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ディライトワークスが求めるアナログゲームディレクターとは。キャリア相談イベント「肉会(MEAT MEETUP) Vol.14」レポート
ディライトワークス公式サイト
本イベントは,ディライトワークスでの仕事に興味があるゲーム業界関係者を中心に参加者を募り,テーマに沿って,ゲストを交えてのトークセッションが行われるという,“生”の声が聞ける場で,キャリア相談や意見交換なども行われた。
14回めの開催となる今回は,趣味や仕事でボードゲーム制作に携わっている人や,アナログゲーム事業に興味のある人を対象に,ディライトワークスのアナログゲームユニットでボードゲーム開発に取り組むスタッフが,これまでの取り組みや同社のアナログゲームユニットが目指す将来について語った。
登壇したのは,ディライトワークス 第1制作部 DELiGHTWORKS SWALLOWTAIL Studios プロデューサー 立山幸介氏,プロジェクトマネージャー 前田佑貴氏,マーケティングプランナー 高嶋啓明氏の3人だ。
左から立山幸介氏,前田佑貴氏 |
高嶋啓明氏 |
イベントの始めには,ディライトワークスのアナログゲームに対するこれまでの取り組みが紹介された。まず2018年3月には,社内ボードゲームカフェを設立したが,これは社内のコミュニケーションを活性化するとともに,コンシューマ機やスマホなど,プラットフォームに縛られないゲーム作りの発想を期待して行われたものだという。
2018年7月からは,このカフェを使ってゲーム業界関係者向けのボードゲームパーティーを毎月開催している。
2018年11月には,ボードゲーム「The Last Brave」(2018年12月発売)と「CHAINsomnia〜アクマの城と子どもたち〜」(2018年11月発売)の発表会とメディア先行体験会を開催。単なる発表会ではなく,ディライトワークスがアナログゲームに本格参入する意志を示す意図があったとのことだ。2018年秋からは,アナログゲームイベント「ゲームマーケット」に企業として出展している。
2019年8月3日には,TYPE-MOONの伝奇活劇ビジュアルノベル「Fate/stay night」を題材としたボードゲーム「Dominate Grail War -Fate/stay night on Board Game-」を発売し,並行して開催された「Fate/Grand Order Fes. 2019 〜カルデアパーク〜」で,同作の体験会を行った。
以上,約1年間の歩みについて,登壇した3人は「毎月,何かしら山を乗り越えてきた感がある」と振り返った。
次に,ディライトワークスのアナログゲームユニットが,実際にどんな仕事をしているかが,「Dominate Grail War」の開発事例をベースに紹介された。
まずは,プロジェクトマネージャーがプロジェクトの進行管理,ゲームデザインやイラストのデザインといった各工程の進捗管理などを開発現場と調整していくという。そのようにしてコンテンツ全体のクオリティを管理した結果,前田氏は社内で本作のルールにもっとも詳しい存在になったそうだ。
マーケティングプランナーは,宣伝施策のプランニングやイベントなどでの商品宣伝対応に加え,トークイベントの進行なども行う。とくに「Dominate Grail War」の概要を初めて披露した2019年5月のゲームマーケットでは,ゲームの内容をアナログゲームファンに知ってもらうため,複数回にわたりトークイベントを行ったという。
話が前後するが,2019年3月の「AnimeJapan 2019」や「マチ★アソビ vol.22」では,原作である「Fate/stay night」や,そのアニメ版のファンにアピールするための施策を行った。高嶋氏によると,ゲームマーケットで「Dominate Grail War」の概要を公開することが決まっていたため,どのような展示にするか頭を悩ませたという。
プロデューサーは,新商品のプロジェクト化や予算管理など事業に関わる仕事に加え,イラストの発注など開発パートナーへの営業や契約締結を担当する。
また,新商品の認知度を高めるための施策を打つのもプロデューサーの仕事だ。例えば「Dominate Grail War」では,宣伝・広報チームと協力してメディア向け先行体験会の企画およびスケジュール調整を行ったとのこと。
その結果,発売日にはSNSや小売店からの大きな反響を得て,販売も好調だったそうだ。
続いて,ディライトワークスのアナログゲームユニットが今後目指すことが示された。
最初に掲げられたのは,「コミュニティが熱くなるゲームを創る」というビジョン。立山氏は,「アナログゲームは,プレイヤー同士が対話をしながら遊ぶことが醍醐味」とし,「何度も遊びたくなる,プレイ後に感想戦を開きたくなるようなゲームを手がけていきたい」と意気込みを語った。
アナログゲームを作るにあたって大事にしているのは,「そのゲームで大きな夢を描けること」だという。立山氏は,「大きな販売本数でもいいし,何かの賞を獲得したり,海外進出を目指したりといったことでもいい。単純にゲームを作るだけでなく,何か目標を持って取り組むことが重要」だと説明した。
以上を踏まえて今後は,「ディライトワークスにしかできない商品を作る」「長く遊び続けてもらうための取り組み」「海外市場でも受け入れられる作品にチャレンジする」という目標を掲げて,アナログゲーム開発に臨むとのことだ。
最後のテーマは,ディライトワークスのアナログゲームディレクターについて。立山氏は「Dominate Grail War」ではゲームデザインをBakaFire PartyのBakaFire氏が,イラストをタスクオーナ氏とokojo氏が,そしてコンポーネントデザインを社内外のスタッフがそれぞれ手がけたとし,それらをディレクターが1つにまとめたと説明した。ただし,単にまとめるだけでなく,ディレクターは「顧客に面白いと思ってもらえる商品に具現化」する必要があるという。
そのディレクション例としてパッケージデザインを挙げ,ディレクターは「すべてのマスターが主人公であること」や同作の醍醐味である「誰がどのサーヴァントのマスターになるのか」といったワクワク感を表現することにこだわったという。
またBakaFire氏とのゲームディレクションでは,「聖杯戦争を“if”体験できる」「重厚な世界観に見合うコンポーネントの設計」「ボードゲームファンと原作ファンの双方が楽しめるUI調整」を締切ギリギリまで行ったとのこと。
ディライトワークスのアナログゲームディレクターは,将来的には「新商品の企画提案」「オリジナルゲームの開発」「ゲームデザイン設計」を任される予定だ。
立山氏は,同社が求めるアナログゲームディレクターは「ただ純粋に、面白いゲームを創ろう。」という社是のもと,「あくなき執着心と実行力がある」「社内外関係者の個性も活かせるよう取り組める」「ディライトワークスならではの商品を作れる」ような人材であるとした。とくに最後の「ディライトワークスならでは」という部分については,現在までの同社のイメージだけでなく,「今後アナログゲームを開発していく中で一緒にブランディングしていきたい」とし,「情熱を持ったアナログゲームディレクターとビジネスプロデューサーを大募集中です」とまとめた。
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- 関連タイトル:
Dominate Grail War -Fate/stay night on Board Game-
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