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[SPIEL\'18]動物達が住みやすい12面体の惑星を作ろう。コンポーネントとゲームシステムの面白さを兼ね備えた「Planet」のプレイレポート
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印刷2018/10/30 20:48

プレイレポート

[SPIEL'18]動物達が住みやすい12面体の惑星を作ろう。コンポーネントとゲームシステムの面白さを兼ね備えた「Planet」のプレイレポート

 Blue Orange GamesがSPIEL'18に投入してきた新作は,Urtis Šulinskas氏がゲームデザインを担当する「Planet」。同社が昨年リリースした「光合成」とは,カバーアートを手掛けるアーティストが同じSabrina Miramon氏であること,そして同じ環境系のテーマを扱うということで,相通ずるものがある。

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 また,美しいコンポーネントが印象的だった光合成と同様に,Planetも12面体を使うという一風変わったものであり,「何か楽しいことをやっているけど,どういった遊び方をするのだろう」とつい気になり,足を止めて見入っている来場者も多かった。そんなPlanetを実際に試遊してきたので,紹介しよう。

多彩な動物で満ちた惑星を創造しよう


 間違いなく本作の主役となるのは12面体だ。これは「惑星コア」と呼ばれ,プレイヤーに1個ずつ与えられる。各面にマグネットがついており,プレイヤーはこの味気ないコアを動物であふれる豊かな惑星にしなければならない。

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 セッティングは比較的シンプルだ。まずは,マグネットがついた五角形の「大陸タイル」をすべてシャッフルし,伏せた状態で5枚で1つの山を10個作る。山は左から順番に並べていき,一番左にある山を最初のターンに使う形だ。
 次に「動物カード」をシャッフルし,ランダムで20枚選んで,左から3〜5番目の山に1枚ずつ,6〜9番目の山に2枚ずつ,10〜12番目の山に3枚ずつ配置する。11〜12番目の山はプレイ中に作られていくのだが,ここで説明すると混乱しかねないので後述しよう。

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 最後に各プレイヤーは,「自然生息地」カードを1枚受け取る。このカードは,海洋型,森林型,山岳型,氷河型,砂漠型など,プレイヤーがどのようなタイプの惑星を目指すべきかという目標を示すもので,プレイヤーの得点になりうる重要なものだ。これは,確認したらほかのプレイヤーには分からないように伏せておく。
 以上でセッティングは完了。12ターン分のタイルやカードを並べるスペースは必要なものの,ユーロゲームとしては比較的場所を取らない作品といえるだろう。

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 上述したとおりゲームは12ターンあり,2ターン目までは「大陸追加」パートのみで進行していく。大陸追加パートでは,一番年齢の低いプレイヤーが親となり,一番左にある山の大陸タイルをオープンにする。そうしたら,親から時計周り順で大陸タイルを取り,自分の惑星コアに張り付けていく。

大陸タイルの内部は三角形状に6つのエリアで分けられている。写真の惑星で上を向いている惑星タイルでいうと,氷河エリア3,海洋2といった感じだ
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 ゲームのプレイ人数は最大4人なので,すべてのプレイヤーがタイルを取り終わっても,必ず1枚は余るようになっている。ここで余った大陸タイルは一番右に積んで,11と12ターンで使う山を作っておくわけだ。12ターン目の山が完成した時点で,それ以降に余ったタイルはゲームから除外する。
 ここまで終わったら,親の左隣にいるプレイヤーが次のターンの親となる。2ターン目もやることは同じで,その時点で一番左にある山をオープンして,大陸タイルを獲得していく。

このように、選択されなかった大陸タイルは終盤ターンへと回される
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 各プレイヤーの惑星に2つの大陸がある状態で迎える3ターン目以降では,「生命の起源」パートが追加される。このパートでは,並べられた動物カードをどのプレイヤーが獲得するかを判定する。
 判定は,それぞれの動物カードに記載された生息地の特徴と,プレイヤーが創造している惑星の環境,より厳密には1枚の大陸タイル内部の三角形スペースである「エリア」の数で決まる。

 各動物カードは,生息地に対する固有の志向を持っている。その志向とは以下の3種類だ。

・生息地エリア数の多い惑星が好き
・特定の自然環境に接続した,大きな(=連続したエリアの)生息地がある惑星が好き
・特定の自然環境に接続していない,大きな(=連続したエリアの)生息地がある惑星が好き


各タイプのカードの例。ご覧のように,言語依存度は非常に低い
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この動物は森林に接続した,広い山岳エリアがある惑星を好む。最終的に彼が選んだのは,一続きとなった5つの山岳エリアがある,このプレイヤーだった
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 各プレイヤーは自分の惑星をチェックし,動物の志向をもっとも満たしたプレイヤーは,晴れてそのカードを獲得できる。もしも複数のプレイヤーで条件が互角の場合は,その動物カードは次ターンに持ち越されるといった具合だ。
 動物カードはターンによって数が異なる,3〜5ターンまでは1枚,6〜9ターンまでは2枚,10〜12ターンまでは3枚と,ターンが進むにつれて増加していき,獲得できるプレイヤーの数も増えていく。セッティングの部分で特殊な並べ方をしていたのは,このためだ。これは,終盤のゲーム展開をダイナミックにする意図があるのだろう。

 つまり本作は,大陸タイルを選ぶ段階で,自分の自然生息地カードが指定する地形だけでなく,できるだけ多くの動物に惑星に住んでもらうことも気をつけなければならない。
 また,自然環境の接続や面積などの条件にうるさい動物が結構いることを考えれば,五角形の大陸タイルをどう組み合わせるかも,動物に愛される惑星作りには重要だ。このような作業は結構頭を使う半面,パズルのようで非常に楽しい。

完成!
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 このようなターンを12回繰り返し,惑星が完成した段階でゲームは終了する。最後に得点を計算して,もっともポイントが多いプレイヤーが勝利だ。
 まず各プレイヤーは,最初に配られた自分の自然生息地カードをオープンし,惑星の当該エリアの数に応じて得点を獲得する。次に,獲得した動物カード1枚につき1点を獲得する。ただし,その動物の生息地が自然生息地カードと一致しない場合は,1点ではなく2点を獲得できる。

 要するに,自然生息地カードの引き次第では,目指すべきタイプの惑星と,場に並んでいる動物カードの生息地が一致しないケースがどうしても発生する。しかしそんな場合でも,不一致の場合のボーナスポイントシステムのおかげで,自然生息地カードの目標を切り捨てても,勝負ができるバランスになっているのだ。

楽しさ,分かりやすさ,スピード感が揃った良作


 Planetのルールは非常に見通しが良いものであり,そこには製作者の「あまり深く考えずに,惑星を作って楽しんでください」という意思が読み取れる。
 実際,このゲームのラーニングカーブは非常に緩やかだ。12ターンを終えれば自分の惑星が必ず完成するため,一定の達成感は味わえるようになっているし,自然生息地カードを意識してプレイをしていれば,数枚の動物カードも手に入れられ,それなりに得点も入るはず。
 このように,自分がプレイした成果が最終的に形として残る,というのもゲームにおいて非常に重要な点だろう。

白状すると筆者の戦績は散々だったのだが、プレイの過程そのものは十分楽しむことができた
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 少し慣れてきた人であれば,ゲーム展開を読む面白さも味わうことができる。動物カードはすべてオープンにされているため,今後のターンでどの動物カードの取得を目指すかは,事前にある程度の計画を立てることも可能だ。
 取得可能な動物カードは,ゲーム中盤から終盤にかけて増加していくので,先行逃げ切りを狙うことも,後半に追い込みを図ることもできる。そして先にも述べたように,自然生息地の目標をあえて無視してプレイするという戦略をとることも可能だ。このように,場に出たカードに応じて,さまざまなプレイスタイルを選択できる点も,Planetのゲームとしての強みだ。

終盤になると,考え込むこともしばしば
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 また,対戦相手が創っている惑星を観察すれば,どんな自然生息地カードを持っていて,次に狙っている動物カードが何かを予測することも比較的簡単だ。自然生息地カードの条件達成で得られる得点はかなり大きいこともあり,場合によっては相手の妨害をする形で大陸タイルを取っていくプレイも可能だろう。

 ちなみに,対戦相手の惑星は常に確認できる。展開予測が好きなプレイヤー同士で対戦する場合には,砂時計などを使用した時間制限も必要になってくるかもしれない。加えて,最初の10ターンで選択しなかった大陸タイルが,ゲーム終盤に必ず再度登場するというのは,4人プレイの場合のみであることから,未使用タイルの再利用・記憶といったゲーム要素を重視するならば,この人数で遊んだほうがいいだろう。

実際にやっているのは動物のご機嫌をとって自分の惑星に来てもらうこと。こうしたギャップも面白い
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 とはいえ,本作は基本的に長考を必要としない,スピード感のあるゲームだ。これは,光合成が想定プレイ時間45〜60分なのに対し,Planetは30分になっていることからも明らかだし,実際に試遊してみると,もっと素早く1ゲームが終わったように感じられた。
 「環境系のゲームには興味があるが,光合成はテーマ的にも時間的にもちょっと重たすぎた」という人にはぜひお薦めしたい。

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