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「あんスタ！！」ストーリー紹介連載第28回。スカウト！よりジェムスフィア，前線の番犬，潮騒マリーナ，一騎当千，ドラマティカを語る

2022/03/07 12:00 　Happy Elementsがサービス中のアイドル育成ゲーム「あんさんぶるスターズ！！Basic／Music」のストーリーを紹介する記事の第28回では，「スカウト！ジェムスフィア」「スカウト！前線の番犬」「スカウト！潮騒マリーナ」「スカウト！一騎当千」「スカウト！ドラマティカ」の5本を取りあげる。

　本記事では，“知っているとストーリーをより楽しめるポイント”の解説と，筆者の感想や考察をお届けする。記事では詳細なネタバレは控えているが，できるだけ各ストーリーの読了後に読むのがおすすめだ。


※「メインストーリー第二部『SS』編／3rd Stageシークレットサービス」〜「7th Stageサドンデス」は連載第26回と第27回で解説済みのため，同時期に行われたスカウトを今回の記事で取り上げます。「スカウト！五黄の寅」は，後日掲載予定の「メインストーリー第二部『SS』編／Final Stage SS」とあわせて紹介します。

ストーリー紹介連載のバックナンバーはコチラ

「あんさんぶるスターズ！！」公式サイト

ストーリーピックアップ
「スカウト！ジェムスフィア」

公開開始：2021年6月29日〜2021年7月14日（Basic／Music）
同時期開催イベント：「メインストーリー第二部『SS』編／3rd Stagシークレットサービス」

――あらすじ――

　「お宝鑑定」をテーマにしたバラエティ番組に出演した仁兎なずなたち。鑑定希望で番組に届いた「お宝」のなかに，開ける方法が分からない「秘密箱」があった。なずなは依頼主のために何とかしたいと，プロデューサーに箱を預からせてもらうよう申し出る。＜全8話／シナリオ：ゆーます＞

◆ストーリー中のキーワードを解説


　【ジェムスフィア】では，南雲鉄虎の子供のころの運動会が話題に上がったが，夢ノ咲学院でも毎年「体育祭」が行われている。過去のストーリーでは，バスケ部の活躍が見られる「！」【白熱！夢ノ咲学院体育祭】，朔間凛月と紫之 創のチア衣装＆瀬名 泉の「天は俺に味方した」でおなじみ「！」【対抗！夢ノ咲学院体育祭2】，弓道部衣装とValkyrieのジャージ姿が必見の「！」【競争！夢ノ咲体育祭3】がある。なお，3作で描かれているのはすべて同じ年（同じ回）の体育祭である。



　昨年度の仁兎なずなはRa*bitsのリーダーであったほか，夢ノ咲学院の放送委員会でも委員長を務めていた（テニス部の部長でもあった）。放送委員会所属時は，お昼の校内放送のほか「！」メインストーリー第一部の【S1】での結果発表や，「体育祭」の実況といったMC周りをよく担当していた。



　天満 光は無類のパン好きである。「！」天満 光ストーリー第一話でも，知り合ってまだ間もないであろうプロデューサーに対し，ほぼパンの話しかしていない。彼は夢ノ咲学院購買部のパンが好きなようだが，今年度に入ってESに所属し，ビル近くのセゾンアヴェニューにある店のパンもお気に入りとなった模様（斎宮 宗アイドルストーリー「本日は何曜日？」ほか）。



　南雲鉄虎はカルビ好きである。「！」メインストーリー第一部，大神晃牙と鬼龍紅郎による【B1】対決のMCでの「趣味は筋トレ！　好物はカルビ！　将来の夢は男のなかの男ッス！」というセリフが印象的だ。ちなみにバレンタイン時期，チョコは好きだがカルビ丼のほうが好きと発言していたことがある（「！」【マーブル♥心を込めたショコラフェス】より）。



　なずなは夢ノ咲学院卒業後に大学に進学し，一時アイドル活動は休止していたが，現在は学生生活と両立している。ちなみに旧3年生では，なずなのほか斎宮 宗も大学に進学している。なずなの大学生活についてはいくつかのストーリーで語られているが，おすすめの1つとして仁兎なずなアイドルストーリー「ご試着いかが？」を挙げておこう。



　光に「走り」を褒められた鉄虎。「！」【灼熱☆海辺のビーチマッチ】では，葵 ひなたとビーチフラッグ勝負をしていたことがある。残念ながら敗北しているが，見事な俊足であったことをひなたにも褒められている。



　礼瀬マヨイと真白友也は寮で同室である。この2人のエピソードでおすすめは風早 巽アイドルストーリー「週末の懺悔室」。このストーリーでは，「部屋にいると視線を感じて、ストレスで寝不足」という友也と，「同室のかたが寝不足そうにしているのが心配」というマヨイからそれぞれお悩みを聞く巽の物語が楽しめる。



　マヨイが仙石 忍に頼まれたジオラマを制作した様子は，礼瀬マヨイ アイドルストーリー「注文の多い料理人」で語られている。忍者同好会の“お頭”こと忍との理想の楽園を作るべく，マヨイは椎名ニキに手伝ってもらってジオラマを完成させていた。



　詳しいネタバレは伏せるが，謎の人形といえば【スカウト！丑参り（後編）】。ALKALOIDのメンバーが共同部屋から退去した際，謎の「牛の像」が見つかったという話だ。こちらもぜひ。


◆筆者が選ぶ“心に残った言葉”とストーリー所感

　【ジェムスフィア】で筆者が印象的だったのは，こちらのセリフだった。


　これを聞いて思い出したのが，一昨年のなずなだ。彼はその昔Valkyrieに所属していたが，脱退する前のころの自分を「意思のない操り人形だった」と語っていたことがある（「！」【追憶＊マリオネットの糸の先】）。

　【ジェムスフィア】で誰にも開けられずにしまわれていた秘密箱の話を読んで，かつてショウケースに飾られた人形のようだったなずなのイメージが重なった。個人的な解釈ではあるが，彼が秘密箱を開けることに一生懸命だったのはこれが理由の1つであったのかもしれないとも思う。そして，箱に込められたであろう大切な何かを，伝えるべき人に伝えたかったのだ。

　依頼主の祖母が誰にも触らせなかったという秘密箱。けれど，そこには依頼主への祖母の愛がたくさん詰まっていた。【ジェムスフィア】は，その人にとってかけがえのない「宝」とは何か……を考えさせられる，すてきなストーリーだ。

ストーリーピックアップ
「スカウト！前線の番犬」

公開開始：2021年7月30日〜2021年8月14日（Basic／Music）
同時期開催イベント：「メインストーリー第二部『SS』編／4th Stage シンセカイ」

――あらすじ――

　「Eve」が番組ロケで出かけることになり，巴 日和の飼い犬であるブラッディ・メアリを預かることになった七種 茨。動物に慣れているほかのアイドルに任せようとするが，乱 凪砂から日和との約束だと諭され，仕方なく世話をすることになる。＜全8話／シナリオ：ゆーます＞

◆ストーリー中のキーワードを解説


　「Eve」と「Adam」の合体ユニット「Eden」は，意外とたくさんのバラエティ系番組に出演している。イベントストーリーで取り上げられたものとしては，Ra*bitsと共演した【バラエティとタッグ／ボギータイム】があるが，そのほかにもメインストーリー第二部SS編【シークレットサービス】では，Eveが旅番組「地上の楽園」を放送するなどしている。



　これまでにも何度か解説しているが，巴 日和と漣ジュンの飼い犬の正式な名前は「ブラッディ・メアリ」である。もともと捨て犬だったのを2人が拾い，昨年度は玲明学園の寮で隠れて飼っていた。今年度に入ってから2人が星奏館に移り，ブラッディ・メアリも連れてきたようだ。ちなみにブラッディ・メアリの初出は「！」【軌跡★電撃戦のオータムライブ】だ。



　七種 茨は「ニキズキッチン」に所属している。伏見弓弦アイドルストーリー第三話にて，日頃から乱 凪砂の栄養管理をしていることが，サークルに入った理由だと明かしていた。



　この朱桜 司は少々言葉遣いが荒くなっているが，過去にも似たような状況があった。1つは「！」【スカウト！冬の初詣】で，明星スバルの飼い犬「大吉」に，もう1つは「！」【スカウト！ロビンフッド】で野良猫の「リトル・ジョン」に対し，動揺する姿を見せていた。



　凪砂と司が所属する「ビブリオン」は，ESビルのブックルームにコーナーを作ったり，一緒にお茶をしたりと比較的よく活動している模様。ちなみに「ビブリオン」のメンバーが勢揃いする話には，乱 凪砂アイドルストーリー「なんでもない日」がある。みんなで一緒にドーナツを食べる，癒やししかない物語である。



　明星スバルの飼い犬は柴犬の「大吉」，大神晃牙の飼い犬はコーギーの「レオン」。ここには登場していないが，姫宮桃李の飼い犬はゴールデン・レトリバーの「キング」である。彼ら“愛犬仲間”一同が集まったストーリーには，「！」【スカウト！ワンぱくピクニック】がある。



　幼少期に軍事施設のようなところにいた茨。その施設では伏見弓弦が“教官”で，2人はこのころからつながりがある。その当時の様子は，「！」【スカウト！ギャング】を参照。



　作中で茨も感心（？）しているが，いつもあれだけ冷静に見える弓弦も，犬だけは苦手なようだ。彼が犬に動揺しまくる姿は，前述の「！」【スカウト！ワンぱくピクニック】のほか，「！」【スカウト！サイエンス】，「！」伏見弓弦ストーリー「ドッグデイズ」などがある。【ワンぱくピクニック】はスチルもあるので必見。



　以前，ESで鼠が発生し，礼瀬マヨイたちが退治に当たる……というエピソードがあった。しかし，彼らが聞いた物音は生きた鼠ではなく鼠型のおもちゃだったことが明らかになる（【スカウト！風来坊】）。この【前線の番犬】では茨が鼠型のドローンについて言及していたが，もしかしたらこの人は鼠型がお気に入りなのだろうか。



　天城燐音の言う「なんとか大王のぬいぐるみ」とは，ダイオウグソクムシのぬいぐるみのこと。おそらく同室の深海奏汰が持ち込んだもので，ほかにメンダコなどがあり，奏汰の経営する「あおうみ水族館」で販売しているらしい（巴 日和アイドルストーリー「三人寄ったら何日和？」より）。


◆筆者が選ぶ“心に残った言葉”とストーリー所感

　初登場時はまさに“毒蛇”というか，その腰の低さの陰で何を考えているか分からない掴みどころのなさがあった茨。しかし今や我々読者にとっては，“意外とかわいいところがある”のは，もはや周知の事実である。今作【前線の番犬】でもちょいちょい“デレ”を見せており，味わい深い。個人的に最もグッときたのは，やはりこのセリフだろう。


　この話の前半，メアリを「犬」と呼ぶ茨に，凪砂が「この子にも『ブラッディ・メアリ』という名前がある」と言う。さらに凪砂は，その名前は日和たちが贈った大切なプレゼントであると話す。

　そのときの茨は軽く返事をしていただけだったが，その後のモノローグで「（食事の）手間暇かけるのが苦でなくなってきた」と感じていたように，人に料理を作ってあげるのも，名前を呼ぶのも，彼にとってのそれは少しずつ意識が変わってきたのかもしれない。
　デレしかない人になってほしいとは思わないが，彼の良い意味で人間くさいところが垣間見えると，こちらの心までほっこりしてしまう。本人はものすごく嫌がりそうだけれども。

ストーリーピックアップ
「スカウト！潮騒マリーナ」

公開開始：2021年8月14日〜2021年8月30日（Basic／Music）
同時期開催イベント：「メインストーリー第二部『SS』編／5th Stageサンドストーム」

――あらすじ――

　夏の旅行商品のPR仕事のため，南国へ撮影に訪れた瀬名 泉たち。ロケバスにフルーツと簡易な調理器具があるのを見つけ，一同はトロピカルドリンク作りのオフショット撮影をすることに。そんななか，彼らの様子をじっと見ている子供がいることに気づく。＜全8話／シナリオ：梅田千歳（Happy Elements株式会社）＞

◆ストーリー中のキーワードを解説


　本作【潮騒マリーナ】は，【euthanasia】直後のある日の物語だ。【euthanasia】とはもちろん，【白昼夢＊微睡みのユーサネイジア】に登場したライブのこと。このライブはKnightsの今後の活動方針を決めるためのもので，提唱者は朔間凛月だった。なお羽風 薫が「【不夜城ライブ】がなければ〜」という旨の発言をしているが，こちらは【Howl！魂を燃やす不夜城】に登場した，音楽特区の再開発計画にまつわるライブのことである。



　「オーシャンズ」は，夢ノ咲学院の海洋生物部が前身と思われるサークルだ。同じ「いきものクラブ」と名のつくサークルには「アニマルズ」があり，なぜかこの2サークルは全面戦争（？）をしたことがある（【スカウト！RELOADED】）。「オーシャンズ」の面々がみんなで水族館に行くほのぼの話は，瀬名 泉アイドルストーリー「うちの子ナンバーワン」で読める。



　ESでは映画にも力を入れており，過去に公開されたものは「桃源郷偶像拳」（fineとTrickstarが出演。【銀幕死闘の／桃源郷偶像拳】），「真夜中のBUTLERS」（瀬名 泉，遊木 真，HiMERU，仁兎なずな，神崎颯馬が出演。【SHUFFLE×夜の帳とバトラー】），「La Mort」（朔間 零，朔間凛月，桜河こはく，乱 凪砂，礼瀬マヨイが出演。【SHUFFLE×静寂の黒雪】）がある。また，高峯 翠はソロでグラビア撮影の仕事などをよく請け負っていた模様。



　翠が弓弦を「画伯」と呼ぶようになったのは「！」【雪花＊流星のストリートライブ】から。弓弦が描いた七面鳥のイラストを見て，「かわいいなぁ、見ていて不安定になる！　あぁっ、頭がクラクラするほど癒やされる〜……☆」と大絶賛。その後本人に，ファンなのでサインがほしいとこれ以上ないくらい前のめりで接していた。



　ただでさえ夏が得意ではなさそうなのに，海となるとさらに苦手な感じを出しまくる泉。そんな夏×海＝通常よりやや弱った泉の姿が見られるストーリーは「！」【出航！海上の海賊フェス】，「！」【リメンバー 真夏の夜の夢】あたりが印象深い。【海賊フェス】はUNDEADと流星隊のライブが話の中心で，泉は鳴上 嵐とグラビアの仕事を終えて，その現場に居合わせた形だった。一方の【真夏の夜の夢】はTrickstarとKnightsのライブのストーリーである。



　小さい子供に大人気の仙石 忍といえば，「！」【スカウト！苺狩り】を参照。ここでは女の子にモテモテの翠の姿も見られる。



　翠の実家は八百屋である。翠は意外と（と言ったら失礼だが）家の手伝いはするほうで，いやいやながらも荷物を運んだり，商品を店に並べたりと働いていた様子。ちなみに彼の兄は弁護士を目指しているので，翠は自分が八百屋を継ぐのだろうと思っていたと明かしていた（「！」【バトンタッチ！涙と絆の返礼祭】）。



　弓弦が南国でトロピカルドリンクを作ったという話は「！」【灼熱！南国景色とサマーバカンス】にて。fineとUNDEADの合同ライブが行われたこの旅行は，弓弦とプロデューサーが企画を組み立てていた。



　プロフィールにもあるとおり，HiMERUの特技は推理である。諸事情あり，「偽装を見抜くのが得意」らしい（HiMERUアイドルストーリー第一話より）。


◆筆者が選ぶ“心に残った言葉”とストーリー所感


　「そういうとこ〜！」と言いたくなる泉のセリフ……。今作【潮騒マリーナ】は，そんな彼の“らしい”面がこれでもかと描かれていたのではないだろうか。筆者がこの人を好きな理由は，まず仕事に真剣であるところだ。どんなに不利な条件でも弱音を吐かず，自分の持つポテンシャル以上の結果を出そうと努力する。

　また，彼は本当に優しくて他人を思いやれる人だけれど，甘やかすべきでないところは甘やかさず，“線引き”がきちんとしているところもすてきだと思う。今回のファンの男の子に対する態度もそうで，格好をつけてファンをかわいがるだけでなく，言うべきことをきちんと伝えていたところが良かった。これは彼が，きちんとあの男の子と対等に向き合った証だと思う。

　あれだけ暑いのが苦手なのに，「バスに乗らずに歩いて帰る」と言い，男の子のために貝殻を探す優しさとある種の不器用さ。彼のこういうところに惹かれる人はきっと多いはずだ。

　そして筆者が先ほど挙げたセリフで胸が熱くなったのは，ファンへの感謝の言葉だけでなく，「自分はアイドルだ」と言い切ったところだった。自分がプライドをかけて勝負しているモデルではなく，あの瞬間の泉は100％アイドルとしてファンに向き合っていたように思う。

　きっとあの男の子にとって，泉と交換したシーグラスは，珍しい貝殻よりずっと大切な宝物になったはずだ。一緒に過ごした夢のようなひとときの思い出とともに。

ストーリーピックアップ
「スカウト！一騎当千」

公開開始：2021年9月14日〜2021年9月29日（Basic／Music）
同時期開催イベント：「メインストーリー第二部『SS』編／6th Stageサンクチュアリ」

――あらすじ――

　夢ノ咲学院の新入生から，刀が怖いと苦情が出ていると聞いた神崎颯馬。生徒会会長の衣更真緒から刀を預けるよう説得を受けるものの，自分にとって命と同じ刀を他人に渡せないとこれを拒否する。そして，居合わせた明星スバルたちとバリケードを作って籠城することに……。＜全8話／シナリオ：ゆーます＞

◆ストーリー中のキーワードを解説


　ひょんなことから籠城作戦をすることになった神崎颯馬と明星スバル。彼らは昨年度は同じ2年A組で，ほかには氷鷹北斗（クラス委員長），遊木 真，乙狩アドニス，逆先夏目，そしてプロデューサーがいた。彼らのクラスとしてのストーリーは「！」【メモリアル◆みんなで作るクラスライブ】などを参照。なお今年度に入って，スバルは3年A組，神崎颯馬は3年B組に分かれた。また，颯馬はB組のクラス委員長になっている。



　天城一彩の言う「部長」は，空手部部長の南雲鉄虎。鉄虎と一彩が喋りながら戦う様子は，【交差する／モーターショウ】で読める。ちなみに彼らはサークル「武道家『心』」でも活動をともにしている。



　いや，去年はけっこう校内で抜刀しかけてなかったか……？　という気もするが，帯刀について政府から免許をもらっているのは事実のようだ（「！」【暗躍！月影の風雲絵巻】など）。また，【一騎当千】では愛刀の代わりに脇差しを衣更真緒に預けようとしているが，一昨年度，当時の生徒会副会長だった蓮巳敬人に「これを献上する代わりに愛刀の没収を見逃してほしい」とお願いしていたことがある（「！」【追憶＊それぞれのクロスロード】）。



　昨年度の夢ノ咲学院の生徒会は，会長が天祥院英智，副会長が蓮巳敬人，会計が衣更真緒，書紀が姫宮桃李というメンバーだった。そして今年度は会長が真緒，副会長が桃李に加え，昨年度よく生徒会の仕事を手伝っていた仙石 忍と伏見弓弦が役員に加わった。新生徒会の活躍といえば，本連載での解説はまだだが【悠久の鬼◆スカーレットハロウィン】もぜひ。



　颯馬たちの説得に現れた乙狩アドニス。颯馬とアドニスの友情は学院内ではなく，校外で道に迷ったアドニスに颯馬が声をかけたことがきっかけで始まった（「！」【追憶＊それぞれのクロスロード】）。また【一騎当千】ではアドニスがバリケードを片手で崩す場面が出てくるが，前述の「！」【出航！海上の海賊フェス】にて，アドニスは鉄格子を素手で曲げたことがある。



　逆先夏目に催眠術をかけられそうになった颯馬だが，過去には日々樹 渉の催眠術にかけられ，赤ん坊のようになってしまったことがある（「！」【決別！思い出と喧嘩祭】）。奇しくも夏目の“師匠”である渉がかけていたのが面白いが，このとき渉は颯馬を「この子は異様に催眠術にかかりやすい」と話していた。



　明星スバルと紫之 創は，もともとは夢ノ咲学院の校内アルバイトで出会ったらしい。スバルは創の歌声が好きで，「第一のファン」だと名乗っていた（「！」メインストーリー第一部より）。



　筆者が個人的にも大好きな，颯馬のこの口上。これまでのライブでも何度か披露しており，「！」【決別！思い出と喧嘩祭】，「！」【ドロップ＊遠い海とアクアリウム】，セリフは少し異なるが，「！」【暗躍！月影の風雲絵巻】などでも彼が大見えを切る姿を確認できる。日本舞踊や剣舞の素養があるためか，とても絵になっているのではないだろうか。


◆筆者が選ぶ“心に残った言葉”とストーリー所感

　このストーリー，見事に善人しか出てこない……！　しかしそれが鼻につくことなく，「何ですかこのいい話は」となるのが【一騎当千】である（断言）。

　この物話の中心は，刀を取り上げられそうになった颯馬と，一部の生徒のために颯馬を説得しようとした真緒だ。桃李も作中で言っていたが，生徒会会長として，つくづく真緒は英智と違うタイプだなと思う。これはもちろんどちらが良い悪いという話ではなく，真緒の性格は，ストーリーのなかでの「理想論かもしれないけどさ、全員幸せになってほしいんだよ。この学院を笑顔と希望で溢れる、楽園にしたい」というセリフに表れていると思う。だが真緒は，「全員」に颯馬が含まれていないことに気づき，これでは駄目だと考えをあらためようとする。

　そして颯馬がみんなの前で剣舞を披露し，その個性に気付いた生徒たちが苦情を取り下げ，問題は解決する。すべてが落ち着いたあと，颯馬が言った言葉がとても良かった。


　思い返せば，籠城も愉快な体験だったと。颯馬という人は，いつだって過去を悔やみ続けない。失敗を糧に，ただ前に進むことだけを考えている。そういうまっすぐさが気持ち良いし，愛すべきところだなとしみじみ思う。

ストーリーピックアップ
「スカウト！ドラマティカ」

公開開始：2021年10月14日〜2021年10月30日（Basic／Music）
同時期開催イベント：「メインストーリー第二部『SS』編／7th Stageサドンデス」

――あらすじ――

　サークル「ドラマティカ」が，「西遊記」をテーマとした舞台を上演することになった。キャスティングを任された氷鷹北斗は，斎宮 宗たちの個性に合わせた役を依頼するが，日々樹 渉に駄目出しをされてしまう。＜全8話／シナリオ：ゆーます＞

◆ストーリー中のキーワードを解説


　斎宮 宗の好物はクロワッサンだ。彼の並々ならぬ“クロワッサン愛”が見られるストーリーはいくつかあり，「！」【スカウト！トイボックス】や「！」斎宮 宗ストーリー「大人げないひと」では購買部の名物クロワッサンを，斎宮 宗アイドルストーリー「本日は何曜日？」では街で評判の店のクロワッサンを手に入れようと必死な姿が見られる。また，彼は自らクロワッサンを手作りすることもあり，「！」【スカウト！ノクターン】などで，皆に振る舞っていたことがある。



　夢ノ咲学院在校中，宗と月永レオは“学院の芸術家トップ2”のような存在だった。よく芸術についての議論を交わしていたようで，仲良しこよしな雰囲気ではないものの，きっとお互いに心の底では尊敬しあっているのだろうと感じられる関係だ。昨年度の2人のやりとりで個人的に気に入っているのは「！」【光輝★騎士たちのスターライトフェスティバル】。今年度はお互い海外在住となり，宗が自分の作品のための曲を依頼するなど，いい関係が続いている様子である（月永レオ フィーチャーストーリー「天才協奏曲」）。



　ここで出てきた「カクテルピアノ」とは，“さまざまな彩りをファッションによって与えるのがコンセプト”のブランドの名前で，嵐は香水を愛用していたらしい。そのブランドからKnightsに監修香水の依頼が届き，仕事をすることになったストーリーが【芳香＊忍ばせたフレグランス】である。



　サークル「ドラマティカ」は，言わずもがな夢ノ咲学院の演劇部が前身だと思われる。日々樹 渉が在校中に部長を務めていた昨年度の演劇部ストーリーは非常に多い。そのなかからおすすめを絞るとすれば，「！」【スカウト！薔薇十字物語】，「！」【公演！悲喜劇のロミオとジュリエット】，「！」【スカウト！透明と仮面】を挙げておきたい。



　日々樹 渉は夢ノ咲学院在校時から気球を移動手段に使っている（もちろん電車など公共の交通機関も使う）。気球が登場するストーリーを挙げようと思ったが多すぎるので割愛させていただく。とりあえず「あんスタ！！」新規の人には，「たとえ本人が出てこなくても『気球』あるところに渉あり」ということをお伝えしておきたい。



　影片みかは，故郷では小さい子供たちの“お兄ちゃん”で，「みか兄ィ」と呼ばれていた。彼らにとってアイドルになったみかは憧れの存在で，昨年度のハロウィンには子供たちがみかを応援するため，夢ノ咲学院にやってきたことがある（「！」【リアクト★マジカルハロウィン】）。



　乱 凪砂の生い立ちについて初めて語られたのは「！」【軌跡★電撃戦のオータムライブ】。日和の口から，今は亡き業界の大物「ゴッドファーザー」に囲われて幼少期を過ごした凪砂が，その人物が亡くなったあと一時的に日和の家に引き取られたと明かされた。また直近の話では，メインストーリー第二部「SS編」もぜひチェックしてみてほしい。



　渉は今作【ドラマティカ】で，役作りのためサークルメンバーを牧場に連れてくる。ちなみに昨年度は，演劇部の公演に向けて度胸をつけるためにと，真白友也を肉食獣のうろつくサファリパークに放り出したというエピソードがあった（「！」【対決！華麗なる怪盗VS探偵団】より。なお，実際のサファリパークの場面は出てこない）。



　年上でも敬語を使わないことが多い氷鷹北斗だが，明星スバルの愛犬のことはなぜか「大吉くん」と“くん付け”で呼ぶ。彼と大吉の共演（？）で印象深いのは「！」【スカウト！サイエンス】。スチルもあるので，両者のファンはぜひチェックを。


◆筆者が選ぶ“心に残った言葉”とストーリー所感

　すでに日が経ってしまっていて申し訳ないのだが，皆さんご存じのとおり【スカウト！ドラマティカ】は，実際の2.5次元舞台「劇団『ドラマティカ』ACT1／西遊記悠久奇譚」とのコラボとして展開されたストーリーだった（舞台は2021年10月〜11月に公演済）。舞台は「劇団『ドラマティカ』が演じる『西遊記』」という設定で，このスカウトストーリーは舞台のビハインドストーリーという立ち位置だ。


　【スカウト！ドラマティカ】で主に中心となるのは，北斗と宗のやりとりだ。今までこの2人はそこまでガッツリと絡んでおらず，これだけ会話をするのは今回が初めてである。しかし，「生真面目すぎるほど真面目で，一周回ってそこが可笑しみにつながる」という点は共通しているように思う。ということで，今回心に残った言葉はこちら。


　物語のラスト，北斗も宗もお互いに気を使いあっているのに，若干言葉に棘があるのが面白い。そのとき宗が言った上記のセリフ，そして「どうして嫌なのか、どうすれば克服できるのか。考えを巡らし実行することで、ひとは強くなれる」という言葉もまた，“努力の人”である北斗と通じる信念のような気がする。そんな努力家や天才や鬼才，個性あふれるドラマティカの今後の活躍も大いに楽しみになった。


　第29回記事もお楽しみに！

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（C）2014-2019 Happy Elements K.K

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