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  • 発売日:2019/12/12
  • 価格:通常版・ダウンロード版:8800円(税別)
    初回限定版・デジタルデラックス版:1万4800円(税込)
    新価格版:3600円(税別)(2020年12月17日発売)
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発売直前「新サクラ大戦」インタビュー。セガのキーマン3名が語る,サクラ大戦 復活への道
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印刷2019/12/11 11:30

インタビュー

発売直前「新サクラ大戦」インタビュー。セガのキーマン3名が語る,サクラ大戦 復活への道

 セガゲームスは2019年12月12日,PlayStation 4用ソフト「新サクラ大戦」をリリースする。前作「サクラ大戦V 〜さらば愛しき人よ〜」から14年もの歳月を経て,ついにこの日がやってくるのだ。
 そこで今回,「新サクラ大戦」のキーマンにインタビューを実施した。プロデューサーを務める片野 徹氏,シリーズディレクターの寺田貴治氏,デザイン統括の馬立敬一氏から語られる,「新サクラ大戦」の“舞台裏”に目を通してほしい。

(左から)馬立敬一氏,寺田貴治氏,片野 徹氏
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「新サクラ大戦」公式サイト



「サクラ大戦6」ではなく,「新サクラ大戦」


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4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。12月12日,「新サクラ大戦」がいよいよ発売となります。

片野氏:
 僕は発表した時から,ずっと気持ちが高まり続けています(笑)。ゲームは「絶対に面白い」と思っていて,プレイヤーの皆さんに満足していただける自信があります。ただ,今後もいろいろな展開が待っているので,発売日は通過点ですね。

寺田氏:
 マスターアップを迎えると,開発チームには「終わった」雰囲気が出るんですけど,この作品に関しては舞台やコミックス,アニメ,コラボなどが控えています。
 なので,まったく終わった感じがしません(苦笑)。むしろ,どんどん世界が広がっています。

4Gamer:
 「サクラ大戦V」から数えると14年ぶりのシリーズ最新作となります。旧シリーズから引き継いでいる部分はありつつも,ガラリと変わっている部分が多いですよね。当初の開発方針はどのようなものだったのでしょうか。

片野氏:
 名越には「今のPS4ユーザーに受け入れられるものじゃなきゃいけない」と言われていました。ただ,「従来どおりのサクラ大戦にしたほうがいいんじゃないか」という意見もあって,そこはスタッフ間で十分に意見を戦わせました。

※セガゲームス取締役CPO 名越稔洋氏。

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寺田氏:
 今回は「サクラ大戦6」ではなく,リブートである「新サクラ大戦」ですから,イメージはいい形でガラリと変えないといけないという思いが,僕も含めて多くのスタッフにありました。そこはブレていません。
 ただ,それを従来のアニメルックで表現するか,それとも3Dで表現するか。その1点は長期戦になりましたね。

片野氏:
 プロトタイプの段階では,アニメルックで開発していたデータもあるんですよ。アニメとまったく同じグラフィックスではあったんですが,「これはPS4らしいゲームなのか」という疑問がありまして。

馬立氏:
 アニメルックで開発していたものについては「現行機であるPS4の性能を100%発揮しているのか」と言われると,そこは僕も疑問が残りました。
 それから「サクラ大戦」には太正という独自の時代感覚があり,メカも登場する。それぞれの要素の質感がまちまちなので,「キャラクターはセルで,背景はリアルで」となったときにうまくマッチしないんですよ。そのあたりの試行錯誤がけっこう長くかかりました。

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 旧シリーズの時代はアニメとCGの合成がキャッチーでしたが,2019年にそれをやっても浮いちゃう感じがあったんです。せっかくPS4で開発するのなら,すべての要素を同じ土俵に乗せてあげたほうがいい。それが没入感にもつながるだろう,という結論に至りました。

片野氏:
 アクションゲームになったことも,没入感を高めている要因の1つですね。シミュレーションだと,どうしても俯瞰になってしまうので,自分が操作している感覚は弱くなります。状況描写を細かく表現できるハードになったわけですから,そこを活かすためにアクションゲームにするという選択になったんです。

4Gamer:
 なるほど。そのバトルパートですが,簡単すぎず,難しすぎることもなく,という絶妙なバランスだと感じました。

片野氏:
 だとすれば嬉しいですね。簡単なままラストまで到達できると盛り上がりに欠けるといった問題が出てきます。やっぱりアクションゲームとしても楽しんでもらいたいので,段階的に手応えを感じてもらえるように調整しました。
 なかでもジャスト回避は攻略のキモですね。後半になると,ジャスト回避を使わないと厳しい戦いが出てきますから。とはいえ,ゲームオーバーになったときには機体を補強した状態で再挑戦ができて,これが6回目にはほぼ無敵になります(笑)。

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寺田氏:
 負け続けてもあきらめなければ,いずれは勝てるようになっていますから。アクションゲームが苦手な方もご安心ください。
 もちろん,再挑戦の際に機体を強化するかどうかはプレイヤー次第です。そのあたりはプレイスタイルに合わせて選んでいただければと。

4Gamer:
 バトル中のキャラクターチェンジには,どのような意図があるのでしょうか。これにより,「隊長のゲーム」という感覚が弱くなる恐れがあったと思いますが。

片野氏:
 そのとおりですね。特定の隊員に活躍してもらう場面を作るというゲーム的な都合上,キャラクターチェンジが必要でした。
 COMでやらせることもできたんですけど,結果的には自分で操作したほうが良いんじゃないかという結論になりました。

寺田氏:
 「神山だけで楽しみたい」という方もいらっしゃるでしょうね。ほかのキャラクターにチェンジすると,客観視になるというのは確かにあります。
 ただ,やはり花組が一丸となって戦い,難関を突破していく感覚は出したかったんです。それからバトルの最中にヒロインがトラウマを克服するシーンがありますが,そこでもプレイヤー自身がヒロインを操作するほうが,感情も入りやすいだろうと。

馬立氏:
 最初は神山だけで戦って,ヒロインを召喚する形はどうか,という意見もあったんですよ。ただ,これはあまりしっくり来なかったですね。

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「田中公平先生の音楽が流れて,帝劇を探索していると,やっぱり『サクラ大戦』だよねって」


4Gamer:
 1話1話のシナリオにボリュームがあるという印象を受けました。

片野氏:
 当初はもっとボリュームがあったんですよ。とくに第二話は登場人物が多くなるタイミングなので,長くなっちゃいました。あとは全体的にサブイベントも多いので,それがボリューム感にもつながっています。

寺田氏:
 シナリオの内容については,第一話を気に入ってもらえれば最後まで遊んでもらえると思いますね。それくらい,第一話には「新サクラ大戦」のテイストがすべて含まれていますよ。

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片野氏:
 「世界最速体験会」や東京ゲームショウ2019で体験された方のご意見を見ると,田中公平先生の音楽が流れ,帝劇を探索していると,やっぱり「サクラ大戦」だよねって,おっしゃってくれるんですよ。今回はフル3Dになっていますが,そこは変わらない印象だと思います。
 あとは,なんとも言えないテキストが非常に「サクラ大戦」らしいと思います。とくに合体攻撃は顕著に出ています。

馬立氏:
 寺田が合体攻撃の案を見せてくれたとき,めちゃくちゃ面白かったんですよ(笑)。あざみの合体攻撃をアテレコしながら説明してくれてね。

片野氏:
 あざみをお姫様抱っこして,みんなで走ってくるところとか,なかなか思いつかないですよ(笑)。合体攻撃は全員面白いので,ぜひ堪能してください。

寺田氏:
 アナスタシアの合体攻撃もめちゃくちゃいいです(笑)。どれもこだわって作っているので,楽しみにしていただければ!

片野氏:
 これでもかというくらいに寺田節が出ていますね。あの場面で,あのセリフは言えないなあって。

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4Gamer:
 確かに,合体攻撃は旧シリーズでも「サクラ大戦」の醍醐味でしたね。
 ところで,第一話の時点で花組が全員揃っていなかったことは意外に感じたのですが……。

片野氏:
 最初から全員揃っていると,主人公である神山や物語を転がしてくれるさくらにフォーカスが当たりにくくなる恐れがありました。第一話では,帝劇がなぜ落ちぶれていて,その間は誰が帝都を守っているのか,という物語の背景も説明する必要がありますし。
 こうしたストーリー上の狙いもあって,全員が揃うタイミングは調整しています。イシイジロウさんや寺田が相当考えてくれたところですね。

寺田氏:
 とはいえ,序盤で5人が揃いますが,それは旧シリーズの反省が元になっています。とくに「サクラ大戦V」ではジェミニの参加するタイミングが遅かったので,あまり活躍を見せられなかったんです。
 また,キャラクターは意味を持って登場させないと,プレイヤーの印象に残らない恐れがあります。さくらは主人公に合わせてくれる妹キャラ,初穂はまとめ役だけど微妙にまとめられていない,そしてクラリスはネガティブ。それぞれの個性を押し出すことが大事だと考えて,最初は3人に絞りました。その後に登場するほかのキャラクターにも,それぞれ何かしらの意味を持たせながら登場させるようにしています。

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4Gamer:
 上海華撃団のシャオロンは登場時,かなり嫌なヤツでインパクトがありました。

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寺田氏:
 確かに嫌なヤツ過ぎましたね(笑)。でも,さくらの「絶対に諦めない!」というセリフを引き出すためには,ああいう役が必要だったんです。

4Gamer:
 さくらは序盤のほんわかした部分と,戦闘シーンにおける熱さのギャップが魅力になっていますね。あざみも最初はクールな印象ですが,徐々におちゃめな部分を見せてくれるのでイメージが変わります。

馬立氏:
 開発チーム内でも,デバッグするたびにあざみの人気が上がっていくんですよ(笑)。

寺田氏:
 そうそう! プレイした人が皆,「あざみ可愛い」って。

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馬立氏:
 開発中,あざみの顔のディテールを変えたことがあるんですが,チームスタッフの反発がすごかったですね。「なぜ変えたんですか」と怒られちゃって(苦笑)。個人的には手を加えたほうが良いものになるという確信があったわけですが,それくらいチーム内でも思い入れが強いキャラクターですね。

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4Gamer:
 大帝国ゲキゾウのディテールはいかがですか。ビジュアルのインパクトが抜群ですが。

片野氏:
 これがまた……可愛いんだよねえ。

馬立氏:
 ゲキゾウくんには最新のシェーダーを使ってるんですよ(笑)。毛のランダム感まで表現できるように。


「サクラ大戦」らしさを強く残したメカデザイン


4Gamer:
 「新サクラ大戦」では,久保帯人さんをはじめ,堀口悠紀子さん,BUNBUNさん,島田フミカネさん,いとうのいぢさん,杉森 建さん,副島成記さんという錚々たるクリエイターがキャラクターデザインを手がけています。こうした案は当初から決まっていたのでしょうか。

寺田氏:
 初期に決まりましたね。「世界華撃団大戦」という設定が決まったときに,だったら各国の華撃団を異なるクリエイターが手がけたほうが面白くなると。そのほうがお気に入りのキャラクターが見つけやすいというか,プレイヤーさんの選択の幅も広げたかったんです。

馬立氏:
 皆さん,それぞれ個性が違いますから,同じ世界に登場させるのは大変でした。いただいたデザインを忠実に3Dで再現しているんですけど,最初は噛み合わなかったんですよ。各自の味を残しつつ,とにかく時間をかけて調整していきました。

4Gamer:
 一方,メカニックデザインはいかがでしょう。旧シリーズから10年の年月が経っている設定ですが,デザインにも反映されていますか。

馬立氏:
 今回,華撃団が搭乗するのは「霊子戦闘機」という設定ですから,霊力が少なめでもブーストがかかります。旧シリーズの「霊子甲冑」はガシャンガシャンという重たい動きでしたが,霊子戦闘機は出力が高く,スピード感溢れる動きになっています。
 メカニックデザインを担当していただいた明貴美加さんからも,軽くて素早いイメージを伝えられましたので,そのあたりを意識して制作しました。背中のタービンの部分が,兵器らしさを象徴していますよね。

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4Gamer:
 さくらだけ旧式機体「三式光武」に搭乗していますよね。

寺田氏:
 何もかも変えて,ただ新しいだけにはしたくなかった。どこかに継承している要素がほしかったんですね。「だったら,ヒロインのさくらだろう」ということで,昔の光武を登場させています。

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馬立氏:
 光武はシリーズのアイコン的なものですから,これをフックにすることで「新サクラ大戦」を提示しやすいと思ったんです。三式の存在は重要ですね。

寺田氏:
 三式のタービンは,昔のテクノロジーに沿った形になっています。戦闘機である無限と見比べると,違いが分かりやすいですよ。

4Gamer:
 一方,傀儡機兵も非常に特徴的なデザインですね。

馬立氏:
 傀儡機兵は降魔が操るものなので,魔力で動いていることが伝わりやすいデザインを意識しました。「サクラ大戦」と言えば,スチームパンクというキーワードも重要な存在です。敵対勢力のメカでは鉄を強調し,謎の動力であるという設定を大事にしています。

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4Gamer:
 「新サクラ大戦」のバトルはアクションゲームになりましたが,デザインにも影響があったのでしょうか。

馬立氏:
 はい。最初に明貴さんがデザインしたモデルを動かしてみたところ,アクションゲームにふさわしい動きができなかったんです。そこで明貴さんに相談して,等身は上げることにしました。
 また,制作過程でモーションキャプチャを用いることが決まっていたので,ほとんど分からないなんレベルですが,人間の体型に寄せています。ロボットというより強化外骨格的なイメージですね。

寺田氏:
 でも,等身は上がっているのに,光武のイメージが失われていないことがすごいですよね。「昔のバランスのまま」と言われても,思わず納得しそうです。

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馬立氏:
 機体の腰も作らせてもらいました。銃撃戦ならまだいいんですけど,剣技の場合は腰がないとビジュアルに違和感が出てしまいますから。
 あとはアーマー。アクションゲームなので「めり込み上等」でも良かったんですが,今回はなるべくそうならないようにクリアランス(隙間)を取っています。スローモーションになるシーンでも,めり込まないように演出には気を使いました。

片野氏:
 苦労は多かったですが,そのおかげでPVやCM映像にメカのシーンを多く入れられるようになったのは大きかったです。あざみ機の片膝を付いたポーズなんて,かつてのモデルでは不可能でしたから。

馬立氏:
 無限は眼が中に入っているので,表情が出せるようにもなったんですよ。睨みを効かせたり,逆に怯えたりする表情も作れます。

4Gamer:
 各隊員の個性は武器のデザインに反映されていますね。

馬立氏:
 ゲーム中,機体の色だけでは見分けがつきにくいんですよ。ライティングがかなりリアルになったことで,本来は白いカラーの神山機も赤いステージでは赤っぽく見えます。そのため,武器のシルエットなどで差別化を狙いました。神山機とさくら機は刀を武器にしますが,神山は2本,さくらは1本という具合です。

4Gamer:
 クラリス機の武器が本(魔導書)という設定は驚きました。いくら読書家だからって(笑)。

馬立氏:
 あれは本当に本ですからね(笑)。本の形をした武器ではなくて魔導書,開くとちゃんと呪文も書いてあります。

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4Gamer:
 各国の華撃団のイメージが機体デザインに表れている点も注目ですね。

寺田氏:
 霊子戦闘機のベースとなるフレームワークは,「WLOF」(世界華撃団連盟)という中央機関が持っていますが,それを各国の華撃団が独自に改良しているという設定です。コクピットの内装もそれぞれ異なります。

馬立氏:
 華撃団同士が対戦するときに,全員の機体が似ていると盛り上がらないですよね。パイロットの特徴に引っ張られている部分もあって,例えばランスロットは剣の達人ですから,そのイメージや能力を強く打ち出しています。

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とにかく多くの導線を用意して,ファンを貪欲に引っ張る


4Gamer:
 「新サクラ大戦」のプロモーションに目を向けると,発売前にもかかわらずキャラクターソングの充実ぶりがすごいですね。

片野氏:
 キャラクターソングもキャラクターデザインも,実は狙っているところは同じなんです。声優さんが好きな方がキャラクターソングを聴いて,そこから「新サクラ大戦」を知ってもらう。キャラクターデザインもクリエイターがフックになって,「新サクラ大戦」に興味を持ってほしいと考えました。とにかく多くの導線を用意して,ファンの方を貪欲に引っ張ってくることを意識しています。


4Gamer:
 今後のアニメや舞台といった展開を見据えた施策というより,まずはファンをゲームに近づけるためということですね。

片野氏:
 ええ。だから,主要キャラクター全員のキャラクターソングが必要でした。花組の1人を推すのではなくて,5人全員を推したい。いや,だったら帝都だけじゃなくて,上海も伯林も倫敦も……と。

寺田氏:
 田中公平先生には「全部,主題歌です」とお伝えしました。さすがというか,どれをとってもすばらしい楽曲に仕上がっています。

片野氏:
 おかげさまでミュージックビデオの再生回数もなかなかの数字になっています。ただ,こうした展開が「セガらしくない」と言われるんです。事前にいろいろと仕込んでいるという計画性が……セガらしくない(笑)。

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寺田氏:
 でも,確かにそうかもしれない(笑)。ゲームと並行して,テレビアニメや舞台,コミックスなども動いていますから。

4Gamer:
 ただ,多彩なマルチメディア展開は旧シリーズの特徴でもありました。

片野氏:
 コミックスは「PS4を持っていないからゲームは買わないけど,『新サクラ大戦』に興味がある」という人も楽しめます。一方,小説はゲームやコミックスを楽しんだうえで「もっと楽しみたい」というときに手にとってほしいですね。
 舞台は大勢の熱いファンの方がいらっしゃって,純粋にすごいと思っています。「サクラ大戦」ならではのコンテンツとして楽しんでいただきたいですね。

寺田氏:
 テレビアニメに関しては,まだ詳しく話せないのですが,ゲームを補完する役割でありつつ,より日常的な部分にもスポットを当てたいと考えています。

片野氏:
 つまり,ゲームが始まりであることは間違いありませんが,ゲームをプレイしない方にも「新サクラ大戦」というコンテンツに集まってもらえるようにする。ゲーム以外のメディアが,それを実現してくれると思っています。

4Gamer:
 なるほど。だから,ゲームの発売日を迎えたからといって,「新サクラ大戦」のプロジェクトは終わりが見えないわけですね。

馬立氏:
 ええ。「スーパーロボット大戦X-Ω」や「ぷよぷよ!!クエスト」「ボーダーブレイク」とのコラボもありますし,なかなか終わりません(笑)。

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寺田氏:
 これから発表を控えているものありますから……。

片野氏:
 おそらく夏休みも取れない(笑)。でも,本当にありがたい話です。

4Gamer:
 話は変わりますが,「世界こいこい大戦」の出来がいいですよね。単体のアプリとしてもリリースできると思ったのですが。

片野氏:
 ありがとうございます。そう言えば,「こいこい」は収録されなかった可能性があるんですよ。

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4Gamer:
 それはまたどうして……。

片野氏:
 当初,「新サクラ大戦」の発売はもっと早い時期を想定していたんです。

馬立氏;
 ぶっちゃけましたね(笑)。

片野氏:
 それが「発売時期を先に延ばしてでも,もっと作り込むべきだ」という方針になったので,その時点で「じゃあ,『こいこい』も入れようじゃないか」と。

4Gamer:
 そんな舞台裏があったんですね。ちなみに,「こいこい」は本編のキャラクターが全員登場するのでしょうか。

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片野氏:
 ……どうでしょう(笑)。それは皆さんに確認していただければと思います。

4Gamer:
 分かりました。最後にファンへのメッセージをお願いします。

寺田氏:
 「新サクラ大戦」はゲームだけでなく,コミックあり,舞台あり,テレビアニメありといった巨大な祭のようになっています。この楽しい祭を皆さんと一緒に盛り上げていけたら嬉しいです。

馬立氏:
 我々,開発チームのスタンスは初代「サクラ大戦」のときから,まったく変わっていません。純粋に「サクラ大戦」の世界を,旧シリーズを知らないプレイヤーの方にも,往年のファンの方にも楽しんでほしいですね。 

片野氏:
 長らくお待たせしましたが,「新サクラ大戦」は期待に違わぬ作品になりました。もちろん,ゲームが発売されたら終わりかというと,そんなことはなく,「新サクラ大戦」の世界に浸れる仕組みを用意していますので,これからも末永くよろしくお願いします。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

<収録日:2019年11月21日>

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