インタビュー
「オーバーウォッチ 2」のロードマップが公開に。メディア合同インタビューで語られた内容も要チェック
本作の物語は,第2次オムニック反乱に際して,解散させられていたヒーロー組織“オーバーウォッチ”のメンバーが結集し,新たに対抗していくというもの。
新たなキャラクターやロケーションが登場するほか,前作では6対6だったの戦いが5対5になるなど,ゲームシステムも大きく変更される。ストーリーを重視したPvEモードの実装や,基本プレイ料金が無料であることもアナウンスされている。
また2回めの大規模なクローズドβテストは,6月28日に開始予定だ。
「オーバーウォッチ2」第2回クローズドベータを6月28日に実施。“ジャンカー・クイーン”と新マップが追加される予定で,詳細は6月17日に公開
Blizzard Entertainmentは本日(6月15日),アクションシューティング「オーバーウォッチ2」の第2回クローズドベータを6月28日(北米時間)に実施すると発表した。今回は,新マップと“ジャンカー・クイーン”が追加される予定で,詳細は6月17日に配信されるライブ配信で明らかになると思われる。
先日発表された新キャラクターの“ジャンカー・クイーン”は,前作「オーバーウォッチ」のマップ“ジャンカータウン”の至るところに貼られていたポスターに描かれていた人物だ。モヒカン頭の女性キャラクターとして,以前から「いつかロースター入りするであろうキャラクター」として知られていた存在でもある。
彼女の詳細は明かされていないものの,自作したような長柄の斧とショットガンでの戦いと得意とするようで,出身地を同じくするジャンクラットやロードホッグとは因縁の関係にあるらしい。
またオムニックをかなり忌み嫌っている様子で,衣装を含むキャラクターデザインは,過去に粉砕した敵ロボットのパーツを勲章にして改造したような,どこか“マッドマックス”を連想させるものになっている。
公開されている映像によると,腕のグローブが磁気を帯びているようで,投げた斧は吸い付くように帰ってくる。この斧をヘリコプターのように振り回しながら突進するクラウドコントロール能力を持つことから,タンクのロールに属するキャラクターであると考えられる。
34人目のキャラクターとなるジャンカー・クイーン。その名のとおり,(自称)ジャンカータウンの女王という勇ましい女性で,タンクのロールであるらしい |
「オーバーウォッチ 2」公式サイト
ローンチ後のスケジュール公開
ライブサービスとしての転生を明確に
基本プレイ無料のゲームになったことで,「オーバーウォッチ 2」は前作以上に積極的なコンテンツドロップが行われる予定だ。
その中核をなすのが“シーズン制”の導入で,すでに今年いっぱいのロードマップも公開されている。10月5日のローンチ当日に“シーズン1”,約2か月後の12月7日に“シーズン2”が開始される。
●各シーズン概要
シーズン 1(10月5日に開始)
- 3人のヒーロー
- 6つの新しいマップ
- 30種以上のスキン
- 新しいバトルパス
- 新しい“ミシック・スキン”
- 新しいゲームモード
シーズン 2(12月7日に開始)
- 新しいタンクヒーロー
- 新しいマップ
- 30種以上のスキン
- 新しいバトルパス
- 新しいミシック・スキン
なお現時点での情報として,基本無料でリリースされるのはPvPモードであり,PvEのゲーム体験は2023年に有料で販売されるという。
PvEについては,まだ多くは語られていないが,ストーリーを重視してソロもしくはCo-opでミッションを進めていくものとなり,2万5000ものセリフがフィーチャーされているという。これだけでも,ゲームソフト1本分の価値は十分にあるので,オーバーウォッチの世界が好きなファンや,対戦よりもじっくりとゲームに親しみたいという人は気になるところだろう。
“シーズン 1”には3人のヒーローと記述されているのには驚くが,これはソジョーンとジャンカー・クイーンを含めた,ローンチまでに発表される新キャラクターのことと思われる。つまり10月5日までに,もう1人の新キャラクターが公開されるはずだ。
正式に公表されていない35体目のキャラクターだが,6月13日にリリースされたリヴィールトレイラーを入念にチェックした人であれば,少し思い当たることがあるはず。
「オーバーウォッチ2」の早期アクセスが10月5日にスタート。基本プレイ無料化も発表に
Blizzard Entertainmentは,アクションシューティング「オーバーウォッチ2」の早期アクセスを2022年10月5日に開始すると発表した。この情報は,本日配信の「Xbox & Bethesda Games Showcase 2022」で明らかにされたものだ。
カネザカのマップにおいて,ザーリャとゲンジ,ハンゾー,そしてアナの4人を先導する“青いキツネかそのスピリット”だ。5秒もない短いシーンだけではなんとも言えないが,キツネ用の空手胴着のようなものを着用し,少女の声を発することから,(PvEにNPCが登場するのでなければ)プレイアブルなキャラクターになるのではないだろうか。
彼女が移動した際に,半透明の青い鳥居が発生していくのが確認できるが,鳥居と同様の青い気で4人のメンバーの足元を覆っていることから,チームに対するスピードバフを追加する新たなサポートのロールになると思われる。
リヴィールトレイラーに登場した謎の青ギツネ。鳥居も登場するからお稲荷さんか? 過去に海外ジャーナリストに聞いたウワサ話だが,Blizzard本社訪問の際に,キツネを連れた少女のシルエットアートが壁に貼られていたとかいなかったとか |
開発者インタビュー
これまでのテストによる成果からビジネスモデルまで
オンラインで実施された「オーバーウォッチ 2」のインタビュー。お話を頂いたのは,ジェフ・キャプラン(Jeff Kaplan)氏が退社した後の開発チームを率いるゲームディレクターのアーロン・ケラー(Aaron Keller)氏と,前作からアートデザインに関わるアートディレクターのディオン・ロジャース(Dion Rogers)氏,そしてフランチャイズの商品開発に関わるCommercial Leader & VPのジョン・スペクター(Jon Spector)氏の3人だ。
(左上)アーロン・ケラー氏,(右上)ジョン・スペクター氏,(下)ディオン・ロジャース氏 |
―――「オーバーウォッチ 2」が発表された際には,「オーバーウォッチの新旧作品は共存できる」という話をされていましたが,基本プレイ無料になったことで,その観点に影響はあると思いますか。
Keller氏:
10月5日に「オーバーウォッチ 2」がローンチされると,「オーバーウォッチ」のプレイヤーは全員,「オーバーウォッチ 2」のサーバーに移行することになります。
つまり,「オーバーウォッチ」で得た全てのコンテンツを失うことなく,両方のゲームを同じアカウントを使って1つのランチャーからプレイできることにななるわけです。詳細については,後日アナウンスをしますが,2つのゲームのプレイヤーを分けてしまうことはありません。
―――6対6から5対5に変更されたことで,プレイがずいぶんとスピーディになりました。これにより,単なるデスマッチになったという評価もありますが,これらの声に対するフィードバックについてはどのようにお考えですか。
Keller氏:
5対5になったことにより,ゲームプレイに大きな変化が起きているのは確かです。より個々のプレイヤーが能動的に動くようになったことで,1人ひとりのプレイヤーがよりマッチにインパクトを与えるようになったのではないでしょうか。
戦いがスピーディになっていますが,それは必ずしも悪いことではなく,人数が減った分だけチョークポイントでごった返して詰まってしまうようなことが少なくなっている傾向にあります。
前作の問題点を解決するための5対5ですが,もちろんデスマッチっぽいゲームプレイであるという意見は聞いています。ただ,テスターたちの連携の問題だったり,ランクシステムなどをアンロックしている状態ですので,ローンチ以降のプレイフィールとは違うものであることは予想できるでしょう。
ローンチしてから,実際に皆さんがどのようなメタ(開発者側が提示せず,プレイヤーが自分で見つけ出すゲームの勝ち方。本作の場合ではヒーローの組み合わせなどを指す)を見つけ出していくのかを,私も楽しみにしています。
―――2020年の調整によって少し使い勝手が悪くなっていたオリーサですが,本作では大きな変更が加わりました。ほかのキャラクターなども,変更される可能性はあるのでしょうか。
Keller氏:
オリーサの改良については,我々も非常にエキサイティングに感じています。キットだけでなく,プレイスタイルのパーソナリティもよりアグレッシブなものになったのではないでしょうか。
ヒーローのデータについては継続的に分析を行っています。そして変更すべきだと感じれば,それが大きいものか小さいものかに関わらず,実際に試してみるのです。オリーサは,その中でも非常に大きなものと言えますが,今回のβテストではシンメトラやモイラなど,ほかのヒーローに対しても改良を加えていることに気付くことになるでしょう。
Rogers氏:
アーティストとしての観点から言わせてもらうと,全てのキャラクターのアートワークに多少の手が加えられている中で,オリーサは最も見た目の変化があったキャラクターなのです。
スーツだけでなく,彼女の新しいアビリティに合わせてアートデザインを大きく変えているので,その姿に注目してほしいですね。
オリーサはかなり雰囲気が異なる新デザインに。新たなアビリティとなるジャベリンは,120ダメージもあるというミッドレンジ兵器 |
―――前回公開されたユーザーデータでは,ソジョーンの使用率(Usage Rate)が徐々に下がっていますが,これは新しいキャラクターを使ってみたいという気持ちからだと推測します。ただ,勝率(Win Rate)が低かった点に関して,問題だと感じたり今後手を加えるべきだと思ったりしていますか。
Keller氏:
ソジョーンは新しく追加されたキャラクターということもあり,まだテストの結果を吟味しているような状態です。
初めてテスティングした段階では,非常にパワフルな存在で,ほかのキャラクターを凌駕しているというフィードバックもありましたし、データ的にもそういう結果も出ていたのですが,5月に行ったテストの段階では,勝率が非常に低くなってしまいました。
データを分析する際,なぜヒーローの勝率が急激に上がったり下がったりするのかを見極めるのが,非常に難しい場合があります。
まだはっきりとした理由はわかりませんが,「オーバーウォッチ」を経験済みテスターたちが,前作の6対6のメタに引き摺られてしまっているからではないのかとか,ソジョーンというキャラクターを有効に活用する方法を試行錯誤しているのではないのでは,など新しいキャラクター故にいろいろな可能性があることと考えています。
またフィードバックを受けて能力を下げ過ぎた結果だということもありますが,それも併せてβテストで様々なデータを採取しており,ローンチに合わせてソジョーンをしっかりと作り込んでいくつもりです。
―――前作のマップを「オーバーウォッチ 2」で利用することはできますか。
Keller氏:
「ハナムラ」を含める2CP(2コントロールポイント)型のマップがフィーチャーされたアサルトモードのプレイリストは,「オーバーウォッチ 2」のクイックプレイ及びコンペティティブからは削除されています。
私もハナムラを愛していますが,5対5になったことでゲームプレイも変化しており,そのまま使用すると,楽しくプレイするのに問題があるのです。
クラシックマップですが,何らかの調整を行ってそのまま利用するよりも,例えば一部のアートを再利用することで類似地域に見立てたような,そのエッセンスを利用したマップを提供したほうが良いだろうと考えているところです。
―――「オーバーウォッチ 2」は基本無料型のゲームとしてリリースされますが,その一方でルートボックスは使わないことを言明されています。「オーバーウォッチ」では,コスメティックアイテムを入手するための根本的な仕組みでしたが,ストアやバトルパスを使うなど異なる仕様を考えられているのでしょうか。
Spector氏:
どのようにマネタイズをするのかは,今からローンチまでに我々がファンのフィードバックを受けながら煮詰めていくところです。
今の段階で,まだテストもしていない中途半端な方法に決定することで,ファンの皆さんの間で無用な議論が起こることはできるだけ避けたいですし。バトルパスについては,多くのファンの皆さんが,その内容に注目していると思うので,ローンチが近くなってからきちんと説明をさせてもらえればと思います。
それを念頭に置いたうえでお話しすると,「オーバーウォッチ 2」はライブサービスとしてコミットしていく形で,シーズンごとに少なくても30タイプ以上のコスメティックをドロップしていこうと考えておりいます。
コンテンツは前作を遥かに超えるものになる予定ですので,ルートボックスで同じようなアイテムを引き続けるよりも,直接的な購入を可能したショッピング体験を提供し,欲しいものを手に入れる仕組みになったほうが個人的には良いのだろうと考えています。
―――バトルパスを利用しなくても,バトルパスと同様のコンテンツを得ることは可能なのでしょうか。
Keller氏:
先ほどの答えと重複してしまいますが,基本無料であるため,ほかに収入源がなければライブサービスとして運営を続けていくことはできません。別の言い方をすれば,何かをマネタイズすることによって健全なライブサービス型ゲームになるのです。
我々社内であっても,ほかの開発チームの方針に口出しはできませんが,「オーバーウォッチ 2」を基本プレイ無料にするという決定したのは,経営陣ではなく我々チームの判断で,そこは責任をもってやっていくべきことだと思います。
―――“ミシック・スキン”(Mythic Skins)のコンセプトについて教えてください。
Rogers:
ミシック・スキンはレジェンダリーの上位に当たるもので,初めて皆さんに紹介したのはゲンジのものでした。新しいカテゴリーではありますが,何か特別なデザインルールがあるというわけではなく,定期的に皆さんが入手可能な状態になっていくようコンテンツをプッシュしていく予定です。
特殊ばアニメーションがあるものを含め,我々が「オーバーウォッチ」からやってきたアートワークの中でも,もっともデザインし甲斐のあるものになっています。
ミシックスキンは,特定のパーツの形状を変えたり配色を調整するといったカスタマイズ機能を持っていますので,使用すればゲームをプレイするのがとってもクールに感じると思いますよ。
ゲンジのミシック・スキンと思われるもの。ミシックに限り,プレイヤーはデザインや配色をカスタマイズできるようになるらしい |
―――ライブサービスへと移行することで,開発チーム内でも継続的な作業によるバーンアウトが発生するようなことも想定されますが。
Keller氏:
はい。チームメンバーの健康は我々にとっても大きな問題です。開発チームは前作の3倍に達しており,ライブサービスとなるローンチに向けて今も積極的に必要な人材を雇用し続けています。
もちろん,これまで以上にコンテンツを作り込むだけでなく,より早いテンポでリリースしていくことになりますが,自信がなければ皆さんの前にお出ししたりはしません。また,現段階でも新しいツールを増強させて開発力を強化させていることで,チームメンバーはかなり作業効率を上げていています。ローンチに向けてかなり馴染んできていることに,頼もしさを感じます。
Rogers:
開発ツールの増強は,アートチームにとっても作業を効率的にストリームライン化させています。特に驚いたのは,1つ新しいツールをゲームエンジンに組み込んだ時,アセットを各段に出し入れしやすくなくなったことでしょうか。毎日やっていることが,1つツールが加えられたことで大幅に時間を短縮できるようになりましたから。
―――最近,キャラクターの多様性を計るための「Diversity Space Tool」の話題がありましたが,それについての意見をお聞かせくださいますか?
Keller氏:
我々は該当するツールを利用していないので,ツールそのものについて話せることはありません。ただ,多様性というのは以前から我々オーバーウォッチの開発チームにとって重要であることは,皆さんも認識されていると思います。
多くのプレイヤーの遊び方に合致するというだけでなく,その見た目や,さらに言えばボディタイプや性別認識などのバックグラウンドが,それぞれのプレイヤー自身に親近感を与えられるヒーロー像であるべきという視点は,我々のキャラクターデザインの中心的価値なのです。
なお我々はツールを使わず、チーム内でお互いに顔を突き合わせて,ある意味自分たちの先入観をさらけ出しながらキャラクターを練っていきますが,非常に有益な会話に発展することが多い要素ですね。
―――「オーバーウォッチ」シリーズのバトルロイヤル版という,ファンの熱望に対しては動きはないのでしょうか。
Keller氏:
私自身,バトルロイヤルのコンセプトは大好きですし,いくつかのゲームをプレイしていて,「このゲームはそのままオーバーウォッチの世界観で通用するな」なんて考えることもあります。
ただ,リソース的に単体では現状は不可能ですから,もしやるとすれば「オーバーウォッチ 2」の中のゲームモードとして開発してみるってのはアリかも知れません(笑)。
具体的にどのような効果があるのか不明だが,銃器に取り付ける“チャーム”というアイテムがあるようだ |
「オーバーウォッチ 2」公式サイト
- 関連タイトル:
オーバーウォッチ 2
- 関連タイトル:
オーバーウォッチ 2
- 関連タイトル:
オーバーウォッチ 2
- 関連タイトル:
オーバーウォッチ 2
- 関連タイトル:
オーバーウォッチ 2
- 関連タイトル:
オーバーウォッチ 2
- この記事のURL: