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[インタビュー]新ヒーロー“マウガ”はどのようにして生まれたのか。「オーバーウォッチ 2」の開発陣に,飛行ヒーローにも対応できるタンクの制作意図を聞いた
「オーバーウォッチ 2」公式サイト
マウガはもともと,31人めのヒーローとして開発され,2019年に公開されたバティストのショートストーリーではチョイ役で登場していた。しかし,その段階で名前や性格,バックグラウンドなどを固め切れなかったため,シグマに31人めの座を譲っている。バティストを描いた短編小説「捨てられた過去」では,準主役とも呼べそうな活躍を見せていたため,2022年のシーズン2でリリースされるであろうヒーローとして噂に挙がっていたものの,やはり姿を見せることがなく,シーズン7では,マウガの出身地である新コントロールマップ「サモア」が先に公開された。
ちなみにマウガとは,サモア語で「山」を意味する言葉だという。
オリジンストーリーでは,マウガは当初,真面目な人柄だったとされている。ウィンストンがオーバーウォッチの再招集を行う4年前,マウガはバティストと共に活動するタロンの傭兵だった。しかし,一騎打ちで健闘したマウガに興味を持ったドゥームフィストから,人口心臓などの高価な肉体改造を行うための資金を提供してもらい,真面目すぎてつまらない人生を転換する良い機会であると考え,陽気にふるまう術を獲得した。
そんなマウガの武器やアビリティは,以下のようなもの。
BlizzCon 2023ではさらに,ヒーロープロデューサーのケニー・ハドソン(Kenny Hudson)氏とリードヒーローデザイナーのアレック・ドウソン(Alec Dawson)氏,そしてシニアキャラクターアーティストのラカン・カマシュ(Rakan Khamash)氏に,合同インタビューが行われたので,合わせて紹介したい。
■チェーンガン
左:敵を炎上させる焼夷性チェーンガン。愛称ガニー。
右:炎上中の敵にクリティカルダメージを与える揮発性(Volatile)チェーンガン。愛称チャチャ。
■パッシブ
バーサーカー:クリティカルダメージを与えると一定数のヘルスを回復。
■アビリティ
オーバーラン:前方に突進し,敵を踏みつけて空中に蹴り飛ばす。突進中はほぼ制止できない。
カーディアック・オーバードライブ:背中を向けて弾丸を受け止め,周囲の仲間のダメージを軽減。同時に,自分が受けたダメージの分だけ仲間を回復する。
■アルティメット
ケージ・ファイト:自分を中心に,敵をチェーンでつなぎとめるバリアを展開する。バリア展開中は,無制限の弾薬を獲得できる。
開発者インタビュー 〜 リリースまで4年もかかったタンクヒーローへの熱い思い
――2019年にティザー的にキャラクターが公開されたときから時間が経ちました。設定は当初から変わっていませんか。
ケニー・ハドソン(以下,ハドソン)氏:
はい。最初からサモア出身のキャラクターでした。とはいえ,性格やバックグラウンドについては固定するのにずいぶん時間がかかっています。ティザーとして公開以来,ファンのお気に入りキャラになっただけでなく,我々のお気に入りでもあったので,登場に最適な,大きな機会をうかがっていたんです。すでに公開しているマップ「サモア」では,彼の人となりが分かるイースターエッグをいくつも用意していました。
――会場で試遊しましたが,チェーンガンの使い方がトリッキーですね。
アレック・ドウソン(以下,ドウソン)氏:
そうですね。左腕のガニーで先に攻撃し,10発のヒットで敵に着火させ,右腕のチャチャでクリティカルヒットを狙うというスタイルです。相手にクリティカルダメージを与えると,バーサーカーが発動し,ヘルスを一定量回復します。左から右へという指づかいに慣れるには少し練習が必要になりますが,リズム感を覚えると,プレイしていて楽しいと感じられはずです。
――両方同時に発砲しても大丈夫ですよね。
ドウソン氏:
もちろんです。ただし,両方を同時に使うと移動スピードがさらに下がり,照準も広がって,命中率が低下します。ですので,近距離で敵と対峙するとき,両腕のチェーンガンをぶっ放して相手を粉々にしてやってください。とくに,アルティメットの発動に成功したときは有効で,通常のDPSより与ダメージ率は高いかもしれません。
――エコーやマーシー,ファラなど,飛行型ヒーローへの対応力もありそうです。
ドウソン氏:
そうなんです。これまでのタンクには少ない,「上空で動き回る敵に対処できる」というマウガの特徴は,意図したキャラクターデザインです。敵が空中にいる場合,ガニーで狙いを定め,スキがあればチャチャに切り替える,といったイメージで戦えると思います。
実際,初期のデザインでは,空中にジャンプした状態ならクリティカルダメージを与えられるという仕様になっており,アビリティもそれに絡んだものでした。現在は,それほど特化させていませんが,飛行型ヒーローとの戦いでは重宝するはずです。
――マウガの突進(チャージ)は,例えばメイのアイスウォールでも止められないのですか。
ハドソン氏:
止められます。ラインハートとは異なり,マウガは壁にぶち当たっても突進を止めることはないのですが,その力をもってしても氷の破壊はできません。ただし,仲間が銃撃などで氷を砕き,タイミング合えば,氷の向こうにいる敵にダメージを与えるといったことは可能です。
――マウガのタトゥーアートにもこだわっているそうですね。
ハドソン氏:
ええ,戦士のプライドを表現しています。タトゥーが文化的に重要な意味を持つサモア出身ということもあって,我々だけでは対処できず,現地では有名なタトゥーアーティストであるシーイー・リウファウ(Si’I Liufau)さんにデザインを担当してもらいました。キャラクターアートを送り,メールを交換し,オンラインミーティングを重ねたうえで完成しています。
――マウガの胸にある突起はなんですか。
ラカン・カマシュ(以下,カマシュ)氏:
右胸についているがサイバネティックスな心臓,左胸が,もともとのオーガニックな心臓を拡張したものという設定でデザインしました。カーディアック・オーバードライブを発動したときには,2つの心臓の活動が大きくなり,2つの鼓動音が聞こえてきます。ぜひ,注意して耳をそばだててください。
――マウガは,筋肉の動きも生々しいですね。
カマシュ氏:
新しいアニメーション技術を導入して,例えば,チェーンガンを持ち上げたときには上腕二頭筋が動くとか,笑うと肩の筋肉が盛り上がるとかなどの細かい動きを表現しています。これまでのヒーローの筋肉の動きは我々が調整したもので,ザリアのときに,上腕二頭筋のみ自動で表現できるようになりました。筋肉のシミュレーションをほぼ完全に行うのは,マウガが初めての試みです。
――それによってヒットボックスは変わりますか。
カマシュ氏:
マウガはヒーローたちの中で最大の体表面積を持つキャラクターですが,筋肉の動きはアニメーションの完成度を高めるためであり,ヒット判定が変わるなど,プレイに影響を与えることはありません。
――前作「オーバーウォッチ」で人気だったマップ「ハナムラ」ですが,同地域となる新マップ「ハナオカ」はクラッシュモード向けですか。
ドウソン氏:
ええ,4月に日本に旅行して,いっぱい写真を撮ってきました。「ハナオカ」は,5つのCP(コントロールポイント)が並列に並び,両端の2つずつを各チームが抑えた状態から始まります。敵のもっとも端にあるCPを確保した時点で勝利するというルールです。
――鳥居のような場所がチョークポイントの役割を果たすのでしょうか。
ドウソン氏:
そうした詳細については,いずれお話できると思います。しばらくお待ちください。
――今回のイベントでは,さらに2人のキャラクターの登場も発表されていますが。
ハドソン氏:
コードネーム「Venture」というタンク,そして「Space Ranger」というサポートの2人ですね。
Ventureはドリルとしても使える武器で地下に潜り,火星コロニーを出身のSpace Rangerは両手両足に装備したブースターで動き回るという設定ですが,こちらも今回のイベントでお話した範囲以上のことは明らかにできません。
――自分のチームでマウガと組み合わせるとすると,誰を選びますか。
ドウソン氏:
そうですね。マウガのアルティメットは,周囲の敵をバリアから出られなくするケージ・ファイトですので,周囲のすべての敵にダメージを与えるアルティメット,デス・ブロッサムを持ったリーパーと相性がいいかと思います。
ハドソン氏:
マウガでプレイするときには突進をよく使うので,仲間にライフウィーバーがいると,一緒に突進できて有効です。
カマシュ氏:
私はソルジャーと一緒にプレイしたいですね。ソルジャーを真っ先に倒そうと敵が一目散にやってきますが,マウガが彼を守ることで生存率が上がり,アルティメットを出しやすくなるはずです。
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