インタビュー
[G-Star 2019]MMORPG経験者なら誰でも楽しめるバトルロイヤルを実現。「シャドウアリーナ」開発者インタビュー
本稿では,G-Star 2019の会期中に実施した,シャドウアリーナの総括プロデューサーへのインタビューの内容を紹介しよう。韓国では2020年の上半期にサービス開始予定で,日本で遊べる日も意外と早く来るかもしれないので,今からチェックしておこう。
[G-Star 2019]バトルロイヤルゲームとアクションRPGの融合。新たなジャンルの到来を感じさせる「シャドウアリーナ」のプレイレポート
韓国で開催されているG-Star 2019のPearl Abyssブースに,新作「シャドウアリーナ」がプレイアブル出展されている。「黒い砂漠」から派生したバトルロイヤルゲームで,そのプレイフィールは新鮮の一言。新たなジャンルの誕生を感じさせる本作のプレイレポートをお届けしよう。
バトルロイヤルゲームとしての可能性を追求するべく
黒い砂漠から独立したスタンドアロン作としてリリース
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
クァンサムさんは先日の発表会でも登壇されていますが,あらためて自己紹介をお願いします。
キム・クァンサム氏:
シャドウアリーナの総括プロデューサーを務めている,キム・クァンサムと申します。私は「黒い砂漠」の開発スタッフでもあり,こちらでは主にストーリーや世界観の構築を担当しています。
4Gamer:
今回のG-Star 2019では,シャドウアリーナが50台ものプレイアブル台で出展されています。実際にブースの様子をご覧になられた感想はいかがですか?
ちょうど,この場所(※ブースの2階に設けられたインタビュールーム)から,シャドウアリーナの試遊台が一望できるんですよ。円形に並べられたPCでアリーナ(闘技場)が作られていて,大勢の来場客が列をなして楽しんでいて……。この光景を眺めていると,今までの苦労が報われる思いがしますね(笑)。
4Gamer:
シャドウアリーナはアクションRPGとバトルロイヤルゲームが融合しており,かなり珍しいゲームです。どのような経緯で開発されたのでしょうか。
クァンサム氏:
以前に「黒い砂漠」をメインで担当していた頃,PvPコンテンツの幅をもっと広げられないかと考えていました。
たとえば少年向けのコミックでは,メインの登場人物が1対1や2対2,あるいは多対1など,さまざまな状況でバトルが繰り広げられますよね。ああいった,さまざまな人数規模によるバトルが突発的に起こる環境を実現したかったんです。
また,私は対戦格闘ゲームも大好きなのですが,あのジャンルは基本的に,1対1の勝負が終わったらセッションが終わってしまいます。それが物足りないという想いもありました。
4Gamer:
その結果,バトルロイヤルに行き着いたと。
クァンサム氏:
はい。最初は,黒い砂漠のゲーム内で「影の戦場」というサブコンテンツを企画しました。ですが,開発作業を進めるにつれ,これは独立したゲームとして作り直すべきだと考え直したんです。
4Gamer:
いったいなぜ,わざわざスタンドアロンで作り直すことにしたのでしょうか。
クァンサム氏:
大きく分けて,二つの理由があります。
まずは,プレイヤーキャラのアクションの幅を広げたいと考えたものの,それを実現するには,ゲームの本体である黒い砂漠の基本システムを大幅に変えねばならなかったことです。黒い砂漠の制約に縛られることで,せっかくのユニークなアイデアをスポイルしたくはありませんでした。
そしてもうひとつの理由は,黒い砂漠の未経験者がシャドウアリーナに興味を持った場合,MMORPGの本体プログラムまでダウンロードする必要があるという部分です。未経験者にとってはハードルを感じてしまうでしょう。
4Gamer:
プレイヤーキャラを操作する感触は,黒い砂漠と微妙に違っていますね。この部分は,どのようなコンセプトで作られていますか?
クァンサム氏:
とくにこだわっているのは,ヒット判定などの細かさです。
黒い砂漠のバトルプログラムは,基本的にアクティブスキルを繰り出した時点で,ヒット判定やダメージ量などが確定します。しかしシャドウアリーナは,アクティブスキルを繰り出す途中で相手の攻撃を受けてキャンセルされたり,モーションを見て避けたりといったことも可能です。
つまり,画面内の状況を見て,それに素早く対応する判断力や,駆け引きを重視したゲームバランスにしています。
4Gamer:
クァンサム氏:
「蹴り」は,キーを押してから攻撃判定が出るのが少し遅いのですが,相手に命中させると短時間よろめかせられます。それを確認した直後にコンボを開始できると,比較的つなげやすいですね。
右クリックで行えるアクションは,6人のキャラクターでそれぞれ違います。剣と盾を持った「Jordine」は盾を構えてのガード,忍者の「Haru」は物陰に隠れる,などといった感じです。
使用武器を見れば各キャラクターの大まかなプレイスタイルはイメージできますが,杖と短剣で戦う「Herawen」が気になります。
クァンサム氏:
Herawenは複雑なキャラクターですね。彼女は,遠距離から相手を執拗にいじめるのが得意なタイプのキャラクターです。
敵に接近されると苦戦を強いられるのですが,しかしHerawenに限りFキーが「蹴り」ではなく,相手を凍らせる効果があるんです。その最中の敵はすべての被ダメージが上昇するという効果があって,6人のなかでは随一のテクニカルなキャラといえるでしょう。
4Gamer:
同じキャラクターを操作しても,プレイヤーによって戦術は大きく変わりそうですか?
クァンサム氏:
ええ,そうですね。各スキルは,ポイントを注ぎ込むことで最大でレベル3まで高められます。どのスキルをメインにするかによって,プレイスタイルが大きく変わるでしょう。
たとえばそうですね……。Pearl Abyssの社内でHerawenを得意とするあるプレイヤーは,回復スキルのレベルを真っ先に上げています。一見,受け身のプレイに思えるかもしれませんが,実は正反対のプレイスタイルです。
というのも,バトルロイヤルゲームとしての活動可能エリアの外に自ら出て,受けるダメージを回復しながら,他のプレイヤーキャラを遠距離攻撃で狙うんです。相手のプレイヤーが活動可能エリアの外には出たくないことを利用して,一方的にダメージを与えるというわけです(笑)。
MMORPG経験者なら誰でも楽しめるバトルロイヤルを
4Gamer:
フィールド上にNPCのモンスターがはびこっているのは,バトルロイヤルゲームとして見るとユニークですね。
クァンサム氏:
従来のバトルロイヤルゲームのようにPvPだけのゲーム内容だと,対人戦が得意な人しか楽しめないマニアックなゲームになると思ったんです。そこで,経験値稼ぎやアイテム取得による成長要素を盛り込み,それによってPvPで優位に立てるチャンスが生まれるようにしました。
ちなみに,フィールドには雑魚モンスターだけではなく,強力なモンスターも出現します。これに絡まれたプレイヤーキャラが逃げ回って,それが他の人をひき殺すなんて展開もあるかもしれませんね。
4Gamer:
PvPそのものに関しても,とりあえずダッシュで接近して殴りまくれば,ワンチャン生まれそうな気がします。従来のバトルロイヤルゲームは,エイミングが上手でないと楽しみにくいので,この点でもハードルが低そうです。
クァンサム氏:
そこがポイントのひとつです。
「バトルロイヤルゲーム」という言葉にハードルを感じる人もいると思うのですが,シャドウアリーナは誰でも楽しめるゲームなので,この部分をプッシュしたいですね。
4Gamer:
装備アイテムに関してですが,プレイヤーが取得アイテムを選択する余地はありますか? 斧で戦う「Shultz」が片手斧と両手斧を持ち替えたりとか,チェーンメイルからプレートメイルに着替えることで防御力が高まるものの,動きが遅くなったりとか。
クァンサム氏:
そのシステムは悩んだのですが,バトルロイヤルの慌ただしい最中にプレイヤーに判断させることが煩わしさを感じさせる可能性があり,今のところ導入を見送っています。
装備アイテムに関しては,同一系統のアイテムで5段階のレアリティを持たせるに留めています。これならRキーで回収し,よりレアリティが高ければGキーを押すだけで変更できるので,操作は非常にシンプルです。
ただ,プレイヤーの反応を見つつ,装備のバリエーションを増やす可能性はあります。Herawenが杖と短剣のどちらかを選んで,スキルポイントの割り振りも含めてプレイスタイルを任意に調整できたら,より戦術が奥深くなりそうですよね。
4Gamer:
フィールドで光る宝箱を発見しましたが,中身が気になります。
クァンサム氏:
そのなかには,ひときわ強力な装備アイテムが入っています。しかし,これを装備したプレイヤーキャラは姿が光り輝き,他のプレイヤーから瞭然となります。シャドウアリーナは死亡したキャラが装備アイテムを地面にバラ撒くので,命を狙われる危険も増すでしょうね。
4Gamer:
ユーザーインタフェースにプレイヤーキャラのレベル数が見当たりませんでしたが,あえてこのような仕様にしているのですか?
クァンサム氏:
現在の仕様ではそうなっています。シャドウアリーナはレベルを上げるゲームではなく,最後まで生き残ることが目的ですから。もちろん,現在の残り人数やゲーム終了時のランキングは確認できますよ。
4Gamer:
遠距離戦闘と近接戦闘のキャラクターが混在していることから,ゲームバランスの調整が大変そうに見えます。アーチャーが一方的に弓で射るような,MMORPGのPvPあるあるにならないか心配です。
クァンサム氏:
ああ,昔のMMORPGはそんな感じでしたね(笑)。
今いる6種類のキャラクターに限っていえば,1対1におけるPvPのバランスは取れています。また,シャドウアリーナでは最多3人のチームを編成できますが,この場合は同じキャラクターをチーム内に入れられないという制限があります。3人の組み合わせによる,さまざまな戦術が生まれるようにゲームバランスを調整していますよ。
4Gamer:
最後の一人まで勝ち抜くと,ゲーム終了時に闇の精霊と思しきキャラが登場します。シャドウアリーナのバックグラウンドストーリーは,どのようになっているのでしょうか。
クァンサム氏:
闇の精霊が黒い砂漠の歴史のなかで目にした伝説的な人物を集めて,誰が一番強いのかを決める舞台がシャドウアリーナです。実は,黒い砂漠における今後の大きな展開を検討しているのですが,その幕開けとして,シャドウアリーナが深く関わっているんですよ。
4Gamer:
おぉ,それは興味深いですね。
クァンサムさんは黒い砂漠のストーリーも担当されていますが,今後,シャドウアリーナの物語がフィードバックされることもあるのでしょうか?
可能性はゼロではないですね。シャドウアリーナのプレイ時に黒い砂漠の経験は必須ではありませんが,双方の世界は密接に結びついていますから。
シャドウアリーナの登場キャラである「Haru」は,今のところ黒い砂漠に存在していません。しかし彼女は,ハイデルの領主であるドモンガット家の人を拉致して暗殺を行った,殺し屋というキャラクター設定なんです。黒い砂漠のプレイヤーは,こういった部分にも注目してくれると嬉しいですね。
4Gamer:
インタビューの残り時間が短いので,五月雨式に質問します。シャドウアリーナにおけるeスポーツ展開は予定していますか?
クァンサム氏:
もちろん,視野に入れています。
ですがeスポーツ展開は,そのタイトルの人気があることが大前提です。まずは,シャドウアリーナのローンチを成功させることに専念したいと思います。
4Gamer:
黒い砂漠がそうであったように,シャドウアリーナをスマホ向けに展開する可能性はありますか?
クァンサム氏:
少なくとも,技術的には可能です。eスポーツ展開と同様,サービス開始後の状況を見つつの判断になりますね。
4Gamer:
今月に韓国や北米でクローズドβテストが実施されますが,サービス開始時期はいつごろを予定していますか?
クァンサム氏:
開発作業が順調に進めば,2020年の上半期のサービス開始を予定しています。
4Gamer:
というわけでタイムリミットのようなので,最後に,これからの開発作業に向けての意気込みをお聞かせください。
クァンサム氏:
シャドウアリーナのシステムはユニークです。この魅力を広めて,皆さんに愛されて,先ほど申し上げたようなさまざまな展開を行えるようにしたいですね。
そのうえで,シャドウアリーナを楽しんでくれるプレイヤーが,黒い砂漠にも興味を持ってもらえるとステキだと思います。ぜひ,ご期待ください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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