プレイレポート
カワイイ動物忍者が縦横無尽にバトル。Nintendo Switch「忍スピリッツS 真田獣勇士伝」プレイレポート
主人公の霧隠才蔵は,主君である真田幸村を救うべく,戦いの旅に出る。2012年にニンテンドー3DSで配信された「忍スピリッツ 真田獣勇士伝」をベースに,移植ではなくリブートを行った作品だ。
「忍スピリッツS 真田獣勇士伝」公式サイト
登場するのは動物を擬人化した真田十勇士である“獣勇士”たち。才蔵(虎),穴山小助(犬),猿飛佐助(猿),三好清海&伊三(熊),海野六郎(鷲),筧 十蔵(黒豹)などいずれも可愛らしい。望月六郎は原作通りに爆弾(ダイナマイト)が得意だがJK風のキツネになっていたり,由利鎌之助はカマイタチにかけてか巨大な鎌を振るうツンデレのイタチ娘だったり……と現代風に翻案されているため,元ネタである真田十勇士を知らなくても大丈夫だ。
最初は才蔵のみでスタートし,ステージを進めることで獣勇士たちを助けて仲間を増やしていく。助け出した獣勇士たちが「獣勇士の部屋」でわちゃわちゃと動いているのを眺められるのも面白い。
本作のポイントは,才蔵の性能が高くて爽快な戦いを楽しめることにある。才蔵は忍者らしく刀と手裏剣を武器としており,2段ジャンプやスライディング,空中ダッシュといった基本技だけで画面内を縦横に暴れ回ることができるのだ。本作にはステージの奥にも敵がいて,バトルにアクセントを加えてくれる。普通に攻撃したのでは届かないため,Rスティックを倒して奥へ向けて手裏剣を投げて撃退しよう。慣れてくると,奥の敵と手前の敵を同時に相手取って戦うことができ,達人気分に浸れる。
敵を倒すと「忍魂(にんたま)」が出現。これをと引き換えに「忍術樹形図」(スキルツリー)からさらなる技を習得すると,よりテクニカルに戦える。相手の攻撃を直前で受け止める「極み防御」からガードキャンセルの特殊な斬撃を出したり,ダッシュから派生する「加速斬り」で敵の背後に回り込み,獣勇士と挟み撃ちにしたり……と本作のバトルは良い意味で忙しい。
中でも爽快なのが「モズ落とし」と「奥蹴り」だ。モズ落としは相手を打ち上げてから仕掛ける急降下投げで,攻撃力が高い上,落下地点の周囲にいる敵にもダメージを与えられる。
奥蹴りは敵を画面奥へとキックで吹き飛ばす技。ボールのように飛んだ敵にも攻撃判定があり,たくさんの敵が画面奥から進軍してくるような場面では,軌道上の敵を次々巻き込んでいくのが面白い。
要するに,“本作のバトルは才蔵がいろいろな技を使えてテンポ良く進む”ということ。わらわらと沸いてくる敵の動物忍者たちをサクサクと倒していくのはなかなかに爽快だ。
「加速斬り」から獣勇士との挟み撃ち |
「極み防御」からの広範囲斬撃 |
「モズ落とし」 |
「奥蹴り」 |
ステージのあちこちには「巻物」や「手紙」が隠されている。特に巻物は重要で,集めると新たな技が開放される。通常のプレイではたどり着けないような場所に巻物が置かれている場合もあるので,いろいろと工夫してみよう。
また,それぞれのステージには「ミスせずにクリアする」「コンボを一定数以上決める」などの戦闘行動目標(お題)が用意されており,満たすと多くの忍魂がもらえる。
忍魂は技の習得だけでなく,獣勇士のレベルアップ,コンティニューの費用などいくらあっても足りないため,慣れてきたらお題を意識してプレイしよう。お題の中には「ノーダメージでクリアする」「○○秒以内にクリアする」といった高難度のものもあり,全て達成するとなれば結構な腕前が必要になるだろう。
ステージのあちこちには「手紙」や「巻物」が隠されている |
戦闘行動目標(お題)は,難度ごとに3つの合計9個となる。中にはノーダメージクリアを要求されるものも |
ステージを進めると,獣勇士たちを助けて仲間にできる。敵を倒すと出てくる「赤い忍魂」を集めて「召喚気力」を溜め,獣勇士を召喚するのだ。獣勇士たちはいずれも個性的で,小助は薬で才蔵の体力を回復し,望月六郎はダイナマイトを投げ,幸村は高速移動しつつ周囲の敵を攻撃……と得意技で才蔵を援護してくれる。
獣勇士たちには,清海&伊三や根津甚八のように一発だけ技を放って戻っていくタイプと,六郎や十蔵のように才蔵としばらく同行してくれるタイプがいる。忍術樹形図で召喚気力の上限を上げておき,赤い忍魂を一気に稼げば,同行型を複数人同時に召喚するような運用もできる。
メンバーが増えると,敵を挟み撃ちにしたり,雑魚を任せたり,盾になってもらったりと,共闘感が心地よい。特に鎌之助や佐助は同行型かつ画面奥にいる敵も攻撃してくれるため,召喚できれば心強いだろう。ゲームの終盤にはボスが複数体同時に登場する局面もあるが,同行型の獣勇士たちに前線を任せ,才蔵自身は後方から手裏剣で援護するような戦い方もできるのが面白い。
気持ち良く遊べる本作ではあるが,少し気になる部分もあった。それは「変わり身」と忍魂の挙動である。本作は敵も忍者なので,攻撃を受けた際に一定確率で変わり身の術を使う。丸太を身代わりにして,ちょっと時間が経ってから敵が再出現するというものなのだが,高難易度になると,奥にいる敵までもポンポンと変わり身の術を使う。奥にいる敵を攻撃する際は,手裏剣を投げてから着弾するまでに時間がかかるのだが,ここに変わり身の術が加わるとさらに時間がかかってしまう。
また,敵を倒してから忍魂が出現するまでにわずかな間がある上,少しのあいだ忍魂の近くに留まらないと収集できない。せっかくスピーディな展開を楽しめるだけに,ここはちょっとテンポが損なわれるように感じた。赤い忍魂の回収は,特に高難度のボス戦で戦略に絡むところがあるので近くに行かなければならないのは納得できるのだが,通常の忍魂は出現から即座に自動回収で良いのではないかと思えた。
本作は,最終ボスを倒してエンディングを見ても終わらない。忍魂を稼いで技や獣勇士のレベルを上げ,新たな技を駆使して取り損ねた巻物を探し,各難度に用意されたお題に挑戦する……などなど,クリア後も遊べるのが嬉しい。
気になる点としては,敵キャラの種類が少ない,ステージの地形を表示するものがないため探索がしにくい場合がある,技をレベルアップする際に解説が文章だけなので分かりにくいなど,いくつかあるが,定価900円(税込)という安さからすれば許容範囲だろう。
それよりも,低価格帯ソフトを作る上でコンセプトの取捨選択を行い,才蔵の強さとスピード感,同行型獣勇士と共闘する賑やかさにフォーカスされているところを評価したい。筆者は個人的にバトル寄りのアクションゲームが好きなので,楽しく遊ぶことができた。
本作は8月22日までは配信記念価格として30%引きの630円(税込)で販売されている。バトル寄りの横スクロールアクションが好きな人は,ぜひプレイしてみてほしい。
「忍スピリッツS 真田獣勇士伝」公式サイト
- 関連タイトル:
忍スピリッツS 真田獣勇士伝
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