パワプロのeスポーツリーグ「eBASEBALL プロリーグ」，11月3日に迫る2019シーズン開幕を前に，プロ野球eスポーツ選手に向けた研修会を開催

　日本野球機構（NPB）とコナミデジタルエンタテインメント（KONAMI）が共同で開催する「eBASEBALL プロリーグ」。2019シーズン開幕を約1か月後に控えた2019年10月5日，東京ミッドタウンのコナミホールにて，セ / パ12球団それぞれの代表に選ばれたプロ野球eスポーツ選手を対象とした研修会が開催された。

「eBASEBALL プロリーグ」公式サイト

　「eBASEBALL プロリーグ」は，KONAMIの野球ゲーム「実況パワフルプロ野球」シリーズのeスポーツプロリーグだ。11月3日に開幕する今シーズンは，2018シーズンに続いて「実況パワフルプロ野球2018」（PS4）を競技タイトルに行われる。
　研修会にて講演を行ったのは，元プロ野球選手で解説者の“ジョニー黒木”こと黒木知宏氏や，「パワプロ」のゲーム内の実況でもおなじみのフリーアナウンサー・清水久嗣氏など。その顔ぶれは，「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ」が“新たなプロ野球の楽しみ方を提供し，新規のファンを増やす取り組み”であることを強く感じさせるものだった。


　研修会の冒頭では，NPB総合企画室長・髙田浩一郎氏と，KONAMI第三制作本部長・小林康治氏が開会の挨拶を行った。
　髙田氏は，「本日が実質的な『eBASEBALL プロリーグ 2019シーズン』のスタート。主催者としては（ファンの皆さんに）前シーズン以上の質の高い体験を提供していきたいと考えている。また，2年目ということで，選手には昨シーズンより大きな注目も集まるはず。プレイだけでなく所作に関しても，『パワプロ』プレイヤーの頂点としての自覚を持ってほしい」と，選手には栄光と重責があることを伝えた。

　小林氏は，「この場にいる選手の皆さんは，予選，面談など狭き門を通過してきた方ばかり。昨年と同じチームに再指名された方，2年目から参加される方，中高生大会を勝ち抜いた方。さまざまなストーリーでこの場に集った皆さんに，『パワプロ』シリーズをこれから長きに渡って続けていけるよう，伝道者として頑張っていただきたい」と，選手たちへの期待を述べた。

髙田浩一郎氏

小林康治氏

　午前の講演は，黒木氏の「プロの志」からスタート。「プロ選手の生活に慣れてしまうこと。これが一番怖い。現状に満足してしまうと，そこで選手としての成長が止まってしまう。君たちが目指しているものは何なのか？　世界中の人々に認められるトッププロを目指す選手たちの志が，eBASEBALLを成長させていく」と，選手たちを大いに鼓舞した。
　また，「自分の活躍や未来だけを考えるのはちっぽけなこと。チーム，家族，ファン，eスポーツといった大きなものへの貢献を意識して努力すれば，その姿勢は必ず誰かに認められる。それが愛される選手になること，報酬を得てプレイするプロ選手としての価値にもつながっていく」と，プロ選手としての生き方の真髄を語った。

1994年ドラフト2位で千葉ロッテマリーンズに入団。その闘争心あふれるプレイスタイルにより，いつしか「魂のエース」と呼ばれるように。引退後もコーチや解説者として活躍中

　講演ののちに設けられた質疑応答の時間に「自分の持つポテンシャルを高める方法」について質問を受けた黒木氏は，「人には器の大小があることは厳然たる事実。練習で1度できたことはいずれモノにできるが，何百回やってもできないことは無理。固執せず，視点を変え，自分にできることを突き詰めていくことが大事」と，熱い闘志だけでなく，冷静な分析と判断の大切さも伝えていた。


　続いて清水久嗣氏が登壇し，「プロ選手としての見られ方」と題された講演を行った。「皆さんが配信やSNSでファンを増やせば，それだけeBASEBALLの世界が発展し，それは皆さんの選手生命を伸ばすことにもなる。ただ，気をつけなければ2800万人のプロ野球ファンが敵になってしまうこともありえる」と，清水氏は情報発信の利点だけでなく，怖さを強調。「情報発信のお手本になるのは，ほかならぬプロ野球選手たち。他者へのリスペクトを払い，受け手に配慮した言葉の選び方をしつつも，飾らない自分の本心を伝える姿勢が共感を呼び，愛される。それをナチュラルに行えるのが本当のプロフェッショナル」と締めくくった。

清水氏は，準備した資料やプロ野球選手の実際のツイートを例に挙げつつ講演を行った

　午前の部の最後に行われたのは，CyberZ OPENREC事業部マネージャー・清水宏紀氏による「ソーシャルメディアの活用」というテーマの講演だ。
　清水氏は「今，何も調べずに買い物をする人がいないように，プロ野球ファンもまた，皆さんのファンになる前に，皆さんのことをよく調べている。自分の情報発信を過去のものも含めて振り返り，また周囲の人の発信にも気を配ってほしい。コミュニケーションは受け手が成立させるもの。あなたが見せたいものではなく，ファンが見たいものを意識することが大切」と，小さなきっかけから“炎上”しがちなネット社会での振る舞い，気の配り方を伝えていた。

CyberZ OPENREC事業部マネージャーの清水宏紀氏。OPENRECや「eBASEBALL プロリーグ」に携わっており，“ファンがストリーマーに望むもの”をよく知る人物だ

　午後は，過去にU-17/18ラグビー日本代表コーチを務めた二ノ丸友幸氏の「プロ選手に不可欠なセルフブランディング」，NPB総合企画室参与の角田氏による「プロプレイヤーの心構え」といった講演が行われ，選手たちは終日，プロプレイヤーとしての自覚を高め，その振る舞い方を学ぶことになった。

　11月3日のシーズン開幕を前に，いよいよファンの期待と注目が集まる「eBASEBALL プロリーグ 2019シーズン」。今年はどんな激闘が展開するのかはもちろん，12球団を代表する選手たちがどのような情報発信を行い，シーズンを盛り上げていくのかにも注目だ。

二ノ丸氏による「プロ選手に不可欠なセルフブランディング」

「プロプレイヤーの心構え」をテーマにプロフェッショナルとは何かを説明した角田氏

「eBASEBALL プロリーグ」公式サイト