プレイレポート
「ルイージマンション3」プレイレポート。オバキュームが進化し,アクションや謎解きのあらゆる要素がパワーアップしたシリーズ最新作
本作は,2001年9月にニンテンドー ゲームキューブ用ソフトとして登場し,2018年11月にニンテンドー3DS向けリメイク版が発売された「ルイージマンション」と,第1作から10年以上のときを経て2013年3月に3DSに登場した「ルイージマンション2」に続く,「ルイージマンション」シリーズ最新作だ。
マイペースでちょっと怖がりという“人間らしい弱さ”があり,まさにホラーモノの主役にピッタリなルイージを主人公にした本シリーズの最新作の舞台は「ホテル」。3度目となる冒険で,果たして彼はどんな目にあってしまうのか? 過去シリーズ作品をプレイしてきた筆者の期待どおり……いや,むしろ期待をはるかに超えた出来となっていた「ルイージマンション3」のプレイレポートをお届けしよう。
「ルイージマンション3」公式サイト
舞台は怪しげなリゾートホテル
招待された一行を待っていた運命は……
物語はマリオ,ピーチ姫,お付きのキノピオたち,そしてルイージがホテル「ラストリゾート」に招待されたところから始まる。現地で一行を待っていたのは,オーナーのパウダネス・コナーを筆頭とするスタッフたち。盛大な歓迎ぶりではあるのだが,その雰囲気がなんとも怪しいこと,怪しいこと……。
旅の疲れもあり,早々に部屋に引き上げた一行。ルイージも持参したペーパーバッグを取り出すやいなや,眠りに落ちてしまう。
夜半にピーチ姫の悲鳴で目を覚ましたルイージは,目の前に広がる風景に驚かされる。金ピカゴージャスだったホテルが,薄暗く,何もかもが古びていて,床はまるでスモークが焚かれているかのような怪しげな雰囲気に変貌していたのだ。そう,なんとラストリゾートの正体は,オバケだらけのホテルだったのだ。
さらにそこに現れたのは,キングテレサ。マリオたちが絵の中に閉じ込められてしまう中,どうにか1人逃げのびたルイージは,偶然にもオバケに対抗できる唯一の道具「オバキューム」を手に入れる。そんなこんなで“最後の希望”となったルイージは,マリオたちを救出するために不気味なホテルを探索することになるのだ。
リアルタイムで描かれる光と影――
美しい画作りに驚かされる
本作をプレイしていてまず驚かされるポイントは,ビジュアル表現の素晴らしさだ。
ルイージが手にしたライトを光源に,照らされた美術品や鉢植えから伸びる影は,ルイージの動きに合わせて,まるで生きているかのようにうごめく。そのリアルな光の表現が,懐中電灯を頼りに暗い場所を探索する際の心細い感覚を迫真のものにしており,光と影のコントラストが美しくも不気味な光景を生み出しているのだ。
「ホテル内に鬱蒼(うっそう)と茂る植物」「遊技室に浮かぶビリヤードの玉」「月明かりに照らされた古代の女王の石棺」など,ホラー映画的な“映える画作り”にも力が注がれており,雰囲気のある場面が盛りだくさん。もちろん,ただ“怖い一辺倒”なわけではなく,「スーパーマリオ」シリーズ独特のキャラクターたちの表情や動きのコミカルさといった魅力もたっぷりあるので,「怖いゲームは苦手……」という人でも楽しめるはず。
ラストリゾートは,ラスベガスなどにあるテーマパーク型ホテルをイメージさせる作りとなっており,各フロアがそれぞれ違った世界観でまとめられている。
西洋の武器や甲冑が並ぶキャッスルフロアや怪しげな植物が生い茂るグリーンフロア,怪しげなネオンやDJブースが気になるディスコフロアなど,階が違うと雰囲気もガラッと変わり,そのどれもが個性的だ。なかでも筆者が「これは!」となったのが11階。どんなテーマのフロアかは明かさないでおくが,仕掛けも演出も実にファンタスティックだったので,ぜひワクワクしながらゲームを進めてほしい。
痛快さを増して進化したオバキュームのアクション
本作で初めて「ルイージマンション」をプレイする人も少なくないだろう。ここであらためて,本シリーズの基本となる「オバキュームの使い方」を紹介したい。
ルイージは,背中に背負った「オバキューム」で,オバケを吸い込んで捕まえることができる。ネズミ型のミミーや,コウモリ型のバティといった小さなオバケはそのまま吸い込めるが,大きなオバケやヒト型(?)のオバケなどは,ストロボの光でビックリ(フリーズ)させる必要がある。うまく光を当てれば,一度に複数のオバケをフリーズさせることも可能だ。
フリーズしているうちにオバキュームで吸い込むと,オバケは逃げようとして暴れだす。オバケの逃げる方向と逆側に引っ張り,表示される数字をゼロにすればオバケを捕まえられる。
と,ここまでが過去シリーズ作品と変らないオバキュームの基本的な使い方だが,さらに本作で登場する新型オバキュームにはさまざまな新機能が追加されている。
「スラム」は,吸い込む途中のオバケを右に左に振り回し,床や壁に叩きつけて大ダメージを与えるアクションだ。周囲のオバケにもヒットするので,複数のオバケをまとめて相手にする際にも有効だ。使い方を理解すれば,多数のオバケに囲まれたときは,むしろチャンスと感じるようになるだろう。
「スラム」は強力で使い勝手がいいアクションなだけではなく,使用感も痛快そのもの。「トムとジェリー」や「ルーニー・テューンズ」といった古き良き時代のカートゥーンのような“ドタバタ感”が感じられるグラフィックス表現も魅力的だ。
「キューバンショット」は,いわゆる“トイレのスッポン”のような吸盤を発射する新機能だ。家具や扉など平らな部分に打ち込んで,ピタッとくっついたところで吸盤についているひもを吸うことで,そのオブジェクトを倒したり壊したりできる。
板などを盾代わりにしてストロボの光を防ぐオバケと出会ったなら,まずはその板をキューバンで奪おう。引っ付ける以外にも,相手の帽子やサングラスに直接当てて飛ばすことも可能だ。
吸い込んだ空気を一気に噴射する「バースト」を使えば,周囲のものに衝撃を与えたり,その場でジャンプすることが可能だ。こちらは主に謎解きに使うが,オバケに密着されたときに吹き飛ばして離したり,床を伝ってくる衝撃波を回避したりといったように,オバケ退治の際にも有効なアクションとなる。
オバキュームが大幅に強化されたことで,オバケ退治もラクになったかといえばそうではない。オバケたちもさまざまな方法でルイージを邪魔しにやってくる。とくに各フロアのボスたちはどれも個性的な方法で襲ってくるのでやっかいだ。オバキュームの機能はもちろん,部屋にあるものや状況の変化などをしっかり見極め,手強いオバケを退治しよう。
新要素やアクション性の向上で探索の楽しさもアップ
あらゆるものを吸い込んで謎を解こう
アドベンチャーゲームとしての面白さの核となるのは,前作から登場した「ダークライト」の存在だろう。隠されたモノを暴き出すというオバキュームの機能で,何かが足りないような不自然さがある場所や,鏡の中にだけ映っているモノがある場所をダークライトで照らすとその“何か”が出現する。
また,シリーズファンにはおなじみの,壁の隙間から隣の部屋をのぞきこむ要素も健在だ。隙間を見つけたらとりあえず覗いてみると,アイテムの位置が分かったり,探索を進めるためのヒントが見つかる。
ダークライト以外にも,謎解きにはオバキュームのさまざまな機能を使用することになるので,柔軟な発想でいろいろ試してみるのも楽しいだろう。また,過去作品以上にさまざまなものを吸い込めるようになったので,探索後に部屋をきれいさっぱりした状態にすると妙な爽快感が味わえる。
本当にきれいさっぱり吸い込める。宝飾店も根こそぎ! | |
ゴミ箱の中から金塊が。スラムしたモノは重さや硬さに応じてさまざまな反応を見せてくれる |
さらに,ジェル状の物質「グー」でできたルイージ型の「グーイージ」を活用した謎解きも本作ならではのポイントだ。グーイージは鉄格子などの隙間を抜けることができ,ルイージが入れない場所でも行動できる。
グーイージがスイッチを引っ張っている間に,ルイージが仕掛けを解くという具合に,切り替えて操作しつつ先に進む場面もあり,プレイに変化を与えるアクセントとなっている。2人プレイヤーでの協力プレイも可能なので,仲間や友人とともに謎解きに挑むのも楽しいだろう。
協力プレイモード「テラータワー」もパワーアップ
ローカル通信で遊べる3種のパーティーゲームも
前作で新たに加わった協力プレイモード「テラータワー」は,本作でさらにパワーアップ。ネットワークでもローカルでも,グーイージを含めれば最大8人で協力プレイができるようになった。
テラータワーの目標は,各フロアのオバケを一掃しつつさまざまなミッションをクリアしながら,タワーの最上階に登っていくこと。制限時間内にオバケを捕まえるには,手分けして行動することが必須となる。時計型のアイテムを入手すれば時間が延長されるものの,そう都合よく見つかるとは限らない。効率よく部屋を探索してオバケを捕まえるという手際の良さが試されるのだ。
発売前の試遊のため,これらのマルチプレイ要素はあまり遊べなかったが,発売後にほかのプレイヤーや友人たちとじっくりと楽しみたい。
ローカル限定で,最大4人で楽しめる3種類のパーティーゲームもある。どれも適度に運が絡むルールなので,大人から子どもまで,さまざまな腕前のプレイヤーと一緒に楽しめるだろう。
「ルイージマンション」シリーズ最新作となる本作は,ゲーム性とボリュームのどちらも大きく進化していた。これまでのシリーズ作品を遊んできた筆者は,1作目,2作目をプレイしたときと同じように,「3」もまた「3」ならではのオリジナリティを持った仕上がりとなっていたのが素直に嬉しく思えた。ゲームのそこかしこに,スタッフたちの遊び心が感じられるのも心地いい。
過去2作品はアドベンチャーゲームとしての要素が強い印象があったが,オバキュームの新機能やさまざまな動きで向かってくるオバケたちなどによって,今作はアクションゲームとしても大きく進化している。初めての人はもちろん,シリーズファンも新鮮な気持ちで楽しめるのではないだろうか。
1人でも,家族や友人が集まったときでも,シチュエーションを選ばずに遊べるSwitchらしい作品でもあるので,ぜひ身近な人とも一緒に遊んでみてほしい。
「ルイージマンション3」公式サイト
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