公称3m長)
×1,USB Micro-Bケーブル(※公称3m長) ×1,デイジーチェーンケーブル(※公称0.5m長) ×1 - 公称本体サイズ:81(W)
×132.5(D) ×47(H)mm - 公称重量:約228g
- 発売日:2018年9月20日
- メーカー想定売価:1万8750円(税込2万250円)
- 保証期間:2年間
●ASTRO A40 TR Gaming Headsetの主なスペック
- 基本仕様:アナログ接続対応ワイヤードタイプ,開放型エンクロージャ採用
- カラー選択肢:ブラック
- 公称本体サイズ:243(W)×176(D)×93(H)mm(※横置き時)
- 公称本体重量:約369g(※ケーブル除く)
- 公称ケーブル長:約1m(ヘッドセット本体),約1.5m(PC用スプリッタケーブル)
- 接続インタフェース:4極3.5mmミニピン×1,3極3.5mmミニピン×2(PC用スプリッタケーブル使用時)
- 搭載ボタン/スイッチ:ヘッドフォン出力音量調整,マイクミュート,受話/通話終了
- 主な付属品:ブームマイク,アナログケーブル(※ASTRO A40 TR Gaming Headset+MixAmp Pro TRでは公称2m長の「A40インラインミュートケーブル」,ASTRO A40 TR Gaming Headsetでは公称1m長の「メディアコントロールケーブル」がそれぞれ付属)
- 対応ハードウェア:PC,Mac,PlayStation 4,Xbox One,Nintendo Switch,3.5mmミニピンサウンド入出力端子搭載のモバイルデバイス(※ASTRO A40 TR Gaming Headset+MixAmp Pro TRでMixAmp Pro TRを使う場合はPC,Mac,PlayStation 4,Nintendo Switch)
- 発売日:2018年9月20日
- ASTRO A40 TR Gaming Headset+MixAmp Pro TRメーカー想定売価:3万1250円(税込3万3750円)
- ASTRO A40 TR Gaming Headsetメーカー想定売価:1万8880円(税込2万390円)
- 保証期間:2年間
- 周波数特性:20Hz〜24kHz
- インピーダンス:48Ω
- 出力音圧レベル:105±3dB(@1kHz)
- スピーカードライバー:40mm径ネオジムマグネット
- 方式:コンデンサ型
- 周波数特性:100Hz〜12kHz
- 感度:未公開
- インピーダンス:未公開
- S/N比:未公開
- 指向性:単一
- ノイズキャンセリング機能:未公開
……本格的な評価を開始する前にまず,まず,ハードウェア周りで前回触れられなかったことをお伝えしておきたい。
実測重量はMixAmp Pro TRが約227g,A40 TRはケーブルを取り外した状態で実測約366gとなる。MixAmp Pro TRは普通に使う分には十分な重量があり,底面は硬質ゴムが全面を覆って滑り止めの機能を果たしているが,それでも滑りのよい机だとケーブルの重みで動いてしまいやすいという,微妙な重さである。
A40 TRのほうは装着時の印象が若干重め。とくにヘッドバンドを長めにした場合は割と重いエンクロージャの重量が頭頂部にまるごとかかる。なのでヘッドバンドはジャストサイズに調整するよう心がけたい。
着脱可能なイヤーパッドはメッシュでなく柔らかい布製なので,肌当たりは非常によいが,最近の,それこそLogitech G(日本ではLogicool G)が採用しているような疎水性に優れたスポーツメッシュほど汗を吸ってくれるとは思わないほうがいいだろう。
普通に使う場合はシンプルながら,びっくりするほどマニアックな設定も可能な設定用ソフトウェア
MixAmp Pro TRをPCと接続のうえ,電源ボタンを3秒長押しして「PCモード」に入ると,ACCを利用した各種設定が可能になる。
というわけでACCだが,メインメニューからは「イコライザプリセット」「マイク」「ストリームポート」「デフォルトモード」という4つのタブにアクセスできる。
まずは工場出荷時設定であるイコライザプリセットタブからだが,左に「プリセットライブラリー」,中央はMixAmp Pro TRの[EQ modes]ボタンにおける4方向のLEDと4つのプリセット「ASTRO」「NATURAL BASS」「BALANCED」「TOURNAMENT」(※クイックスタートガイド上の表記は順に「ASTROモード」「ナチュラル低音モード」「バランスモード」「トーナメントモード」)を対応させるための選択肢,右はプリセットごとの5バンドイコライザ設定を行うためのグラフバーとなっている。
文字にして説明するとややこしく感じるかもしれないが,基本的には中央の4ボタンを選んで,そのうえでイコライザを調整するだけなので,そう難しいものではない。
※2kHz〜4kHz付近の周波数帯域。プレゼンス(Presence)という言葉のとおり,音の存在感を左右する帯域であり,ここの強さが適切だと,ぱりっとした,心地よい音に聞こえる。逆に強すぎたり弱すぎたりすると,とたんに不快になるので,この部分の調整はメーカーの腕の見せどころだ。
したがって,新規にプリセットを作成したければ,(ユーザーフォルダを移動していなければ)C:\Users
MixAmp Pro TRの5バンドイコライザ |
[詳細設定]を押すとポップアップする警告ダイアログ |
ただ,MixAmp Pro TRはこれだけに留まらず,イコライザの下にある[詳細設定]ボタンを押すと出てくる「警告」ダイアログのさらに先へ進むと,5つある中心周波数の値そのものを変更したり,パラメトリックイコライザの山の幅を表す「帯域幅」を変えたりできるようになっている。
筆者が確認した限り,詳細設定の5バンドイコライザは,設定した周波数以下の低周波を担当する「ローシェルフEQ」(Low Shelf EQ)が1バンド,それより上の中間帯域を変更する「パラメトリックEQ」(Parametric EQ)が3バンド,設定した周波数以上の高周波を担当する「ハイシェルフEQ」(High Shelf EQ)が1バンドという構成になっているようである。
下に示したスクリーンショットを見てほしいが,「中心周波数」の行の下にある5つの▲を左右に動かすと,その上にある,それぞれ対応した5つの数字ボックス内の値が変わる。これがシンメトリーな山型または谷型の形状をしているパラメトリックイコライザーの頂点の周波数とローシェルフ,ハイシェルフイコライザの開始点となる周波数だ。
下段には「帯域幅」の数字設定と直線,3つの▲が見えるが,こちらは3つのパラメトリックEQに対してそれぞれ山または谷の幅を決めるものになる。
イコライザの概念が分からないとさっぱりだと思う――だからこそASTROは「予期しない結果や望ましくない結果が生じることもある」と警告しているのだ――ので,よほどのことがなければ詳細設定は使わないほうがいいように思う。筆者もこれ以上の説明は行わない。
マイクタブについてはファーストインプレッションでも少し触れたが,設定した閾値(Threshold)以上の音量で音が入力されると鳴り,それ以下の音が入力された場合はミュートする「ノイズゲート」の閾値が工場出荷設定である「ホーム」だと強すぎる。なので,それ以外を選択するのを強く勧めたい。
ノイズゲートはホーム以外だと「ストリーミング」「夜」「トーナメント」があるが,動作を確認したところ,ノイズゲートの効果はストリーミングが最も弱く,夜,ホーム,トーナメントの順で強くなっていく。室内では小声でしゃべることも多いと思うが,その場合はストリーミングか夜をクリックして選択し,[デバイスに同期]ボタンでMixAmp Pro TRに設定を書き込んでおこう。
「サイドトーン」は,最近のゲーマー向けヘッドセットでおなじみとなりつつある「自分の声をダイレクトに遅延なくモニタリングする機能」の設定だ。初期設定だとかなり大音量になっているので,半分以下に下げてしまってもいいだろう。
自分の声をモニタリングする必要がないというのであればスライダーを一番左に指定すれば聞こえなくなる。
ストリームポートタブでは,
- マスター音量(アナログポート):STREAMポートから出力されるすべての音量レベル
- ゲーム:ゲームサウンドの出力レベル
- チャットオーディオ:ネットワーク経由で聞こえるフレンドなどのチャット音声出力レベル
- マイク:自分の声のマイク入力レベル
- AUX:AUX端子のアナログ入力レベル
を変更できる。
なお,想像できると思うが,ここでPCモードを選択した場合,MixAmp Pro TRの電源ボタンを押すと動作モードはPCモードになり,3秒長押しするとコンソールモードへ切り替わるようになる。
MixAmp Pro TRはヘッドセット出力とライン出力で音質傾向に違いが
ファーストインプレッションではA40 TRのヘッドフォン出力テスト結果のみをお届けしたが,今回はMixAmp Pro TRの出力と,両製品の入力を見ていきたいと思う。
- PCとMixAmp Pro TRを接続し,ヘッドフォンとしてA40 TRを用いた状態での周波数特性計測
- PCによる音楽再生試聴
- PS4で「Marvel’s Spider-Man」をプレイした試聴
はファーストインプレッションのタイミングで実施済みとなるため,今回は以下のテストを行うことになる。
- PC上の「iTunes」からスイープ波を再生してMixAmp Pro TRで出力し,「Pro Tools Ultimate 2018.x」から録音
周波数特性のテストに使う機材は基本的に「4Gamerのヘッドセットレビューなどにおけるヘッドフォン出力テスト方法」と同じ。ただし,MixAmp Pro TR自体の出力においてはスピーカードライバーのように空気を通らないため,ピンクノイズ信号ではなくスイープ信号のほうを用いる。
これは,Waves製アナライザ「PAZ Analyzer」で計測したグラフを基に4Gamer独自ツールを使ってリファレンスと測定結果の差分を取った結果だ。リファレンスに近ければ近いほど黄緑になり,グラフ縦軸上側へブレる場合は程度の少ない順に黄,橙,赤,下側へブレる場合は同様に水,青,紺と色分けするようにしてある。
差分画像の最上段にある色分けは左から順に重低域(60Hz未満,紺),低域(60〜150Hzあたり,青),中低域(150〜700Hzあたり,水),中域(700Hz〜1.4kHzあたり,緑)中高域(1.4〜4kHzあたり,黄),高域(4〜8kHzあたり,橙),超高域(8kHzより上,赤)を示す。
まずは主にA40 TRの接続が想定される4極3.5mmヘッドセット接続端子からだ。
テスト結果は下に示したとおり。MixAmp Pro TR内蔵のヘッドフォンアンプを経由した出力のはずだが,非常に綺麗でほぼフラットに近い。強いて言えば90Hz付近が若干強く,45Hz付近が若干弱いが,これはもう許容範囲と言ってよいかと思う。
言い換えると,A40 TR以外のヘッドセット製品と組み合わせてもMixAmp Pro TR側の周波数特性はまったく問題がなく,安心して利用できる。位相も完璧だ。
次に「STREAM」という名の3極3.5mmミニピン端子だが,こちらは特性が異なる。20kHz付近より低い帯域と6kHz付近より高い帯域がロールオフして丸まっており,徐々に落ち込んでいく挙動を見せているのだ。とくに高周波の落ち込みは顕著と言っていいだろう。
90Hz付近が若干強く,45Hz付近が若干弱い点も含め,ロールオフする部分以外の特性はヘッドセット接続端子と同じ傾向を示すため,D/Aコンバータは同じなのかもしれないが,いずれにせよなぜ高域がロールオフするのかは正直理由が分からない。位相にも若干のズレもあったりするので,音質的にはあまり期待を持てない特性だ。
続いては遅延検証だ。今回,「Audacity」からWASAPIモードでの録音ができなかったため,DirectSoundモードのみの比較となる点をあらかじめお断りしておきたいが,表のとおり全30回の計測結果にブレはない。リファレンス機材である「Fireface UCX」と比べて16msの遅れなので,「最速クラスの製品と比べて約1フレーム遅い」わけだ。北米市場では2015年9月発表の製品だったことを考えるとまずまずの結果ではないかと思う。
前述のとおり,PS4を使った試聴の印象についてはお伝え済みなので,今回はPCのほうに特化してお届けしたいが,今回から,クルマ系ゲームのほうを従来の「Project CARS」から「Project CARS 2」へ変更したので,その点を先にお伝えしておきたい。というのも,Project CARSではリアから聞こえる敵車のエンジン音が十把一絡げの「ガヤノイズ」だったのに対し,Project CARS 2では後方にある敵車のエンジン音も1台ずつ,位置情報をもって割り当てられるようになったためだ。簡単に言うと,後方から側方にかけて敵車の位置や移動が分かりやすくなったので,より新しい世代に移行したということである。
もう1つの「Fallout 4」は非常に使い勝手がよいのだが,こちらも古くなってきたことは否めないので,今後変更することがあればお伝えしたい。
一般にサラウンドで「0度」というと真正面,つまり眉間の先のことを指し,「180度」はその反対側を指すのだが,その定義に当てはめると,MixAmp Pro TRのバーチャルサラウンドで定位を手に取るように分かるのは180度を中心にそこから前方の左右45度(=後方の180度基準で左右各135度)までだ。真正面の0度くらいが一番フワッとしていて,そこから左右45度に近づくにしたがってだんだん定位がはっきりしてくる感じがある。
ただ,注意してほしいのは「0度はまったくダメ」というわけではない。脳内ど真ん中で定位したりはせず,「音が前方に定位している」ことは確認できる。
続いてProject CARS 2だ。こちらはリプレイを使っての検証となる。自車の周りを敵車がガンガン動き,その1台1台にエンジン音が割り当てられているため,それを聞き分けられるかというのがポイントになるが,こちらも180度から左右45度くらいまでは文句なしに素晴らしい定位感が得られる。たとえば左後方にいる敵車が右へ動いたとか,そこから追い抜きにかかってきたとかいうことは,音情報だけで手に取るように分かる。MixAmp Pro TRとA40 TRの組み合わせは,最新世代のゲームにおけるサラウンドサウンドにおいても,こと後方定位においては完璧に対応できていると言い切ってしまっていいだろう。
0度から45度ではそれが若干フワッとするという程度だ。
まずまずの品質を持つMixAmp Pro TRのマイク入力
入力テストでは,4極3.5mmミニピンのヘッドセット接続端子を用いたマイク入力と,PS4接続時に重要な光角形デジタル入力,そして「AUX」(補助)用の3極3.5mmライン入力端子を検証することになる。
具体的なテスト方法は,「4Gamerのヘッドセットレビューなどにおけるマイクテスト方法」を参照してほしい。通常,テストにあたってサウンドデバイス側の機能(※専門用語で言うところの「プロセッサ」)はすべて無効化するのだが,MixAmp Pro TRではノイズゲートを無効化できないため,ここでは工場出荷時設定であるホームを選択している。ホームにしているのは,スイープ信号には音量が十分あり,ノイズゲートで音切れを起こす心配がないためだ。
A40 TRのマイク入力をMixAmp Pro TRのヘッドセット接続端子へ入れて実施したマイク入力のテスト結果をまとめたのが下のグラフである。
ノイズゲートをホームにした場合,低域は80Hzくらいから,高域は12kHzくらいから徐々に落ち込んでいく。250Hz付近と1kHzくらいに大きめの谷が存在し,一方で4kHz付近が最も高いものの,80〜12kHz付近の高低差は少ない。
モノラルマイクなので位相はきれいだ。
実際に声を録音してみると,80Hz付近まで低周波を拾ううえ,低周波とプレゼンス以上の帯域差が少ないためか,明瞭度はそれほど高くない。
もちろん,一般的なUSBサウンドデバイスだとサンプリングレートの制約から8kHz以上がばっさりフィルタリングされる製品も少なくないわけで,それと比べればずっとよく,少なくともザラザラした質感もない。ただ,高域のピークが4kHzでその上は割とあっさり弱くなるので鼻づまり感は否定できず,また高域がクリアというわけでもないといったところだ。
続いてはMixAmp Pro TR単体での評価だ。ここでは音楽制作現場におけるデファクトスタンダードとなっているデジタルオーディオワークステーション(DAW)ソフトウェア「Pro Tools Ultimate」のアナログ出力をケーブル変換してヘッドセット接続端子とつないでいる(※)。
※4極3.5mmミニピン端子にはOMTP(Open Mobile Terminal Platform)規格とCTIA(Cellular Telephone Industry Association)規格の2種類があり,極の並びが微妙に異なる……というか,マイク信号とGND(アース)信号の極が逆になっている。スマートフォンなどでより一般的なのはCTIAだが,MixAmp Pro TRはOMTP規格の4極端子へ変換することで計測できた。
テスト結果は下に示したとおりで,やはり250Hz付近にそこそこ大きめの凹みがあるのは面白い。また,60Hz付近より下で低周波が一気に落ちていくので,このあたりはMixAmp Pro TR側の特性ということになりそうである。
ノイズゲートを無効化できないことからしても,入力側は何らかの音響処理が常時有効になっている可能性が高い。
お次は光角形デジタル入力のテストである。言うまでもないが,Dolby Laboratories製のバーチャルサラウンド関連機能群は無効化している。
結果は下にまとめたとおりで,ほぼフラット。90Hz付近がわずかに強めで,その下,30Hz以下の帯域がわずかに低いが,総じて周波数特性はおおむねフラットと述べて差し支えないだろう。
位相もキレイだ。
高域のロールオフはStream端子ほどではなく,位相もずれていないが,傾向自体は非常に似ている。
一部に古さがあるのは否めないものの,「PS4でのサラウンドサウンド出力」対応製品としての使い勝手は非常に良い
ファーストインプレッションから繰り返しているとおり,とくにMixAmp Pro TRはPCだけでなくPS4と組み合わせてもバーチャルサラウンドサウンド出力を利用できるUSBサウンドデバイスのベンチマークとなっているわけだが,さすがに完成度は高い。最新世代のバーチャルサラウンド技術を採用した他社の競合製品と比べると確かに前方の音は若干ぼやけた印象だが,後方定位の精度は素晴らしく,「勝つための音情報」を拾うのに依然として十分に使える。
また,ノイズゲートの設定が工場出荷時設定であるホームプリセットで強すぎるなど,発売から時間の経った製品の割に調整はけっこう甘い。出力と比べると完成度は一歩譲ると言わざるを得ないだろう。
USBサウンドデバイスにせよヘッドセットにせよ,おそらく「本命」は,Logitech G/Logicool Gの技術をASTROが消化したうえで出してくることになると思われる次世代もしくは次次世代の製品になるはずだ。だが,このシンプルで分かりやすい使い勝手と,そこから得られる高い性能は,他社とも依然として十分に戦えるだけのものがあると感じている。
海の向こうから聞こえてくる評判を耳にして,それ以来気になっていた人であれば,「PS4で簡単にバーチャルサラウンドを利用できる製品」としてのMixAmp Pro TRは試す価値があるだろう。同じタイミングで手元のヘッドセットを買い換えたいのであればA40 TR,そしてMixAmp Pro TRとA40 TRのセットも選択肢になるはずだ。
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ASTROのA40 TR Gaming Headset+MixAmp Pro TR製品情報ページ(英語)
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