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王道RPGをど真ん中で攻める新作「グランサガ」のショーケースをレポート。快適性抜群だった先行試遊の感想も
それに先駆け本日午前,メディア向けの先行上映会,ならびに先行試遊会が秋葉原UDXで行われたため,これらの模様を紹介していく。
YouTube「グランサガ ショーケース」
はじめにグランサガについて。本作は王道のRPGをベースに,広大な世界観・没入型のストーリー・美麗なグラフィックスを特徴とし,コンセプトに“歴代最高峰のクオリティ”を掲げる新作アプリだ。
MMO型のフィールドではマルチプレイも可能で,詳細は不明だが,スマートフォンとPCでのクロスプレイ対応も予定されている。
クリエイター陣にはアート担当に天野喜孝氏,サウンド担当に下村陽子氏,ボイス面にも80名以上の声優を起用し,さらに「すべての領域で選りすぐりのアーティストを用意する」として,イラストからテーマソング,コラボPVまで,あらゆる面での高品質達成を目指すとしている。
ここまでに提示された意気込みだけだと,どうにも浮ついて聞こえてしまうが,2021年1月26日に配信を迎えた韓国では“サービス初日に100万ダウンロードを達成”するなど,すでに実績は備わっている。
それにビジュアルを目にすれば,出来栄えの説得力は十分だ。
ショーケース(いわゆる紹介映像)では,MCに津田健次郎さんを迎え,グランサガの魅力が“五感で体験”することにあるとし,三つのテーマに分けて解説された。詳細は約40分の映像自体を見てもらうのが最善だが,本稿ではそれらを簡潔にまとめていく。
一つ目のテーマ「目の体験」では,3Dグラフィックスの高精細さを伝えつつ,物語や世界観について説明された。
黒き龍イスマエルに支配されていた時代。12人の騎士は女神から授かったグランウェポンで龍を打ち倒し,世界に平和を取り戻した。ラグナデア王国では英雄グランナイツに憧れる若者たちが騎士団に入り,広大な世界を駆け回っている。物語の主人公,熱血青年ラスもその1人だ。
彼はある日,魔法使いキュイら仲間たちとの任務中,謎のモンスターに襲われる記憶喪失の少女セリアードと出会った。少年時代の悲劇から先,騎士団の英雄に育てられたラスは,これからたくさんの仲間たちと出会い,己の過去や少女の記憶の真相に迫っていく。
プレイヤーキャラクターはラスをはじめとする固定キャラクターとなり(容姿は変更可能),彼らは過去の英雄たちの心「グランソウル」を宿した武器「グランウェポン」を扱って敵と戦う。
ときには魂そのものと共鳴し,英雄の姿にも変身できる。
ゲーム画面やムービーの作りは見てのとおりだが,全体的なインタフェースについても世界観と直感性を重視しているとのことで,本の背表紙仕立てになったストーリーの一覧など,無機質な文字の羅列になりがちなシステムUIなどにもこだわりが取り入れられている。
映像では,アート担当の天野喜孝氏へのインタビューも行われた。
天野氏は本作に関して,「ファンタジーを描くときは,本当にそれがあると信じないと書けないんです。そのイメージを頭の中からひっぱりだして,皆さんと共有したい。表現には“自分なりの解釈”もありますが,表現と実物とで解釈が間違っていたとしても,両者の隙間に想像力を働かせてもらえるようだとうれしいです」などと語った。
二つ目のテーマ「耳の体験」では,こだわり抜いたBGMや環境音などに関して,サウンド担当の下村陽子氏が解説した。
下村氏は音楽統括プロデューサーとして,重厚なストーリーと美麗なグラフィックスにふさわしい壮大なサウンドにするため,チェコのドヴォルザークホール(プラハ所在の音楽公会堂ルドルフィヌム内の施設)に赴き,フルオーケストラによる生演奏を収録してきたという。
本作の主題歌「命の物語」も下村氏による作曲で,歌唱はKOKIAさんが担当している。これは氏たっての「いつか自分の曲を歌っていただきたい人」という希望から起用につながったとのことだ。
三つ目のテーマ「心の体験」では,登場人物たちの関係性に深みを与える要素の一つ,キャラクターボイスに着目し,ラス役の梶 裕貴さん,セリアード役の鬼頭明里さんへのインタビューが行われた。
梶さんはラスについて,主人公らしく正義感の強い青年で,彼の持ち前の温かさがプレイヤーに伝わるように演じましたと語った。鬼頭さんはセリアードについて,記憶がない恐れを見せつつ,それでも弱々しいだけの少女ではない,心の強さを引き出せる演技をしたと述べた。
また大食いヒロインなど,ポンコツな一面も注目だそうだ。
梶 裕貴さん |
鬼頭明里さん |
続いて,本作のサービス運営を行うGAMEPLEXより,事業プロダクトマネージャーの鈴木宏志氏がゲーム面についての解説を挟んだ。
本作ではそれぞれのプレイアブルキャラクターの特徴を際立たせるため,キャラを切り替えながら戦うタッグバトルシステムをはじめ,3人選抜の「アリーナ」,ギルドメンバー5名との協力マルチプレイ「降臨戦」など,コンテンツ面でも工夫を凝らしているとのこと。
このほかゲームシステムに関しては後述するが,衣装や乗り物,スクリーンショット専用機能などのシステム面も充実しているとか。
次いで,本日からグランサガの事前登録がスタートしたこと,テーマソングを“とある大物アーティスト”が担当し,アプリの年内リリースに向けてそれらの最新情報を随時公開していくことを約束した。
映像はここで終了となったが,会場では鈴木氏が壇上に現れての質疑応答も行われたので,引き続き紹介していこう。
――グランサガの開発で大切にしたことはなんですか。
鈴木宏志氏(以下,鈴木氏):
プレイヤーの皆さまに,ゲーム内で目標を立てやすくしてもらう作りにすることです。また,ゲーム自体が楽しくなければ遊び続けてはいただけませんので,純粋な面白さも追求しました。これらはリリース後,順次アップデートでさらに強化していければと思います。
――従来のMMORPG,あるいはRPGとの違いはなんですか。
鈴木氏:
グランサガはMMORPGではありますが,1キャラクターを多岐にわたって延々と強くしていくゲームサイクルではなく,(普遍的なコンシューマあるいはスマホ向けRPGのように)複数キャラクターの編成や育成などを押し出し,遊びの構造としてMMOを活用しているところです。
――鈴木さんから見た,イチオシの魅力はどこですか。
鈴木氏:
目で見て,耳で聞き,心で感じてもらうのがグランサガの魅力ですが,それらをなし得るには声優の方々のキャラクターボイスが欠かせないと思っています。作中ではストーリーだけでなく,さまざまな各種機能でもボイスを用意してるので,ぜひ音を出して遊んでほしいです。
――プレイヤー層はどのような想定ですか。
鈴木氏:
見た目はコアなゲームに見えてしまうかもしれませんが,普段ゲームを遊ばないような人たちでも物語や人物を楽しんでもらえるよう,考慮しています。そのうえで,コアなゲーマーの方々にも満足して遊び続けていただけるよう,コンテンツ面も豊富に用意していきます。
――GvGなどの大規模バトルコンテンツはありますか。
鈴木氏:
グランサガではまず“少人数バトルの戦略の楽しさ”を提供していきたいので,現状では予定していません。
■メインキャラクター
■ラス(ソードマン) |
■セリアード(ヒーラー) |
■キュイ(メイジ) |
■ウィン(ガーディアン) |
■ナマリエ(ガンナー) |
■カルト(アサシン) |
■ノンプレイヤーキャラクター(順不同)
先行試遊で驚く,その快適さ
上映会終了後,アプリ配信に先駆けての先行試遊が行われた。
ゲームのはじまりは,女神を救う英雄レオンと世界を脅かす黒き龍イスマエルによる決戦の模様がムービーで流れされた。
細かいことだが,映像内では(進行に影響はないが)画面タップでグランソウルを引き出す操作演出が盛り込まれており,小気味よい。
※操作演出はないが,映像自体は下記プロローグ映像と同様
ゲームは三人称視点で,キャラクターを動かしてマップを駆け回ったり,敵と戦ったりと,今どきの3D作りのRPGそのままだ。
操作方法はバーチャルパッドで移動,各種ボタンで攻撃・スキルとなる。攻撃はターゲットまでの自動移動も込みだが,移動操作を駆使することでノンターゲティング風のアクション操作も可能だ。
クエストリストをタップすれば会話も狩りもオート進行,バトルもスキル主導のセミオート,スキル自動のフルオートを備えている。
ジャンプや回避など,特殊動作がないシンプルさゆえに複雑ではなく,またMMORPGのボスバトルにおける“予兆”(範囲攻撃の事前合図)をさけて戦うなど,スタンダードなアクションRPGの駆け引きが予想される。
そうして攻略していくストーリーについては今は割愛するとして,育成面についても言及しておこう。
まず現状のメインキャラクター6名は,うち3名を選んで編成する。キャラ自体はいつでも組み替えられるので最初は適当でよい。
キャラの装備は,「グランウェポン」が攻撃力/アクティブスキル/武器スキンに,「アーティファクト」がHP/防御力/パッシブスキルに相当する。これらは主にガチャで集められるカードとなる。
そのほか全身防具とアクセサリーも存在していた。
非常に細かいが,10連ガチャを引くときに画面スキップすると,未入手のカードだけ伏せた状態で結果画面に移行し,そこであらためて「どんな新しいカードかな?」と裏返せる小さな気づかいが好ましかった。
これ以外のコンテンツ,便利機能も盛りだくさんで,やれそうなことは非常に多そうだ。ゲーム進行も序盤は詰まることなく,オート進行だけでもスイスイ進めるタイプであった。ストーリー系コンテンツも大量にありそうなたたずまいであったため,深みは推して図るべし。
短時間のプレイとあって具体的には語らずとなってしまったものの,遊んでみての所感で印象深いのはグラフィックスの高精細さもだが,なにより「あらゆる演出・画面遷移がなめらかに流れて突っかかりがない」という点だ。試遊環境はiPad Proと高性能端末ではあったが,遊んでいる最中はムービー,システム画面,あらゆる演出場面において,ゲーム体験を損なうラグや処理オチといった不快感の源がほぼ排除されていた。
それでいてムービー時の画面切り替えも含め,ローディングの類いにも気になる点がほとんどなく,終始スムーズに遊べてしまった。さすがにテスト環境ならではの利点というわけではないはずなので,この快適性はぜひとも正式版にきれいに引き継いでほしいと思える。
そのうえでのまとめとして,グランサガは物語や世界観,登場人物たちの作り込みで勝負する王道RPGであった。良くも悪くも奇をてらう姿勢がいっさいない,RPG界への真っ向からの殴り込みである。
ゲームメディアとして端的な見解を出すのならば――本作は2021年の大作RPGに求められるであろうリソースを考案し,制作し,細部まで入念に練り上げてきた。ユーザーインタフェースの見目だけで世界観を表現できている点も,市場の前線ないし頂点で戦えると思わされる作りである。そういった高品質さで全体をまとめ上げたゲームだけに,どこか一つの特徴を取り上げて評価するのが難しい。そのため,あえて言うなら「グランサガは今世代スマホRPGの顔役を狙ってきた」といったところだろうか。それを成し遂げても不思議には思わないし,少なくとも,おのおのが抱いた期待に見合うゲームであったことは4Gamerとして保証する。