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「ディアブロ IV」の詳細レポート。オープンワールドになったサンクチュアリの創造母,「リリス」が降誕
「ディアブロ IV」公式サイト
「ディアブロ IV」プレイレポート。手触りは「III」に近いが,どこか懐かしさを感じさせる作り
アメリカのアナハイムで開催されているイベント「BlizzCon 2019」にて,ハック&スラッシュRPGシリーズの新作「ディアブロ IV」が発表された。会場ではデモ版がプレイできるようになっており,筆者もさっそくプレイしてみたので,そのレポートをお届けしよう。
トレイラーから見えた恐怖の世界
「ディアブロ IV」は,「Diablo III: Reaper of Souls」から 数十年後の世界が舞台となる。死の天使ことマルタエルの打倒に成功したことで平和を取り戻したように見えたサンクチュアリだったが,それも束の間,公開された「深淵より…」というトレイラーで明らかにされたように,黒魔術によってついにリリス(Lilith)が召喚されることになるのだ。
「ディアブロ IV」のディレクター,ルイス・バリガ(Luis Barriga)氏によれば,何らかの大事件によってサンクチュアリは崩壊しており,魔界の力に耐えかねた天界はサンクチュアリに通じる門を封印しているという。トレイラーで「血のパズル」を解くホラドリムらしき男性が半狂乱になっているのも,もはや神々が助けに来ないという絶望的な状況に陥っているからのようだ。
「ディアブロ II」では,毒使いのチョイ悪として描かれていたリリスだが,ディアブロの物語の中では非常に重要な役どころを演じている。2012年5月21日に掲載した連載記事「ついに発売された『Diablo III』。シリーズの物語を覗いてみよう」で紹介したように,宇宙が生まれて以来,天界と魔界の間では終わらない戦争が繰り返されてきた。リリスはそれを嫌い,恋人の天使イナリウスと共に駆け落ちし,たどり着いたある惑星をワールドストーンで封印することによって,天界からも魔界からも影響を受けない世界サンクチュアリと,半神半人のナファレム達を作り出した。つまりリリスは,この世界の創造母にあたるのだ。
リリスは,タイトルになっている恐怖の魔王であるディアブロ,そして破壊の魔王であるバールと共に,魔界の三兄弟である憎悪の魔王メフィストの娘にあたる。公開されたトレイラーに登場する,盗賊のリーダーで,イサクと呼ばれる人物は,やがて白い能面のような顔に変貌するが,その姿は「ディアブロII:ロード オブ デストラクション」のラスボス,バールを強く連想させる。
「Diablo III」でイナリウスはメフィストに捕らえられ,地獄で鎖に繋がれていたが,果たしてリリスは「ディアブロ IV」でどのように描かれることになるのだろうか。
「ディアブロ」らしさを強調しつつ
オープンワールドの広大なマップに
「Diablo III」でファンが不満に思った部分として,「ディアブロらしい暗さや,グロさに欠ける」というものがあったという。この反省はパネルディスカッションでも強調されており,そのため,「ディアブロ IV」では「中世ゴシック風のホラーに立ち返る」とか,「眼をそむけたくなるような描写が増える」といったことが,バリガ氏やアートディレクターのジョン・ミューラー(John Mueller)氏ら,開発チームから何度も語られている。トレイラーを見ても,グロテスクな表現の多用が分かるはずだ。
「ディアブロ IV」に使用されているのは一から作られた最新のゲームエンジンで,草むらの一本一本が確認できる緻密さや,ソーサレスの繰り出す魔法で顕著なパーティクル効果などで,その性能が分かるはずだ。また,シリーズ従来作では直線的だったキャンペーンが,オープンワールドのマップに変更されたことで,ノンリニアな展開になっているという。
現段階では,クエストがどのように構成され,どのように物語が作り出されていくのかといった詳細は発表されていないが,会場に展示されているプレイアブルデモは比較的直線的な構成で,最後にレベル19のデュリエル風モンスター,「Ashava, the Pestilent」と戦うという内容だった。パネルディスカッションに参加したプロデューサーのティファニー・ワット(Tiffany Wat)氏は,「プレイアブルデモに挑戦した人は,みんなヤラれちゃうかも」と語っており,かなりの強敵に設定されているようだ。
オープンワールドなので地域の境界線のようなものは存在しないが,舞台となるのはサンチュアリの東大陸北部「ドライ・ステップス」(Dry Stepps)を中心に,古都「カジスタン」(Kehjistan),ドルイドの故郷である「スコスグレン」(Scosglen),最東部に位置する湿地帯「ハウザー」(Hawezar),そして「フラクチャード・ピークス」(Fractured Peaks)の5か所になるという。フラクチャード・ピークスの場所は分からないが,おそらくはカジスタンとハウザーの間にある山岳地帯だろう。
バリガ氏の説明によれば,ダイナミックな天候や昼夜の表現も行われているという。マップには,数百におよぶダンジョンが点在しているが,その内部(一部に屋外ダンジョンもあり)は,「Diablo III」と同様,自動生成システムが使われている。ランダムなダンジョン自動生成は,「Diablo III」で非常に良くできた部分だったので,「以前の作風に立ち返る」ことをアピールしつつ,前作の良いシステムは残しているようだ。
また,ドーンハイム洞窟(Dawnheim Caves),溺れた洞窟(Drawn Cavern),南方のハングマンの樹(Hangman's Tree of South),そしてキーラー農場(Keeler Farm)というエリアの名前も挙げられていた。
タレントツリーやマウントなど興味深い新システム
発表されたプレイやキャラクターは,現段階でバーバリアン,ソーサレス,そしてドルイドの3つで,ローンチ時にはそれが5つになるという。それぞれのキャラクターには,スキルツリーの進化版になる「タレントツリー」と「スキルランク」「ルーンワード」というものが導入される。このあたりは別のパネルディスカッションで明らかにされると予定だが,「カスタマイズを重要視している」とのことで,シリーズ従来作に比べてさらに自由度の高いキャラクター作成が可能になるようだ。
シリーズではドロップアイテムも非常に重要だが,「Diablo III」ではセットアーマーを重視しすぎてレジェンダリーアイテムにイマイチ使い道がなかった。この反省から,「ディアブロ IV」に用意された数百のレジェンダリーは,かなり強化されているという。
また,広大なエリアがオープンワールドとして描かれているため,徒歩で移動するのは面倒だ。そのため,マウントも重要な要素になるようで,数種類の馬が登場するだけでなく,馬鎧を交換することも可能。さらに,馬上から飛び降りた勢いで相手に突進するといったこともできるようだ。
マルチプレイではCo-opに加え,PvPゾーンでほかプレイヤーと殺伐とした戦いが楽しめる本作。キャンペーンの途中で横道にそれて,まったく異なるエリアのダンジョンを攻略したり,すでに攻略済みのクエストをプレイし直すといったこともでき,自由度はかなり高そうだ。
「ディアブロ IV」の対応機種は,PCおよびPlayStation 4,Xbox One(あるいは,次世代のプラットフォーム)で,各機種向けに平行して開発中とのこと。バリガ氏は,「Blizzard Entertainmentは“すぐ”と言う割には,なかなかリリースしないことで知られているけど,ディアブロ IVの発売は,そんな我々でさえ“すぐ”とは言えない」と語っていたので,早くても2021年,場合によっては2022年になりそうな雰囲気だ。いつものように,継続的に最新情報が公開されていくわけでもないようなので,長い目で注目し続けたい。
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