プレイレポート
Switch用非対称型対戦ゲーム「オバケイドロ!」プレイレポート。シンプルで奥深いケイドロの駆け引きが楽しめる
タイトルにもなっている「オバケイドロ」とは,オバケの世界で大流行している遊びのことで,夜な夜なオバケたちはニンゲンの子供をオバケの世界へ連れ込み,勝負を挑んでいる。本作では,そんなオバケの世界に迷い込んでしまったニンゲンの双子「アリサ」と「アレス」と,それを追うオバケたちの様子を描く……というのが「オバケイドロ!」のあらましである。
多くの読者はご存じだと思うが,本作のモチーフとなっているケイドロについても軽く触れておこう。
ケイドロ(警察と泥棒。地域によってはドロケイ,ドロタンとも)とは,鬼ごっこの変種のような遊びで,鬼にあたる警察が,泥棒をタッチで捕まえていく。ここまでは普通の鬼ごっこと同じだが,ケイドロには,捕まった者に復帰のチャンスがあるところが大きな違いだ。
捕まった泥棒は牢屋に集められるのだが,生き残っている泥棒が牢屋に到達すれば彼らを逃がすことができる。つまり,単なる追いかけっこではなく,牢屋を巡る攻防があるのだ。
「オバケイドロ!」のルールもケイドロと同様。オバケは3人のニンゲンをすべて捕まえて牢屋に送れば勝ちだ。そして,ニンゲンは3分間のラウンド終了時に誰か1人でも逃げ延びていれば良い。もちろん,ケイドロ特有の牢屋もあり,マップの種類によって2個から3個のスイッチが用意されている。このスイッチをまだ捕まっていないニンゲンがすべて押すと,捕まっている仲間を解放できるのだ。
非対称型の対戦ゲームというジャンルは,「Dead by Daylight」や「Identity V」と同様だが,本作の基本ルールは非常にシンプルで分かりやすく,怖すぎずちょっとカワイイホラー的なテイストと相まって,追いかけっこのドキドキを手軽に楽しめる。オバケとニンゲンの特殊能力がバリエーション豊かで,マップとの組み合わせによってさまざまな状況が生まれるのも面白い。
もちろん,オンラインプレイとおすそわけにも対応しており,Nintendo Switchが1台とJoy-Conが4つあれば最大4人で遊べるのが嬉しい(1〜4人で遊ぶことができ,不足分はCPUが担当)。インディーズゲームイベント「BitSummit 7 Spirits」に出展され,終日多くの人を集めていたのも記憶に新しい(関連記事)。
オバケ側は確認できただけでも6系列12タイプがいて,それぞれに「ニンゲンを捕まえる範囲」「壁をすり抜ける速さ」「ジャンプ力」などのパラメータが異なっている。
例えばカエルのような「ケロキング」系は沼の上にいると移動速度とジャンプ力が上昇するので,沼のマップで立体的な攻めを展開できる。ニンゲンを捕まえるのに前方へ伸びる舌を使うため,多少離れていてもキャッチできる一方,回り込まれると弱い。
また,狼男のような「ワルウルフ」は,ニンゲンに牢屋を開けられて脱出された際,しばらく足跡を見ることができる。そのため,立て直しを図りやすいが,壁をすり抜けられないので,入り組んだマップを苦手としている……といった具合だ。
追いかけっこにおいては,オバケはニンゲンの逃げるコースを,ニンゲンはオバケの追いかけてくるコースを予想して,先回りしたり裏をかいたりするのだが,オバケ側は,壁をすり抜ける能力を意識して追いかけると,変化が加わって面白くなるので,最初は壁抜けを意識しながらプレイしてみよう。
一方,ニンゲン側には「ランタン」という装備がある。強烈な光を放ってオバケを一定時間気絶させるというもので,牢屋の近くで決められれば,ほぼ間違いなく仲間を救出できる。ランタンはゲームスタート時にニンゲン3人が持っており,それぞれ1回だけ使用可能だ。
ランタンは,ニンゲン側のかなり強力な対抗手段だ。しかし,一度使うと“牢屋に捕まった状態で仲間に助けてもらう”ことでしか回復しないため,オバケ側としてはランタンを使わせてから捕まえればいい。とはいえ,オバケの勝利条件は“ニンゲンを全員捕まえる”ことにある。いつまでも牢屋の周囲で捕まえたり逃げられたりを繰り返していては勝てないため,どこかで“ランタンをかわして捕まえる”ことを意識する必要が出てくるわけだ。
また,牢屋の仲間を助けたニンゲン自身はランタンが回復しないうえ,ランタンがないニンゲンが残った状態で,2人捕まるとニンゲン側はかなり苦しい。なので極端な話,オバケ側はランタンを使ったニンゲンを無視して,ほかを捕まえていくのもアリだ。
ここで重要になってくるのが,ランタンのタイプだ。「オバケを気絶させる時間が長いが,発動に時間がかかり,範囲が狭い」「広範囲に効果が及ぶものの,気絶させる時間が短い」「発動速度と範囲のバランスが取れている」「ニンゲン自身に特殊な効果を及ぼす」という大まかに分けて4つのタイプが存在している。ランタンの光の色で主なタイプを判別できるので,オバケとしては弱点を突いていきたいところだ。
特殊な効果を及ぼすランタンはかなりユニークで,仲間と一緒にいると移動速度が上げてくれるものや,仲間が近くにいるとランタンの効果範囲が広がるものなどがある。うまく理解すれば,ニンゲン側のサポート役として立ち回ることも可能だ。
また,今回は1台のSwitchで画面を4分割したおすそわけプレイも体験した。CPUならともかくも,人間がプレイすると立ち回りに性格が出てくるのが興味深い。特にニンゲン側プレイしているときは,プレイヤーの性格が大きく表れる。しゃがんでひたすらに隠れまくる者がいるかと思えば,牢屋を観察できる位置に陣取って仲間が掴まると即座に救出にかかる者がいるなど,人によって動きがまったく違うのだ。また,ランタンを使い切ってしまったニンゲンがあえて囮になって,オバケに見つかりやすいような場所を歩くような頭脳プレイも可能だ。
特に盛り上がるのが,ニンゲンが1人捕まってからの駆け引きだ。オバケ側はランタンの残り回数を把握しつつ捕まえる順番を決めてニンゲンを追いつめる一方で,ニンゲン側は牢屋につかまっている人が牢屋の中からオバケの位置を教え,協力しながら何とか裏をかいて牢屋を開けに行こうとする。
残り時間ギリギリで救出が成功したり,オバケが返り討ちにしたりと戦況が二転三転することもある。お互いに性格を知った仲間同士で集まり,声の届く範囲でワイワイおすそわけプレイをするのは,このゲームに合った面白い楽しみ方の1つではないかと感じられた。
相手がオバケだったり,ステージに墓場や不気味な沼があったりと,ホラー的な味付けはされているものの,血が出たり誰かが死んだりといったゴア描写は存在しない(ほのめかしすらない)ため,小さい子から大人まで幅広い年齢層の人が安心して遊べる。
また,1回の試合が3分で終わるため,Nintendo Switchの携帯モードとの相性も良く,気分転換をしたいときにパッと遊んでパッと終わることができるのも嬉しいところだ。各オバケごとの能力の違いや,マップのギミック,ニンゲンのランタンなど,ゲームに影響を及ぼすファクターも多い(特に“時間の経過とともにマップがどんどん狭くなっていく”ギミックは場を大きく盛りあげてくれる)。
これからプレイヤーがスキルを磨いていき,マップを熟知したオバケと統率が取れたニンゲンがやりあうところをぜひ見てみたいと感じられたし,リプレイの配信や実況などでワイワイと盛り上がる姿も個人的に期待したいところだ。
本作は,操作がシンプルなのに加え,チュートリアルも存在するのでゲームに慣れていない人でも安心だ。まずは追いかけっこのスリルを楽しみ,慣れてきたら周囲の状況を見極めつつ,牢屋にまつわる駆け引きを意識してみるといいだろう。
「オバケイドロ!」公式サイト
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オバケイドロ!
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