企画記事
5年の歳月を経て再び動き出した熱情! 「幕末Rock」シリーズの生みの親である2人に直撃インタビュー
主人公・坂本龍馬(CV:谷山紀章)を筆頭に,高杉晋作(CV:鈴木達央),桂 小五郎(CV:森久保祥太郎),土方歳三(CV:森川智之),沖田総司(CV:小野賢章)ら,熱い志を持つ志士(ロッカー)たちがRockでぶつかり合う作品だ。
はじけ飛ぶ汗と,ビリビリに破ける衣服――そしてキャラクターたちによる魂をこめた歌。彼らの雷舞(ライブ)には,激しく燃え上がる熱情(パッション)が感じられる。
そんな一度耳にした者の心を揺さぶるロックテイスト溢れる本シリーズが,6周年を迎える2020年,再び「幕末Rock 虚魂(ホロウソウル)」として動きを見せた。
今年1月に公式サイトがアップデートされると同時に,志士たちの新たなビジュアルが公開となり,ファンの間で話題となったことはまだ記憶に新しい。さらに現在,コミックポルカではカズミヤアキラ氏によるコミック連載も始まっている。
「虚魂」の舞台は,龍馬たちによって大声奉還された5年後の世界だ。5年という歳月を経て,心も身体も成長しているであろう志士たちは今後,どんな物語を見せてくれるのだろうか。筆者のように,発表当初から「幕末Rock」を追いかけているファンならば非常に気になるところだろう。
そして嬉しいことに今回,「幕末Rock」の生みの親である佃 健一郎氏と石田健博氏にインタビューする機会を得た。プロジェクト始動の経緯や,開発陣の作品愛を感じるお話をたっぷり聞いてきたので,シリーズファンはもちろん,これからファンになる人もぜひチェックしてもらいたい。
“すたっふ”や“贔屓(ファン)”の
熱い想いで再始動した「幕末Rock」
4Gamer:
6周年おめでとうございます。まずは「幕末Rock」でのお2人の立ち位置を教えてください。
自分は原作として,ゲームのメインシナリオ,キャラクターデザイン,設定などをまとめる係です。ただ,それ以外にもヘルプで舞台のスタッフTシャツデザインを手伝ったり,ライブDVDのパッケージを手伝ったり,ヘルプをすることが多いので,じつは明確な役割は決まっていないんです。
第4スタジオ長 石田健博氏(以下,石田氏):
当時はメディア展開も多かったので,役割を分担していろいろなことをしていたんです。そのなかで僕はプロデューサーとして,外まわりや音楽を担当していました。ライブでは,なぜかセットリスト,構成も考えてましたね。
4Gamer:
そうだったんですか!
石田氏:
挙句の果てに「この照明どうしましょうか?」という話まで。イメージを伝えるために作った資料がなぜかそのまま台本になっていました(笑)。
佃氏:
いろいろやっていましたね。脚本監修は? この雑誌の監修は? 絵のチェックは? と結構細かく切り分けていて。最初にキャラクターデザインを決める際は,普通の着物になってしまうのはもったいないので,「せっかくだからロックTシャツのテイストを入れたらあうんじゃないの?」みたいな意見を出したりもしていました。
4Gamer:
ゲーム制作以外のこともいろいろ携わられたんですね。佃さんは第1スタジオ長,石田さんは第4スタジオ長で現在スタジオは別々のようですが……。
石田氏:
最初に「幕末Rock」を立ち上げたときは同じスタジオに在籍していたんですが,今は佃も僕も,ほかの「幕末Rock」にかかわっていたスタッフも今は所属がバラバラなので,それぞれの所属で「虚魂」を制作している感じです。
4Gamer:
なるほど。今回約6年ぶりに「虚魂(ホロウソウル)」として始動することになりましたが,どんな経緯があったのでしょうか。
佃氏:
しばらく動きは止まっていましたが,「幕末Rock」は社内にもファンが多く,「自分たちの作ったIPやキャラクターを大事にしていきたい」という声は以前から強かったんです。
そこで石田をはじめとしたスタッフに相談したら,今でもファンのみなさんからお手紙がたくさん届いていると聞き,待ってくれている人たちがいるなら……ということで始動を決断しました。
石田氏:
じつは続編自体の構想はあったんですけど,編成がうまく通せずにいたんです。でも可能性は感じていたので,公式Twitterなどでパネル芸(キャラクターのパネルを使ったコミカルなやり取り)を続けたりしていました。ファンのみなさんの想いと,スタッフたちの想いもあって,佃にも刺さったのかなと思います。
4Gamer:
パネル芸は毎回シチュエーションもいろいろで,キャラクターのテンションも高く,楽しく拝見させてもらっています。
【坂本龍馬生誕祭】
— 『幕末Rock』公式アカウント (@bakumatsu69) November 15, 2015
ここが「Rockの聖地」か〜!!(龍馬)#坂本龍馬生誕祭2015 #幕末Rock pic.twitter.com/3zm0tluvMl
佃氏:
自分も楽しく拝見しています(笑)。あれは完全にスタッフたちの愛ですね。
石田氏:
愛が強すぎて,業務の合間を縫いながらみんなで協力してやっています(笑)。
佃氏:
「今度クルーザー借りて行ってくるんです!」って言われたときは笑っちゃいました。
石田氏:
みんな協力的です。
4Gamer:
キャラクターデザインが一新されたパネルも完成されたということで,パネル芸が再び見られるかもと期待が高まりますね。
佃氏:
パネル芸もそうですが,スタッフのやりたいを大事にしたいと思っています。まずは自分たちのIPを大事にするっていうのは,当社の方針としてあるので,それがどこまでできるかは分からないですけど,丁寧にやっていきたいなと思っています。
前作より5年が経過した世界で成長した面々
4Gamer:
「虚魂」の物語は前作から5年の月日が経っているということですが,直後にしなかった理由はあるのでしょうか。また,彼らの空白の数年間が描かれることはありますか。
佃氏:
物語として語られていなくても,これまで応援してくださっていたみなさんとともに5年の月日を彼らも過ごしていた……という時間は,とても大切だと思ったからです。アイドルもそうだと思うんですけど,キャラクターと同じ時間を過ごしたぶんだけ,愛されていくんじゃないかなと。その空白の時間が描かれることはあるのかもしれませんが,ファンのみなさんと過ごしていただける今の時間をきちんと描きたいと思っています。
石田氏:
そこのアウトプットはなかなか難しいので,大事にしていきたいですね。そういえばパネル芸のなかで,「みんな寝てた」っていうシーンを作ったりもしました(笑)。
4Gamer:
キャラクターデザインは前作と同様,藤坂公彦さんがご担当されていますよね。
はい。藤坂さんに担当していただけました。5年経っていますし,徳川慶喜は分かりやすく身体を成長させられますけど,ほかはどう変わるの? というのは,自分自身難しいところだなと思っていました。藤坂さんに物語を先に見ていただきつつ,5年経ってるんですとお伝えして,今回のキャラクターになりました。成長してるけど,彼ら自身の個性もそのままで素晴らしかったです!
坂本龍馬(CV:谷山紀章) |
高杉晋作(CV:鈴木達央) |
桂 小五郎(CV:森久保祥太郎) |
土方歳三(CV:森川智之) |
沖田総司(CV:小野賢章) |
こちらから何かこうしてほしい,など希望された部分はなかったんでしょうか。
佃氏:
前作でもそうだったんですが,藤坂さんはキャラクターへの理解が非常に深く,生み出す力がある方なので,こちらからお伝えしたのは,「5年経っているので,成長している彼らを見せたい」ということくらいです。服装,髪型などについてはとくに何もなく……土方の髪が短くなっていたのもびっくりしましたね。藤坂さんがいてくださって初めて,生み出されているキャラクターたちです。
石田氏:
桂さんが眼鏡ではなくなったのも,藤坂さんのアイデアです。
佃氏:
眼鏡がなくなった理由は連載中のコミックでも触れられるんですけど,じつはコンタクトレンズなんです。コンタクトレンズを落としたら眼鏡姿に戻るかもしれません(笑)。土方の髪が短くなっているのも,近藤 勇に似てきた,という場面を見て寄せるように意図してくださったんだと思います。
4Gamer:
高杉のゴーグルについても,今回幼少期の頃に関係しているという情報が公式サイトで発表されていましたが,当初から設定は存在していたんですか。
石田氏:
ゲーム内では明かされていないのですが,じつは最初からある設定の1つです。
佃氏:
もともと兄弟子にもらったという設定は存在しています。まだまだ表に出ていない設定が,各キャラクターにはありまして。桂さんの家の中とか,結構細かい設定がありますよ。
石田氏:
ありましたね。出ていない設定は結構多いです。
4Gamer:
それは気になります。今後,世の中に出てくるタイミングはありますか。
石田氏:
いやあ……桂さんの家の中とか興味あります?
4Gamer:
あります! タイミングありましたらぜひ。ちなみに「虚魂」はプラットフォームが公開されていませんが,今後はどのような展開を予定されていますか。
石田氏:
現時点で間違いないのは,音楽とドラマCDが発売されることです。まずは,コミックの内容にオリジナル要素を加えて音声化したドラマCD第1幕「超魂再臨!!」が10月28日に発売予定で,後日発売される第2幕との2枚組となります。いろいろなことを考えてはいるのですが,確実に言えるのはそこですね。
佃氏:
現状は新型コロナの影響もあっていろいろと難しいですね。やりたいことはたくさんあっても,なかなかできないもどかしさです。あとは,時代的に今みなさんが欲しているものがなんなんだろうと考えています。それがゲームなのかアニメなのか舞台なのか……。
前回は,ゲーム,アニメ,舞台それぞれのファンに向けて独自性を持って作っていただいていました。それはそれで良い面,悪い面もあり,どういうものが良いのかなどは考える必要はあるのだと思いますが,関わっていただける方の熱さを大事にする事が,必須だと考えています。
大切にしているのはキャラクターたちの想い
4Gamer:
「虚魂」では新たなキャラクターとして,久坂玄機や久坂玄瑞,マロンも登場していますが,龍馬たちとのかかわり方も気になります。
久坂玄機(CV:速水 奨) |
久坂玄瑞(CV:蒼井翔太) |
マロン(CV:堀江 瞬) |
佃氏:
今回は,桂と高杉の兄弟子,久坂玄機と弟の玄瑞,虚魂を中心として龍馬たち超魂(ウルトラソウル)との物語が展開されます。
4Gamer:
今回は,というと?
佃氏:
主人公である彼らにはそれぞれの物語が存在します。今回はそのなかで取り上げたものが「虚魂」で描かれる物語です。それぞれの物語が,最後はつながっていく……みたいな構成になっているんですけど,ほかの物語をお披露目できるのは,今後の動き次第ではありますね。
4Gamer:
それを聞いて楽しみが増しました。それに今回は,彼らの幼い頃や,過去のお話が語られる点もファンにとっては嬉しいです。
高杉の子供時代 |
桂の子供時代 |
勝 海舟(CV:江原正士)の過去の姿 |
吉田松陰(CV:中尾隆聖)の過去の姿 |
井伊直弼(CV:安元洋貴)の過去の姿 |
石田氏:
かなりいい反響があっておどろきました。新ビジュアルを出したときも,もうちょっとネガティブな意見もでるかなと思ってたんですけど,全然そういったことがないので本当にファンの方の温かさを感じています。
4Gamer:
反響といえば,久坂玄機のキャラクターボイスが速水 奨さんというのも衝撃でした。一体どんな楽曲になっているんでしょうか。
石田氏:
キャラクターのイメージに合っているか,歌が歌える方で検討していたんですけど,僕たちのなかでは速水さんのキャスティングは満場一致だったんですよ。それでお願いしたらすぐOKしていただきました。
佃氏:
楽曲については,そのままデスメタルにしてしまうと苦手な人もいると思うので,聴きやすくアレンジしたものになる予定です。ほかにも,いろいろな歌があっていいと思うんですよね。歌謡曲は没にしましたけど。
4Gamer:
それはなぜボツに?
佃氏:
五行思想の「七曜」って言葉があるので,当て字にして「火曜曲」っていいなと思ったのですが,火曜以外無いじゃん!! となって没にしました(笑)。
4Gamer:
ちょっと聴いてみたかったです(笑)。「黄泉歌(デスメタル)」の当て字も佃さんご考案なんですか。
佃氏:
はい。もともと「黄泉」は,「死」に関連しているものですよね。歌は昔から人の心を安らげるものだったり,祈りを込めるものだったりと世界で共通している文化なので,そのなかの1つとして,亡くなった人と生きている人をつなぐ歌という意味で決めました。天歌(ヘブンズソング)とは対極ですね。元々に設定とか意味があって当て字を作っている感じです。
※天歌(ヘブンズソング):世に平和をもたらすと言われている歌
石田氏:
勢いもありますけど,もはや当て字は絶対作らなきゃという使命感がありますね。1人が考えているというよりは,展開上こういう言葉が出てきたけどどうする? とその場でみんなでネタ出しをして決めてく感じです。
佃氏:
先程話したコンタクトレンズも,当て字は接触眼鏡(コンタクトレンズ)です。言葉遊びじゃないですけど,ラップだったら韻を踏む,みたいな。「幕末Rock」は歌にまつわるところで全体が決まっていくので,一番この作品にあっている表現にしようと思ったときに,必然とそうなっていた感じです。
4Gamer:
毎回当て字には感心させられます! 続いて,「虚魂」を作るうえで大切にしていることを教えてください。
佃氏:
やっぱりキャラクターの向かっていく先や,大事にしているものを壊さないように意識しています。ただやみくもに敵を出してみんなで倒せばいい,というのは「幕末Rock」とは違うと思うので,彼らのポリシーや生き様を,きちんと見せていきたいですね。
石田氏:
シナリオ上でもそうですし,音楽の歌詞1つとっても,絶対に彼らの志を曲げないように制作するのは「幕末Rock」の約束事としてあります。作詞を担当していただいているテルジヨシザワさんとも,初期にキャラクターの心情をきっちり反映したいという話をしました。
佃氏:
ミニアルバムを作るときも「ストーリーがいるんですよ」って言われましたね。
石田氏:
今はストーリーを渡しておけば,何も言わずともテルジさんがいいものを作ってくれます。非常に呑み込みが早くて,たぶんもう,テルジさんにしか「幕末Rock」の作詞はできないかもしれません。
佃氏:
今回もかっこいい曲になってますよ。楽曲を作っているのは石田のほうなので,自分は完成品を聞くんですけど,「かっこよくて,いいね!」って言うだけです(笑)。ただ,ずっとファンのみなさんが好きで聴いてくれていたものと,新しく聴きたいもの,いろいろあると思うので,そのバランスはとれてますか? ということはときどき確認しますね。
4Gamer:
ちなみにドラマCDに超魂團(ウルトラソウルズ)の楽曲が収録されるとのことですが,今後ほかのキャラクターたちの歌も発表されますか。例えばキャラの組み合わせがいろいろあったりとか。
※超魂團(ウルトラソウルズ):坂本龍馬,高杉晋作,桂 小五郎,土方歳三,沖田総司
石田氏:
作りたかったんですけど……今はないです!
佃氏:
応援していただければ作れるかもしれません。
石田氏:
現時点ではドラマCDの第1幕と第2幕に1曲ずつ超魂團の新曲が収録され,Amazon特典で黄泉歌聖(カオスレギオン)の曲がつきます。龍馬と玄機の曲も制作しているので,全部で4曲お披露目する予定です。
※黄泉歌聖(カオスレギオン):久坂玄機(CV:速水 奨),在原業平(CV:林 勇),和泉式部(CV:佐々木李子),藤原定家(CV:寺島惇太)ほか
佃氏:
横から見ていると,1曲作るのだけでもすごく大変なんですよ。みんないいものを作ろうとしているので,クオリティを担保しようとする苦労がすごいですね。
石田氏:
当時と変わらない音楽スタッフが制作しているので,そういう意味では基本のところを話すことはないんですけど,新しい展開としてどういうふうに変えていこうか,というのは結構話し合いましたね。
4Gamer:
楽曲でこだわった点はどんなところでしょうか。
石田氏:
超魂團の曲が一番悩みました。5年経ったことで,彼らの根本にあるものを変えることに対しての度合いが分からなくて,みんなと悩みながら作りました。もしかしたら何も変わってないと言われてしまうかもしれないですけど,ある種の安心感はあると思います。逆に黄泉歌聖は新しいキャラクターなので,今までにない感じの曲になりました。
佃氏:
ファンの人たちが求めるものは,変わらないものかもしれないし,変わったものかもしれないし,難しいですよね。
石田氏:
音楽は数年経っちゃうと流行り廃りが全然変わってくるので,そこらへんをどのくらい反映させようかとか。「幕末Rock」のファンのみなさんは本当に長く愛してくれているので,変化が嫌な可能性もあるんですよ。みんなで答えは出してみたものの,反響は正直怖いところはあります。
4Gamer:
ファンとしては新しい曲が聴けるだけで嬉しいです……。
石田氏:
これがキャラクターのソロ曲など,バリエーションをたくさん作っていけばある意味作りやすいんですけど,今回は4曲のみだったので表現の幅で苦労したところはあります。
4Gamer:
「幕末Rock」といえば力の入ったMVも魅力の1つだと思うのですが,今回の新曲用のMVは制作されていたりするんでしょうか。
石田氏:
超魂團のMVは制作中で,後日公式サイトにアップされます。ドラマCDの同梱DVDに入る予定ですので,ぜひじっくり見てください。
4Gamer:
ドラマCDのキャストのところに,平安時代の歌人がいるようなのですが,物語の舞台となる陛闇京(へいあんきょう)とともに甦ったイメージなのでしょうか。
佃氏:
そうですね。今回「虚魂(ホロウソウル)」というタイトルには,超魂(ウルトラソウル)の裏側の存在が現れるという意味が込められています。
4Gamer:
平安京を,陛闇京(へいあんきょう)と書くのにも関係があるんですね。
佃氏:
平和な時代になるように祈りが込められた「平安」という呼び名も,それが事実かどうか,本当はどうだったかは今の誰にも分からない。当時の詩を見ても,必ずしも幸せなものばかりではないですし,今の時代も後世から見ればどう見えるのか? 今と過去をつなぐというか,ある程度の制約とファンタジーのなかで,愛してもらえるよう制作しているつもりではあります。もちろん歴史上の人物として,背景などもリスペクトしつつ,外しすぎない展開にはしているつもりです。
石田氏:
陛闇京が復活するということは,死んだ人も甦れるってことですしね。
佃氏:
最初は近藤さんと井伊が還ってくるシーンもあったんですけど……。
4Gamer:
それはぜひ見たかったです。
想いのキャッチボールが生み出したものは
かけがえのないもの
4Gamer:
6年経っても熱いファンが多いのは,どんな理由だと思われますか。
石田氏:
なんでなんだろう……正直分からないですけど,僕自身も好きですし,佃も,かかわっているスタッフもみんな「幕末Rock」に愛情があるんですよ。当時から,ファンのみなさんもとっても温かく応援してくれていましたし。そんなみなさんの想いに応えたいと我々作り手側も考えるので,もしかしたらその相乗効果なのかなとは思います。その繰り返しが,キャッチボールとなって高まっていっているのかもしれません。
佃氏:
本当に「幕末Rock」はスタッフ側の熱も高いので,そういう部分もファンのみなさんに伝わっているんだと思います。当時から,男性も女性も楽しめるコンテンツとして作りたい,とにかくみなさんに楽しんでほしい,というスタッフの想いがとにかく強かったです。
4Gamer:
みんなの意見もしっかり取り入れているんですね。
佃氏:
スタッフの思っていることを,大事にできないような場所にしてはいけないと思っています。変な言い方ですけど,例えば会社って容れ物ですよね。いろんなスタッフの思いがなかったら,容れ物の意味がないので,そこは曲げずに努めています。上の人にはちょこちょこ叱られることもありますけどね(笑)。
4Gamer:
制作側の熱を感じました。龍馬たちの歌にも通じるものがありますね。
佃氏:
キャラクターである彼らの大事にしている想いが込められていくと,自然に熱量に上がったものになる感じです。
4Gamer:
実現可能かどうかは別として,今後やってみたいことはありますか。
佃氏:
富士のロックフェスはゲームの中でやってしまったので,鳥羽伏見や五稜郭コンサートや熊本城ライブをやってみたいです。今は無理だと思うのですが,実現できたら熱いですよね。
石田氏:
ネタはたくさんあるのでやりたいですね。
4Gamer:
宇宙まで行ってしまいそうな勢いです。公式Twitterでは新作グッズの制作についてもお話がありましたが,ドラマCD以外のところでも動きはありそうですか。
石田氏:
いろいろと動かしていくと思います。現在イベントショップを……というお話も計画されていますので,発表を楽しみにお待ちください。
これまでもこれからも変わらない
「幕末Rock」のテーマ
4Gamer:
これまでのシリーズと新作をそれぞれ言葉で表すとしたら,どんなテーマが合うと思いますか。
佃氏:
全体としては「Rock」「叫び」でしょうか。どの世代の人にも大事にしたい想いがあり,叫びだしたい瞬間があるけど,叫べない。でも,彼らはそれを歌で表現できる。本当はみんながしたいことを彼らは迷いながらもやって見せる。誰にだってある瞬間に彼らは心から叫ぶんです。服が弾けるのも,ただ脱がせたいとかそういう事ではなくて,みんなの叫びたいという想いの叫びが叶った時,走り出したい気持ちが叶った時,自分自身を超えた瞬間というのを表現しているんです。
あと自分のなかではずっと変わらず「家族」です。龍馬を中心に,それぞれ別の家族が「仲間」になっていく。ストーリー的には「とにかく若者たちが信じるもののために突っ走る。みんなが情熱を傾けられるものに情熱をかける」という事ではあるのですが,キャラクターたち全体に焦点をあてると「家族」がメインテーマになりますね。叫ぶ彼らを理解してくれる人がどれだけ少なくても,自分を含めて今を生きる人たちも「家族」が認めてくれれば,そうでなくても誰か認めてくれる人さえいれば走り出せる。それは勝手に思ってます。
石田氏:
勝手にというか,原案やってるんですから100点満点の回答だと思います!(笑)
佃氏:
そうなのかな。笑いもあるし,悲しみもあるし,いろんなことが世の中にはあるので,それがちゃんと詰まっているものにしたいんですと,石田から話もあったので。
石田氏:
それは間違いなくベースとしてありますね。キャラクター各々の志や情熱という部分を大事に,想いや信念を歌でも一番大切にしています。
4Gamer:
作品もですが,みなさんの熱情(パッション)もすごいです。
佃氏:
ちなみに「熱情」も,ただひっくり返しただけではなくて,ちゃんと意味があるんですよ。龍馬たちには爆発しそうなパワーがあって,それが爆発したものがロックにつながる。もやもやした気持ちを表現したいけどうまく表現できなくて,熱のほうが先にきて爆発して,気持ちの表現のほうがあとからついてくる――という形が,彼らにはしっくりくるかなと思ったんです。
石田氏:
まさに龍馬そのものを表す言葉ですね。
佃氏:
世の中にも龍馬みたいな人がいればいいのに。細かいことを言わずにとりあえずやってみようぜ! って言ってほしい(笑)。
石田氏:
言い切って,どんどん先に進んでいける人はすごいですよね。
4Gamer:
それでは最後に,楽しみに待っているファンのみなさんへメッセージをお願いします。
佃氏:
自分たちで作り出したキャラクター,タイトル,IPは今後も大事にしてきたいと思っています。「幕末Rock」をはじめ,いろいろなタイトルがありますので,これから発表されるものも含め,応援していただけると嬉しいです。
石田氏:
“すたっふ”や“贔屓(ファン)”のみなさんの気持ちが通じて,再び立ち上げることができました。こうしてまた始動できたことが,ただただうれしくて……もう応援よろしくお願いします! ということしか言えないです。みなさんと一緒にコンテンツを盛り上げていきたいと思います。
4Gamer:
ありがとうございました。
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